さて、東京国立美術館に続いて、工芸館の紹介です。
2. 東京国立美術館工芸館
まず、建物が目を惹きます。
重要文化財(建造物)旧近衛師団司令部庁舎とのことです。
そして、訪れた時に開催されていたのは、
です。
実を申せば、東京国立美術館に行ってみようと思ったのでは、工芸館の方が切欠でした。
直近では、
のポスターに惹かれていたのに、機会を逃してしまって、
でも、次が、備前焼で。
別に、茶の湯をやってもいませんし、茶道に詳しい訳でもないのですが
歴史好きでして、特に、平安時代と戦国時代が。
戦国時代については、歴史書、小説、ドラマ、映画、教育番組、なんでも好きですが
茶道は、文化、芸術、そして政治にまで関係してくるので、
直近の”棗”は興味をそそられ、今回の備前もまた興味を持って、工芸館に行ってみようとなった次第です。
さて、備前について、展示会の構成ですが、三つに別れていて
I章 源流としての備前焼 ー茶の湯のうつわを中心にー
II章 近代の陶芸家と備前焼 ー写しと創作ー
III章 現代の備前焼 ー表現と可能性ー
まあ、I章の桃山時代の古備前だけでもいいところなのですが
やはり、優游涵泳として、深く味わっていかねばなりませんから
”タッチ&トーク”(ボランティアガイドスタッフによる説明)を利用してみることにしました。毎週水・土曜の二時から。
結果として、備前焼について、理解が深まり良かったです。
ボランティアガイドスタッフであるからなのか、小難しい説明ではなく、見て触って、印象を参加者で言い合って、ガイドさんが、解説を加えるような具合で。
そして、古備前と近代の備前の違いから、一層、備前焼の特徴が、シンプルにハイライトされて勉強になりました。
(ただ、現代の備前焼は、ちょっと。。。)
I章 源流としての備前焼 ー茶の湯のうつわを中心にー
こちらは撮影NGでしたので写真はありませんが
とても無骨な感じです。
全体に歪みが大きく、蓋はぴったりとしておらず(水指だから構わないのですが)
取手(耳)は、握った動物の手のようで、
しかし、どっしりとした質感と、安定感があります。
備前焼は釉薬を使わず、塗料で絵を描くこともないので、
登り窯で焼き上げてみて、どうなるのか、です。
意図して、歪みを加えたり、色抜きをしたりすることはあっても
模様、色合いは、自然のものです。
茶色、青茶色、緋色、そして黄色い点々が
波のように、雲のように、天の川のように、二つと無い模様を描き、独特の風合いを醸し出します。
黄色い点々は、登り窯で焼いた赤松の灰が、焼物にかかって、釉薬がわりとなって現れるとのこと。
緋色の帯というか襷は、藁を巻いて焼くと出る色とのことでした。
また、”牡丹餅”と呼ぶ、丸い皿のようなものを被せると、その部分、丸く色が抜けます。
藁を置いて、牡丹餅を乗せて焼けば、色抜きされた丸の中に、緋色の線が入ります。
意図したデザインはその程度なので、模様や絵柄が施された有田や伊万里とは異色の存在だと思い、そこがいいと感じます。
II章 近代の陶芸家と備前焼 ー写しと創作ー
さて、近代は、というと
ここの茶室の展示になっている一角以外、撮影NGでしたので、私の言葉で言い尽くせるかは不安ですが
タイトルに”写しと創作”とあるように、古備前の美しさを取り込もうとして作られたようです。
人間国宝の金重陶陽さん、他の作品が並びますが
桃山時代(1500年代後期)に比べると、1900年代の備前は、似ていつつ、自然な無骨さが薄く、端正な印象を受けます(いいところを人工的に真似た”写し”だからでしょうか)
しかし、それはそれとして、風合いを変えずに、備前のいいところを際立たせているように思えました。
ただ、、、
III章 現代の備前焼 ー表現と可能性ー
になると、本館の絵画の方もそうですが、
前衛的?
なんか、違ったものになっていく気がします。まあ、”表現と可能性”ではあるのですが、、、
ハートマーク?
メタルちっく?
これは、、、
いずれも有名、高名な方の作品のようですが、”好み”には合いませんね。。。
まあ、いずれにしても、ボランティアガイドさんの説明は、素人にはちょうどいい塩梅の解説でしたし、それを聞いた上で、古備前、近代の備前焼を、じっくり鑑賞すると、印象が違ってくると思いました。
The 備前―土と炎から生まれる造形美― は、5/6まで(ハイパーGWいっぱいやっています)
しかしまあ、工芸館は私の趣味に合いそうです。また来ようと思ったところ、、、
というのもあったんですね。。。
今回、当日限り900円払いましたが、あと300円足せば、一年間いつでもだったとは。チケットカウンターの方も言ってくれればいいのに。
美術館に来なそうな人に思われたかな(苦)
次回は、本シリーズ最後の国立公文書館です。
ではでは。