(原題:GRAN TURISMO)一応は楽しめるのだが、「第9地区」(2009年)や「チャッピー」(2015年)で異能ぶりを見せつけたニール・ブロムカンプ監督作品としては、物足りない出来だ。今回は彼自身が脚本に参画していないことが大きいと思われるが、もうちょっと思い切った仕掛けを用意して欲しかった。とはいえ、題材自体は面白いので観て損はない。
2005年、日産自動車のマーケティング担当責任者ダニー・ムーアは、ソニーが提供するレースゲーム“グランツーリスモ”のヘビーユーザーたちを本物のカーレーサーに育成するGTアカデミーの設立を提案する。その企画は実現し、世界中のこのゲームのトッププレーヤーたちが集められる。元プロサッカー選手を父に持つイギリス青年ヤン・マーデンボローの元にも、その招待状が送られてくる。ヤンは見事最終予選のゲームを突破し、世界で10人しかいないGTアカデミーの候補生の一員となる。厳しい鍛錬の後、ヤンは実戦でも結果を出すようになり、ついにはル・マン24時間レースに挑戦する。
実話の映画化だが、とかく保守的と言われる日本の大企業、特に日産のような老舗の自動車メーカーがこのような思い切った施策を断行したという事実には驚くばかりだ。映画ではこの企画の立ち上げから運営、加えてヤンをはじめとするアカデミーのメンバーたちの描写を丁寧に追っている。レースの場面の迫力も申し分ない。しかしながら、いまひとつインパクトに欠けるのだ。
登場人物たちは元々がゲーマーの寄せ集めなのだから、もっと大胆にヴァーチャルな世界が現実を侵食していくスリルを描くべきだった。せいぜいレース中に運転席がゲームのコックピットとシンクロする場面が挿入される程度で、これでは普通のカーレース映画と変わらない。それにライバルチームの存在感も足りておらず、従ってラストのカタルシスは大きくはならない。N・ブロムカンプの演出は今回は安全運転に徹し、破綻はないが意外性は期待できない。
それでもダニー・ムーアに扮するオーランド・ブルームやチーフ・エンジニアであるジャック・ソルターを演じるデイヴィッド・ハーバー、ソニー側の担当者である山内一典役の平岳大らは的確に仕事をこなしている。ヤンを演じるアーチー・マデクウィやジェリ・ハリウェル・ホーマー、ジャイモン・フンスー、メイヴ・クルティエ・リリーといった面子も良好だ。なお、このアカデミーは2016年に終了しているが、また装いも新たにどこかのメーカーが手がけて欲しいものである。
2005年、日産自動車のマーケティング担当責任者ダニー・ムーアは、ソニーが提供するレースゲーム“グランツーリスモ”のヘビーユーザーたちを本物のカーレーサーに育成するGTアカデミーの設立を提案する。その企画は実現し、世界中のこのゲームのトッププレーヤーたちが集められる。元プロサッカー選手を父に持つイギリス青年ヤン・マーデンボローの元にも、その招待状が送られてくる。ヤンは見事最終予選のゲームを突破し、世界で10人しかいないGTアカデミーの候補生の一員となる。厳しい鍛錬の後、ヤンは実戦でも結果を出すようになり、ついにはル・マン24時間レースに挑戦する。
実話の映画化だが、とかく保守的と言われる日本の大企業、特に日産のような老舗の自動車メーカーがこのような思い切った施策を断行したという事実には驚くばかりだ。映画ではこの企画の立ち上げから運営、加えてヤンをはじめとするアカデミーのメンバーたちの描写を丁寧に追っている。レースの場面の迫力も申し分ない。しかしながら、いまひとつインパクトに欠けるのだ。
登場人物たちは元々がゲーマーの寄せ集めなのだから、もっと大胆にヴァーチャルな世界が現実を侵食していくスリルを描くべきだった。せいぜいレース中に運転席がゲームのコックピットとシンクロする場面が挿入される程度で、これでは普通のカーレース映画と変わらない。それにライバルチームの存在感も足りておらず、従ってラストのカタルシスは大きくはならない。N・ブロムカンプの演出は今回は安全運転に徹し、破綻はないが意外性は期待できない。
それでもダニー・ムーアに扮するオーランド・ブルームやチーフ・エンジニアであるジャック・ソルターを演じるデイヴィッド・ハーバー、ソニー側の担当者である山内一典役の平岳大らは的確に仕事をこなしている。ヤンを演じるアーチー・マデクウィやジェリ・ハリウェル・ホーマー、ジャイモン・フンスー、メイヴ・クルティエ・リリーといった面子も良好だ。なお、このアカデミーは2016年に終了しているが、また装いも新たにどこかのメーカーが手がけて欲しいものである。