Happyday of LUCKY

日々の気付きと感謝を忘れないように綴るページ

写真にことばは必要か

2013年06月20日 | Photography
TIPのゼミを受講するために東京へいく。
TIPとは、TOKYO INSTITUTE OF PHOTOGRAPHYの頭文字をとったもので、写真家のテラウチマサトさんが理事長を務める写真を学ぶための活動拠点だ。
学ぶだけでなく、ギャラリーやスタジオ、デジタルラボなども備えた、さまざまな写真に関する発信拠点でもある。
くわしくはこちら

現在行なわれているゼミのなかから、わたしが受けるのは「写真家のための文章作成ゼミ」というもの。
文章作成の文章とは、作家のステートメントのことだ。
ステートメントとは単に作品の説明ではなく、その作家が作品でなにを伝えたいのか、という基本理念のようなものだ。
講師の横内さんのことばを借りれば、それは作家の「憲法」だという。
きちんとした憲法をつくって意識することによって、作品のレベルがあがり、訴える力が増すという。
憲法がしっかりとしていれば、被写体や表現方法が変わっても、その作家の主張は変わらない。
たとえば黒澤明にしても小津安二郎にしても、作品が変わってもその底流にあるものは同じということだ。

さらに横内さんはステートメントというのは、その作家の生い立ちや生きてきた歴史と深く関係していて、その中からしか出てこないという。
自分の履歴を注意深く点検し、なにが自分の写真表現に関与しているのかを見つける作業が、ステートメントをつくるうえで重要だと説明した。
そのためのワークシートをこれからつくっていく。しかも日本文と英文といっしょにだ。
横内さんは海外で長いあいだ暮らしていたので、ネイティブと同様なのである。

こんなに面白そうなゼミやワークショップは、残念ながら大阪にはまだないよね。
交通費も含めてけっこうな出費であるが、レベルアップのための自己投資と考えたら惜しくない。
この間つくってきた「REBORN」を引っさげて、今夜21時40分発の夜行バスに乗る。

改題「REBORN」

2013年06月19日 | Photography
きのう焼いたプリントをブックに入れ、梱包しなおして、ついに発送。
よろしく頼むよ、クロネコちゃん。



この間、ブックづくりと並行して、9月に開催する写真展のステートメント(作家コメント)を作文していたのだが、5回くらい書きなおすうちに自分がこの作品で表現したいことが少しずつ明確になってきた。
それにともない、写真展のタイトルも変更せざるを得なくなった。

あたらしいタイトルは「REBORN」。
再生とか復活という意味で、ひと言でいえば、この作品は「再生」の物語なんだね。
だれでも考えつきそうなテーマだけど、再生するためには一度死なないとダメなわけで、「死んでまた生まれ変わる」という意味も含んでいる。
この作品はなにかが朽ちてゆく様子と再び生まれてくる様子、つまり崩壊と再生のイメージを集めている。
そのイメージは醜くうす気味悪い、また奇怪でときには不快な感触をもつ。
いま流行りのオノマトペでいうと、ざわざわ、ぞわぞわ、ぬるぬる、かさかさした感じのイメージが多い。

それが当初「癒しの毒」というタイトルをつけた理由でもあった。
ただ、毒的なイメージではあるが、そこからなにかが再生する姿にわたしは興奮するし、美しいと感じる。
わたしはその様子を見たいし、みなさんにも見てもらいたい。
そんな思いでこの「REBORN」をつくろうとしている。

考えてみれば、過去2回おこなった写真展にも、同じテーマが隠れていたような気がする。
インドのガンジス川を撮った「GANGA」はまさに輪廻転生-生まれ変わりの舞台であるし、都市と自然の対比をあらわした「夢の跡」も人類や文明の崩壊と再生を予感させるものであった。
そう考えると、被写体や表現方法が変わっても、結局わたしが撮ろうと思っているイメージはずっと同じなのかなと思う。
写真撮影というのは身体的な反射・反応をともない、多分に感情的で生理的なものであるが、本当はとてもシンプルで根源的な核があって、それがシャッターを押させているのかも知れない。

さいごのあがき

2013年06月18日 | Photography
明日が締め切りの新世紀展に応募するブックはまだここにある。
もう梱包も済まして、伝票まで書いたのだが、まだ気になっているページがある。
午前中、ステートメントをああだこうだと作文し、いよいよ午後からブックを送ろうと思っていたのだが、やっぱり無理だ。

