Happyday of LUCKY

日々の気付きと感謝を忘れないように綴るページ

アーティストってやっぱりヘン?

2013年09月07日 | Photography
写真展は5日目。
きょうは土曜日なので、夕方までにたくさんの来廊者があった。



写真学校の卒業生のEさんとFさんが来てくれた。遠いところからありがとう。
卒業して5年も経つのに、学生のころの印象とあまり変わらないね。
でもEさんはもう結婚して名前も変わっているので、時間はたしかに進んでいる。
Fさんはある写真のコンペで優秀賞をとって、来月、京都でその写真展をするという。卒業しても自分の写真を撮りつづけているんだね。うれしいなあ。

写真ってだれでも撮るし撮れるのだけど、それを作品としてまとめる(あるいは発表する)には、またべつのエネルギーが必要だ。
単にSNSにアップしたりシェアするだけでは作品にはならない。
けっこうな時間とお金をかけて、作品をつくりつづけるには、強いモチベーションと意志がいる。なにかを犠牲にしなければならないことも多い。
わたしの場合、もういい歳なので、あれこれ手を出して中途半端なことをしている時間はないということだが、なによりも写真が好きだという単純な理由によるところが大きい。
視覚的な表現のなかで、これほど寡黙でかつ饒舌なものはない。いろんな表現とクロスオーバーできる一方、写真だけで完結できる強さもある。そして、やってもやっても底なしで正解というものがないのも、やめられない理由のひとつ。こんなおもしろいものはないでしょう。

彼女たちと入れ替わりで、仕事仲間のGさんが来られた。
Gさんはわたし以上にカメラ好きで、今まで使ってきたカメラはだいたい保管してあるそうだ。レンズも相当あるのだろう。
わたしの作品を観てもらったあと、ギャラリーのとなりにある喫茶店で少し話をする。
そういえば、先日飲みに行ったときに、遊び用のカメラを買うといってたけど、「もう買ったのですか?」と聞くと、彼はカバンの中からオリンパスのペンE-P5を取り出した。わっ、もう買ってる。
レンズは明るい方の17ミリF1.8が付いていて、金属のフードがかなかなカッコいい。
ほかに交換レンズを2本とマウントアダプターを3個も買ったという。
どんなマウントかと聞くと、キヤノンFDとニコンF、それにコンタックスGだ。
それぞれのレンズを取っかえ引っかえE-P5に付けて写しているらしい。おもしろそう。



ところでブルームギャラリーはやわらかい外光が入って昼間はとても明るいのであるが、外がだんだん暗くなってくると、ギャラリー内のハロゲンライトが際立ってくる。
昼間とはまたちがった見え方になって、それがなかなか美しい。

閉廊まぎわに来られたお客さまが、ステートメントを読んで、こんなことをいった。
「難しいテーマですね。ふだんからこんなことを考えているのですか」
はい、と答えると、それ以上のリアクションはなかった。この3ヶ月間、毎日のようにテーマというか、ステートメントを考えてきたので、ウソではない。
だけど、ふつうの人から見れば、「崩壊と再生」とか「諸行無常」なんて考えてるヤツは、やっぱりおかしいのかもしれない。

写真展はライブだ

2013年09月06日 | Photography
写真展は4日目。



仕事でいつもお世話になっているDさんが来られる。本当にありがたい。
はじめの数枚の写真を見て、枯れた草木や枝に強い生命感を感じるといわれた。
まさにそこを狙った写真なので、そういう反応はとてもうれしい。

夕方に来られたお客さまは、ご自分でもモノクロプリントを焼いておられる方で、開口一番「強いプリントですね」といわれた。
なにが強いのか、もう少し聞こうとしたら、「135ですか。全紙に伸ばすのは難しいでしょう?」と技術的な話に移ってしまった。(「135」というのは35ミリ判フィルムのこと)
さらに引伸し機の名まえやコントラストフィルターの号数など、制作のノウハウをどんどん聞いてくる。
技術論は嫌いではないので、包み隠さずお話しするが、作品そのものはどうなのか気になる。
しまいには「この夏、ネパールへ行って100人くらい人を撮ってきた」「有元伸也さんのような写真が撮りたい」などと、ご自分の話をしはじめた。

きのうもそうだったけど、けっこう自分の体験や考えを語る人がいらっしゃるものだ。
わたしの写真が引き金になって、そんな話が飛び出してくるのであれば、それはそれでいいのかなと思う。
写真展って、いろいろな人が来るから緊張もするけど、ライブ感があってたのしい。

写真に小タイトルは必要か

2013年09月05日 | Photography
写真展は3日目。



きょう来廊された方々のなかで、写真歴50年って感じの男性が、これは何を写したものか、と聞いてこられた。
「ダム湖に浮かぶブイの残骸です」と答えると、さらに「タイトルはなんですか」と聞く。
わたしの写真は1枚1枚にはタイトルを付けていない。それは写真全部で「REBORN」という作品だからだ。
1枚1枚にタイトルを付けるのは、たとえばグループ展などで一つのテーマに沿っていろいろな写真を展示するときに、その作家の個性や主張を出すために付けることが多い。
個展ではタイトルよりキャプションのような短い文章を付けているのをよく見かける。その場合はどちらかといえばドキュメンタリー寄りの作品が多い気がする。

わたしの作品はドキュメンタリーではなく、アート寄りの作品であるから、1枚1枚の説明よりも全体の流れやそれぞれの写真から感じるイメージを観てほしいし楽しんでほしいと思っている。
もし「ダム湖のブイ」なんてタイトルを付けてしまったら、単にブイを記録しただけの写真になってしまって、それ以上のイメージが広がらない気がする。
それに、文字ですべてを説明するより、「これはいったいなんだろう?」という謎を残しておいた方が、視覚言語としての読み取りが深まると思う。
写真はあくまでも視覚言語であり、視覚表現なのだから。

だが、その年輩の男性はタイトルが付いていないことに不満げだ。
わたしが黙っていると、やおら「ヌードと裸の違いがわかるか」と言い出した。
その男性曰く、「ヌードというのはエロスを感じさせるもので、裸というのは単に服を脱いだ状態」「裸を写すのではなく、ヌードを写さねばダメ」「ヌードの方がレベルが高い」というようなことを言った。
なるほど、よくわかる話だが、わたしが「ヌード撮影をよくされるのですか」と聞くと、自分は撮らないという。なにそれ?

