ケパとドルカス

『肝心なことは目では見えない』
これは星の王子さまの友達になったきつねの言葉。

映画「ヒットラーと戦った22日間」(原題 Sobibor)

2018年09月22日 | 映画•映像

この映画はホロコースト(第二次大戦中に、ナチスが行ったユダヤ民族抹殺)関連の映画であって、この分野では「シンドラーのリストなど」数々ある中での、劇場公開中の最新版である。題名の絶滅収容所ソビボルは下の図の通り、ポーランド領だがウクライナの国境近くにある森林地帯のただ中にある。ナチスの作った収容所の規模としてはビッグ3に入る規模である。

このホロコーストによって六百万人以上のユダヤ人が犠牲になったと言われている。キリスト教の求道者であった高校生時代、書籍「アンネの日記」まではまだ良かったが、「夜と霧」では心が痛み、吐きそうになりながらも最後まで読まずにはいられなかったことを思い出す。文明の最先端にいた国が「どうしてこんなことを?」と、解決できない問いを突きつけられたようだった。


映画の方であるが、今回の映画までに私たちが観た映画は、「シンドラーのリスト」「ライフ イズ ビューティフル」「戦場のピアニスト」「サウルの息子」「ユダヤ人を救った動物園 ヤンとアントニーナの物語」などがある。

実話再現の映画なので、ストーリーは手が込んでいない。舞台となったソボビル強制収容所は、唯一収容所の収容者が大反乱を起こし、全員が大脱走した所なのである。この不名誉な事実に驚愕したナチスは直ちにこの収容所を閉鎖したほどである。

大脱走は計画的に綿密に行われた。軍事面と組織化面で、それぞれに卓越したリーダーがいたからである。リーダーの指揮通り、ナチス親衛隊の将校たち主だった者を暗殺してから始まった。
しかし最後のテロップで、全員で400名、脱出の際100名が撃たれて殺され、逃げた現地人に150名が殺されたと出た。現地人に、と言うのにびっくり。かなり残念な数字である。

映像によるインパクトにうながされて、今回あらためて「どうしてこんなことが」と考えてみた。

このホロコーストを行ったのはナチスであり、そのの背景はナチズムである。いま欧米ではトランプ大統領のような自国中心主義、移民受け入れ反対、反ユーロという、いつか来た道が再び大きな運動になりつつある。いわばナチズムという悪夢の再来のようである。
だからここでナチズムと言う国家主義を、もう一度短くおさらいをしたい。

ヒトラーは1919年の段階で「ユダヤ人全体を断固除去することが最終目標」であるという書簡を記しており、その著書『我が闘争(1925-1926)』では「ユダヤ人問題の認識と解決なしには、ドイツ民族体再興の企ては無意味であり、不可能である」と書かれている。ヒトラーは入党前に記した最初の政治的書簡で「ユダヤ人とは即ち、無条件に人種であり、決して宗教団体などではない」という認識を示していた。(以上ウィキペディア)

ここで<人種>という言葉に注目していただきたい。人種的にすぐれたドイツ民族(アーリア人種)と、こじつけた理由で「劣等民族」としたユダヤ人とは、どちらが勝つか相譲れない関係であり、どちらかが生きるか死ぬかの闘争であると定義している。このような狂信的な人物がなんと、世界でももっと民主的なワイマール憲法下、一国の第一党となり、直ちに憲法を停止し、言っていることを実行したのである。この背景には1929年に始まった世界大恐慌がある。第1大戦の敗北で莫大な負債を負わされたドイツは、国全体がどん底に突き落とされ正常な判断ができなくなっていた。またユダヤ人多くが金融業に就いていたのも拍車をかけたようだ。

そして決定的な理由として、科学立国のドイツがユダヤ人撲滅の正当化する理屈として、進化論を奉じていたことである。現在では人類は単一の種であって、人種というのは存在しないことがわかっている。が、当時や私の若い頃まで白人種、有色人種と平気で差別していた(アメリカでお店の入り口、バスの乗車口など)。確かに青い目の遺伝子、金髪の遺伝子があることから、種とは関係ないものをナチズムは民族間の優劣に応用したのである。

もし神がアダムとエバを創られたという、聖書の信仰に堅く立っていたならば、民族抹殺のようなナチズムの狂気は見分けられたはずである。それゆえ、まったく検証も証拠もないにも関わらず、ドイツ人の信仰は科学的に見える進化論の毒牙にかかり、非常に衰えていたのである。
なお付け加えれば、ユダヤ人こそ聖書のローマ人への手紙11章24節
あなたが、本来野生であるオリーブから切り取られ、元の性質に反して、栽培されたオリーブに接ぎ木されたのであれば、本来栽培された枝であった彼らは、もっとたやすく自分の元のオリーブに接ぎ木されるはずです。
によって、ユダヤ人こそ神の祝福を受けるべきオリーブの台木であって、ユダヤ人でないクリスチャンこそ接ぎ木された野生種であることを認識すべきであった。本末転倒とはこのことである。

しかしまた、神の計画は計り知れない。この天文学的な犠牲者を出したユダヤ人は、聖書の地、イスラエルに帰ろうというシオニズム運動がますます盛んとなり、二次大戦後の1948年に、国を失って二千年後、聖書の預言通りついに独立を達成した。これは隠れキリシタンどころではない、実に驚くべきことである。



ケパ





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