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庶民を欺く為替報道(追加後)

2005年11月18日 22時11分02秒 | 社会全般
昨夜チャンネルをWBSのCM中にチラッと変えて観たとき、偶然筑紫さんのニュース23で為替変動についての報道があった。この話題は記事にちょっと書きましたが、小泉総理の量的緩和政策への発言を契機に海外市場で円安がちょっと進み、その後日本市場でも円安となったのですが、この責任を「小泉総理の発言のせいだ」、という恣意的なニュースが流されていました。しかも、円安による影響を解説したのは、元財務官のミスター円こと榊原英資氏であった。確かにコメントをとる専門家としては、一応名前が通っているし、問題とも言えないが、表現は視聴者への「誤解」を敢えて意図したかのような構成だった。これは問題なのではないか?と思った。だって、一般国民は「為替」に対する特段の理解や関心が高い訳でもないし、ましてや「小泉発言のせい」と言わんばかりの報道は問題でしょ?


海外市場での円安反応は確かに小泉発言を受けてのものだったと思うけれども、日本市場に戻っての影響はそれとは別だろ?報道で見る限り、小泉発言の影響よりもむしろバーナンキ氏が受けた指名公聴会の発言(グリーンスパン路線継承、インフレ目標はFRB内での検討必要)の影響で、日米金利差に着目されたのが材料だったし、ユーロ円取引の影響も受けての円安だったので、小泉発言がそれ程の大きなインパクトを市場に与えたのとは全く違うだろう。だが、ニュースでの取り上げ方としては、「小泉発言」を持ってきて、次に円安となった事実を並べ、最後に榊原氏の「口先介入」(笑、本当は解説でした。それは後ほど)と旅行業界の「円安によるデメリット」を一連の流れとして、いかにも関連性の高い事実として報道していた。これはオカシイだろ?


因果関係を明確に示せないものを、いかにも原因―結果という関係性を持つかの如く流せば、普通は「小泉総理の発言がキッカケとなって円安が進んでしまい、そのせいで海外旅行先での出費が増えるし、旅行業界は客がへるかもしれないし、輸入品は値段が高くなるし、灯油・ガソリン等の石油製品も値上がりして、家計を直撃する」という解釈をするだろう。これはある種の誘導だろ?


しかも、榊原氏は「(小泉総理の)発言によって、1円くらいポーンと円安になっちゃって。これは、(輸出産業などの)いい部分もあるんですよ、そりゃね。ですがね、一気に円安になって困るという人も出てくる。それに輸入品は高くなりますし、(もっと困るのは)逆の方向に動いた時に、ドーンとハジケちゃう。円高という方向へね、105円くらいにドカーンとなった時に、困るわけです」というような解説をしていた(正確には覚えていませんが、概ねこのような要旨でした)。その後の映像では更に口だけ動いていたが(もっと激しく、長い解説をしていたのでしょう、笑)、ブチッと切られてしまい映像は別なVTRに切り替わってしまいましたが。この方は、何を言いたかったのでしょう?一般庶民に誤解をさせることを意図したかのような、コメントなのではありませんか?


まず、小泉総理の発言も材料視されて海外市場で数年ぶりに119円目前に迫っただけだろ?発言そのものよりも、米国債の10年債も30年債も大幅金利上昇だったことが大きいだろ?10年債は4.6%超までいっただろ?調べてないから正確に分らんけど。日本市場での影響の大きなものは、ユーロにつられて円売りだったのだろ?タダの「つれ安」(と表現するのが適当なのか不明ですが)なんじゃないか?ドルに対してユーロ安になれば、ドル円では円売りドル買いとなってしまうんじゃないのか?報道で見る限り、そういう影響が大きかったんだろうと思うけど。それに、輸入品が高くなるデメリットよりも、日本企業の輸出の方が影響が大きいだろ?基幹産業の多くは輸出産業だろが。日本は輸出超過だろ?


円安になったって、円高になったって、そりゃどっちに動いても喜ぶ人もいれば困る人もいるのは当たり前。決まってるだろ、そんなこと。小泉発言後に限らず、変動があれば常に困ることもあれば、いいこともあるだろ。ちょこっと円安が進んだくらいで、何をそんなに騒ぐ必要があるんだ?むしろ有難いじゃないか。今までにも、景気の腰折れを円高が演出した時が何度もあっただろ?あれほど、円高に苦しめられてきたんじゃなかったのか?オイ。逆に、「円安にしてくれて本当に有難う」だろ?


それにバーナンキ発言後は、日米金利差拡大の思惑からドル買いだっただろ?円安からドカーンと円高になる時は、どんな時だって困ることが多かっただろ?そんなこと、小泉発言で円安となったことと関係ないだろ?よくもまあ、こんな適当なことを言いますね。105円になったのは、昨年末から今年前半は概ね105円前後だっただろ。既に105円程度になってただろが。そん時に、そんな「ドーンとハジケた」か?つい最近の出来事じゃねーか。変な煽りは止めるべき。庶民を脅かしてそんなに楽しいのか?元大蔵官僚というが、こんなレベルの解説しか、できんのかね?


