♪♪ 私の お寺ライフ ♪♪

 ブログアップして8年目に突入。相変わりませんが、私の「如是我聞」をお送りします。南無阿弥陀仏

慶聞抄2021年5月号

2021-04-19 17:48:33 | 随想
慶聞抄(きょうもんしょう)


      隣人の牡丹咲いたと呼ばう午後

往って生まれる

 本願寺新報のご法話で、梅が散ることを「こぼれる」ということを知りました。昔から「桜散る こぼるる梅に 椿落つ 牡丹崩れて 舞うは菊なり」というそうです。花の終わりをそれぞれに言い表すところに一つひとつを愛で惜しむ心を思います。
 
では、人間の終わりは? 死ぬ、亡くなる、隠れる、身まかる、他界、入滅、絶命、永眠、死去、物故、鬼籍に入る・・。まだまだありそうですが、多くは死んだら終わりで、他界ならどんなところに?という疑問が残るし、鬼籍なんて怖そうだし、永眠ってずーっと眠ってしまわれたらお話も出来ないないなぁ・・とか考えてしまいます。

 4月の初め、平成10(1998)年に4歳の娘さんのお葬式で「お世話になった」という男性から電話をいただきました。今は、川西市にお住まいということで、次週の土曜日に本堂でとお約束をしました。そのころであれば母がご縁をいただいたはずと調べてみると、ご命日は3月なのでもう過ぎているし、23年目だから24回忌というのも何かハンパやし、お仕事の関係か何かで取り紛れて今頃にならはったんかな、と勝手に想像してしまいました。

当日は朝からあいにくの雨でしたが、時間に余裕を持ってお見えになりました。静かなたたずまいで、お話しぶりも言葉少なく落ち着いた感じの方でした。(私と真逆やん・・ちょっと反省)電話の時は分からなかったのですが、お話をするうちお部屋の中のタンスが事故の原因になったとお聞きしたところで、私もお家に何回かお参りしたことがあったことを思い出しました。
 
「仏説阿弥陀経」さんを一緒にお勤めした後、お茶を飲みながらお話をしました。お連れ合いはお亡くなりになり、男の子が何人かいてご自身も還暦を過ぎてお仕事が一区切りついたところ。「今、お世話になっている近くの浄土真宗のお寺さんで去年、娘の23回忌のお勤めをしました。」(良かった! ほな、何で?)
 
「長男に初めての子どもが授かりまして。それが女の子だそうで、来週産まれる予定です。」
やっと彼がここに来られた理由が分かりました。初めての孫が女の子だと知って、亡くなった子どもさんと重なったのですね。
 
お経さんが終わって、「拝読 浄土真宗のみ教え」で私があげだのは次のものでした。

「自在の救い
念仏申し浄土へと先だっていかれた方々は、この世界にかえり来て、私たちを念仏の教えに導いてくださっている。
親鸞聖人は仰せになる。

安楽浄土にいたるひと
五濁悪世にかへりては
釈迦牟尼仏のごとくにて
利益衆生はきはもなし  (後略)」

女の子は浄土に往生し(往相=おうそう)、今、お父さんの合掌の中に仏さまとして還り来られ(還相=げんそう)、もうすぐ新しい命を迎えようとしています。本堂の外から聞こえてくる雨音に、お茶碗を手にしたまましばらく二人で耳を傾けていたことでした。     合掌
コメント
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