しかたなく午後から暗室をはじめる。
たった1~2枚焼くために現像液や停止液をつくるのは不経済なのだが、そんなこと言っていられない。
不完全なまま応募するより、べストを尽くした方がいいよね。
ブックは明日の消印があればいいのだ。



4枚焼いて、本日の暗室は終了。
そのあと愛犬アルタと散歩。さらに7キロほどランニング。
夕食は牛肉とジャガイモの煮物、冷奴、トマトとレタスのサラダ、海老フライ、焼餃子。



でもきょうプリントしていて、自分がなにを撮っていたのか見えてしまった。いや自分がなにを見たいのかがわかったというか。
頭の中が作品のことで占拠されると、さなぎのようにドロドロになって、あるとき突然、羽化するということがあるのか。
なんかよくわからんけど、言語化することが非常に重要だと、今さらながら思った。
言語化したものは9月の写真展でお見せします。(ここに書いても作品を見てもらわないと意味がないから)

朝飯まえの仕事

2013年06月15日 | Photography
日中は暑くて走る気がしないので、きょうは朝飯まえに7キロほど走った。
ちょうど曇っていてよかったけど、水分と塩分補給のタブレットだけではお腹がすいて力が出ない。
帰宅してストレッチしていたら汗が吹きだす。室温がもう30度になっている。ああ。
シャワーをあびて、朝食をとり、きょうはいよいよ最終のプリント作業だ。

ブックづくりというのは写真1枚1枚のクォリティの高さはもちろんであるが、それをどんな順番でどんなふうに見せるかが重要である。
かつてSIGNの写真茶話会で学んだ「写真ドミノ」を思い出して、写真のイメージをドミノ倒しのようにつなげていかねばならない。
でもあまり単調に並べても、見ている人が飽きてくるから、途中で少し転調したりアクセントとなるイメージを入れることも必要だと思う。
この間、焼いたプリントを順次ブックに入れていってるのであるが、どうも最後から6~8枚のつながりがよくない気がする。
さいごの1枚もなんか取って付けたようで気になる。

プリント作業に入るまえに、手近にあるネガファイルを引っぱりだし、手当たり次第ベタ焼きを見なおす。
自分のあたまの中にあるイメージと重なるカットがないか、スパコン並みの処理速度で検索していく。
その結果、11年まえに撮った2カットがヒットした。
そのネガと残り4カットのネガをもって暗室に入る。



どうです、この優雅に泳ぐオットセイくん。トップライトが彼ののど元に当たって美しく輝いています。
この写真は上下を逆にしたのではなく、おなかを上にして泳いでいるのです。
あまり毒は感じないけど、癒し感はありますね。これはフグの写真のあとに入れようかな。
ヒットしたもう1カットは、きょうはまだお見せできない。これは9月の個展のときに大伸ばしして展示する予定。

問題は一番さいごの写真。
毒ばかりじゃ気持ちが重くなるので、すこし希望を感じるような終わり方にしたい。
ブックのタイトルも「癒しの毒」をやめて、応募用に改題することにした。コメントも修正する。これで4回目か。
締め切り直前にまだこんなことしてる人っているのかな?

未来への力がほしい

2013年06月13日 | Life
今週はO大学のアルバム撮影で毎日忙しい。
自転車でも行ける距離なのだが、あまりに暑いのでバイクで通っている。バイクも暑いけど。



きょう、バイクの駐輪場へ行くと、スズキのST400(通称テンプター)というバイクが停まっていた。
タンクやサイドカバーのワインレッドが目を引く。なかなかきれいな色だ。
もっと未来的でいかにも速そうなバイクとくらべると、このテンプターは非常にクラシカルな形をしている。

こんな古めかしいデザインだけど、発売は1997年というから、それほど大昔というわけではない。
もともとヤマハのSR400の対抗馬としてつくられたのだが、SR400にくらべたらあまりにも地味すぎる。
そのせいかどうかわからないが、このバイクは3年ほどで生産中止。不遇の不人気車となった。
わたしなんかは「これぞオートバイ」という感じがして好感をもつけどなあ。
それこそ先日の「風切り板」を付けて、シングルシートにすれば格好いいんじゃない?



サイドカバーのロゴをよく見ると、「ST400」の下に小さな文字で「POWER TO THE FUTURE」って書いてある。
「未来への力」か、いいねえ。
うわー、こんなこと書いてたら、なんだかほしくなってきたぞ。