ちょっと途中ですが、また後で。


一応参考として、以前書いた為替に関連する記事を挙げておきたいと思います。

中国の米企業買収意欲と為替のこと(追記あり)
「円高シンドローム」に初めて触れる
改革競争時代


上の記事にも書いたのですけれども、LTCM危機の時には半端な円高ではなかったでしょ?30円だよ、たった2日で(もっと昔は数時間で数十円も変動したらしい・・・よく知らんけど。誰かが書いていたように記憶している)。ミスター円ならば、当然そういう急騰も知っている訳で、小泉発言でちょっぴりの円安要因になったとて、経済全体の大勢には何ら影響がないでしょうが。「ドカーンと105円になる」という出来事があるとしても、それは小泉発言と何ら関係がないことでしょ?それをいかにも「小泉総理の発言で円安になったから、逆に円高に動けば落差が大きくなるんだ」というような誤解を視聴者に植えつけようとしているんじゃないのか?こじつけが過ぎるんじゃないのか?


原油価格が上がっているから、市販価格も高くなるに決まっており、これは小泉発言のせいでもないし、発言前に既に1ドル118円程度だったのだから、ガソリン価格等の上昇が小泉さんのせいではないだろ。なのに、VTR編集は灯油やガソリン価格の上昇で家計圧迫という悪影響心理、という誘導をしていた。こりゃ、マジでおいおい、だろ?よくもこんなVTRを作ったもんだね。こうして、一般庶民は過った認識を植えつけられていくんだね。


テレビって本当に便利だね。いかようにも事実というフリをしたり、因果関係のない事項を関連付けてたり出来るんだもの(笑)。ミスター円の解説も、今後絶対に信用しないことにする。針小棒大とはこのことだな。



熱闘!官業金融~第4R(追加版)

2005年11月17日 23時41分27秒 | 社会全般
政府系金融機関の統廃合について、3機関統合案が出てきたようです。これは少し前に記事(改革競争時代)に触れました。

NIKKEI NET:主要ニュース
(記事を以下に転載します)

政府の経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)が22日にまとめる政府系8金融機関の統廃合についての基本指針の原案が16日、明らかになった。国民生活金融公庫と中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫の3機関を統合し新組織を設立するのが柱で、日本政策投資銀行の民営化も盛り込む。ただ小泉首相は「できれば一つ」と指示しており、政府・与党でさらに調整が続くとみられる。

22日の諮問会議で討議する原案は民間議員の主張を中心に据える一方、統廃合に消極的な所管各省の意向をくんでいる。原案には政府系として残す機関として(1)国民・中小・農林を軸とする統合機関に集約(2)これに国際協力銀行の一部も残す2機関案(3)さらに政投銀の一部も存続させる3機関案――の3つを盛り込む。

このようなプランが検討されているということのようです。


その一方で、竹中氏の強い姿勢が記事に取り上げられていますね。諮問会議での財務省への批判が出されたということでしょう。平ちゃんにしては珍しくちょっと「熱くなった」感じではありますが、記事の表現はオーバーに書き過ぎなんではないのかな?(笑)

Yahoo!ニュース - 時事通信 - 総務相、財務相を集中攻撃=首相も加勢-14日の諮問会議


公営企業金融公庫の廃止について抵抗感を示していた麻生親分が総務大臣を外れて、すぐさま方向転換をしたのが新総務相の平ちゃんだった。なので、公営企業金融公庫は廃止とあいなった訳ですね。それはそれでよいのですが、平ちゃんとっては中小企業金融公庫総裁の発言だけを取り上げて「(一つでいいというのは)拝聴するべき意見」という表現のコメント(熱闘!官業金融~第1R)をした後で、他の閣僚達(当時の谷垣くんや中川経産相)から「特定の言葉だけを取り上げて結論付けるのは如何なものか」的な、要はヒアリング結果を正確に反映していない、ということをちょっと取り上げられたことがあって、それについて「面白くない」ということがあっただろう。


なので、財務省の(というか、谷垣くんの)抵抗について、「言いやすい立場(取りまとめ役の経済財政相ではなく、総務相なので)」から批判しただけなんだろうと思う。勿論中身はそう外れてもいないし、改革推進には「強い姿勢」で臨まなければならない、ということでもあるのですが、財務官僚の作文が非常に面白くなかった、ということはあるかもしれない。だから、谷垣くんの提出したペーパーについて、「表現が~云々」ということを指摘したのだろう。気持ちは判るけど、やや「前のめり」になりすぎだと思う。


ちょっと、慌てて一度載せます。今日が終わってしまうので・・・
後で追加しますね。ビール取りに行って来ます。笑


ユーザーサイドでの意見もありました。

NIKKEI NET:経済ニュース
(以下に転載します)

日本貿易会の佐々木幹夫会長(三菱商事会長)は17日の記者会見で政府系金融改革について「民間金融機関がすべて代替することは困難」と語り、国際協力銀行の機能存続を求めた。海外プロジェクトでは「協力銀の交渉力や長期大量の資金需要への対応、一元的な金融メニューの提供など役割は極めて大きい」と指摘した。

