慶聞抄(きょうもんしょう)
了雲寺・釈幸華
摂取不捨
6月末のハンセン病家族国賠訴訟、原告の家族が勝訴しました。国側が「家族の苦労をこれ以上長引かせられない」と控訴を断念したことで、原告たちに笑顔が戻りました。しかし、謝罪や国の責任については言及がなく不満が残ります。差別、偏見に苦しまねばならない大元の原因は、国の行き過ぎた隔離政策でした。特効薬もでき完治した後も、親とも子とも呼び合うことなく亡くなった方もおられたのです。
七月半ば、トランプ大統領が連日のように、白人ではない民主党の女性議員4人に名指しで「アメリカが嫌いなら出て行けばいい」と発言したとの報道がありました。さすがに下院議会で「人種差別だ」との問責決議案が採択され、共和党議員でさえ「彼女たちは自分の意見を言う権利がある」と発言しています。しかし、ヘイトスピーチさながらのこんなニュースがこれまた連日のように、アメリカ社会に、世界中に垂れ流されれば、子供たちの(大人たちも)間でどのようないじめや差別が起こるのか、火を見るより明らかです。いや、もう蔓延している。
「出て行けばいい」という暴言は、在日朝鮮人に対してこの国にあり続けています。、技能実習生という奴隷制かと見まがう劣悪な仕事場で(先日、NHKのドギュメンタリーで観た)ベトナム人に対して発せられているのです。
言うまでもなくアメリカは移民でできた国。在日朝鮮人は日本の植民地政策で、今また改正(?)入管法により30万人にもなるというベトナム人は、日本の少子化による人手不足を補う労働力として。いずれも手前勝手な理由で門戸を開きながら、いざその人たちが発言しようものならどんな暴言が浴びせられるのか。
SDGs、聞かれたことがあるでしょうか。2015年の国連サミットで採択された2030年までに達成されるべき17の目標です。その中で、日本では社会的弱者と呼ばれる人々を、バルネラブルと呼ぶのをある本で知りました。「People who are vulnerable 」
日本語では、攻撃されやすい、傷つきやすい、心細い、などという意味です。ちょっと前になりますが、イチローさんが帰国されたとき、アメリカに行って良かった理由を記者たちを前にしてこう述べられたのを思い出します。「言葉が通じない、心細い経験が得られました」
このような気持ちは、誰にだって起こりえます。大勢の中で自分だけが違うとき、取り残されたような無力な自分と向き合う心細さ。それは、社会のありようで変わるものだというメッセージでもあります。
*写真はツイッターの写真から。どこか学校の生徒会の横幕。「いじめを許さない3原則 1・自分の感情で人や物を傷つけない 2・人を見下さず対等な関係をつくる 3・一人一人の個性を認め合い偏見の目を持たない
摂取不捨
摂取して捨てざれば 阿弥陀と名付けたてまつる 「オサメトル ヒトタビトリテ ナガクステヌナリ」 (親鸞聖人)
合掌
了雲寺・釈幸華
摂取不捨
6月末のハンセン病家族国賠訴訟、原告の家族が勝訴しました。国側が「家族の苦労をこれ以上長引かせられない」と控訴を断念したことで、原告たちに笑顔が戻りました。しかし、謝罪や国の責任については言及がなく不満が残ります。差別、偏見に苦しまねばならない大元の原因は、国の行き過ぎた隔離政策でした。特効薬もでき完治した後も、親とも子とも呼び合うことなく亡くなった方もおられたのです。
七月半ば、トランプ大統領が連日のように、白人ではない民主党の女性議員4人に名指しで「アメリカが嫌いなら出て行けばいい」と発言したとの報道がありました。さすがに下院議会で「人種差別だ」との問責決議案が採択され、共和党議員でさえ「彼女たちは自分の意見を言う権利がある」と発言しています。しかし、ヘイトスピーチさながらのこんなニュースがこれまた連日のように、アメリカ社会に、世界中に垂れ流されれば、子供たちの(大人たちも)間でどのようないじめや差別が起こるのか、火を見るより明らかです。いや、もう蔓延している。
「出て行けばいい」という暴言は、在日朝鮮人に対してこの国にあり続けています。、技能実習生という奴隷制かと見まがう劣悪な仕事場で(先日、NHKのドギュメンタリーで観た)ベトナム人に対して発せられているのです。
言うまでもなくアメリカは移民でできた国。在日朝鮮人は日本の植民地政策で、今また改正(?)入管法により30万人にもなるというベトナム人は、日本の少子化による人手不足を補う労働力として。いずれも手前勝手な理由で門戸を開きながら、いざその人たちが発言しようものならどんな暴言が浴びせられるのか。
SDGs、聞かれたことがあるでしょうか。2015年の国連サミットで採択された2030年までに達成されるべき17の目標です。その中で、日本では社会的弱者と呼ばれる人々を、バルネラブルと呼ぶのをある本で知りました。「People who are vulnerable 」
日本語では、攻撃されやすい、傷つきやすい、心細い、などという意味です。ちょっと前になりますが、イチローさんが帰国されたとき、アメリカに行って良かった理由を記者たちを前にしてこう述べられたのを思い出します。「言葉が通じない、心細い経験が得られました」
このような気持ちは、誰にだって起こりえます。大勢の中で自分だけが違うとき、取り残されたような無力な自分と向き合う心細さ。それは、社会のありようで変わるものだというメッセージでもあります。
*写真はツイッターの写真から。どこか学校の生徒会の横幕。「いじめを許さない3原則 1・自分の感情で人や物を傷つけない 2・人を見下さず対等な関係をつくる 3・一人一人の個性を認め合い偏見の目を持たない
摂取不捨
摂取して捨てざれば 阿弥陀と名付けたてまつる 「オサメトル ヒトタビトリテ ナガクステヌナリ」 (親鸞聖人)
合掌