1.初めに、お知らせ
a.5月4日、考凜館ホームページ に、[考凜館]・[日々楼]・[美しい日本を作る会]の各バーナーを作成し、アップ致しました。
お望みであれば、バーナーをコピーして御自由にリンクをお張りください。
b.5月28日(月) 19:00~22:00 、マイケル・サンデル教授の特別講義が東京国際フォーラムで開催されます。 申込は、今日、5月6日(日)24:00までです。
参加しようと思われる方は、本ブログが5月2日に掲載しました[フォーラム参加受付ホームページ]から申し込んでください。
2.本論
A.判決
a.御存じのように、4月26日、政治資金規正法の虚偽記載で強制起訴されていました小沢一郎氏に対する判決公判があり、東京地裁、大善(だいぜん)文男裁判長は「無罪」を言い渡しました。
b.はっきりと申し上げて、有罪を期待していました。しかし、判決結果を知ったときは、大きな感慨も湧(わ)かず、「なかなか日本は古い旧態以前の社会から抜けらないのだな」と、率直に思いました。
c.ア) ある組織、団体、グループがあり、(小沢氏の場合は責任者である御本人と数人の秘書)、次に、イ) その代表を含む執行グループ全体の利害得失に関する事実があって、(本件の事案ではその事実は認定されています)、ウ)
その代表が、代表を含む執行グループの利害得失の行為への関与を、認めない場合、エ) 今回のように、当事者本人(小沢氏)は、4億円の融資関係書類に署名されているにもかかわらず、その事実(平成16年の金銭取引)を平成17年の収支報告書に記載した(虚偽記載)ことを、本人は関与していないと主張され、裁判官が、その判決の根拠を、裁判官自身は本人(小沢氏)が事実に関与していたと認定するに足る相当の根拠があると考えているにもかかわらず、事実に関わったか否かを、当事者(小沢氏)の認識のあり方(本人がどう思われているか)において推量する態度を取ると、オ)
同様の裁判はすべて無罪となる可能性があります。
d.ややこしい言い方をしなければ、知らぬ存ぜぬ頬被(ほおかぶ)りをすると、それは被告人の利益になるということです。法があり、法が「してはならない」としている事実があって、この事実に関わった本人の関与を、裁判官が本人の認識はどうだったのだろうと推量を始めると、裁判官は事実の世界から推量の世界に迷い込み、判断の基準を失ってしまいます。
e.そして裁判官は、「疑わしきは罰せず」という「聖域」に身を置くことになります。
f.この愚はすでに正されたと思っていました。過去、暴力団の関わった事案において、その構成員の行為に対して、その組織責任者(組長)の「共謀共同正犯」を論理的に立証することはかなり困難で、組織責任者(組長)にまでその罪を問うことは殆どできなかったと、認識しています。現在の ”暴力団対策法”では、末端の不法行為によって発生した損害は、1次団体の責任者もその賠償の責を負います(法第31条の2)。よく言われる使用者責任です。
g.今回の事案では、当該グループの責任者(小沢氏)の使用者責任まで踏み込まれることはなく、本人の関与が御本人の認識において判断されました。判決文要旨(4月27日 産経新聞)を読むと、今回の事案は、事実と事実をめぐる当事者の認識の間を、裁判長が如何に逡巡(しゅんじゅん)したかを、如実に示しています。
h.事案は控訴され、司法も古い政治スタイルとは決別し、新しい社会を築く意思のあることを、示されるべきだと考えます。
B.判決の社会に対する影響
a.先日、東京・丸の内の路上では、年配の御婦人が、「小沢さんが首相になっちゃーだめだよー」という会話をされていました。これに尽きると思います。
C.小沢氏への私の心象
a.あれはいつ頃だっのでしょう。海部俊樹氏の後継として、金丸信氏が小沢氏を指名された時、氏はそれを断られました。この時のシーンで印象深く記憶に留めていることがあります。氏の奥様が、氏の心臓の病(やまい)を心配され、池田大作氏に相談されたという1シーンです。このことはその後の様々なシーンでの氏と創価学会との深い繋がりを想起させます。
b.宮沢内閣不信任案が可決され、総選挙後に発足した細川内閣において、政党助成法が成立しました。以降、政党は自己の財政基盤を国庫からの支出(国民の税金)に負うようになりました。浄財です。一連の法律の成立に小沢氏達が尽力されたという認識が私にはあります。一方、この浄財が不可解な使われ方をしているという報道がしばしばなされます。これはこの法律を成立させられた本来の意図とは異なるように思います。このことや如何に?
c.氏の政治理念がどのようなものであるか、よく分からない所があります。国連主義のような事を言われたり、アフガンでの貢献を雑誌に投稿されたり、また、国民の生活が第一とされる一方、中国に民主党の大議員団を率(ひき)いて出かけられ、「私は野戦軍の司令官として頑張っている」と発言されます。日本という国に対して、氏がどのような思いを抱(いだ)いていらっしゃるのか、よく見えません。
d.例えば、氏の野戦軍の銃砲はどちらを向いているのでありましょうか? よもや後ろから鉄砲で撃たれることはありますまい? 撃たれるとしたら恐ろしい話です。そういう政治家はいりません。一面、この戦闘性は氏の政治姿勢の核心を為しているとも考えられなくはありません。「壊し屋」という異名はそれを如実に語っているようにも思えます。百戒して戒められますようにお願い申し上げます。
e.また一つ、氏の政治姿勢で確言できることがあります。それは、氏は典型的な利益誘導タイプの政治家だということです。氏の周りに集まってくる人たちに対して利益(これは金銭だけに限らず、名誉や地位も含みます)を与えて自己拡大して行く。その典型であります。
f.小沢氏は、今、岐路に立たれております。利益誘導、国家の脛(すね)を齧(かじ)って太って行く時代は終わりました。原発の再稼働一つとっても、百家の意見があり、まとまっておりません。深い経験から未来を洞察され、共にビジョンを一つにして歩むことができますことを願っております。
つつじ
ひなげし
クローバー