日本商工会議所の山口信夫会頭は17日の記者会見で「国民不在だ」と述べた。「我々は国民や利用者の声を代弁している」と強調したうえで「まず一つ(に統合)ありきから始めるのは良くない」と説明した。



こういった意見もあることは確かに事実なので、そういう部分にも目を配りながら政策としての完成度を高めることは政治にとっては必要だと思います。そういう配慮もしていくのも総務相の役割と思って、「堪えてつかあさい」(笑)。意見対立があることは仕方がないし、組織論としては、これからも検討が必要でしょう。けれども、議論をしていく為の基礎的な部分での共通認識を確認したり、政策によって起こりうるデメリット部分についても考慮していくことも必要なんですから。総務大臣として、ご自身でもおっしゃっておられたように、特殊会社・法人についての審査権限は総務大臣にあるのですから、その他の組織の「粛清」(失礼、笑)じゃなかった、整理・統合等の「大掃除」も今後必要なんですから、そちらで力を発揮して頂ければと思います。


ところで、諮問会議での資産・負債圧縮のWGのメンバーについて、少し。

メンバーは例によっていつもの本間先生、宮脇淳先生と、WBSでもお馴染みのフェルドマン氏が入っていました。それと珍しいメンバーとしては、河野龍太郎氏が入っておられました。


河野氏はBNPパリバ証券のチーフエコノミストで、何とあのクルーグマン教授の著書『通貨政策の経済学』の翻訳(共著)をされた方です。特に為替政策には一家言ある方?のようで、デフレ脱却として為替は1ドル180円程度にしたら?というような主張をされているようです。新古典派という自認(平ちゃんと近いの・・・?)のようですが、「デフレ脱却」が重要、ということを提言されているようです。インフレターゲットについても、理解があるようです(ガンバレ!笑)。段々行政サイドにも、インフレ賛成派が増えつつあるのかも。よい傾向ですね、皆さん。



国と地方の大断層4

2005年11月16日 17時33分47秒 | 社会全般
話があちこちに行ってしまいますが、ちょっと本日の重要なイベントである日米首脳会談について触れます。まずは両国の良好な協力関係が確認されたというところでしょう。その中で、いくつか気になったことを。


自衛隊の派遣延長は既定路線として示されたようです。これはちょっと問題ですね。派遣前の時にもそうでしたが、決定前にあたかも決定事項というような提示は表舞台では止めるべきです。米国内での、更に強まりつつある撤退ムードもありますし。交渉材料として使うなら兎も角、延長論が当然というのは今後の自衛隊運用の上でも問題が多い。海外派遣ということが非常に「重大な事項」なのであり、その手続・運用にはかなりの「慎重さ」が必要なのである。安易に時の権力者の意向で決定できるようなものでない、ということを明確にしておかねばならない。そういう意味でも、滅多やたらに「派遣はできないんだ」という原則を徹底するべきである。


それと対中・対韓関係についても、「緊密な日米関係」の堅持されれば不安はない、ということですね。これはまあそうですね。国連改革とか「常任理事国入り」も含めて、米国側の協力は必要になるでしょう。ブッシュとしては「牛肉輸入再開」くらいの手土産しか持ち帰るものがないでしょうね。それでも、多少の足しにはなると思うけれども。北朝鮮問題への対応も、六カ国協議を通じて協調していきましょう、という程度ですね。


現在地方との衝突が問題となっている基地問題も含めて、在日米軍をどういう整理をつけていくか、ということは、今後の大きな政治課題でしょう。日本としてはそろそろ「庇護を減らしてもらって結構です」という申し出をして、米国への「みかじめ料」を減らしていくことと基地問題に解決の糸口を見つけるということが必要なんだろうな、と。自分で出来るところは自分でやるから、番長(米国)の庇護は減らしてくれ、と。その代わり、一体的に運用できる部分は協働していきましょう、と。

日本周辺の脅威は、かつてのソ連から北朝鮮・中国へと移りましたが、前世紀の百年間のうちの大半がロシア-ソ連であったような印象です。大陸国家ではない日本にとっては、外圧としての脅威の対象が弱まったり、他に変わったりするのには多分長い時間がかかるでしょう。何かが消えれば何かが出現してくると思うので、いつまで経っても心配の種は尽きることはないでしょう。中国の脅威ということは、今世紀中続いたとしても不思議ではないだろう。ただ、50年後であっても分割された形ではなくて一国として存在しているかどうかは不明ですけれども。


米軍基地問題は日本の安全保障という根幹問題なので、地方には理解を求めるしかないのですが、政府の進め方に「反発」が多いのは対話が少なすぎる、ということだと思いますね。自衛隊派遣と同じで勝手に決める姿勢に問題があり、基本的には「決める前に、まず相談してくれ」というのは、普通の反応だと思いますね。中央と地方のコミュニケーション不足ということが、「反発」をより強くしていると思います。地方が如何に「絶対に受け入れられない」と言ったところで、国が最終的に決定してしまえば、地方の反対などは効力を持つことはないだろう。だが、何の相談もなく国が(というか国の事務方の役人が)「勝手に話を進める」という態度ならば、そりゃ、怒りや反発も出るだろう。

