日々楼(にちにちろう)

古今東西・森羅万象の幾何(いくばく)かを、苫屋の住人が勝手御免で綴ろうとする思考の粉骨砕身記です。

中国の春の嵐は吹き始めている

2013年10月25日 | 日記

中国の春の嵐は吹き始めている

 


A.中国の春の嵐は吹き始めている

 

1.2013年10月18日、北京大学経済学院教授 夏業良氏が解職されました。時

事通信が伝えています。中国版ウィキペディアでは、氏の解職日をはっきりと10月1

8日と記載し、Webニュースもその事実を伝えています。

                           

夏業良 北京大学経済学院教授

 

2.氏は、零八憲章の署名者で、共産党批判を繰り返されている、改革派経済学者で

す。氏は、2010年6月に、『財経国家週刊』で、「中華人民共和国人口の1%が国

全体の富の40.4%を支配している」ことを明らかにされました。

 

3.中国の春の嵐が吹き始めています。拘束―起訴―投獄、或いは、解雇と言った報道

で私達が知ることのできる人々の登場がそれです。彼らは、人間は等しく全員が人権を

持つことを確信して行動し、中国の変革に果たす自分の役割を決意して行動されていま

す。今春以降の拘束者は200名以上を数えます。

 

4.習氏は、この力が共産党の一党独裁を突き崩すものであることを、よく知っていま

す。この力に対して、コミュニストのテキストには、「力で抑えよ」と書いてありま

す。だから習氏はそうしています。毛沢東氏も隥小平氏も、そうしました。

 

5.これを恐れて沈黙すれば、中国社会の自由の息吹は遠のき、「冬」が来たという感

覚になります。そうではなく、人は等しく人権を持ちます。人々の多くがこのことを自

覚したとき、それは力となります。この力の整然とした行使は、中国社会を変革しま

す。これは本当です。これを確信することです。そして人々の政治参加と決定のプロセ

スを考え続けることです。そして発言と行動と支援を続けることです。それは中国社会

の自由の息吹を必ずや呼びます。理由は簡単です。なぜなら、それは中国の人々と社会

にとって善いことだからです。

 

6.今、人々を襲っている拘束、投獄、解雇、「黒監獄」への収容と言う、いわば人々

への「非日常」の強制の意味するものは、それは、中華人民共和国政府が当事者能力を

欠いているということを意味します。言葉を換えれば、中華人民共和国の「法」は、

人々の知る権利、請求権、報道の自由、学問の自由、信教の自由、良心の自由を力で抑

え込もうとする、自由諸国の政府を標準とすれば、「標準から外れた法」であり、その

執行機関である政府も「標準から外れた政府」であることを意味します。これを当事者

能力の欠如と言います。

 

7.当事者能力を欠いた政府の行く末は誰しもが知っています。自由諸国では、この政

府を運営する執行部(名称はいろいろあります)を交代させることを選挙で行います。

中国にはこの選挙制度がありません。この選挙制度を中国の国制としてどのように実現

して行くのか? 考えなければいけません。

 

8.二つの教訓が中国にはあります。それは文革と天安門広場です。文革のファナティ

シズムは中国に多くの損失をもたらしました。そして、第2次天安門広場の悲劇も、学

生と市民が、文革同様の直接行動による政治参加を求めたことによって起きたように思

います。両者はその底流で繋がっています。直接行動方式は、対話を求める相手に多く

の口実を与え、軍隊を動員させます。

中華人民共和国の場合、この結末の近年の代表的なものは、第2次天安門広場の悲劇で

示されます。この愚は避けなければなりません。

 

9.ではどうするか?それはやはり、当事者能力を欠いているとは言え、現在の中華人

民共和国政府に、① 人々の政党結成の自由、② 18才以上の全ての男女による選挙の

実施、③ 選挙によって選出された者達が政府を運営する執行部を作るという選挙制度、

の3点を認めさせ、法として確立するという方法が、最も理に適(かな)っているよう

に思います。この選挙は、中国の全ての行政単位、国―省―地―県―郷、の各級首長と

議会構成員の選出で行います。そしてこの制度では、中国共産党もその政策によって国

民から選出される一政党となります。即ち、中国の主権者は中国共産党から国民に移り

ます。今は、存在が認められていない民主党も、公(おおやけ)政党として存在が認め

られなければなりません。

 

