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What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

あさのあつこ バッテリー カドカワ文庫版

2006年07月11日 10時21分26秒 | 
>バッテリーⅢ 樹下の少年

 巧君の弟、青波君のお話です。

 この想いは「弟」な人は、身に染みるんじゃないですか?好きで、大好きで、憧れて、真似して、でも違う。同じモノにはなれないし、同じモノになったとしても、それは「自分」じゃない。超えたい、けれど超えたら寂しい。何歳になっても、どんな立場になっても、ずっと「兄」で居て欲しい。そんな切ない「弟」の想いが溢れるお話でした。

>バッテリーⅣ 空を仰いで

 巧君が小さくて、まだ野球という言葉も知らない、ボールに触った事すらない頃のお話ですが、本当は祖父母の洋三さんと聖名子さんのお話。

 (女性から見てですよ)いい歳になって、ひとかどの仕事をしている人でも、肉親の不幸や家族の病気には、飽きれるほど動揺しますね。当然なんですが、貴方が動揺してどうするの?と思う事がありました。残された人や病人をどう支えるか、世話するかという時に、喚いて騒いで自分のショックを晴らしている様は、本人が無意識か意識していたのか判りませんが(意識していない様子)一つ壁が出来た感じでした。
 ま、それは置いといて、洋三さんがあれこれ考える姿には、この世代のお父さんたちの典型を見るようでした。聖名子さんのように、旦那さんがほったらかしにして来た部分を支えて、色んな事をして来たであろう奥さんの言葉は、重いです。

>バッテリーⅤ THE OTHER BATTERY

 横手ニ中のキャッチャー城野君とピッチャー萩君のお話です。

 あぁ、これは上手いなぁと読み終わって思いました。
三年生が卒業して、一・二年生が進級して部活内も入れ替わって、いざ三年生でレギュラーになって、チームを動かして行かなければならない状況になった時の焦り、怯え、そんな自分との葛藤が、城野君を揺さぶる様が切なくて。子供なのにね、こうやって必死に大人になって行くんだなと、愛おしく思いました。
 本当に最後の荻君の一言に、城野君も読者も、目の覚める思いをするくだりが上手いと思いました。予想はついてたんですが(笑)やはり、はっとする城野君の気持ちに同調して読みたい部分です。
 こういう素敵な「裏切られ方」を、十年に一回くらい体験してますが、自分の小ささ了見の狭さに落ち込むよりも、人の持つ可能性の素晴らしさに、心震えます。



 蕾 キミたちは希望の蕾 大きな花を開かせる様を見せて

 
コメント (4)
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