例えば、周辺地域住民に事前に何の相談もなく、住宅地のど真ん中にゴミ処理・解体施設を作ったりしたら、そりゃ誰だって怒るわな。如何に「自分の土地だから、いいじゃないか、法律にも違反してないし」と言ってみても、反対が強まることは確実ですな。そういうようなもんです。最終的に住民の賛成が得られない場合があるとしても、まずは可能な限りのコミュニケーションを試みるということが、必要な姿勢であると思いますね。既に日米間の協議のテーブルに載せてしまって、話が進んでしまってから、「そこに持っていくから」なんて言われたって、「はい、そうですか」とはならないと思うな。

せめて首長には、事前に話をある程度通しておくべきでした。在日米軍を追い出して無くす、ということ以外に、基地問題というのは何処の地域に持っていったとしても常に問題となることだろうと思いますので、受け入れはある程度妥協してもらわなければならないことも事実です。そういう微妙な問題であるということであればなおのこと、コミュニケーションがより必要になるのだろうと思います。



改革競争時代

2005年11月15日 21時47分23秒 | 社会全般
昨日は眠ってしまい、あれから何も書けませんでした。申し訳ございません。

小泉総理の日銀への異例発言ということもあって(異例と言ってるが、単に記者達が聞いたから答えただけだろう)、為替に大きく影響したようで円安が進みました。私的には、けっこう嬉しいですけれども(外貨に投資しているので・・・笑)。120円を突破できるでしょうか?今年中には難しいと考えていた115円を超えてきたので、今後120円の大台もこのままで行けば有り得るのかな(わーい!)。しかも最近はユーロの弱含みで先安観も強い為、相対的にユーロ安/ドル高は続くでしょう。となれば、「ドル高」の流れの中では、円が更に売られても不思議ではないのかな、と。でも、バーナンキFRB議長の発言如何によっては、それが変更される可能性もある。金利上昇が予感されれば、日米金利差拡大によってドル高は維持されるだろうが、もしもインフレ許容レンジが大方の予想を上回るというような発言内容であった場合には、ドル売り要因となってしまうのかもしれない。まあ、為替は予想できないので、長年かけて回収をしようと思っていますけれど。


話は変わって、政府系金融機関の統廃合案が出されてきました。谷垣くんと二階さんから改革プランが一応具体的に示されましたが、昨日の諮問会議で確認されたのは2点だったようです。まずは最も抵抗の少ない総務省の公営企業金融公庫廃止ですね。今度は総務大臣が平ちゃんですから、当然の如く「廃止」でした。それと、事前情報でも民営化案が示されていた商工中金でしたが、これもその通りということになりましたね。この2点はこれでほぼ決まりでしょう。

Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - 諮問会議 商工中金を民営化へ 公営公庫は廃止に


残された部分では、問題の零細・中小企業向けの公庫ですが、経済産業省は国民生活金融公庫と中小企業金融公庫の統合も視野に、というプランを、財務省からは国民生活金融公庫の機能維持を当面続けるということのようです。この部分については、諮問会議でも例示された中小企業基盤整備機構のやっている融資事業等もほぼ似たような業務内容となっており、こうした「貸金業」を一つに集約するとともに、組織としても一つを目指すべきでしょうね。他の国際協力銀行とか政策投資銀行などは、ちょっと普通の銀行業務とは異なる部分があると思うので、政策的に残すべき部分はあるのではないかな、と思います。存続させる組織体系が一つか分割かは別の議論だろうと思いますけれども。


残される中小企業向け金融の対象としては「零細・個人企業」「中企業」「農林漁業」といった部分で、民間対応が困難な場合や、保証・利子補給というような政策では対応できない部分については、直接融資という手段も残されるということになるだろう。この存続組織は、他の貸金業をやっている独立行政法人や(ほとんど政府系の)公益法人の業務についても全て一本化されるべきだろう。政府出資金は回収され、負債圧縮にも役立つだろう。政府資産圧縮以外にも、「小さな政府」を目指す動きは活発になってきている。

Yahoo!ニュース - 共同通信 - 電源と石油の2特会を統合 財政審、改革案に明記

(一部抜粋)
政府は14日、経済産業省などが所管する「電源開発促進対策」と「石油・エネルギー需給高度化対策」の2つの特別会計を統合する方針を固めた。政府・与党が進める特別会計見直しの一環。両特会は事業の重複が目立つ上、毎年多額の使い残しが発生し、予算消化のための無駄遣いが多いとの批判があった。

それから、これも。

NIKKEI NET:経済ニュース

(一部抜粋)
総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は14日、現在113ある独立行政法人のうち、文部科学省所管の国立美術館や国立博物館の職員を非公務員化することなどを盛り込んだ見直し案をまとめた。文科省や農林水産省など各法人を所管する9府省は、見直し案を受けて年内に具体的な改革内容を決める。

現行の独立行政法人制度では、所管省庁が各法人の組織や業務に関する見直しを3―5年ごとに実施すると定めている。今回、見直しの対象となったのは56法人。廃止・統合により42法人に再編する。同時に44の法人に所属する1万2000人の職員の身分を公務員から外す。


