慶聞抄(きょうもんしょう)
生命還流
6月初め、本堂外陣の隅っこに大きな足場が出現しました。向かって左の余間の天井から、何かが走り回る物音が聞こえたからです。それはもうびっくりするような大きいもので、恐ろしくてお経さんもあげられないほど。すぐさま早朝にもかかわらず総代さんに電話したことでした。
市役所に紹介された「防疫研究所」の人が天井裏を調べてくださったのですが、足跡もフンも、それから臭いも残ってないとのことで様子をみるしかないのですが、私は目撃したのです。音がした数日後、境内をのそのそ本堂に向かって歩く生き物を。振り向いたその顔には白い筋が。その時浮かんだ名前をスマホで検索したら、やっぱり思ったとおりハクビシン!
その1回限りで物の気配は(猫と鳥以外は)トンと絶えましたが、自然との共生は言うほどた易いものではないことを痛感しました。防疫の人の言うには、土の壁など伝統的な建物では、数センチの隙間があればどこからでも入れるのだと。また、数年前には近くの複数のお家でイタチ騒動もあったことも聞きました。しようがありません、彼らの嫌がる臭いのもとでも研究することにしますか。
この心も身も全部
如来からの
いただきもの
* 大峰 顕 師(法語カレンダー:7月の言葉)
親鸞聖人の750回大遠忌の時でしたか、お東のキャッチコピーに「今、いのちがあなたを生きている」というのがありました。私が私を意識する以前からこの命はあったのだから、気が付いたらもう始まっていたのです。私は、私の始まりには何の関与もしていません。ずうっと前から続いていたのを、ある時から、それも何時か分からない時から私は始まったのです。大きな「無量寿」という命の流れの一つのアブクみたいに。
「安楽浄土にいたるひと
五濁悪世にかへりては
釈迦牟尼仏のごとくにて
利益衆生はきはもなし (浄土和讃20)
南無阿弥陀仏を信じてこの一生を終わった人は、必ずお浄土に生まれますが、往生したら浄土にとどまっていないで、この五濁悪世にすぐに還ってくるのです。(中略)お釈迦さまは肉体をもった人間としては娑婆世界に生まれられた方ですが、覚りを開いた方としてはお浄土から来られた方なのです。弥陀の本願海から娑婆世界に現れた人です。時空を超えた永遠の世界から現れて、この時空的な人間存在の姿を取った方です。お釈迦さまはお浄土を覚られた人だから、現世で衆生利益をなさることができたのです。このお釈迦さまと同じ還相回向を、阿弥陀さまを信じ往生したすべての人びとがさせていただくというのです。そうしますと、私たちのこの命というものは、実はそういう無限の生命還流のなかにおいて営まれているのだということがわかりますね。凡夫の目には見えませんが、阿弥陀さまを信じたら、その無限がふと感じられるのです。」
* 同 師:「永遠と今」
あのハクビシン、何処でどうしているのやら。お前もいのちをいただいた仲間。如来さまの話は通じなくても。 合掌
生命還流
6月初め、本堂外陣の隅っこに大きな足場が出現しました。向かって左の余間の天井から、何かが走り回る物音が聞こえたからです。それはもうびっくりするような大きいもので、恐ろしくてお経さんもあげられないほど。すぐさま早朝にもかかわらず総代さんに電話したことでした。
市役所に紹介された「防疫研究所」の人が天井裏を調べてくださったのですが、足跡もフンも、それから臭いも残ってないとのことで様子をみるしかないのですが、私は目撃したのです。音がした数日後、境内をのそのそ本堂に向かって歩く生き物を。振り向いたその顔には白い筋が。その時浮かんだ名前をスマホで検索したら、やっぱり思ったとおりハクビシン!
その1回限りで物の気配は(猫と鳥以外は)トンと絶えましたが、自然との共生は言うほどた易いものではないことを痛感しました。防疫の人の言うには、土の壁など伝統的な建物では、数センチの隙間があればどこからでも入れるのだと。また、数年前には近くの複数のお家でイタチ騒動もあったことも聞きました。しようがありません、彼らの嫌がる臭いのもとでも研究することにしますか。
この心も身も全部
如来からの
いただきもの
* 大峰 顕 師(法語カレンダー:7月の言葉)
親鸞聖人の750回大遠忌の時でしたか、お東のキャッチコピーに「今、いのちがあなたを生きている」というのがありました。私が私を意識する以前からこの命はあったのだから、気が付いたらもう始まっていたのです。私は、私の始まりには何の関与もしていません。ずうっと前から続いていたのを、ある時から、それも何時か分からない時から私は始まったのです。大きな「無量寿」という命の流れの一つのアブクみたいに。
「安楽浄土にいたるひと
五濁悪世にかへりては
釈迦牟尼仏のごとくにて
利益衆生はきはもなし (浄土和讃20)
南無阿弥陀仏を信じてこの一生を終わった人は、必ずお浄土に生まれますが、往生したら浄土にとどまっていないで、この五濁悪世にすぐに還ってくるのです。(中略)お釈迦さまは肉体をもった人間としては娑婆世界に生まれられた方ですが、覚りを開いた方としてはお浄土から来られた方なのです。弥陀の本願海から娑婆世界に現れた人です。時空を超えた永遠の世界から現れて、この時空的な人間存在の姿を取った方です。お釈迦さまはお浄土を覚られた人だから、現世で衆生利益をなさることができたのです。このお釈迦さまと同じ還相回向を、阿弥陀さまを信じ往生したすべての人びとがさせていただくというのです。そうしますと、私たちのこの命というものは、実はそういう無限の生命還流のなかにおいて営まれているのだということがわかりますね。凡夫の目には見えませんが、阿弥陀さまを信じたら、その無限がふと感じられるのです。」
* 同 師:「永遠と今」
あのハクビシン、何処でどうしているのやら。お前もいのちをいただいた仲間。如来さまの話は通じなくても。 合掌