Happyday of LUCKY

日々の気付きと感謝を忘れないように綴るページ

人間いたるところ青山あり

2011年05月16日 | Life
インド旅行6日目。
5時すぎに起きてガートへ行くと、もう人びとの生活ははじまっている。
「ハロー、ボート?」
「いや、いまは乗らないよ」
はじめはケンカごしだったやりとりも、ずいぶん余裕が出てきて笑顔で返せるようになった。
これは彼らのあいさつなのだ。
そう思ってガートの人びとを眺めると、みんないいヤツに見えてくる。

だれもあくせくせず、ゆったりと自分たちのペースで生きている。
子供たちは1日中クリケットをしてあそんでるし、大人たちもガートで昼寝したり、お祈りしたり、ときにはボートに客を乗せて仕事もしている。
要するに急いでしなければならないことは何もないのである。
旅人もまた同じで、このゆるやかな時間の流れにどっぷりと浸かってしまうと、なにもすることなく1ヶ月くらい過ぎてしまうのだろう。
日本から来た若者たちが長期滞在してしまうのがわかる気がする。



朝食後、ベランダからガンガーを見下ろしながらsuperflyを聴く。
越智さんのポジティブな声がいまの気分にぴったりくる。

 ハロー ハロー 交わそう
 ここからすべてがはじまるよ
 同じ目線で
 ためらうことなく無邪気にいうよ
 ハロー

日本から持ってきた本をもう読みおえてしまったので、今朝は食堂に平積みしてあった椎名誠の本を借りて読んでいる。
椎名を読むとムショウに旅に出たくなる。
それも無人島のような何もないところへ行って、魚や野草をとって原始生活がしたくなる。
あっという間に読了し、返却するときクミコさんにわたしの本もさしあげる。
また、ここを訪れただれかがベランダで読むのかもしれない。

読むものがなくなったので電子辞書のことわざ辞典を繰っていると、こんなことわざが出てきた。
「人間(じんかん)いたるところ青山(せいざん)あり」
人間とは世の中とか世間という意味で、青山とは墓地を意味することば。
すなわち、世界中のどこにでも死に場所くらいあるのだから、おそれることなく世界に飛び出せ、というような意味だ。
江戸時代のお坊さんの詩からきているらしい。
バラナシでこんなことわざと出会うなんて、なにか因縁めいているが、ここだからこそよりリアルに感じる。

小さくて頼りになるヤツ

2011年05月15日 | Life
インド旅行5日目。
午前中、クミコハウスの部屋でごろごろしながら過ごす。
外はかなりの暑さだが、部屋の戸を開け放しておくと、ベランダからとても気持ちのいい風が入ってくる。
意外に涼しく感じるのはガンガーの上を通ってくる風だからか。



昼まえにお土産を買いにいく。
妻にインドシルクのドレスと木綿のTシャツ、べつの店でアクセサリーなどを買う。
日本円にすると大した金額ではないが、1週間の感謝の気持ちをこめて。
自分用にインド音楽のCDを2枚買う。
そのあと近くのレストランで「親子丼ぶり」を食べる。
おそろしくまずい。
インドまで来て日本食メニューなど注文するものではないと反省。



きのう昼間に動いて死にそうになったので、きょうは夕方から活動する。
まずボートに乗ってガンガーの夕景を撮る。
日が沈んだあと、ミニ三脚を使って長時間露光でガートを撮る。
日本製もいろいろあるが、このライカ製のミニ三脚はとても頑丈でよくできている。
機能性と携帯性とを追求した結果こうなりました、という機能美あふれるデザインが所有する者の心をくすぐる。
そもそもライカというカメラ自体がそういう哲学で貫かれているのだから、アクセサリーもまたしかり。


人びとの生活はガンガーとともに

2011年05月14日 | Life
インド旅行4日目。
5時に目が覚め、ガートを散歩する。
ガンガーの向こう岸にはもう朝日が昇っているはずなのに、空がかすんでいて太陽が見えない。
やがて徐々にその輪郭が見えだし、はっきり見えた瞬間にあたりが光に包まれる。
とても神秘的な光景だ。
ヒンドゥー教徒でなくとも、なにか祈りたい気持ちになる。

人びとの一日はこの日の出からはじまる。
祈り、沐浴、遊泳、風呂、洗濯、動物たちの水浴び、そして葬儀(遺灰を流す)。
生活のあらゆるものがガンガーとつながっている。
わたしの感覚をはるかに越えた現実が目のまえに広がっていて、これがインドなのかとあらためて実感する。



朝食のときにきのうのGさんと食堂で顔を合わせる。
彼女は笑顔で「今朝、ガンガーに入ってきましたよ。頭からガッツリ」という。
いくら神聖な川だといっても、あの「深夜特急」の撮影で大沢たかお氏が抗生物質を投与しながら入ったというくらいの川だから、本当は細菌や雑菌がいっぱいなんじゃないのか。
聞けば、ほかの若者たちも毎日ガンガーで泳いでるといってた。
若者ってチャレンジャーだね、おやじにはマネできません。



きょうはサイクルリクシャーに乗って、向こう岸にあるラームナガル城へ行く。
リクシャーのおやじは自転車を漕ぎながら「ハードワーク!」を連発し、とうとう途中で止まってしまった。
「もう、これ以上はムリ」とかいって、お城の2キロも手前で降ろされる。
日本ではありえないことでも、ここではフツーにありえる。
帰りはオートリクシャーに乗ったが、なんとコイツも「タイヤが暑くてパンクしそうだ」といって途中下車させられた。
きょうはホントに運の悪い日だ。
それとも値切りすぎたのでワザと途中で止まっているのか。
おかげでまっ昼間に何キロも歩くはめになった。死ぬー



