2020.5.22.FRI.
皆さん、こんにちは。
今日は第41回目の投稿です。
今日のテーマは「前屈立ちについて」
「基本稽古」の項で述べたのですが、伝統的な構えや動きの中には技をしっかり出す為に必要な動作が自然に取れるように工夫されていると考えられるものがたくさんあります。今回は、その中で「前屈立ち」について述べたいと思います。「軸」で考えると三戦立ち、騎馬立ちは「中心軸」、後屈立ち、猫足立ちは「後ろ軸」.そして、前屈立ちは「前軸」です。戦いの中で状況と目的に応じて軸を入れ替えて、技を当てたり、その威力を増したり.相手の技を外したり、威力を減じたりします。
「前屈立ち」は横は肩幅、縦は肩幅の2倍の歩幅で、前の足の膝を曲げ、後ろの膝を伸ばします。前の爪先は真っ直ぐ前を向き、後ろの爪先は斜め45度前を向きます。腰と上体を前足側に乗せ、骨盤は開きすぎないように注意します。この形を維持するだけでも充分に足腰の鍛錬になります。足と腰の位置を決めたら、おへそを前の方に向けます。こうすると後ろ足の腿の付け根の前側が伸びます。ここがポイントです。
筋肉には「筋収縮」とは違う「伸張反射」というは働きがあります。筋肉を伸び切る寸前まで伸ばすと、損傷を回避する為に反射的に筋肉が収縮します。この動きをうまく使うと、素早く、かつ疲労感も少なく動くことが出来ます。前屈の姿勢は後ろ足の蹴りを出す時、腸腰筋の伸張反射を使って蹴る動きが意識し易く出来ていると思います。この動きを行う為には、後ろの足の爪先が真横を向いても、ひざが曲がってもいけません。どちらも腸腰筋を伸ばす形にならないので、伸張反射を使えません。前蹴上げだけでなく、他の蹴りも前屈から蹴る稽古をしてみてください。感覚を掴んだら組手立ちから(誤解を恐れずに言えば)足をやや遅らせて蹴りを出します。骨盤が先に動いて足全体を引っ張るイメージで蹴り出すので「やや遅らせて」という表現をしました。さらに動きに慣れてきたらこの「遅らせて」の部分を限りなくコンパクトには早く行うように発展させていきます。
かなり難しい動きですが、是非チャレンジしてみてください。
押忍。
吉岡智