慶聞抄２０２２年１月号

慶聞抄(きょうもんしょう)


　　談山神社から多武峰を望む

仏弟子に学ぶ

コロナ禍も３年目を迎えました。オミクロンさんというのが目下の異変株だそうです。ギリシャ文字は24しかないので（オさんは15番目）、使い果たしたらその次は星座の名前になるとか。それまでに終息することを切に願います。

コロナでいろいろ生活が変わったという方が多いかとお察ししますが、私の場合はお山に登る習慣が身に付きました。初回の警察沙汰から早、1年。私の日本百迷山の実績は、16座、延べ23日です。新友・旧友、はたまた憧れの君など同伴者に恵まれ〈勿論、お一人さまも楽しい〉、まあまあいい線を行っています。

身につくと言えば、オンラインでの受講を挙げることができます。（嘘です。うっかり忘れていてスマホに連絡が来て・・。）先月の大阪聞薫会・内藤昭文先生による「仏弟子に学ぶお釈迦さまの教え」は、カールダーイとビンズルハラダの二人のお話でした。「仏説阿弥陀経」の冒頭、長老舎利弗から数えて１３番目と１２番目に出てくる人です。

迦留陀夷（カールダーイ）は、お釈迦さまの「四門出遊（まだ太子の頃、王城の東西南北の四門から出かけ、それぞれの門の外で老人、病人、死者、修行者に出会い、出家を決意したという伝説）」時の従者と言われるが、仏弟子のその人かどうか確かめられてはいない。「六群比丘（出家してるけど不良グループ）」の一人。「○○してはいけません」というような生活規範を守らない人。しかし、このどうしようもないカールダーイがお説法の場にいることの意味は？

賓頭盧頗羅堕（ビンズルハラダ）。ある時、王舎城で長者が栴檀で作った鉢を、竿で空中にかかげ、これを神通力で取ったものに与えると言った。ビンズルハラダは、一緒にいた目連に「あなたは阿羅漢（聖者）であり、お釈迦さまに神通第一と言われるくらいだから、あなたが行って鉢を取ったらどうですか」と言った。これに対して目連は「あなたも阿羅漢で神通力があるのですから、あなたこそ行って取ったらどうですか。」と答えた。そこで、ビンズルハラダは神通力を表して空中を飛び、鉢を取った。後にお釈迦さまがこのことを知って「あなたが行ったことは誤りです。規律にかなった行為（威儀）でもなく、沙門の法でもなく、清浄な行為でもなく、覚りという目的にふさわしい修行でもなく、してはいけないことなのです。」と叱責された。

神通力を表して人々の歓心を買ったり、神通力があると公言することすら仏教徒として正しい行為ではない。目連がお釈迦さまから「神通第一」と褒め称えられたのは、「神通力」が優れているからではなく、その目的と使い道をきちんと理解していたからではないか。

ビンズルさんと言えば、お寺の上がり框か何かにいて、頭を撫ぜられてピカピカの像の人ですよね！　私と地続きの親しみを感じます。また、カールダーイさんが問題の多い不良にもかかわらず、お説法の場に居ることの有難さを思います。こんな私でも仏弟子でおらせてもらえるんや！

市の仏教会のある住職さんが、昨秋から子どもの居場所作りに奔走されていることを知りました。この方こそコロナ禍の目連さん、本当の意味での仏弟子ですね。

最後に、先の市議会で議長預かりとなった意見書が、１２月例会で全会一致で採択されたことを報告しておきます。仏法広まれ！　　合掌

PS:　星座名は88個。これも使い切ったら、仏弟子か？　「仏説阿弥陀経」では、１２５０人とあるけど、名前の記録は阿羅漢で１６人、菩薩で４　　　　　　人。「仏説無量寿経」で・・