昨夜とはちがう近くのレストランで、「チキンラーメン」なるものを食う。

マニカルニカー・ガートでのできごと

2011年05月13日 | Life
インド旅行3日目。
昨夜から未明にかけて、野犬のけたたましい鳴き声で何度も目を覚ます。
1匹や2匹ではない、群れになって吠えるのでものすごい音量だ。
犬の社会にもなにか縄張り争いのようなものがあるのか。

朝食のあと、ガートを散歩していたら、例によって「ボートに乗らないか?」と客引きがやってきた。
とりあえずガートを歩きたかったので、「No, thank you」を連発して撃沈していく。
最もにぎやかなダシャーシュワメード・ガートを過ぎ、人が少なくなった場所で写真を撮っていると、またもやボート屋がやってきて、「ほかの客は乗せないから、一人でゆっくりと写真を撮りに行かないか?」という。
値段を聞いたら1時間200ルピー、相場の2倍だ。
でも一人で乗れるのならいいなと思い、乗りこむ。
日射しはきついが風があって気持ちがいい。
向こう岸まで行ってまたもどってくる。



いったんクミコハウスにもどりゆっくりする。
ミネラルウォーターを買いに食堂へ行くと、シャンティーさん(クミコさんのパートナー)が日本の若い女性と話をしていた。
昼間は暑さが半端ではないし、一人では危ないから出歩かないようにと彼女にいっている。
「どうしても行きたいというなら帽子をかぶって、この人といっしょに行きなさい」
そういって、わたしの方を指差した。
 えっ、なんで僕が?
なんだか強引な話の流れで、わたしはその女性(Gさんという)とふたたび散歩へ出る。

Gさんはデリーからアグラへ行き、今朝バラナシに着いたという。
今どきの若い女性の行動力はすごい。
ボートに乗ってマニカルニカー・ガートを見にいく。
このガートはバラナシのガートのなかで2つある火葬場の一つ。
間近で見るためにボートを接岸してもらうと、笑顔で「ナマステ」といいながら男が一人乗りこんできた。
早口でしゃべりだしたのでわたしには聞き取れなかったが、Gさんはネイティブのように話をしている。
ああ、こんなに英語が上手なら一人旅も平気だよね。
感心しながら聞いていると、その男は「おまえたち、川の上からガートの写真を撮っただろう」と言ってるみたいだ。
このガートが撮影禁止だということはどんなガイドブックにも書いてあるので、わたしたちはカメラをカバンに入れ、もちろん写真は撮っていない。
どうやら男は金めあてのようで、金を払えば許してやるというようなことを言っている。
彼女は強い語調で「撮ってないから払わないわ」といい続けると、さいごには「ポリスへ連れて行くぞ」と脅してきた。
すると「ええ、どうぞ。ポリスでもなんでも呼んでくれば?」と応酬。
しびれを切らしたボート屋が「もうそのへんでやめとけ」みたいなことをいうと男はすごすごと降りて行った。
きっとわたしのように押しが弱くて英語もおぼつかない客だと男のいうとおりに金を払ってしまうのだろうな。
Gさんのおかげで助かったが、彼女の目には情けないおやじの姿が映っていたと思う。
彼女は「ガイドブックに書いてあるとおりのトラブルが起こるので、チョーたのしい!」とどこまでも強気なのであった。

クミコハウスにたどり着くまで

2011年05月12日 | Life
バラナシの中心地に着き、ガイドブックで目ぼしをつけていた宿をさがす。
すると予想どおり「いい宿を知ってるから付いてこい」という客引きがやってきた。
「いいや、けっこう。オレはもう宿を予約してるから」とウソぶいて、あとは完全無視。
それでも次から次へと客引きはやってくる。
ああ、いらつく。

だがそうやって観光客を知り合いの宿まで連れて行き、宿からリベートをもらうのが彼らの仕事なのだ。
それがわかっているので、あまり邪険にするのも気の毒だという気持ちも半分ある。
それでも「お兄さん、どうしてそんなにコワイ顔してますか? どこかでだまされたのですか?」などと日本語でまくしたてられると、「オマエらがだましてるんやろ!」と怒鳴りたくなる。(怒鳴ってません)



何人目かの客引きに目ざす宿のなまえを告げると「こっちだ」というので、あやしいと思いつつも付いて行く。
すると本当にその宿に着いたので礼をいって宿に入る。
が、シングル部屋は満室で、値段の高いダブルしか空いていない。
しかたないのでべつの宿をさがすつもりで外に出ると、はたして先ほどの客引きがニコニコして待っていた。
「だからオレの紹介する宿にしろっていってるんだよ」
相手の言いなりになるのは悔しいが、暑いなか荷物をもってウロウロするのも辛くなってきた。
あきらめて客引きのいう宿へ行く。
ところがここも満室で、結局4軒めにたどり着いたのがクミコハウスであった。
あとでわかったことだが、クミコハウスは客引きが客を連れてきてもリベートを払わない宿だった。
なんか悪いことしたな。



夕食は近くのレストランで焼きそばのようなものを食べる。