日々楼(にちにちろう)

古今東西・森羅万象の幾何(いくばく)かを、苫屋の住人が勝手御免で綴ろうとする思考の粉骨砕身記です。

憲法九条改正と自衛隊を考える

2020年01月31日 | 日記

憲法九条改正と自衛隊を考える

 

今日は、Q(question)& A(answer)方式で書きます。

 

皆様が、憲法九条と自衛隊をお考えいただくにあたって、数ある意見の一つとしてお読みいただければ幸

いに存じます。

 

本題

 

Q1.自衛隊は軍隊でしょうか?

 

A.軍隊です。

 

 

Q2.今、日本で一部の人たちが言っているように、憲法第九条[戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認]

の第一項、第二項をこのままの条文として残し、ここに自衛隊を書き加えることはできるのでしょうか?

 

A.できません。憲法第九条、第一項、第二項をこのままの条文として残し、次に、第三項、或いは第四

項を書き起こし、自衛隊を書き加えることは、憲法が、その第九条第二項で「陸海空軍その他の戦力は、

これを保持しない」と書く憲法上の規定と、既に、実体法としての自衛隊法他の法体系に持って組織して

いる現実の自衛隊の在り様(ありよう)が、憲法内で自己矛盾を起すことになります。この自己矛盾は、

私たち日本国民に、この憲法を以って、「憲法が嘘を書いている(憲法に嘘を書いた)」という解決でき

ない自家撞着を抱え込ませることとなります。更に、この自家撞着は、私たち日本国民の間に、遂には、

「憲法に合わせて自衛隊の装備を縮小しろ」とか、「自衛隊は違憲である」とかの、従来とは異なる論議

を生じさせることとなり、結果として、日本国民の力を弱体化させる道を私たちに歩ませます。この道を

避けるためにも、憲法第九条、第一項、第二項をこのままの条文として残し、第三項以降に自衛隊を書き

加えることをしてはならないのです。

 

A-a.もう少し考えます。

 

憲法第九条、第一項、第二項は次のように定めます。

 

第一項 :「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力

による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。

 

第二項 :「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これ

を認めない」。

 

 

A-b.第一項は、語句を置き換えると、「国際紛争を解決する手段としては」、「国権の発動たる戦争

と、武力による威嚇又は武力の行使を、永久にこれを放棄する」と定めているのがよく分かります。つま

り、ここでは、国家間や多数の国家間で起きる紛争の解決を、戦争や威嚇を含む武力の行使によって行わ

ないと宣(の)べます。しかし、この第一項は、主権国家を形成する日本国民が、一人の人間が自分や家

族を護るために自衛権(防御権)や正当防衛権を持つように、国民国家としての自衛権や防御権を自然権

として持つことを、認めています。これに対し、「何処(どこ)に認めているのですか?」と質問されれ

ば、「否定しないことは認めていることです、また、自然権は天賦(てんぷ)のものです」とお答え致し

ます。

 

A-c.悩ましいのは第二項です。第二項は、「国際紛争を解決する手段として、国権の発動たる戦争と、

武力による威嚇又は武力の行使を、永久にこれを放棄する」(第一項の)目的を達成するために、「陸海

空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と宣べます。自衛隊は陸海空

軍に該当する軍隊です。「自衛隊は、そもそも日本国民が、日本国憲法に従い、交戦権を認めず、国家間

の紛争の解決の手段として、戦争と武力の行使を永久に放棄した上で、自らの正当な自衛権によって組織

している軍隊相当の組織であるが、それ故に軍隊ではなく、自衛隊である」と言うのは、詭弁です。

 

A-d.また、第二項が、「国の交戦権は、これを認めない」と書くところには、矛盾を含んでいます。

国民国家の国民は、国民の独立、安寧で幸福な生活、その社会と文化・文明の持続する発展を護持するた

めに、独立権、自衛権、防御権、交戦権を持ちます。これは、天賦の自然権です。これを考えるには、第

二次世界大戦の時のフランスを考えればよく分かります。フランスでは、ドゴール氏が「自由フランス」

を、ナチス占領下で組織しました。古くはアメリカの独立戦争もそうです。

 

A-e.現在の自衛隊もこの第二項に従います。日本国民に憲法が交戦権を認めていません。自衛隊も交

戦権を持ちません。それ故、日本の領土に野心を持つ国にとって、この第二項がある限り、日本は交戦権

を持たない安全な国であり続けることになります。これは、現在でも彼らがその態度で示しています。

 

B.私案を纏(まと)めます。

 

B-a.憲法第九条は、第一項、第二項を削除し、(許容できる限界として、第一項を残し、第二項を削

除し)、自衛隊の名称を国民軍として、条文を改めることが、今後も、国際社会において世界の人々から、

日本国民が名誉ある地位にあると信任を頂く上で、選ぶべき道だろうと考えています。そして、これがで

きないのなら、現行憲法の第九条は改めない方が良いと考えています。

 

B-b.本ブログの2018年9月16日の記事「憲法改正を考える」で、九条の改正を考えています。

目を通して頂ければ幸甚に存じます。ここでは「国防軍」と書いていますが、「国民軍」と御読みかえ

ください。

 

上記: 「憲法改正を考える」(2018年9月16日の本ブログ記事) 

 

 

                                                                  冬の木立 

 

 
 
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