つまりこの人は自分の写真に対する考え方や見方を述べたいだけなのかな。
せっかく観に来ていただいたけど、楽しんでもらえなかったようで、申し訳ありません。
もう少しネイチャー系かネーチャン系の写真展をご覧ください。

個展「REBORN」はじまる

2013年09月03日 | Photography
きょうから個展がはじまるというのに、朝起きたら頭が痛い。なんか体がふらふらして食欲もない。
まさか夏バテ?
無理やり朝食をとるが気分は変わらず。もう一度、横になる。1時間ほど寝てシャワーを浴びるとマシになった。

午前中に銀行へ行ったり、食糧の買い出しに行ったり。
夕食をつくってから出かけようと思い、急いでタマネギをみじん切りしていたら、左手の親指まで切る。オーマイガッ。
ごはんがなかなか炊きあがらないのにイライラする。



大阪駅を出たら大雨。阪急電車の駅までの100メートルほどで靴がぐしょぐしょになる。地下から行けばよかった。
1時半くらいにギャラリーに着くと、すでにお客さんが一人来廊されている。
ギャラリーのディレクターに紹介いただいたら、表現大学で教鞭をとられている先生だった。
「ブックに良い写真があるのに、展示されてないのが残念です」と、初対面なのに正直なご意見をいただく。
たとえばどの写真ですか、とブックを見ながら聞く。
どの写真も自分にとっては子どものように可愛いので、その中で「良い」と褒められるのはうれしいものだ。
会期中に焼き直して、展示を差し替えようか。

B先生が帰られたあと、ディレクターと販売価格の相談。
ブルームギャラリーではアナログ(銀塩)写真もデジタル写真も関係なく、その作家のキャリアや力量とプリントのエディションなどを総合的に判断して値付けをする。
当然ながら、わたしのような駆け出しの写真家はそんなに高い値段は付けられない。
ただし去年の値段より安くなることはないので、それを基準に詰めていく。考えたら、これは賃上げ要求の労使交渉みたいなものだ。
プリント代にマットの実費を入れ、ブックマットならいくら、額装する場合はいくらにするかを決める。
そのうちのギャラリーの取り分はいくらになるか、電卓をはじきながら正確に値段を決める。
マネージャーのいない作家(ほとんどがそうだろう)は自分の作品がいくらで売れるのかを、自分で管理しなければならない。
これは趣味ではなく仕事だからね。

そのあと関西ライカクラブのCさんが来られる。2月にクラブの写真展でお会いして以来7ヶ月ぶりだ。
彼の写真は玄人はだしで、本当に美しいプリントをご自身で焼かれる。
「ああ、やっぱり銀塩のプリントを見たら、ホッとするなあ」と実感のこもった感想に、わたしもホッとする。
最近はライカクラブのメンバーもデジカメを使いだして、手焼きにこだわっているのはCさんだけだという。
彼はブルームギャラリーの雰囲気をとても気に入った様子で、「いつか、ここで二人展をやろうや」といって帰られた。
一応、プリントのクォリティは及第点ということか。実現すればたのしいだろうな。



夕方、早めにギャラリーを出て、仕事の打ち合わせにいく。
こっちの仕事は糧を得るための仕事だ。
早く自分の写真だけで食べれたらいいのにと切に願う。が、そう簡単にはいかぬこともわかっている。
才能の少ない人間は、一歩ずつ進むしかない。

搬入完了 果報は寝て待て

2013年09月01日 | Life
午後から降りだした強い雨も夕方には弱まり、ブルームギャラリーに着いたときにはやんでいた。
きょうはいよいよ来週からはじまる個展の搬入作業をおこなう。
ほどなく手伝いをお願いしていたAさんもやってきて、二人でまずバックヤードで額装からはじめる。
わたしはプリントのディテールをじっくり見てもらうために、いつもガラスを入れずに額装しているが、今回はサイズが大きいせいか、プリントの波打ちが目立つ。
それにプリントとオーバーマットとの間にわずかなすき間ができるので、それが気になってしかたがない。
なので、はじめガラスなしで額装したけど、もう一度ガラスを入れてやり直す。
ガラスによってマットとプリントが圧着され、今度はうまくいった。

きょう最終日のポートフォリオ展の終了を待つために、ギャラリーのとなりの喫茶店でしばし休憩。



18時から展示作業開始。まず床に作品を置いて並べ方を考える。
ところどころ入れ替えながらも、ほぼブックの並びに沿った展示になる。
正面の壁には例の巨大なプリントを貼ってみたけど、これが今回の写真展のポイントである。
整然と並んでいる作品群の流れを阻害していると見えるか、写真展の主張を強調する作品と見えるか。不安と期待が交錯する。
見ていただく方々に忌憚のない意見を聞きたい。

会期は9月3日(火)から15日(日)13~19時。ただし9日は休廊。最終日は17時まで。
会期中はだいたいギャラリーにいます。お近くの方はぜひご来廊ください。