10.とは言え、拘束、投獄、解雇、「黒監獄」への収容といった事態は、それを受け

る本人と周囲の人々にとっては辛いものです。彼らは受難者となります。中華人民共和

国での受難者の処遇がどのようなものであるか、文革時の「自己批判の強要」と「吊し

上げ」の光景を思い起こせば、想像がつきます。彼らは生存権さえ脅かされる存在とな

ります。しかし、屈してはいけません。現在の受難は「中国の春の前の嵐」に他なりま

せん。中国の進むべき道は彼らの側にあります。

 

11.支援が必要です。国際的な監視が必要です。メディアの方々にお願い致します。

中華人民共和国で起こっている出来事で知り得たものはすべてWebニュースとして発

信してください。そして、中国の人々にお願い致します。自分自身、或いは、自分が見

聞したどんな出来事でも、外国のメディアの人達に伝えてください。そうすれば、私達

は、今、中国で何が起こっているか知ることができます。そして私達は中華人民共和国

政府に抗議することができます。それは受難者の人権を護ることにもつながります。

 

 

B.以下に、中国で拘束された人々の新たな情報を掲げます。

 

1.朱建栄 東洋学園大学教授

                                   

a.教授は、スパイ容疑で拘束中です。拘束を解かれたという報道はまだありません。

  

2.王功権 氏

                                                          

a.新公民運動企業家です。許志栄氏の救出署名活動を行われました。今年9月13

日、北京で公安局によって逮捕されました。公共の秩序を乱したという容疑です。改革

派知識人、企業家30人が、抗議声明に署名され、即時釈放を求めています。

  

3.劉虎 日刊紙・”新快報”記者

a.今年8月下旬、重慶の自宅から連行され、10月に逮捕されました。北京市の検察

が認めました。

  

4.陳永洲 日刊紙・”新快報”記者

a.建機大手の「中聯重科」の記事をめぐって、長沙市の公安に拘束されました。同紙

は、10月23日の1面に、「清放人」(かえしてください)という記事を載せ、同記

者の釈放を訴えました。


     「新快報」1面記事

 

追記 :  陳永洲 氏に関する追加報道がありましたので、加筆致します (2013年1

0月28日)。

α) “新快報”は、10月23日に引き続いて、翌日も1面で同記者の釈放を求めまし

た。

β) 10月26日、国営中央テレビは、この件について、陳記者は、情報元から金銭

(数回にわたり、最大50万元という記事もあります。詳細は不明です。) を受け取っ

て、「中聯重科」の虚偽報道を行ったというニュースを、陳記者の映像とともに、流し

ました。

 

     

      陳記者の映像


γ) 10月27日、“新快報”はお詫びの記事を載せました。

δ) この事件の情報元である人物の特定とその意図は、未解明です。「中聯重科」の株

価は5月下旬に一時暴落したと云います。

ε) 思うに、この事件は株取引の利益目的か、それとも、“新快報”を廃刊や業務停止に

追い込もうとしたりする、他の意図があったのかどうかは分かりません。しかし、ニュ

ースソースが信頼できるものであるのかどうかを確かめることは、それを記事にする者

にとっても身を守ることになります。一本の報道で世界が動く時代です。自覚が必要の

ように思います。

ζ) また、かかる事件があったからと言って、中国で、自由を求める人々の力は強まり

こそすれ、弱まることはありません。

  (以上、2013年10月28日)

 

5.王成 氏

a.人権弁護士、浙江省杭州市の公安に拘束されました。裁判なしで身柄を拘束できる

労働教育制度の廃止を求める運動を展開されています。

b.本年3月、張徳江・全国人民代表大会・常務委員長の選出において、手続きに憲法

違反があったと、選出無効の訴状を最高人民法院に提出されました。

c.国家転覆扇動罪の容疑が高いという報道ですが、内容は不明です。 

  

