今日は、闕史八代と言われるそれぞれの天皇のお名前について考えます。
A.八代の天皇の御名(みな)の比定
α.比定に移る前に、先週書きました天照大御神(あまてらすおおみかみ)と素戔烏尊(すさのおのみこと)の誓約ついて、もう少し書いておきます。
a.この誓約は、今に至る、日本の国家社会の骨格を定めています。
b.誓約は、次の一点(c)が証されることによって成立しました。
c.それは、素戔烏尊が、天照大御神の治められる御国(みくに)=高天原(たかまがはら)に対して、御国を奪おうとされるなどの邪心はなく、天照大御神と御国に対して誠の清明な心を持っていらっしゃる
ことの証明です。
d.この証明は、素戔烏尊が「各誓(うけ)ひて子生まむ」と臨まれた結果で示されました。
e.天照大御神が、素戔烏の剣を噛み砕かれて吹き付けられた狭霧(さぎり)からお生まれになったのは姫三神 です。(多紀理毘賣命、市寸島比賣命、多岐
都比賣命)。
f.素戔烏尊が、天照大御神の身に着けていらっしゃった勾玉(まがたま)の珠(たま)を噛み砕いて吹き付けられた狭霧の中にお生まれになったのが男神のみの五柱(後記)です。
g.この事実は、天照大御神と御国に対して、素戔烏尊の御心が誠の清明なものであるが故に、その御心が現れたものと考えられました。
h.この結果、天照大御 神(太陽=日輪=日の神=その人格上の象徴である天照大御神)は男神五柱を御自分の御子(日の御子)とされます。
i.これは、天照大御神の御国(太陽=日輪=日の国)の王は太陽=日輪=日の御子が努められることを意味します。
j.そして、ここに、太陽=日輪=日の国=日の本の国=日本国の王は、太陽=日輪=日の御子がその地位につき、尊の子孫はその事実に対して潔白な誠と忠誠を示されるという誓約が成立しました。
k.日本人は、この誓約を現代に至っても引き継ぎ、普段の生活では意識しませんが、潜在意識の中に深く刻んで持っています。
β.誓約でお生まれになった五人の御子
a.正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)⇒現代の天皇家の祖
b.天之菩日能命(あめのほひのみこと)
c.天津日子根命(あまつひこねのみこと)
d.活津日子根命(いくつひこねのみこと)
e.熊野久須毘命(くまのくすびのみこと)
γ.闕史八代の天皇のお名前と史書に残る実在の人物への比定(⇒で示します)
a,第二代綏靖天皇(すいぜいてんのう)⇒天之菩日能命
b.第三代安寧天皇(あんねいてんのう)⇒天之菩日能命の御子、建比良鳥命(たけひらとりのみこと)
c.第四代懿徳天皇(いとくてんのう) ⇒建比良鳥命の御子、大倭日子鉏友命(おおやまとひこすきとものみこと)
d.第五代考昭天皇(こうしょうてんのう)⇒天津日子根命
e.第六代考安天皇(こうあんてんのう)⇒天津日子根命の御子、大倭帯日子国押人命(おおやまとたらしひこくにおしひとのみこと)
f.第七代考霊天皇(こうれいてんのう)⇒大倭帯日子国押人命の御子、大倭根子日子賦斗邇命(おおやまとねこひこふとにのみこと)
g.第八代孝元天皇(こうげんてんのう)⇒正勝吾勝勝速日天忍穂耳命の第一子、饒速日命(にぎはやひのみこと)
h. 第九代開化天皇(かいかてんのう)⇒饒速日命の御子、可美真手命(うましまでのみこと)
δ.活津日子根命は国を持たれなかった御方だと思われます。熊野久須毘命は、『日本書紀』が記す、素戔烏尊の御子で、共に朝鮮半島に天下られ、後に熊野に入られた五十猛神(いたけるのかみ)だと考えられます。(注:『日本書紀』第四書に残るこの記事に関連して、岩波文庫(1994年)の補注では五十猛神は、その後遷座(せんざ)され、伊太礽曾(いたきそ)神社となったことを書いています。この神社は紀ノ國一宮として今もあります)。
η.前回、天照大御神をダンの人として明確に書きませんでしたが、『古事記』に、素戔烏尊御自身が、「自分は天照大御神の同母弟(いろせ)である」と述べられている記述があります。天照大御神はダンの人です。追記させて頂きます。
B.結語
a.八代の天皇の御名は、大和朝廷が確立する初期において、天照大御神の御子たちが東に進まれて建てられた国があり、それぞれの国と王を大和の国と王と認め、天皇の称号を冠したものである。
C.本論を離れて
a.本ブログが語って来た日本人の歴史は、今までの史家が語って来なかったことばかりです。世界の人に自国の歴史を誇りを持って語ることができる。そういう歴史書のスタンダードとなり得るような歴史を、しかも正しく語る。それが、本ブログの望みとするところです。
b.御批判をお待ち致します。
D.お知らせ
a、“美しい日本を作る会”の寄付口座を作りました。
b.基金を作りたいと考えています。基金とは、ここで例として挙げさせていただくのは非常に恐縮なのですが、2010年9月の尖閣諸島の領海内で起きた日本の巡視船へ中国の漁船(工作船)が体当たりしたその時の様子のビデオを、ユーチューブで公開された一色正春氏がいらっしゃいます。氏は起訴はされませんでしたが、海上保安官の職を離れられました。もし、“美しい日本を作る会”の会員から氏のような人が出たら、会はその人の生活と御家族の生活を保障できるものでなければならない。そういった基盤を持つ基金という意味です。
c.“寄付口座”を次に掲げさせていただきます。
https://www.colincan.info/contribution.html
d.寄付をお願い申し上げます。
了