♪♪ 私の お寺ライフ ♪♪

 ブログアップして9年目に突入。相変わりませんが、私の「如是我聞」をお送りします。南無阿弥陀仏

慶聞抄 10月号

2016-09-26 13:26:00 | 随想
慶(きょう)聞(もん)抄(しょう)
  2016(平成28)年10月号
(NO・35) 了雲寺 釈幸華


 葬送儀礼 

葬儀社の新聞広告で「直送」などの表現を見かけることが当たり前になってきました。私たちは、人の死をどう受け止めていくのか、大きな転換点に立っているような気がします。
告別式は単にお別れを告げる式。亡くなった方をご縁にして仏法に会っていくのがお葬式。特に浄土真宗をいただいている私たちにとっては、亡き人をお浄土に送り出し(つまり成仏していただく)、以後は仏さまとして手を合わせていく出発点とも言うべき機会です。ともすると儀式や儀礼は軽視、簡略化される傾向にありますが、ここはしっかりその中に込められたご先祖さまのメッセージを受け止めていくことが大切なのではないでしょうか。

宗門で決められている葬儀規範は昭和61(1986)年からのものです。当時は本堂や集会場でのお勤めが想定されていたことでしょう。基本は蓮如上人の時代から伝わるもので、次の8つのお勤めからなります。
1・臨終勤行(ごんぎょう)・・他宗でいう「枕経」とは違って、亡くなる方が毎日なさっていたお勤めを、いよいよ最期というとき、住職が本人に代わってするもの。阿弥陀さまに向かってお勤めします。


2・納棺勤行・・大経(仏説無量寿経)下巻にある「往觀偈」。十方の菩薩衆が阿弥陀仏をほめたたえます。
3・通夜勤行:「仏説阿弥陀経」もしくは「正信偈(行譜)」。苦楽を共にした人々が仏前に集い、夜を通して個人を追憶し法義相続の場とします。
4・出棺勤行・・善導大師の「観経疏(しょ)」の中の「帰三宝偈」。共に三宝(仏・法・僧)に帰依して往生浄土を誓います。昔は、お家からお墓までの道を葬列を組んで行きました。4回「南無阿弥陀仏」を唱える「路念仏」はその名残です。
5・葬場勤行・・昔は、墓地の一画が葬場でした。当然野外です。ここで「正信偈」。蓮如上人がご遺言で「正信偈と和讃の一つ二つを引いてくれ」と言われたことにちなみます。
6・火屋勤行・・大経上巻の「重誓偈」。火葬場で、棺に点火する前にお勤めします。
7・収骨勤行・・大経上巻の「讃仏偈」
8・還骨勤行・・「仏説阿弥陀経」

現在、葬儀社のお世話になっている関係で2と7は省略、4と5をひと続きのものとして執り行っています。これに先立って、いわゆる「オカミソリ」をすることが多いです。帰敬式を受けられ、法名をいただいておくのが望ましいですね。
出棺勤行の「帰三宝偈」。「善導独明佛正意(正信偈)」でしたね。(善導ひとり仏の正意を明らかにせり)実はこの最後は、よくお耳にされている回向句です。「願以此功徳・・」 願はくはこの功徳をもって、平等に一切に施(ほどこ)し、同じく菩提心を発(おこ)して安楽国に往生せん。


仏教用語の取捨選択?

 天皇の国民への「お言葉」がありました。「生前退位」。私は「生前」と聞いて、他の言葉に置き換えられないものか、考えたのです。生きているうちの、生きている間の・・。どう考えても死ぬ前の、ということになります。だから「生前」というのは、この世の生を終えて、往生浄土、浄土に往って生まれる前という意味です。
 喪中ハガキに、「永眠」とか「他界」とかいろいろ書きますが、「往生」はなかなかありません。「生前」だけが残っていて、「往生」が忘れられるのは、どうしたことでしょう。天皇家のご先祖さまも、多くは仏さまになられているのに・・。

*お寺カフェ、10/19、11/16(水)     合掌
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