以前にも記事に書きましたが(国連の不正)、その続報です。ヴォルカー委員長の調査していた国連不正事件について、読売新聞(2月5日付朝刊)国際面には、図入りで記事が出ていました。
以下に一部抜粋します。
(ニューヨーク=大塚隆一)
イラクに対する国連の人道援助事業「石油・食糧交換プログラム」をめぐる疑惑は、独立調査委員会が3日発表した中間報告により、ブロスト・ガリ前事務総長ら歴代のトップクラスまで関与していたことがわかった。独自の調査を進める米議会などの国連不信は一段と強まりそうだ。
(中略)
報告によると、事務次長で事業責任者だったセバン氏は、同社(筆者注:「アフリカ中東石油」のこと)に石油販売権を与えるようフセイン政権に何度も働きかけた。同社はパナマで登記され、スイスやモナコに事務所を持つ無名の企業。誰かの口添えがない限り、政権に食い込むのは「極めて考えにくい」(中間報告)という。セバン氏はそんな会社をなぜ売り込んだのか。本当に見返りはなかったのか。報告書は判断を保留した。
●おばの贈り物
セバン氏には別の疑惑もある。同氏は1999年から2003年にかけ、出身地キプロスのおばから計16万ドルを贈られた。しかし、このおばはセバン氏が買った小さなアパートで質素に暮らしていた。多額の現金を持っていたとは思えないという。だとすれば、この16万ドルの出所はどこか。調査は継続調査としている。
●トップのコネ
アナン事務総長は報告書発表後、ただちにセバン氏を処分する方針を表明。刑事事件への発展も見すえ、疑惑にからむ職員の不逮捕特権を停止することも明らかにした。
(中略)
例えば、セバン氏が便宜を図った「アフリカ中東石油」。その経営者のエジプト人はガリ前事務総長のいとこだった。さらにガリ氏は事業資金を管理する銀行の選定で、国連の基準を満たさないパリ国立銀行を指名した。
●息子の疑惑
アナン事務総長の足元にも火の手は迫っている。長男のコジョ氏が食糧や医薬品の輸入検査を担当する国連指名企業から計12万5千ドルの顧問料を得ていたことが発覚。60人以上を使って調査を進める独立調査委員会が次に出す報告の最大の焦点になっているからだ。「国連創設以来最大のスキャンダル」とされる今回の疑惑。その波紋がどこまで広がるのか、収束のシナリオはまだ見えてこない。
<国連の構造的欠陥指摘>
独立調査委員会は今回の疑惑について、セバン氏などの一部幹部の行動を批判するだけでなく、国連全体に広がる規則の軽視や監査体制の弱さ、透明性の欠如などの構造的問題も指摘している。問題の「石油・食糧交換プログラム」は日本円にして約7兆円という大事業だったのに、監査体制はお粗末で、予算もスタッフも全く足りなかったという。調査を指揮するボルカー委員長(前米連邦準備制度理事会議長)は「国際公務員は最も高いレベルの責任感と誠実さが必要だ」と述べ、国連のスタッフに根本的な意識改革を求めている。
長くなりましたが、このように詳しく書かれていました。ヴォルカー委員長の談話まで載せていますが、これは日本でも同じような状況を何度も目にしたようで、「国家公務員は・・・」と読み替えると、ぴたりと当てはまります。日本の官僚諸氏にも「根本的な意識改革」を求めたいですね。
国連の不正が、このようなトップ級にまで及んでいるということになると、世界第2位の分担金拠出国である日本としては、安保理のこともそうですが、真の国連改革を強く要求していかねばならないでしょう。米国以外のP5メンバー国の合計額よりも多く出しているんですから、それだけの発言力は行使してもよいと思います。ただ、どのような形でこれを実行していくかは、よく戦術を練る必要がありますね。
次回報告についても、注視してみましょう。
以下に一部抜粋します。
(ニューヨーク=大塚隆一)
イラクに対する国連の人道援助事業「石油・食糧交換プログラム」をめぐる疑惑は、独立調査委員会が3日発表した中間報告により、ブロスト・ガリ前事務総長ら歴代のトップクラスまで関与していたことがわかった。独自の調査を進める米議会などの国連不信は一段と強まりそうだ。
(中略)
報告によると、事務次長で事業責任者だったセバン氏は、同社(筆者注:「アフリカ中東石油」のこと)に石油販売権を与えるようフセイン政権に何度も働きかけた。同社はパナマで登記され、スイスやモナコに事務所を持つ無名の企業。誰かの口添えがない限り、政権に食い込むのは「極めて考えにくい」(中間報告)という。セバン氏はそんな会社をなぜ売り込んだのか。本当に見返りはなかったのか。報告書は判断を保留した。
●おばの贈り物
セバン氏には別の疑惑もある。同氏は1999年から2003年にかけ、出身地キプロスのおばから計16万ドルを贈られた。しかし、このおばはセバン氏が買った小さなアパートで質素に暮らしていた。多額の現金を持っていたとは思えないという。だとすれば、この16万ドルの出所はどこか。調査は継続調査としている。
●トップのコネ
アナン事務総長は報告書発表後、ただちにセバン氏を処分する方針を表明。刑事事件への発展も見すえ、疑惑にからむ職員の不逮捕特権を停止することも明らかにした。
(中略)
例えば、セバン氏が便宜を図った「アフリカ中東石油」。その経営者のエジプト人はガリ前事務総長のいとこだった。さらにガリ氏は事業資金を管理する銀行の選定で、国連の基準を満たさないパリ国立銀行を指名した。
●息子の疑惑
アナン事務総長の足元にも火の手は迫っている。長男のコジョ氏が食糧や医薬品の輸入検査を担当する国連指名企業から計12万5千ドルの顧問料を得ていたことが発覚。60人以上を使って調査を進める独立調査委員会が次に出す報告の最大の焦点になっているからだ。「国連創設以来最大のスキャンダル」とされる今回の疑惑。その波紋がどこまで広がるのか、収束のシナリオはまだ見えてこない。
<国連の構造的欠陥指摘>
独立調査委員会は今回の疑惑について、セバン氏などの一部幹部の行動を批判するだけでなく、国連全体に広がる規則の軽視や監査体制の弱さ、透明性の欠如などの構造的問題も指摘している。問題の「石油・食糧交換プログラム」は日本円にして約7兆円という大事業だったのに、監査体制はお粗末で、予算もスタッフも全く足りなかったという。調査を指揮するボルカー委員長(前米連邦準備制度理事会議長)は「国際公務員は最も高いレベルの責任感と誠実さが必要だ」と述べ、国連のスタッフに根本的な意識改革を求めている。
長くなりましたが、このように詳しく書かれていました。ヴォルカー委員長の談話まで載せていますが、これは日本でも同じような状況を何度も目にしたようで、「国家公務員は・・・」と読み替えると、ぴたりと当てはまります。日本の官僚諸氏にも「根本的な意識改革」を求めたいですね。
国連の不正が、このようなトップ級にまで及んでいるということになると、世界第2位の分担金拠出国である日本としては、安保理のこともそうですが、真の国連改革を強く要求していかねばならないでしょう。米国以外のP5メンバー国の合計額よりも多く出しているんですから、それだけの発言力は行使してもよいと思います。ただ、どのような形でこれを実行していくかは、よく戦術を練る必要がありますね。
次回報告についても、注視してみましょう。