♪♪ 私の お寺ライフ ♪♪

 ブログアップして8年目に突入。相変わりませんが、私の「如是我聞」をお送りします。南無阿弥陀仏

慶聞抄2019年11月号

2019-10-20 22:52:44 | 随想
慶聞抄(きょうもんしょう)



災害列島

「その金曜日、僕、東京におったんですよ」
実家のお逮夜にお参りに来られていた息子さんが、翌日の計画運休を前にした新幹線のとんでもない込み具合をお話しくださいました。その夜、台風19号が関東、甲信、東北地方の太平洋側の各地にもたらす被害がどのようなものか想像できた人がいたでしょうか。

日を追ってその爪痕の甚大さが明らかになり、毎朝のニュースで死者数は増え続けました。妻に「世話になったなあ」と言い残して泥水に飲み込まれた男性。一人家に残って、1階のベットの上で亡くなっているのを家族に見つけられたおばあさん。移動中の車内で、川に転落したり冠水した道路で亡くなった方が多いのが目立ちました。死者の6割が60歳上というのも身につまされます。

スーパー台風というのだそうです。今までになかったことが起きています。。理由は、温暖化。18世紀後半、イギリスで起こった産業革命以来、燃やし続けた化石燃料で生じた温室効果ガス、、二酸化炭素。これを減らさんとあかんのに、あろうことか、その二酸化炭素を吸って酸素を生み出してくれている大切な熱帯雨林を、商業作物を作るために燃やし破壊し続けている。最大の問題は、「不都合な真実」から目を背け、16歳のスェーデンの少女に「よくもそんなことを」と言わしめた為政者たち。あの気候変動会議は、具体的な対応策を持つ国の代表者のみの参加で、安倍首相は参加を認められなかったのでした。

哲学者の柄谷行人さんが書評欄で紹介していた本に「崩壊学」というのがありました。

「どんな再生可能エネルギーにも、化石エネルギーの消滅を埋め合わせるほどの力はない。国連で唱えられる『持続可能な開発』などは、非現実的である。たとえば、今すぐ温室効果ガスの排出を全面的にやめても、気候の温暖化は何十年も続く。産業革命以前の環境に戻るためには、数世紀ないし何千年もかかる。今後に一層の自然破壊、さらに、飢饉と病気が生じるだろう。その兆候はすでにある。」

ヒェー!そんなぁ・・。値段も高いし、そんな怖い本、買って読む気は起りません。そうでなくても、本や衣類があふれ返っている部屋や押し入れの中を次男に見られて、何かといえば「整理整頓」攻撃されています。

確かに、一昨年の台風21号では、近くを流れる大和川が、あと数センチで道路兼堤防を乗り越えるまでに迫りました。真夜中に聞く避難を勧める拡声器の声。すぐ移動できるようそのままの格好で身を横たえたのでした。

この現実を認めること。柄谷行人さんも、こうしめくくっています。「一切の望みを棄てよということだ。その上でのみ、ささやかな希望と活路が見えてくる。その意味で、崩壊は終わりではなく、未来の始まりなのである」

なによりも、去年・今年、老少男女おほくのひとびとの、死にあひて候ふらんことこそ、あはれに候へ。ただし生死(しょうじ)無常のことわり、くはしく如来の説きおかせおはしまして候ふうへは、おどろきおぼしめすからず候ふ
                                        親鸞聖人御消息(16)

*11月と12月のお寺カフェは第2水曜日    合掌
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