慶聞抄(きょうもんしょう)
了雲寺 釈幸華
こころを開く
比較的安全とみられていたニュージーランドでの事件、白人至上主義の若者が、金曜礼拝にモスクに集まったイスラム教の人々を無差別殺戮に及んだといいます。ヨーロッパに行って移民が多いのを目にし、その時期を狙った計画的なものだったそうです。
そんなニュースの直後だったので、映画「グリーンブック」のメッセージは胸の奥深くまで暖かく染みわたりました。最初は差別もする野卑なイタリア系のおっちゃんが、黒人でカーネギーホールの階上に住まうほど有名なピアニストの南部へのコンサート道中の運転手に雇われて旅するうちにちょっとずつ変わっていくのです。アメリカ社会は健全です。頻繁に起こる事件はニュージーランドの比ではありませんが、このような映画が創られいくつもの賞を取るのですから。
縁あって後援会の会員をしている中学校の卒業式に招かれました。いつもはお参りがあって朝の早い時間帯に行きそこなっていたのですが、今回は本当に行って良かった。親御さんが病気や虐待など事情があって家族と生活できない生徒が学んでいます。
卒業生は3人。(少ない。でも多いのも困る)Mさんの答辞が良かった。1年生の1月に転入して心細く不安だったとき、Kさん(男子)が声をかけてくれて一人じゃないと思えた、優しい言葉に励まされた、授業や行事を通じてチャレンジする素晴らしさを知った。友だち・言葉・チャレンジ。
その後の卒業生の歌は、アンジェラ・アキの「拝啓―十五の君へ」。男子一人に女子二人のハーモニーが広い体育館に響き渡り、地域の人々はじめ多くの参加者たちの胸を打ちました。
私事ですが、旅立ちを前にした気になる若者が一人います。小学5年生から高校3年生まで、週末ならぬ季節里親をしていました。お正月には、除夜の鐘の数を勘定してくれたり、夏休みには一緒に高知に帰って、お墓の草取りをしたり花火を一緒に見たり。
しかし卒業を前に問題行動が発覚して、その指導中に施設を飛び出し、数日間行方が分からないという事が起こりました。
もう里親はできないな、と思っていましたが、見つかって分かったことは、彼が自転車で先ず向かったのがうちだったということでした。寄る辺ない少年が、私たちの住むところに帰ろうとしたこと。ひと時でもこころの居場所になりえた事に勇気をもらって、また里親にチャレンジすることを連れ合いと話し合っています。*家庭養護促進協会大阪事務所 06-6762-5239
阿弥陀如来の願いは、全ての人々の幸せ。それに応えるには、少し勇気がいるけどわたしが他者に出会ってこころを開くこと。こころを凍らせ閉ざす代わりに。 合掌
*お寺カフェ 4月17日
了雲寺 釈幸華
こころを開く
比較的安全とみられていたニュージーランドでの事件、白人至上主義の若者が、金曜礼拝にモスクに集まったイスラム教の人々を無差別殺戮に及んだといいます。ヨーロッパに行って移民が多いのを目にし、その時期を狙った計画的なものだったそうです。
そんなニュースの直後だったので、映画「グリーンブック」のメッセージは胸の奥深くまで暖かく染みわたりました。最初は差別もする野卑なイタリア系のおっちゃんが、黒人でカーネギーホールの階上に住まうほど有名なピアニストの南部へのコンサート道中の運転手に雇われて旅するうちにちょっとずつ変わっていくのです。アメリカ社会は健全です。頻繁に起こる事件はニュージーランドの比ではありませんが、このような映画が創られいくつもの賞を取るのですから。
縁あって後援会の会員をしている中学校の卒業式に招かれました。いつもはお参りがあって朝の早い時間帯に行きそこなっていたのですが、今回は本当に行って良かった。親御さんが病気や虐待など事情があって家族と生活できない生徒が学んでいます。
卒業生は3人。(少ない。でも多いのも困る)Mさんの答辞が良かった。1年生の1月に転入して心細く不安だったとき、Kさん(男子)が声をかけてくれて一人じゃないと思えた、優しい言葉に励まされた、授業や行事を通じてチャレンジする素晴らしさを知った。友だち・言葉・チャレンジ。
その後の卒業生の歌は、アンジェラ・アキの「拝啓―十五の君へ」。男子一人に女子二人のハーモニーが広い体育館に響き渡り、地域の人々はじめ多くの参加者たちの胸を打ちました。
私事ですが、旅立ちを前にした気になる若者が一人います。小学5年生から高校3年生まで、週末ならぬ季節里親をしていました。お正月には、除夜の鐘の数を勘定してくれたり、夏休みには一緒に高知に帰って、お墓の草取りをしたり花火を一緒に見たり。
しかし卒業を前に問題行動が発覚して、その指導中に施設を飛び出し、数日間行方が分からないという事が起こりました。
もう里親はできないな、と思っていましたが、見つかって分かったことは、彼が自転車で先ず向かったのがうちだったということでした。寄る辺ない少年が、私たちの住むところに帰ろうとしたこと。ひと時でもこころの居場所になりえた事に勇気をもらって、また里親にチャレンジすることを連れ合いと話し合っています。*家庭養護促進協会大阪事務所 06-6762-5239
阿弥陀如来の願いは、全ての人々の幸せ。それに応えるには、少し勇気がいるけどわたしが他者に出会ってこころを開くこと。こころを凍らせ閉ざす代わりに。 合掌
*お寺カフェ 4月17日