このように改革競争の様相を呈しつつありますね。まさに「行革コンペ」的な内容かもしれませんね。丹羽氏(参考記事:郵政民営化のまとめ編4)は公務員制度改革問題に続いて、頑張っておられますね。やるじゃないか、総務省。


これまでどの組織・機関も、まるで冬眠していたかのよう(笑)であるが、それでも「審議会」は「審議会」なりに頑張って仕事をして、結果を出そう、というところまで来たと思う。これは政治的な後押しが大きく効いた為だと思う。有識者達は、私のような一般国民からみれば、それは立派な「有識者」達だと思いますよ、やっぱり。本当ですよ。ですが、これまでに何度も「声を発していく」チャンスがあったのに、何故か出来なかったのですね。

それとも、本当は声に出していたのだが、報道や国民の関心が低くて、誰も気がつかなかっただけなのかもしれない。だとしたら、ゴメンナサイとしか言いようがありません。国民の不勉強でスミマセン、とお詫び致しますね。いずれにしても、国民にとっては今のような大きな前進を手に入れることが出来たのですから、これからの各種「審議会」「委員会」については更に闊達な意見が出されることを期待します。勿論一般国民の意識との間に乖離があったりもするかもしれません。それはそれで、いいと思います。本来政策等についての議論や対話が必要なのであり、有識者達のお知恵を拝借出来ることの方がはるかに効率的だろうと思いますし。度々のご批判も御容赦頂ければ幸いでございます。


今はあの選挙を過ぎたお陰で、まともな政治システムへと向かいつつあると感じます。郵政民営化という試練を乗り越えて、国民が手に入れた政治・統治システムは大きな価値がありました。国民の為のエージェントになろう、という人々が、本気で動いているのですから、それは大きなエネルギーがありますよ。審議会でも、委員達の本当に言いたいことがある程度言えるようになったんじゃないかな、と思いますし、それを表現できるようにもなってきたのかもしれません。昔ならば答申には曖昧な表現としてしか文を入れられなかったんだろうな、と。所謂官僚の作文によって、都合よく言葉の入れ替え・表現が行われてきたんじゃないのかな。今はそういう面も変わりつつあるんじゃないか、と思う。


でも、改革は進んできています。力強く。



雇用改善とULC

2005年11月14日 22時19分44秒 | 経済関連
来年度の新卒採用は今までに比べて、最も良い傾向かもしれませんね。高卒にも求人が増えてきているようですし。仕事に就ける人々が増えることは、日本経済にとってもそれぞれの個人にとっても不安の種が少しばかり減少するので、やはり好ましいことです。就職できずにぶらぶらしてしまうよりも、はるかにいいです。正規雇用を増やそう、という企業も増加してきているようですから、そういう企業姿勢は素直に評価したいと思いますね。

Yahoo!ニュース - 河北新報 - 大量定年目前 工業高校生、久しぶりに「金の卵」 仙台


でも、値上がりしてるときに買う株みたなもので(笑)、皆が買うときには誰だって買う。これは当たり前、というか普通すぎる。でもね、企業側としては本当に買って欲しい時(=株価低迷の時)にバンバン売りまくっていたくせに、全体的に値上がりしてきたから買う、という株主だったらどう?多分、こういう姿勢は嫌な気がすると思うけれどね。企業活動は慈善事業じゃないから仕方がないんですけれども。大赤字を出してまで、不必要な人員を雇用しておけないんだろうけど。


仕事が減って業績が苦しい時にこそ、人材育成に手間暇をかけることができるんだから、そういう時にこそ人員削減などせずに将来への「投資」が必要なんですよ。そういう恩に報いる為だったら、社員達だって必死に働くと思うな。「自分」の将来に投資してくれた会社に、尽くそうとすると思うけれども。ビジネスの現場はそんなに甘いものじゃないんでしょうか?私にはよく分らないんですが。こういう考え方は古すぎるのかもしれない。今は、普通に転職だろうしね。


話は飛びますが、中川政調会長や安倍官房長官からの厳しい批判が相次いだ日銀の「量的緩和政策解除観測」ですけれども、福井総裁は何かお考えがあることでしょう。

以前に述べておられた、ユニットレーバーコスト(ULC)も見ていく、ということでしたので、来年度以降の新規雇用増やパート減少と正規雇用の促進が、大きなULC上昇要因として働く、という風に見ておられるのかもしれません。ですが、90年代以降のトレンドとしては、労働生産性は向上してきましたが賃金には反映されず、特に「97年ショック」以後の人件費抑制策が企業に浸透した結果、ULCは低下し、02年以降は大幅な下落傾向でした。昨年来の原油高局面でも、ULCの低下があったため商品価格には転嫁されることなく、企業が上昇コストを吸収してきましたね。通常であれば、原油をはじめ素材価格の大幅な上昇を受けて、消費者物価に反映されそうなものですが、これまでのところ、CPI の大きな変動はなかったですね。緩やかな上昇と言えるでしょう。これらの大きな要因としては、ULCの低下傾向があったお陰ですね。主に製造業では吸収するのも限界に達してきているかもしれませんけれども。


