2023(令和5)年 11月号(No.120) 了雲寺 釈幸華 |
慶聞抄(きょうもんしょう)
石川の河川敷にて
亡き人を偲ぶ
ウクライナの戦争状況が変わらない中で、10月7日パレスチナの軍事組織ハマスによるイスラエル攻撃が始まりました。
30年前、クリントン米大統領のホワイトハウスで、イスラエルのラビン首相とPLOのアラファト議長が握手して、両者は翌年のノーベル平和賞をもらったはずでした。
でも、そのまた翌年にラビンは暗殺され元の木阿弥に。イスラエルのネタニヤフ首相(なんとこの人の生年月日がうちの連れ合いと一緒!)の強硬な政策が、ガザ地区を実力支配するハマスの今回の行動の背景となっています。
戦闘の「中断」を求めた国連の安保理決議案に、今度は米国が拒否権を行使しました。これだから9.11と一向に変わらないアラブの反発があります。ガザ市民への人道支援が最優先されるべきだし、どれだけの死者が出ると考えているのでしょうか。
西俣稔という人の毎日新聞の連載「わが町にも歴史あり・知られざる大阪」というのがありました。
未だ現役時代に、同僚Sを誘ってその人の街歩きに参加しました。土曜・日曜の開催なので退職してからは足が遠のき、続けているSから時折報告はありましたが、去年病を得て亡くなられました。
驚いたことに、一緒に歩いた人たちが本人不在のまま、未だに歩いているというのです。毎回担当者を決めて。
「一周忌がしたい。」Sから相談を受けたのはいつ頃だったでしょうか。そんならうちでやったらと言ったら、入院中の病院にもう一人仲間を連れて打ち合わせにやってきました。(面会は家族のみ。しかも一人しかあかんのに! いや、ちゃんと言わんかった私が悪い。)
第二土曜日の午後、鶴橋で集合した20人ほどの集団がやってきました。「仏説阿弥陀経」を皆でお勤めの後、円になって一人ひとり西俣さんの思い出を話しました。
その時の最寄りの駅に集合。道々、その地名の由来や出来事は勿論、古地図を手に街の変貌を、ある時は主役の人柄を熱く語るのです。聞く側は、見慣れた街の知らなかった側面を面白く感じ、初めての土地の興味深さに驚くのです。
時には怪しげな西俣説に首を傾けながらも引き込まれたり・・。そして最後はお決まりの食堂か居酒屋で打ち上げ。これがあるから参加しているという人も少なからず。(Sなんかその代表。この日病気でまさかの欠席)
参加者の誰もが口にしたのが、西俣さんのお人柄です。目線は、あくまでもその土地に生きた人々のもの。
街を愛し、人を愛し、酒を愛した一人のおっちゃんでした。未だ高校の事務員さんであった頃、給食費を取立てに行かなならんのがツライと言わはったのを覚えています。
亡くなられて760年。私たちはご開山のご命日を記憶します。その生き方を尊く偲びます。覚如上人の「報恩講私記」にはこうあります。
「まことにこれ仏意相応の化導、そもそもまた勝利広大の知識なり。悪事悪世界の今、常没常流転の族(やから)もし聖人の勧化を受けたてまつらずんば、いかでか無上大利を悟らん」
阿弥陀仏のお心にかなったご教化であり、広大で勝れた善知識さま(仏法に導いてくださった方)です。五濁悪世の中で迷いに沈み流されている私たちは、親鸞聖人のご教化なくしては、この上ないさとりの利益を得ることなどできません」
祖師信仰だけに終わることなく、一人ひとりが真の念仏者になることを望まれています。聖人の伝道者としてのご尽力を知っています。
*本願寺新報10月20日号より
合掌
学校行くの⁈ 行かないの⁈ 7
こんにちは、坊守の由美です。
10月の朝日新聞に「不登校2割増最多29万人、小中4割相談せず」と、1面に載っていました。
不登校の人数の増加は、コロナの影響が多いそうです。コロナ禍による家庭の経済不安によって、子どもにストレスがかかり、いじめや不登校につながるのではないかと言われています。
子どもの社会は大人の社会の縮図です。子どもたちを救う社会の改革も必要だけど、苦しい父親母親を救う社会をつくることが最も必要だと思いました。
お釈迦さまのおっしゃられる知恵が必要な世の中ですね。