東京湾に出られず

2012年01月08日 | 風の旅人日乗
今日はどんなセーリングになるのかな。
なんて、


【写真提供・KAZI/撮影・S.Yamagishi】

のんきなことを言ってた昨日は、
大変なセーリングになった。

荒川沿いに吹き降ろしてくるほぼ真北からのガストと、
若洲のゴルフ場越しにいきなり吹き降ろしてくる
北西からのガストの中、
荒川河口から東京湾に出ようとするダウンウインドセーリング中。

ビッグローチのフルメインと、
ジブブームを使って観音開きにしたジブに、
若洲ヨット訓練所辺りから吹き降ろしてきた
北北西の30ノット越えのガストが直撃。

大きなセールたちが
艇を前のめりにさせ、ほとんどバウ沈直前になり、
艇に急ブレーキがかかる。

艇が止まってしまったために、
風のパワーの出力先がなくなってしまい、
その強大なパワーを溜め込まざるを得なくなったリグが
大きく前にたわむ。

その艇にはバックステイもランニングバックステイも、ない。
(それだからビッグローチメインの装備が可能なのだけれど)



シュラウド(サイドステイ)だけで
マストが前に倒れるのを防いでいるこのリグが
倒壊するのを防ぐ選択肢は、
ここではブローチングしかなかろう、
ということで、ブローチングさせる。

マスト倒壊の恐れはひとまず無くなったものの、
コントロールを失ったままの艇は、
舳先を、すぐ先の若洲ゴルフ場に向けて
そちらに向かってどんどん接近していく。
今度は艇体崩壊の恐れ発生だ。

風を逃がしてメインセールをリーフし、
ジブを半分までファーリングし、
エンジンの推力を補佐で使って
ベアウエイする。

そのままだと若洲の先端を交わせないので、
ジャイブをしなきゃならん。
このリグで、この風でジャイブをすると
いろいろと悪いことが起きるのが想像できる。

なのでラフィングしてタッキングで回るが、
今度はいくらエンジンを吹かしてもベアウエイできない。
1ポイントリーフしかできないビッグローチメインが
大きすぎて、ウエザーヘルムが強すぎるのだ。

しかも、ふと目をやった
ティラーの下に伸びるアルミ製のラダーシャフト。
33フィート艇にしては、ちょいと細い。
無理にラダーを切るのが躊躇われる。

ときあたかも大潮の最干潮。
今度は、
舳先に見えるディズニーランドの手前にあるはずの、
三枚洲の浅瀬が迫ってくる。

風上側の、荒川の上流を見ると、
東関東自動車道と京葉線の橋からこっちの
海面というか川面が、
吹き降ろしてくる北北西風で
真っ白になっている。

葉山から往復3時間をかけて
東京湾に出撃した昨日のセーリングは、
残念無念、わずか20分で終了。
広義には荒川の中でのことなので、
正確には海にさえ出ていない。
そういう状況だったので、写真もない。

捲土重来を期して、葉山に戻る道中、
横浜のベイブリッジ手前のデジタル表示板に、
「ただいまの風速8m/s」
橋の上から左に見える海面にも、
いい感じの北西風が吹き広がっている。

引き返そうかとも思いつつ、
そのまま葉山に戻ると、
適度に吹いているいい北風で
たくさんのヨットが練習していた。

ま、こういうことも、あるさ。


ここ数日のうちに書かねばならぬ
書き仕事のほうは、
12月初めに三河湾で乗ってきた、
話題の新艇、Ker40<Gust>。
興味ある皆さんは、楽しみにして下さい。


【写真提供・KAZI/写真撮影・Y.Yabe】