日々楼(にちにちろう)

古今東西・森羅万象の幾何(いくばく)かを、苫屋の住人が勝手御免で綴ろうとする思考の粉骨砕身記です。

トランプ大統領を考える

2018年10月27日 | 日記

トランプ大統領を考える

 

A.アメリカ中間選挙

 

1.アメリカの中間選挙が近づいて来ました。11月6日が投票日です。下院の435全議

席、上院の100議席中35議席、50の州知事のうちの36州の知事、それに州議会の議

員の改選が行われます。

 

2.アメリカでは中間選挙で与党は議席を減らすと言われ、事実近年では、ジョージ・ブッ

シュ(ジュニア)大統領の2002年の中間選挙で、共和党が下院と州知事の過半数を維持

し、上院の過半数を獲得した時を除き、そのように推移しています。

 

3.では今度の選挙でも、与党共和党は、連邦議会の上・下院の過半数に達しないのでしょ

うか?ここでは連邦議会でのみ考えます。私も、つい先日まで、女性の批判票が民主党へと

向い、共和党は下院での過半数を獲得できないだろうと思っていました。しかし、トランプ

大統領は中間所得層に対する10%の減税を発言されました。これが実現するには、選挙後

に召集される議会において法案にされ、成立しての後のこととなりますが、期待値としての

インパクトはあると思っています。また政権内では「性の定義を生まれつきの性別に限定す

る」ことを検討していることが報道されました。この二つは選挙の流れを変えると思ってい

ます。最近の世界は、カナダが大麻を合法化するなど、少し緩み過ぎています。三つ目が、

今、中米の地から徒歩でアメリカを目指している7000人とも報道され、今後さらに増え

ると報道されている人々の存在です。これらの人々は、写真をみる限り、アラブやアフリカ

の難民の人々とは異なるようです。報道も難民とは書かず、移民と書いています。何故、こ

れらの人々が発生するのか、扇動者がいるならそれは誰であるか、今後、明らかにしなけれ

ばなりませんが、トランプ政権がこれらの人々に対して対処を誤らない限り、事態は共和党

に有利に作用すると思っています。

 

4.今日(日本時間、10月25日)新たなニュースが入って来ました。一つが、オバマ前

大統領、ヒラリー・クリントン氏、オバマ政権時の閣僚2名、そしてCNN宛に爆発物と思

われる物体が郵送されたこと。爆発物は10月22日(現地時間)にもジョージ・ソロス氏

宛に送られています。もう一つは、トランプ大統領のiフォンを中国(中華人民共和国)や

ロシアが盗聴しているというニュース(ニューヨーク・タイムス)です。これらは何れも社

会の緊迫感を高めます。この緊迫感は社会の防衛本能を高め、保守に有利に働きます。

 

5.後は投票率です。中間選挙は大統領選に比べて投票率は下がると言われています。民主

党を支持する先鋭的な若者と女性は、おそらく固定的な民主党支持者だと思われます。それ

故、若者と女性の投票行動が、従来の投票行動を越えて広がり、投票率が大幅に上昇して保

守層の投票率を圧倒しない限り、中間選挙での民主党の勝利はないと言えます。

 

B.対中(中華人民共和国)政策

 

1.既に、アメリカと中華人民共和国(以下、中共国と略称)は貿易戦争に入っています。

アメリカの貿易関税に対して中共国は対抗関税を発動しました。この関税については、理は

アメリカにあります。ここではアメリカと中共国に限定して述べますが、日本にも言えるこ

とです。大国と後進国(小国)があり、大国が後進国(小国)に対して門戸をオープンに開

けるのは、二国間の社会と経済の生産力に圧倒的な差があるからです。この差は、大国が後

進国(小国)に与える技術供与、生産プロセスの開示、資金の提供等によって、後進国(小

国)がその工業生産力を高めてくると、その生産物の価格を、後進国(小国)の社会の後進

性(日本の場合は、製造技術の比較優位性の獲得)ゆえに安くし、後進国(小国)は、自国

の工業生産品を大量に大国に輸出することができます。このようにして大国・アメリカの富

を貪(むさぼ)って来たのが中共国です。中共国は、この富を以(も)って軍備の近代化を

図(はか)り、外資を取り入れる基盤(特区)を整備し、そして外国資本を導入し、今では

AIIB(アジアインフラ投資銀行)を主導し、世界に対して「一帯一路」構想を提唱する

までに育ちました。アメリカは中共国の恩人に当たります。

 

