日々楼(にちにちろう)

古今東西・森羅万象の幾何(いくばく)かを、苫屋の住人が勝手御免で綴ろうとする思考の粉骨砕身記です。

ビットコイン考

2018年02月12日 | 日記

ビットコイン考

 

A.プロローグ

 

1.もう随分と以前の話になりますが、千葉県の産業振興課とか産業支援技術研究所とかの肝い

りで分野別の先端技術研究会というのがあり、その席の一つに、多分、インターネット分科会だ

ったと思うのですが、若い男性が見え、貨幣の話をプレゼンされたことがありました。私は、そ

の貨幣を、ひとつのコミュニティ、或いは、他のコミュニティというものがあって、それらのコ

ミュニティを構成する人々の間で、個々の人々が行い、それ故個々の人々に帰属する種々諸々の

労働の量(働くことによって得ることのできる報酬の量)、或いは、生産することによって生ま

れる価値(自動車、パソコン、食器、アクセサリー、機械、ロボット、電車、飛行機、船、ロケ

ット、宇宙船、その他もろもろの有益品のすべての物)の価値量を示すことのできる、従来の貨

幣に代わるコミュニティ貨幣として、そのような貨幣になり得るのではないかと思い、その感想

をその人に送った記憶があります。そして、当時はまだ若かったこの男性が、ビットコインを開

発されたようです。

 

2.次に、つい先ごろ、仮想通貨の交換を行う「コインチェック」という取引所がハッキングさ

れ、580億円相当の「NEM」という仮想通貨が盗まれたという報道がありました。そして、

この取引所の責任者たちは、「NEM」を買った人たちに返金すると言っていると言います。し

かし、その返金レートは、盗難に遭いレートの下がった480億円(2月9日の顧客からの支払

い要求は約300億円)であると言います。これはおかしな話です。「出資金額」-「返金金額」

の差額が「コインチェック」の人たちの手元に残る勘定となります。お金を出して「NEM」に

交換された出資者たちの交換時の金額はいくらだったのでしょうか?「コインチェック」の責任

者たちは、この交換時の金額を返金する意志を示し、その努力をしなければならないでしょう。

 

B.本題

 

1.プロローグとして二つの話を書き、少しビットコインについて考えてみます。現在、ビット

コインのコミュニティは、インターネット上で円やドルといった通貨をビットコインに交換した

参加者で形成されています。この参加者の中には、自分は投機目的でビットコインを購入したの

であり、コミュニティに参加しているつもりはないと仰(おっしゃ)る人たちもたくさんいらっ

しゃるでしょう。しかし、そういう人々を含めてのコミュニティなのです。

 

2.次に、ビットコインはその価値を何によって担保しているのでしょうか?仮想通貨は、ビッ

トコインを含め、私のような部外者には、そのシステムは、誰が発行しているのか、交換所では

誰がどのように、交換のためのビットコインを集めているのか、だれでも交換所を運営できるの

か、発行所は交換所も兼ねているのか、その実態はほとんど分かりません。しかし、かじり読ん

で少し分かることは、ネットワーク上で行われるビットコインのすべての取引は、同じくネット

ワーク上に存在する複数の有志企業のコンピュータ上に同じように書き込まれる「台帳」の記録

と、そのすべての複数の「台帳」が同じ内容であることによって、その取引を証明し、このネッ

トワーク、即ち、すべての取引を瑕疵(かし)なく追跡できるシステム(ブロックチェーン)の

存在をもって、自己の帳票の正しさを主張しています。そして、これは推測なのですが、複数の

個々のコンピュータのうち、この「台帳」の計算を最初に確立したコンピュータが計算に要した

ビット数をそのコンピュータに与えるコインの数(単位はビット)としているようです(これを

称してマイニングと言います)。ちなみに、現在ビットコインの取引が使用する電力は、48テ

ラワット時/年(アメリカの440万戸の住宅の消費電力に相当)だそうです(2月9日 ニュ

ーヨーク、ロイター)。ここでは、帳票の正しさは語られても、まだ価値は与えられていません。

 

3.ビットコインへ価値を与えているのは、現金をビットコインに交換してこのネットワークへ

参加している人たち(法人も含みます)です。しかし、残念ながらビットコインは、現在、投機

の対象とみられており、安定した貨幣の地位を獲得していません。それに、ネット上の仮想の貨

幣です。このままではオランダのチューリップ投機と同じように終わってしまうのかもしれませ

ん。どうすれば良いのでしょう?

