「しゅらら」が龍のゲップで、「ぼん」がオナラだそうだ。
ふざけた設定だが、何気に面白く読破できる。
「偉大なる、しゅららぼん」という万条目学の本は、映画化もされている。
琵琶湖の再生につながるといいな、と思っている。
琵琶湖北湖に屹立する竹生島。
湖底の堆積土が1000mほどあるので、そのまま陸上にあれば高度1100mくらいの山である。
昔は、といっても100万年くらい前は、もっと高い山だったのだろう。
琵琶湖は、年間に平均1mm位沈んでいるそうだ。
この計算だと、1万年で100mである。
100万年では、エベレストより高くなってしまう。
まさかそんなことはないだろうけど、3000m級の高さはあったのではないかと推察している。
というのは、400万年前くらいに南にあった(伊賀上野あたりと言われている)古琵琶湖である大山田湖が、今の琵琶湖あたりから流出した湖東流紋岩で埋没したという事実があるからだ。
結構、大きな川がないと湖は埋まらない。
この竹生島には、古い言い伝えが多い。
平家物語にも出てくるし、能にも謡われている。
龍神が祭られてもいる。
湖底から生えてきたような島だから、金輪際(こんりんざい)とも言われている。
仏教で言われる金輪(きんりん)と水輪(すいりん)の境界が金輪際で、とてもつもなく深いところ、という意味がある。
「偉大なる、しゅららぼん」で龍が登場するのは、竹生島の龍神さまをモチーフとしているようだ。
湖が割れる、馬に乗って竹生島まで神水を取りに行く。
ただ、湖底は泥なので、実際には馬の脚がめり込んで走ることは不可能だろう。
この辺の状況描写には多少無理がある。
しかし、竹生島の麓から湧水が出ているくだりは、なかなかに意味深長だ。
海や湖の水が割れて、底を渡る話は、世界の各地に残っている。
モーゼの出エジプト記にもある。
津波で水が引いたのでは、という解釈もあるようだ。
琵琶湖でも、1185年8月に、大きな地震が起こった。
*** 伊藤和明氏:NPO法人防災情報機構・会長
『方丈記』の記述のなかに、「海は傾きて陸地をひたせり」という表現があるが、ここでいう“海”とは、琵琶湖を指している。
内大臣中山忠親の『山槐記』には、伝聞として「近江の湖の水が、北へ流れて減少し、岸辺が干上がったが、後日もとのように水が戻って岸に満ちた」ことが記されている。
これが事実とすれば、琵琶湖の南端で津波が起きたのか、それとも地震に伴う地盤の変動があったのか、いずれにせよ謎の現象である。
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史実と伝説を織り交ぜ、自然や環境を紡いで創作された「偉大なる、しゅららぼん」は、筆者の面目躍如とした作品でもある。