そういう意味では、物価の上昇圧力は強まってきているかもしれませんが、非製造業ではまだまだ、という感じなのかもしれません。それに、家計最終消費支出は十分な上昇には転じてきていないでしょう。四半期ごとで見ればむしろやや低下してきます。要因は幾つかあるのでしょうが、「まだら」な景気回復ということだと思います。なので、CPIで見ればプラスに転じるとしても、インフレ懸念はえらく遠いと思いますね。GDP需給ギャップは縮小してきていると予想されるでしょうが、GDPデフレーターは依然マイナスで推移しています(内閣府・国民経済計算の速報などではそうなっています。物価水準を正確に表す訳ではないでしょうが)。パーシェ効果があって実勢との乖離があるということを勘案しても、GDPデフレーターがプラスに転じるなんてことはないでしょうし、インフレ懸念など生じていないと思います。


それに、サービス業ではULCの低下がさらに続くということがあっても、プラスに転じるということは当面考えられないようにも思いますが。日銀ではきちんと調べてるんだろうから、素人の私がごちゃごちゃということでもないんですけれど。よくわからんし。でもね、例えば家庭教師とか塾の値段が上昇したりしてるの?サービスが同じで、むしろ競争激化によって価格は低下しているような感じがしますけれどもね。それに来年には診療報酬の大幅マイナス改定の目算でしょうから、そういう部分でも価格は低下していってるんじゃないですか?床屋だって、都会では千円もあるでしょ?(ウチの近隣には見かけないけど)、それは激安だよ?肩もみとかのマッサージだって、価格競争が激しいんじゃないの?英会話教室もそうなんでしょ?そういったサービス価格が上昇しているという感覚はまだないな。非製造業は製造業に比べて労働生産性が低いだろうから、収益を上げる為に生産性向上を図るだろうけど、ULCが低下していくことはあっても大幅に上昇するなんてことはないと思うけどね、現状では。業種別に調べた訳ではないから、よく知らんけど。


ちょっと退席しますので、後でまた。何だか尻切れトンボみたいで・・・スミマセン。



IMFの考え

2005年11月13日 19時28分58秒 | 経済関連
昨日の続きみたいになりますが、国内以外の量的緩和政策への評価も大切です。日本国内での議論になれば、どうしても客観的議論というよりも政治性や思想的(かどうかは不明ですが、日銀vs○○みたいな)影響を受けてしまいがちかと思いますし、日銀総裁にしても不満に思ったりするでしょう。でも、海外の論評であれば、案外と公平感があって、日本人から言われたときよりも「何だと、このやろ」的反発は少ないでしょう(笑)。なので、海外勢の評価は大切なのです。


次のような記事がありました。

NIKKEI NET:経済ニュース


この記事より、一部抜粋します。

日本経済はデフレの最終局面にあると指摘。今後2年は年率2%程度の経済成長率を維持できると見通した。日銀にはデフレ圧力が完全に消えるまで、金融の量的緩和政策を維持する必要があると提言した。日本で量的緩和解除のタイミングについての議論が高まっていることを踏まえ、金融市場に混乱を引き起こさないように「漸進的かつ透明性の高いやり方」で解除するよう期待を示した。

日本は「財政赤字に取り組むため真剣に段階を踏んでゆく時期が来ている」と強調。歳出削減と同時に税制改革を実現する必要性があるとした。


この指摘にはいくつかのポイントがあったと思います。

「デフレ圧力が完全に消えるまで」ということが一つ。これは予てから述べられていたようにCPIのゼロ以上の推移ということだけではない、ということですね。

これは多くの人がそう述べていて、福井総裁自身もそうおっしゃっていますから、複合的に考えておられるでしょう。


もう一つが「漸進的かつ透明性の高いやり方」ということです。急激な量的緩和解除は望ましくはない、ということですね。それと市場参加者達が明確に理解できるような方針が必要ということだろうと思います。多分市場でのコンセンサスが一致しているような状況下で実施するのが望ましい、ということだろうと思います。つまりは、中国の元切り上げの時のような、抜き打ち的なタイミングでやるんじゃなくて、予め「そろそろやりますよ」「やりますよ、皆さんどうですか」ということの反応を市場で雰囲気として作らせる、ということになるのかな。


米国の利上げ観測についても、大体市場予想が既に十分出回っていて、誰も驚いたりはしないし、「やっぱりな」「当然だったな」ということを”市場参加者達が思う”という状況が大事なんだろうと。日銀の量的緩和解除についても、いつ、どれくらい、ということが、大体市場で予想する(というか、既に予想情報が意図的に市場に出回るのだけれども)のと同じであるようにセッティングすることが必要なんじゃないのかな、と思いますね。

そういう意味では、財政当局との不一致があっては「上手くいかない」と思いますね。一部市場参加者達は、財務省等政府高官の発言を重視したりすることもあるでしょうし。財政運営の当事者達から「緩和政策は維持すべき」とか「まだ時期尚早」といった観測が出てること自体が、「不透明」であるということなのだと思いますね。市場のコンセンサスが大方醸成されるのは、誰しも「そうなるだろう」ということが理解されているという時なんじゃないかな、と。


日銀としては、政府の財政再建の為に日銀が政策的に関与するべきではない、巨額の政府累積債務への与信に日銀が利用されてはならない、というような決意があるのかもしれない。それで、「インフレという方法によって、政府債務の相対的減額をすることは認める訳にはいかない」というようなことがあるのかもしれん。

だが、デフレ完全脱却は日本経済・国民にとって必要なのであり、国民の一人もいない国の中央銀行なんて何の意味もないはずで、日銀の存在自体は国民の存在があることによってのみ正当化される。国民の存在を蔑ろにして、金融政策など有り得ないと思うが。「インフレ」に抵抗感があるにしても、「デフレを終わらせる」んだから、結果的には「インフレ」になっちゃうでしょ。どうしてそれを許容できる、って言えないんだろう?

