♪♪ 私の お寺ライフ ♪♪

 ブログアップして8年目に突入。相変わりませんが、私の「如是我聞」をお送りします。南無阿弥陀仏

慶聞抄2021年2月号

2021-01-19 18:35:12 | 随想
慶聞抄(きょうもんしょう)


    トランプ支持者たち

凡夫といふは

 お通夜の折は、故人の人となりを知る限り偲ばせてもらうことにしています。幸いにして直接お話したり行動を共にしたりすることがあったならそれは容易でしょうが、そうでない場合はご家族や近しい方にお聞きするより仕方ありません。

 ただ直接知っているといっても人間関係で印象は当然違ってきます。人は誰しも偏見や思い込みなど(バイアス)から逃れられないことも覚えておかねばなりません。人を語るというのは難しいことです。しかし、この人の場合は・・。    
 
 ありえないことですが(絶対に!)もしもドナルド・トランプのお通夜を頼まれたとしたらどうでしょう?偏見や差別、社会の分断を煽り、都合のいい嘘(フェイク)を平気でつく。大統領選挙の結果を受け入れないばかりか、連邦議事堂へ自身の支持者が押し掛けた時の無責任なツイッターは許しがたいものでした。
 
 彼の人となりを暴露した本は何冊もあるそうですが、うちの報道官(連れ合い)の一押しは、姪であるメアリー・トランプさんのものです。それによると、ドナルドは支配的だった父親の「言葉の暴力」が生んだ産物だそうです。
 
 父、フレッド・シニアには反社会性人格障害があり、いわゆる「ソシオパス(社会病質者)」だった。言葉で子どもたちを虐待し、とくに長男のフレッド・ジュニアを口汚く罵りあざけったという。(その娘がメアリーさん)8歳下の弟ドナルドは、父に罵倒される兄を見て育ち、兄のようになってはダメだと学んだ。父の顔色をうかがい、「自分の感情を押し殺すようになった。フレッド・シニアはそうやってドナルドの世界観を歪め、息子にダメージを与えた」。

 ネットの情報はまだまだ続きますが、ここまで読んだだけでもう胸が悪くなってきました。確かなことは、メアリーさんが、臨床心理学博士であり、従ってカルテの記述であることです。本の題名は「尽きることなき貪欲さ:わが一族はいかにして世界一危険な男を作り上げたか」。
ではなぜ彼が大統領に立候補した時に言ってくれなかったのか。そう聞かれた答えは、まさか当選するとは考えなかった、でした。

 私が注目するのは、今回の大統領選挙で獲得したドナルド・トランプ側の票数です。どんな人となりか分かったうえでの7422万票。あの独裁者アドルフ・ヒットラーも力ずくではなく、選挙によって選ばれたという事実を肝に銘じなければなりません。「民主主義は最悪の政治形態らしい。ただし、これまでに試されたすべての形態を別にすればの話であるが。」チャーチルの名言を噛みしめています。

 バイアスとは何か。日本認知科学学会の会長も務めた鈴木宏昭教授によれば、他者の行動の原因は性格や態度、知能といった「内面」に求めるのに、自分の行動は「状況」のせいにする。こうした考え方のクセは「対応バイアス」と呼ばれ、コロナ禍における「自粛警察」など他人への厳しいまなざしにはこれが隠れているのだそうです。他者に厳しく自分に甘く。でも、この方の「認知」力には驚かされます。

凡夫(ぼんぷ)といふは 無明煩悩われらが身にみちみちて 欲もおほく いかり はらだち そねみ ねたむこころ おほくひまなくして 臨終の一念にいたるまで とどまらずきえず たえずと・・       *親鸞聖人「一念多念文意」
 
 最初、そないに自虐的にとらえんでも、と正直思ったのですが、聖人は取り繕うことなくありのままの自分の本性に向き合われたのです。受け止めてもらえるという確信があるからこそ。「摂取不捨」の如来さまに。    合掌
コメント
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