政府支出とGDP
A.政府支出とGDP
1.政府支出はGDPに寄与します。借金による支出であっても、GDPに寄与しま
す。しかし、今、政府予算は101兆円を超え、政府と地方自治体を併せた債務は、財
務省の2019年4月17日付の『説明資料(我が国財政の現状等について)』を見る
と、2019年度末の政府見通しの債務残は、政府が928兆円であり、地方自治体が
194兆円の合計1122兆円です。これはGDPの198%です。私たちはGDP
(例えて言うなら、稼ぎ)の2倍の借金をしていることになります。これは私たち家計
の借金ではありません。企業の借金でもありません。私たちの政府の借金です。
2.日本のGDPは、2017年度が、実質・約531兆円(総務省・統計局、以下、
同、実質換算値)です。この内、家計の消費支出が約298兆円です。民間(企業)設
備投資が約84兆円、民間住宅投資が約16兆円です。政府消費支出が約106兆円、
公共投資が約25兆円です。輸出・入は省略しますが、輸出-輸入=貿易収支の金額を
加算します。日本の貿易収支は、2017年が約1兆3000億円の赤字でした。
3.政府借金の1122兆円は大きいですね。この借金は増え続けてきました。202
0年にプライマリーバランスを黒字化(歳入総額-国債発行等の借金>歳出総額-国債
返済等の借金充当費)するというのが、旧民主党の菅内閣の公約(2010年6月の国
会答弁、日本経済新聞)でしたが、東日本大震災の復興費の財源確保もあり、国債発行
で補填する政府予算は年々拡大してきました。この間、旧民主党の野田内閣の時、旧民
主党、自民党、公明党が合意し、消費税率を2014年4月に8%、2015年に1
0%に引き上げる法案を可決しました。そして、自民党の安倍内閣の時、2014年4
月、消費税率を8%に引き上げ、次の10%への引き上げは、2017年4月へと一度
延期し、更に2019年10月に再延期することを決め、今年がその2019年です。
また、プライマリーバランスの黒字化は、2025年度においても実現が困難だと、本
年(2019年)1月、総理官邸で行われた経済財政諮問会議で報告されたと言いま
す。
4.この政府債務を減らすための処方は、ナショナル・インカムが限定的であれば、そ
の処方は、増税という国民負担によって賄(まかな)うという方法に限られて来ます。
しかし、思考をコペルニクス的に転回させて考えれば、そうでない方法もあります。そ
れは、GDPを増加させ、税収増によって政府債務を減らすことです。家計や企業と一
緒です。そのGDPを増加させる方法を考えて見ましょう。
5.その前に、今話題になっている、MMT(Modern Monetary Th
eory)という「考え方」を考えましょう。そして、この「理論(正確には理論では
なく、こういうことも考えられるという一種のレポート)」を唱える人たちは、GDP
の約2倍の政府借金を抱える日本の金融・財政政策を挙げて例証としているそうです。
6.MMTとは、「a.EUの加盟国であるギリシャのように、ユーロという共通通貨
を持ち、独自の通貨(発行権)を持たない国は、独自の判断で無制限の流動性(貨幣)
供給を行うことができない。それ故、デフォルト(債務不履行)のリスクがある。b.
しかし、アメリカのように、独自通貨を持つ国は、政府債務(借金)の増加が、マクロ
的な供給不足からインフレを起こすような経済状態でなければ、経済成長と雇用の増加
が続いている限り、政府債務の増加は問題ない。(ロイター)」というものです。
7.しかし、このMMTは、日本に対する警鐘でもあります。このMMTには、「マク
ロ的な供給不足からインフレを起こすような経済状態でない」、という前提条件があり
ます。今、日本の政府債務がGDPの2倍に及び、日銀がマイナス金利の通貨供給を行
っても、物価上昇目標の2%を達成できず、「円」の信用を保っていられるのは、第一
に、日本の企業人の勤勉による世界に根を張った物資の供給網があります。第二が、自
由諸国の一員であることです。この二つが、日本人に有形・無形の信用を与えていま
す。第一の供給網の何処かが途切れ、その代替ルートをすぐ作れないと、物価はすぐ上
昇します。第二の日本人が自由諸国の一員である事実は、世界の自由主義諸国の人々
に、無形の信用を日本人と日本政府に与えています。この二つの何処かが途切れると、
日本の「円」は信用を失い、インフレとなります。このインフレを呼びかねないMMT
は、甘い囁(ささや)きと言わざるを得ません。
8.次に、GDPを増加させる方法を考えましょう。昔、自民党の池田内閣が「所得倍
増」を政策スローガンに掲げました。私たちは、「GDP倍増」を政策スローガンとす
るのです。できないことはありません。GDPが自然増となるのは、人口の増加と企業
の増加です。GDPの増加に寄与する企業の増加を政策としてやります。企業には企業
の目的を実現する人が必要ですから、社会のディベロッパー(社会を開発する人)とな
る起業家を育てます。また世界から招聘(しょうへい)します。現在のヨーロッパ諸国
が直面しているように、移民や難民の受け入れには抵抗を覚える人もいるでしょうか
ら、生産人口の減少はロボットで補います。しかし、移民や難民の受け入れは、今後の
日本が避けて通れない道でもあります。政治難民(亡命者)以外の人々は、受け入れた
後、日本で学んでもらった後、再び母国に帰って、母国の種となる人々を育てる難民還
流政策を取ります。移民の人々に対しては、現在の日本で地方から東京に出てきて働
き、再び故郷に帰って貢献する人たちがいるように、これを地球規模の人口循環政策と
してやります。こうすれば、日本にとっても生産人口を補うことができ、移民の人々の
母国にとっても、行ったきりで戻りのない非生産的な人口流出とはならず、自国に、文
化であったり、人口であったり、GDPであったり、何らかの益を齎(もたら)すもの
となります。GDPを増加させるものは何でもやります。
9.7月に選挙があります。今、選挙でNHKが独占している政見放送を、民放に開放
します。「これがGDPの増加と何の関係があるのだ」と、思われる方(人)は、それ
は、「政見放送はHNKでやるものだ」と私たちが思っている固定観念を私たちが取り
払って、新しい社会のスタイルを作るのだと思ってください。GDPを大きくするため
に、土地が必要であれば作ればよろしい。私たちが既に知っている高層ビルは、空間を
利用した小都市の形成であることを思ってください。美しい自然を保ち育成しながら、
新しい都市を作ることは可能です。
10.今ではトヨタ一社で30兆円を売り上げる「グローバル & スペース」時代で
す。アメリカでは、携帯通信会社・スプリント(携帯通信4位)とTモバイルUS(携
帯通信3位)の合併に対してニューヨーク州など10の自治体が差し止めの訴訟を起こ
しているように、企業は巨大であれば良いというものでもありません。しかし、トヨタ
クラスの企業10社で300兆円です。GDPを倍にするという政策スローガンは、決
して絵空事ではありません。
大小さまざまな企業を増加させることによって、GDP500兆円の増額、合計100
0兆円のGDPは可能となります。
9.あと一つ書きます。昨年(2018年)12月、政府が通知した国際捕鯨委員会
(IWC)からの脱退を、私たちは撤回し、国際捕鯨委員会に復帰します。
希望