デフレじゃない状態って、全く等しいか、インフレしかないわけで、全く等しいという運営の方がはるかに難しいよ?一般国民なんて、「インフレ期待」なんてあるわけないんですよ。期待が全く違う。大体金融政策への関心や理解が多くの庶民にあるとは思えないですよ。私もよく分らんもの。普通の国民はそうだと思うよ。だけどね、給料が大幅に減っちゃったり、仕事が減ったりしたら困るな、と感じているんだってば。そういう感覚なんですよ。そういう期待ですよ。


そんなに、1%のインフレさえも許容出来ないなら、1%のデフレも許容しなければいい。物価変動を完全にゼロでやる、って宣言すればいいんだよ。何で、デフレは許容できて、インフレは許容できんのだ?何かの思想かぶれなのか?日銀は。



「インフレ期待」封殺を目論む日銀総裁

2005年11月12日 18時40分02秒 | 経済関連
福井総裁発言には色々な意味が込められており、注目に値するものである。私にとっては、職業的な市場関係者とかでもありませんから、さしたる影響も受けないのですけれども、潜在的な意味では国民生活を大きく左右するものであると思いますので、注視していく必要があります。実際、これほど長い期間に渡り日本経済が低迷した遠因は、日銀にもあると思いますし。中央銀行の不適切な舵取りの結果であると思っています。

Yahoo!ニュース - ロイター - CPI約束確認後、通過点を間違いなく越える=日銀総裁


この記事によれば、
『デフレ脱却については、「明確に、ひとつの時点をポイントと言える人は、世界中に一人もいない。われわれは、誰が見ても同じに見える消費者物価指数で通過点を越えようとする。その後、どういう金利政策を採るかは、その時の経済が最も呼吸しやすい、インフレ心理という生臭い息遣いが出てくることを防ぎながら運転する、そういう世界に入っていく」と語った。』

ということです。


他方、田中先生のブログ経由で「本石町日記」さんの記事(生ゴミは出したばかりなはずだが…)を読んだら、「リフレ心理という生臭い息遣い」となっており、こりゃ「リフレ」じゃなくて「インフレ」なんじゃないのかな、と思いました。どっちの記事が正しいんでしょ?よく分りませんが、福井総裁は常々「インフレ抑制」「インフレ期待」等々おっしゃっており、「リフレ」と発言されたことは見かけないので、きっと「インフレ心理」が正しいと推測しています。田中先生、自意識過剰?(笑)では・・・冗談です。失礼しました。でも、他にも「”インフレ・ターゲット”は万能ではない」といった表現を用いておられるので、やはり「インフレ心理」だと思います。


また、量的緩和の枠組みについては、『デフレスパイラルに落ちてしまう瀬戸際の状況をぎりぎり脱出する非常手段として採用したもの』という認識を示しています。以前取り上げた(経済学は難しい10)翁邦雄日銀金融研究所長(前の記事では「扇邦雄」となっており、誤字でした。お詫び致します。ところで政策金融ヒアリングのWGに選ばれていた翁日本総研主席とは無関係ですよね?まさか親子、とかってこと?ではないですよね、笑)の言を借りれば、「経済が大恐慌的なデフレ・スパイラルの入り口に立たされれば、中央銀行は大きな副作用をも認識したうえで、考えられるあらゆる手段を発動してこれを防止するよう努めるであろう。その場合には、通常の手段の限界を超えて、劇的に大量の資金供給を行うことも真剣に検討されるかもしれない」という量的緩和政策の説明と、同じ路線を踏襲したものですね。

ふふふ~ん。なるほど。


それにしても、「莢雑物」発言(内閣改造と日銀総裁発言)に続いて、「生臭」発言とは恐れ入谷の鬼子母神(古すぎ?)です。



アメリカの金利動向についても、11月4日付ロイター記事によれば次のような発言でした(一部抜粋してます)。

<金利>
「米国の長期金利動向は重要な問題のひとつだ。実際、低水準の米長期金利は、世界的な金融市場を不安定にすることなく不均衡を持続する要因だ。これは『安定した不均衡』と要約される状況だ。謎をめぐる議論にみられるように、金利の力学に影響する要素は多々ある」
「私の考えでは、この力学における最も重要な決定因子は、インフレ期待だ。インフレ期待上昇による長期金利の急上昇は、世界的な金融システムを混乱させる可能性がある」

<米国のインフレ期待>
「そのため米国では、秩序だった不均衡調整の環境促進に向け、インフレ期待抑制と金利のボラティリティを防ぐことがますます重要な課題となっている」


