いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

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宮里はやっぱりスター!

2005年02月14日 21時52分23秒 | 経済関連
日本の女子プロゴルファーが、第一回W杯で見事優勝だったそうです。本当に凄い!



スター性のある人はやっぱり違いますね。勝負強いです。

昨年の賞金ランキング争いは、最終戦までもつれて、「期待」が盛り上がりました。通常はその前に決まってしまっていると、女王争いはなく、視聴率も悪いでしょ。でも、藍ちゃんは違いましたからね。不動に負けたとはいえ、2位ですから凄いと思いました。精神力が本当に強いんでしょうね。こんなに注目されて結果を出すのは、よっぽど強くないと・・・感心ばかりしていました。



それで、今回は何と国別対抗戦です。北田とペアで、互いを励ましあいながら乗り切り、見事優勝ですからね。北田曰く「私のせいで優勝できなかったら、日本に帰れない」と、相当のプレッシャーを感じていたようですね。前日まで北田が手堅くプレーして、宮里は結構思いきって攻めることができたんでしょう。でも、最後は北田のメンタリティの弱さが、プレーに出てしまい、日本大ピンチ・・・となりそうだったのを、藍ちゃんが救ったのかもしれない。宮里の精神的強さが、北田を随分と勇気づけたんだろう。


優勝後のインタビューを昨夜見ていたが、北田が泣きすぎてうまく話せず、藍ちゃんがきちんと答えていた。北田は「本当に藍ちゃんのお陰。助けてもらって。」とコメントしているのを見て、丁度いいペアだったんだな、と思いました。きっと、道中も、ホテルの部屋でも、割と楽しく過せていたんだろうなあ・・・と、関係ないんですが、ふとそんなことを思いました。

それにしても、スターは違う。マジで。


続・言葉の創造と理解

2005年02月14日 18時32分02秒 | 社会全般
ご質問がありましたので、少し追加したいと思います。

前の記事中に、新語については「定義付けや注釈は、使用する時にあった方が読者には親切であると言えるし、共通理解を得るのを助けるという意味はあるでしょう。」と書いています。ですから、初めて用いた言葉として、理解できなければ質問することが必ずしも不適切とは思いません。しかし、文脈中、或いは過去の文章をよく読めば既に書かれていることであり、著者の意図が判れば特別に質問することでもないように思います。


また例を出して申し訳ありませんが、「カスケード(cascade)」という言葉がありますね。これを知っておられるならば、近年用いられる「サイバー・カスケード」についても、思い至るところがあるのではないでしょうか。小倉氏も引用していたサンスティーン著の『インターネットは民主主義の敵か』で用いられる言葉です(小倉氏はこの本の中身をよく知っていたので、きっとあのような一連の記事を書いてしまったのでしょう。あくまで推測にすぎませんが)。彼はアメリカの憲法学者ですが、詳細はご自身で本をお読みになってみて下さい。「サイバー」は前の記事に書いてますから、省きますね。


この「カスケード」から「サイバー・カスケード」への言葉としての道筋を、私なりに考えてみました。「カスケード」の意味は「段々になっている滝」ですね。これに似た実験装置などで、主に化学の用語としても用いられるようになりました。その流れから、生化学に有名な「アラキドン酸カスケード」という言葉が登場しました(アイザック・アシモフは生化学者で、Ph.Dを持っていました、関係ないけど)。鎮痛剤のCMなどでも良く聞く、「プロスタグランディン」の生成などの反応が含まれます。この生成をブロックするのが「アスピリン」であることは有名ですね。

この反応過程は、段々の滝で水が次々と落ちていくさまが、似ていることから名付けられています。ある反応が次の反応を引き起こし、続いてまた次の反応がその次の反応へ・・・と反応のスタートから、最終的な生成物へと向かっていきます。このような反応形式は、血液凝固過程もよく似ています。スタートすると、途中でいくつもの反応を経ても、必ず行き着く先は「同じ」なのです。

こうして、「~~・カスケード」というのは、こうした反応形態(これと似た現象も含めて)を指して用いられるようになったと思います(あるいは、一般的に cascade effect として知られているかもしれません。英語苦手なので正確にはわからないです)。これが、ネット上での現象にも同様の過程が見てとれるので、サンスティーンは「サイバー・カスケード」と名付けたのではないでしょうか。確かに、サンスティーンの書いている内容とその現象が、ブログが「炎上」や「燃えてる」という現象に、よく似ているように思います。


正確には論評できかねますが、少なくとも「カスケード」という言葉を知っており、「サイバー・カスケード」という言葉が用いられる文脈の中から、著者の意図するところについて考えてみると、直接著者に「サイバー・カスケード」の定義付けを尋ねなくとも、自分なりの解釈は出てくるかもしれません。勿論それが、本当に著者の意図するところと一致しており、共通認識が成立しているか否かは、確かめようがないのですが。この時に、著者は必ずしも読者との共通認識について、確認する作業は義務として求められるとも思えません。また、途中から読み始めた読者について、その定義付けの根拠や解説を再び行う義務もないと思います。

