日々楼(にちにちろう)

古今東西・森羅万象の幾何(いくばく)かを、苫屋の住人が勝手御免で綴ろうとする思考の粉骨砕身記です。

マーシャルの k

2012年05月27日 | 日記

A.マーシャルのk

前回、ケンブリッジ方程式について書きました。

(1)ケンブリッジ方程式 M=kPy 
M:マネーストック  k:マーシャルのk(貨幣の流通速度 v の逆数) P:物価水準 y:実質国民所得=実質GDP

(2)Py=Y 名目国民所得=名目GDP ですから、

(3)M=kPy=kY となります。

この(3)式 M=kY のMとYとの関係は、前回このブログで2005年から2008年までの間の世界のマネーストック(M)と名目GDP(Y)の統計値を掲げて見て頂きましたように、係数k=マーシャルのk=貨幣の流通速度
v の逆数と相関していることが分かります。

ここで相関と書く所以(ゆえん)は、kはY内の状態(経済の成長であるとか、新発見、新発明であるとか、恐慌であるとかの要因)によって、変化する係数であるからです。

そして人間は歴史の中で経済を発展させて来ました、これからもそうして行くことでしょう。

そういう意味で、マーシャルのkは人間の宿命を表現しているともいえます。


B.人間の文明に対する仮説

仮説1

a.人間は今後も質的に転換を遂げて行く文明を構築する。

b.サービスを含む実物経済における信用創造とその拡大は、北米大陸とアフリカ大陸の貧富差を見ればすぐ分かるように、過去、不均等に発展してきた世界と文明のなかで、人間が、その豊かさを共に自分たち自身ののものとして、分かち合って行けることに繋がる道である。

(分かりやすく言えば、世界は共に豊かになるということです)。

この仮説は、リーマン・ショック後、世界の信用収縮が起き、人間の先行きに対して様々に取りざたされていたころ、立てたものです。
「人間は誤る」というソロス氏の可謬性仮説を念頭において、尚、人間の未来は明るいという信念の表明です。

マーシャルのkはこの仮説の強力な援軍となっていす。

C.貯蓄と投資

1.Yは、国内経済の全てを含みますから、Yの中に消費、生産、投資、貯蓄、政府支出(財政)、東北復興、福島原発事故など、自分が考えたい要素をを入れると、その結果をシュミレーションすることができます。

2.Yを消費(C)と生産(P)と貯蓄(S)に3分割してみます。

M=kcY(C)+kpY(P)+ksY(S)

kc、kp、ksはそれぞれの部門のマーシャルのkです。

Yとkは省略すると、式は

M=C+P+S  となります。

M-C=P+S    です。

この式から分かることは、

a.Mが一定で消費Cが大きいと、生産P+貯蓄Sの割合は小さくなるということです。
b.逆に、生産Pと貯蓄Sが大きいと相対的に消費Cも大きくなります。

上式は、言い古されたことですが、貯蓄と、貯蓄されたお金が如何に投資され、有効に生産されることが、如何に大切かを語っています。

D.政府財政

現在の政府財政赤字(政府債務)は異常です。

Yの中に政府部門Gを入れてみますと、その財政出動が如何に非効率であったかを如実に語っています。

新型都市建設の国家プロジェクトを行うとか、宇宙産業を育成するとか、そういったことは、予算の無駄使いと考えられて、現状維持のお金の使い方しかできなかった結果が、現在の1000兆円に及ぶ政府・地方の財政債務の累積として顕現しています。 

これは、気宇壮大(きうそうだい)な政治家よりも、予算ばらまき利益誘導の集票を選好する政治家が日本では顔を効かせて来たことを物語っています。

そういう時代を、東日本大震災の地震と津波、福島第一原子力発電所の事故は終わらせました。

 

 

 

 




                           


              

                             桜草


              

                             ツグミ

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