元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「パシフィック・リム:アップライジング」

2018-05-11 06:30:16 | 映画の感想(は行)
 (原題:PACIFIC RIM UPRISING)前作に比べると、大幅に劣る出来。作り手はどうして第一作があれだけウケたのか理解せず、観客層を広げることばかりに気を取られ、結果として凡庸極まりないSF活劇に終わっている。もちろん、監督が交代したのも無関係ではないだろう。

 人類が巨大ロボット“イェーガー”を駆使して深海からの侵略者を撃退してから10年が経ち、地上には平穏が訪れていた。今は亡き防衛軍の隊長スタッカーを父に持つジェイクは、ドロップアウトしてヤクザな商売に手を染めていたが、“イェーガー”を密かに“自作”していた少女アマーラと出会ったことをきっかけに、義理の姉である森マコと再会する。マコに説得されて、ジェイクは一度は辞めた“イェーガー”のパイロットとして軍に復帰。そんな中、操縦者不明の“イェーガー”が突如として上陸して暴れ始める。それはエイリアンの再襲来の前兆だった。やがて巨大怪獣が東京に上陸し、ジェイクたちは必死の抗戦を試みる。



 前作の、日本のロボット・アニメにオマージュを捧げたような仕掛けやエクステリアはどこにも見当たらない。パイロットたちは“スムーズに”ロボットに乗り込んで、粛々と操縦に勤しみ、軽やかに“イェーガー”と同じボディアクションをする。出撃までの仰々しい段取りは端折られ、武器や必殺技の名前が使用前に高らかに宣言されることもない。

 ロボットと怪獣とのバトルを、ただ派手に映し出せばいいのだろうと割り切っているようで、観ていて何とも釈然としない気分になる。そして、肝心の活劇シーンも思ったより多くはない。

 各登場人物も十分に描き込まれておらず、ジェイクがどうして反発して道に迷っていたのか分からないし、またなぜ簡単に軍に戻るのか判然としない。メカニックの技術以外取り柄が無いと思われたアマーラが、どういうわけかパイロットとして第一線に配属されるし、何より大した理由もなくマコが序盤早々と“退場”してしまうのは愉快になれない。



 舞台が東京になる終盤は、ハリウッド名物“えせ日本”が炸裂(笑)。都心の近くに富士山(噴火中)がそびえ立ち、街並みには怪しげな中国語風の表記が満載だ(爆)。スティーブン・S・デナイトの演出は覇気がなく、前作のギレルモ・デル・トロ監督の足元にも及ばない。

 主演のジョン・ボイエガをはじめ、スコット・イーストウッド、カイリー・スパイニー、イヴァンナ・ザクノといった面子は“華”がない。菊地凛子は大した見せ場もないままいなくなるし、ジン・ティエンやマックス・チャンといった中国系キャストも、出番が多い割には印象に残らない。新田真剣佑に至っては、出ていたことも失念してしまった。ラストは続編の製作を匂わせるような処置だが、この分ならばパート3が公開されても観る気は起きない。
コメント
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