単にその言葉を受け入れられない読者や異なる認識を持つ人は、別な解釈のアプローチを試みるか、その言葉を用いることなくいつか忘れるのが普通の反応ではないでしょうか。

言葉の創造と理解

2005年02月14日 13時40分17秒 | 社会全般
言葉は今までに数多くの新語が作られ、一般に認知され定着したものはその後も使われ続ける。身近な例では、漱石はたくさんの新語を生み出したはずだ。小説家は、初めから創造された言葉を用いてもよい、という読者の認識があるから、特別な注釈は必要ないのであろう。文献中に見られる言い回しや新語は、多くはその文脈中から理解されてきたものが多いと予想するのである。


また、学術的文献では、新語を登場させる時には、通常定義付けられて用いられることが多いと思う。その用語を最初に用い、その分野での認知や評価が得られれば、その後も持続的に使用されることが多いであろう。一般にも普及した用語の例として、「ターミナル・ケア」がそうであろう。元来医学的用語として登場し、日本でもガン治療の知識の集積が進んだころから使われ始めた。90年代ころからは、専門分野以外の人々によっても理解され使用されるようになってきた。今では、文学作品やテレビドラマなどでも普通に使われていますね。


『terminal 』はご存知のように、『term』の派生語である。「テクニカル・ターム」のtermですね。専門用語として、新語が使用される時に、定義付けが必要なものも当然あります。一般には理解が困難な場合です。また、小説等の文脈から特別な説明をしなくとも、十分理解できるものも当然あります。定義付けや注釈は、使用する時にあった方が読者には親切であると言えるし、共通理解を得るのを助けるという意味はあるでしょう。


よく用いられる和製英語に、「ハイテク」があります。これはよく知られているように、『high-technology』が語源ですが、どのような経緯で作られたかは、私も正確には知りません。かすかな記憶では、80年代ころに行政文書で使用され、その後そういった産業育成に政策的力点を置いていく、というようなことがスタートであったように思いますが、かなりあやふやなので、定かではありません。

いずれにしても、この用語は社会に広く認知され、定着を果たしたばかりか、その後色々な言葉をどんどん派生させていきました。「ハイテク産業」「ハイテク犯罪」「ハイテク機器」「ハイテク商品」等々たくさんあり、おまけに「ローテク」という反義語まで登場しました。これは「ハイテク」の意味を広義に理解していると、この用語の意味するところが特別な解釈がついていなくとも理解できるという言葉ですね。最初に使われた経緯はわかりませんが、他に似た例として「ファースト(ファスト)フード」「スローフード」という対比がありますね。


また、今となっては日常的に用いられる「サイバー」という言葉があります。これを用いた言葉は次々と登場して、ちょっと氾濫気味のような感じがします。「サイバーテロ」「サイバー攻撃」「サイバー法」「サイバーコイン」「サイバーショップ」などが使われています。

「サイバー」は元来『cyberspace』という言葉で使用されていました。これは、私が学生時代に読んだ、SF小説に由来しています(文庫本を買いました。今も持ってる!)。当時(80年代後半頃)、ウィリアム・ギブスンが「ニューロマンサー(Noeuromanser)」という小説の中で使用して流行し、その分野のSF小説が『cyberpunk』(サイバーパンク)というジャンルで呼ばれました(長きに渡るSF界の低迷を、このムーブメントにより脱出できたと記憶しています)。この頃から「サイバー~」という響きが世の中に定着し始め、ITの普及とともに現在のような理解が得られるようになったのです。これには、小説は勿論、アニメやゲームの影響も手伝って、一般に広まっていったと思っています。

ギブスンの立場で考えると、『cyberspace』という言葉を生み出す由来があったのではないか、とも思うのですね。そういえば、かつてSF作家、ヒューゴー・ガーンズバック(ヒューゴー賞の由来ですね)が、小説の中で未来を描写して、様々な言葉、文明の利器、発明などを生み出しましたね。

恐らく(本当に単なる推測に過ぎませんが)、「サイボーグ」が「サイバースペース」の原点であったと思うのです。サイボーグ(cyborg)は元々『cybernetic organism』という医学用語からの造語です。Wikipedia によればクラインズとクラインによって1960年に提唱されています。『cybernetic』は、人工頭脳研究から生じた造語で、Norbert Wiener によると言われ、ギリシャ語の操舵手(Kybernetes)がその語源と考えられています。これらの系譜から、接頭辞としての『cyber-』という言葉が単独で用いられるようになり、一般に認知・理解が得られたものについては、その後定着して「サイバー攻撃」などと用いられているのです。


ギブスンは現在のような言葉が生まれるとは想像もしていなかったし、また小説の中では読者に向けて特別な説明や定義付けはしていませんでした。このような過程を辿る「言葉」というのはとても不思議ですが、一般には使われる文脈の中で概ね理解が進んでいき、それが広義の解釈や新たな側面が認識されると、別な派生語も生まれるのです。最初に誰が使い始めるかは、それ程重要な問題ではないと思う。結局のところ、その他大勢の人が認知して使用するかどうかでしかなく、必要性があまり感じられない言葉は、自然と使用される頻度が少なく、廃れていくのです。


ある文章を読んで、「『サイバー攻撃』って定義は何?」と、書いた人をいくらせっついても意味がなく、その文脈から読み取るのが普通なのですね。「『サイバーパンク』は用語として存在したけど、『サイバーコイン』なんて聞いたことない(著者注:実は私も知りませんでした。こんなのが今はあるんですね)。勝手に作るなよ。」というのも、同様に意味がないことに気付くでしょう。言葉の派生とは、そういう過程を辿っていくものがある、ということですね。