 

4.私は、世界中の貨幣は足りないと思っている一人です。と言ったら、世界に流通するお金は

ジャブジャブではないかと言って笑われてしまうかも知れません。しかし、それは先進国や主要

国においての話であって、貧しい後進国では足りていないのが実情です。最初は、ビットという

単位名を持つ、円やドルと同じような現実の通貨を、アフリカや中南米、アジアや中東の後進地

域の国で発行してもらったらどうだろうと思いました。但し、北朝鮮のような軍事国家であり、

独裁者国家である国は対象となりません。とは言っても、北朝鮮もマイニングをやっていると言

うWEB記事もありました。しかしともあれ、このような軍事独裁国家を除く地域において、民

主的な自由主義国家としての発展を目指す国に対し、ビットコインの投機的要素で集めたお金を

回して、人々を豊かにし、社会の発展のために使ってもらえば、ビットコインの投機的要素はな

くなり、公共的投資の要素が強くなるだろう、そして、これを司(つかさど)る機関も必要とな

る、こうしてビットコインの第2期を準備し、入って行けば良いだろうと思ったのです。

 

C.仮想通貨に対する社会の危惧

 

1.今、仮想通貨に対する、エコノミスト、通貨政策者からの発言が増えています。中国はすで

に取引を禁止しています。韓国も禁止を検討しているといいます。ドイツとフランスの財務相と

中銀総裁は、次回のG20で仮想通貨の政策と金融への影響を協議するべきだと表明しました

(ベルリン、2月9日、ロイター)。

 

2.確かに、NHKのNEWS WEB(2018年2月11日)が載せているビットコインの

取引価格(取引所:ビットフライヤー)を見ても、昨年(2017年)の当初の10万円前後/

1ビットコインの価格が、12月には200万円を越え、1月には125万円前後と乱高下して

います。CryptoCompare というサイトでは、今日(日本時間・2月12日・16:10頃)の

価格が、926846,06円です。

 

3.株式の場合は、企業の経済活動がその価値を担保しています。仮想通貨の場合は、それがあ

りません。日本の場合に限ってみても、「コインチェック」の580億円相当の「NEM」盗難

から推測できることは、日本全体の仮想通貨販売・取引所は巨額の金額をプールしているだろう

ということです。

 

D.一つの試考的摸索

 

ここではビットコインについて述べます。

 

1.現在の仮想通貨・ビットコインは、もっぱら投機の対象であり、投機機会を求める人々の売

買でその価格が決まりますが、現実の経済活動によってその価値は担保されていません。

 

2.仮想通貨といえども実体経済の発展に寄与すべきものです。この寄与すべき対象は世界の後

進地域と考えます。但し、軍事国家、独裁国家は除外します。ビットコインはコニュニティ通貨

ですが、ある一国においてその国の一地方のみで流通する通貨としては、あるべきではありませ

ん。これは、経済の混乱と騒乱を招くからです。それ故、世界の後進地域において、民主々義国

家であり、自由主義国家である国家としての発展を目指す国に対し寄与すべきものと考えます。

この時、これらの国において、先に書いたような、「ビット」を単位とする通貨の発行を意志せ

られる国の存在が100%皆無であるとも言い切れるものではありませんが、ここは国家への関

与を回避し、ひとまずビットコインネットワークにおいて協会(仮称)を設立し、この協会の活

動を通して、先に記した有志の国への投資を行い、その国の豊かな社会と人々の発展のために寄

与するのです。

 

3.これにより、ビットコインは、ビットコインネットワークコミュニティの活動機関である協

会の活動と協会が行う資金提供によって実体経済と繋がりを持つ価値を持ちます。

 

4.また、ネットワーク上でビットコインとつながりを持つ人々は、このビジョンの実現に努め、

ビジョンを実現する国の発展に寄与しなければなりません。

 

ご注意

ここに書いている見解は、本ブログ作者の個人的見解です。

 

 

                                                      夕暮れとシルエット 2

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