2.中共国は、10月23日(現地時間)に、マカオと香港を結ぶ全長55kmの海上大橋

を完成させ、開通式を行いました。ユーチューブで見ると、片側3車線で両側に安全スペー

スを取った吊(つ)り橋を除き、橋は片側に4車線があり、しかも両側の安全スペースを取

っていないように見えます。この合計8車線にしては橋の厚み(アーチ状の桁)が少し薄く

感じ、安全スペースの無いのが少し気に掛(かか)ります。(注:車線のように見えるのは

実は安全スペースで、そこをユーチューブの映像では車が走っていたのかも知れません)。

構造計算と安全設計はしっかりされてのことでしょうから、取り越し苦労と言えます。橋の

完成は素晴らしいことです。今後、人々の交通インフラとして役立つでしょう。

 

3.そして、この橋の完成を見て、改めて中国共産党とは何だろうと考えます。そして、そ

の本性は、やはりナチスと同類のものだと思うのです。ナチズムとコミュニズムは異なりま

す。コミュニズムの方が歴史は古く、ナチズムはコミュミズムから派生した一傍流と考えて

よいと思います。そして、マルキシズムに由来するコミュニストは暴力と独裁を容認します。

新疆ウイグル自治区では、1000万人以上のウイグル人がテロや過激派対策で収容されて

いると言います(時事通信)。1000万人という数字の信憑(しんぴょう)性ですが、ウ

イグル自治区の人口2226万人(2014年、出典:平凡社「百科事典マイペディア」)

のうちウイグル人が47%、漢人を40%とすると、ウイグル人は約1046万人となりま

す。つまり、中共国政府が、ウイグル人の全ての人々を対象に「教育施設=収容施設」収容

して、「思想教育」を行っていると考えると、この数字はつじつまが合います。私たちはこ

のことを知らなければなりません。そして、私たちは、私たちが中国共産党に協力したか、

しなかったか、人として検証される時がやがて来ることも、知っておかなければなりません。

 

(二日置いて)

 

C.日本

 

1.昨日(日本時間:10月26日)、安倍首相が、中共国の李克強首相、習近平国家主席

と会談されました。

 

2.これらの会談において、両国首脳が一致をみた原則の確認事項として、安倍首相は、李

克強首相と会談後の共同記者発表で、a.日中両国は「競争から協調へ」という新たな段階

に入りつつある。b.両国は協力のパートナーであり、互いに脅威とならない。c.第三国

の市場での日中協力を促進するため、新しい枠組みが誕生した。d.朝鮮半島の非核化にも

引き続き緊密に連携して取り組む。e.東シナ海を平和、協力、友好の海とするため前進し

て行く。f.日本の原発被害都県の農産物の輸入規制について、李首相が「科学的な評価に

基づき緩和することを積極的に考える」と表明されたことを歓迎する、と述べられました。

そして、同日開催された「日中第三国市場協力フォーラム」では52件のプロジェクトの協

力文書を交わしました。

 

3.私は、この日中会談に疑義を覚えます。第一に、日本の同盟国であるアメリカに対して

の信義が立ちません。彼らが何度も言っていますが、日本が侵略された時、同盟義務に従っ

て出動するのはアメリカの若者であり、不幸にして命を落とすかもしれないのは彼等なので

す。今、アメリカと中共国は貿易戦争の入り口にあります。何で、日本の指導者が、アメリ

カが貿易戦争の相手国だと認識する中共国を益する行為に走るのか、理解に苦しみます。

 

4.日本はアメリカと物品貿易協定の交渉を始めることを今年の9月26日(アメリカ時間)

に合意したばかりです。この交渉に先立つカナダ・アメリカ・メキシコの新NAFTA協定

は、USMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)として決着しました。そしてこの協定

には「中国条項(注:加盟国(メキシコ、カナダ)が、非市場国(中共国)とFTA(自由

貿易協定)交渉を始める時は、他の加盟国(アメリカ)に通告し、協定案文、付属文書の全

てを検討する機会を与え、また加盟国(アメリカ)は、他の加盟国(カナダ、メキシコ)が

非市場経済国(中共国)とFTA(自由貿易協定)を結べば、USMCAから離脱し、二国

間協定に移行することが認められるという条項)」があります。日本とアメリカの物品貿易

協定の交渉はまだ始まっていませんが、交渉前に安倍政権はアメリカを出し抜き、中国条項

を反故にする意図を持っていると捉えられかねません。

 

5.安倍首相は、本年の6月に行われたトランプ大統領との会談において、トランプ大統領

から「パールハーバーを忘れない」と言われたと伝えられています。この言葉は、アメリカ

人が日本人に対して不信感を示すとき使われる根深いフレーズです。キッシンジャー氏の言

葉として、私は、強く心に留めています。その上での今回の日中首脳会談です。これは、

日米同盟の信義に悖(もと)ります。

 

 

                                          わずかばかりの空地で実をつけたアケビ

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