6.陳宝成 「財新ネット」記者

a.本年8月、山東省平渡市金溝小村で強制立ち退きに抵抗する住民と一緒に拘束され

ました。

  

7.宋楊標 「時代週報」記者 (広東省)

a.本年8月、簿熙来被告の公判において同被告を支持することを「微博」で訴えて拘

束されました。

  

8.元人民日報・東京支局長夫妻 

a.本年9月、詳細は不明ですが、日本のテレビ局が、夫妻が拘束されたことを伝えま

した。

 

 9.劉萍 氏

                          

a.女性民主活動家、本年4月、江西省新余市の自宅から同市公安に連行され、5月7

日逮捕されました。劉氏は、共産党や政府幹部の資産公開の運動をされていました。容

疑は国家政権転覆扇動罪だと言います。

b.劉氏と一緒に10人前後が連行され、約半数が拘束されたままだと言います。

c.別の報道によりますと、氏は、違法集会、邪教を利用して法の支配を妨げた罪で、

本年9月23日に起訴されました。 

  

10.唐吉田 氏

          


a.人権弁護士(3年前に資格をはく奪されました)、本年10月16日、黒竜江省鶏

西市に拘留されている女性に面会するために、女性の夫と公安を訪れたところ、拘束さ

れました。支援の弁護士が、多数、駆けつけ抗議しました。氏は5日間の拘留処分とな

り、10月22日に釈放されました。

  

11.江天勇 氏、李和平 氏、唐吉田 氏 など 計11名

             

   江天勇 弁護士        李和平 弁護士


a.人権派弁護士11名が、本年5月13日、四川省資陽市の「黒監獄」(警察などが

法の根拠なく運営している施設)を撮影しようとしたとこる、施設の従業者に暴行を受

けました。そのため110番通報したところ、駆けつけた警察官に公務執行妨害で派出

所などに連行され、翌14日まで拘留されました。江天勇 弁護士は、2009年7月

に弁護士であることの証明を取り消されてしまいました。

 

b.李和平 弁護士は、9月29日の午後、正体不明の暴徒たちによって、頭に袋をか

ぶせられ、拉致されました。氏は6時間にわたってリンチを受け、「北京から出て行

け」「余計なことに首を突っ込むな」と脅され、北京郊外に放置されました。携帯電話

のカード、パソコンのハードディスク、資料は盗まれ、ノートパソコンはリカバリーさ

れました。氏は、BBC中国語ネットの取材に対して、自分が受けた暴力は、氏が受理

されている法輪功修練者の訴訟等、「政治的案件」に関連があると語られています。も

っと詳しい状況は出典先の記事を読んでください。

(出典: http://www.epochtimes.jp/jp/2007/10/html/d17546.html

  

12.朱虞夫 氏

                      

 

a.中華人民共和国では存在が認められていない「中国民主党」の中心メンバーです。

現在は、国家政権転覆扇動罪で懲役7年の判決により、おそらく2011年から、服役

中です。弟の朱喬夫氏(2013年2月に出国され、現在はロサンゼルス在住)は、兄

に面会された時の様子を、「顔が腫れあがり、歩行も困難な様子だった」と語られてい

ます。また、朱虞夫 氏には心臓の持病があり、高血圧も悪化しており、至急、治療が

必要であることも述べられています。

 

 

13. 新疆ウイグル自治区の人々

 

a.本年、6月26日から8月31日の間、「デマ流布」容疑で256名、「過激な宗

教思想」を広めた容疑で139名が逮捕されました。

   


[備考]

記載している内容は、通信社等の報道機関が報道したものを転載したものです。今回

は、北京大学経済学院教授 夏業良 氏と、李和平 弁護士以外は、特にその発信元を記

載いたしませんでした。御了解下さい。

 

 

           青空

 

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