これらから読み取れることは、「米国での金利政策では、インフレ期待抑制が強く働いているから、長期金利の謎の低下が続いているんだ」ということを言いたいのでしょうか。FRBの度重なる金利引き上げで、短期金利は結構上昇しているものの、10年物米国債は短期金利ほど上昇していませんね。これが確かに謎と言える現象であると思いますね。


現在の米国国債のイールドカーブ(10年以下)は、9年がピークで約4.7%ですが、何故か10年ではやや低下していて4.6%台です。普通は10年がピークをつけるのに、9年までは上昇カーブを描いているのに、最後の10年ではひょこっと首をもたげたように下がっている。これは謎としか言えないですね。また、2年債と10年債の金利差も、ちょっとした謎がありますね。それは、短期金利は金利引き上げの影響をモロに受けていて、2年債は7月初めには3.72%程度だったのが11月には4.47%まで上昇しています。10年債の同期間の金利は、それぞれ4.05%、4.67%となっており、金利差が0.33%から0.20%と縮小しています。福井総裁はこの原因を、インフレ期待抑制効果によるもの、と考えているらしい。本当かな?俄かには信じられないな。


国債イールドカーブで9年と10年の金利が逆転していることの理由が、「インフレ期待抑制」だということ?ちょっと信じられませんね。普通に考えると、10年債の需要が多いということだろうと思いますね。それは、米国国債投資を積極的に行っている主体がある、ということではないでしょうか。為替の影響もあるかもしれないが、例えば金利の低い円資金を借入調達し、米国国債を積極的に買って行けば金利差分が儲けられるはずですね。この流れは、(円安)ドル高ということにもなるし、10年債の価格上昇(=金利上昇抑制)ということに繋がりそうです。円キャリートレード的な手法によって、利益を得られると思います。


でもどうして10年債で、短期債ではないか、ということもちょっと謎ではありますが、仮に円資産をドル運用するとなれば為替リスクが気になると思いますね。私のヘボ投資で申し訳ないですが、自分の例を考えると、どうしてもそういう心理が働きそうです。昨年買った米国債券は長期(8年以上)と短期(3年以内)の数種類の組み合わせでしたが(資金比率は7:1くらいです)、長期債の利回りだと20円程度の円高でも耐えられる水準です。なので、7年以上くらいの運用を目安に考えるとするならば、為替リスクをかなり軽減できると思います。ところが、運用期間が3年程度であれば、結構為替リスクは大きいと思いますね。半分以下にレンジが狭まります。安全域が狭くなるというのは、運用する側にとっては最も辛いところですね。これは、「私にとっては」かもしれないですけれども。他のヘッジ方法があるだろうから、プロの運用担当ならば、もっと別な考え方があるとは思いますけれども。日米金利差だけを見れば、5年債で約3.6%ですが、10年債だと3.1%弱となって、5年債の方が有利ですね。この差額分はリスクヘッジコストと見なすことも出来るんでしょうか?よく分りませんけれども。


この手の話題では、先日の産経新聞の記事では次のような説明がありました。

Yahoo!ニュース - 産経新聞 - 米長期金利低水準のナゾ、対米証券投資が主因 FRB研究論文


この記事では、『この研究論文について、東京三菱銀行ワシントン駐在員事務所の竹中正治所長は、「個人的な見解と断っているが、議長のナゾに答えるFRBの論文は初めて。確かに、対米証券投資が長期金利を低く維持してきた一番大きな要因だろう」と語っている。』と記述されているように、まさに債券投資による効果が大きいのではないか、と思いますね。私もその一部を担っていた訳ですね(笑)。

でも、債券投資だとしても、何故10年債がこれほどまで選好されるのか、既発債の7~9年債が不人気なのもちょっと謎ですね。新発債の買い需要が高くて、その結果10年債の流通量が不足気味となれば、10年物利回りが相対的に低くなるということなんだろうか?でも翌年には9年となってしまって、「旬を過ぎて」しまう(笑、まるで「行き遅れ」の娘みたいなもの?)と、値下がりする(=利回り上昇)ということですか?私なら迷わず9年ものを買うけど(笑)。金利高いから。実利重視です。


要は、福井総裁のおっしゃる「インフレ期待抑制」というのは、その効果が明確には確認できないように思います。
日本に於いても、断固「インフレ期待抑制が重要」という態度で臨むというのは、(福井総裁発言を見れば)ほぼ確実でしょうから、今後の金融政策には明るい材料は全く無いと見るべきでしょうね。心理的にも大幅なマイナスです。国民の誰もがバブルを期待なんぞしたりはしないですが、好景気が続いて(=仕事がなくならないで)欲しい、給料が”順調に上がって”いって欲しい、というごく普通の願いはあると思う。そういう微かな庶民の希望さえも、日銀としては打ち砕かねばならない、と断固たる決意を固めているんだと。いまどきのネット表現で言うと「おまいら、金使ったりせんで貯金しれ」(こんな感じですか?違う?)という政策を推進するつもりなんだろう。

つまりはデフレ(傾向)だ。「インフレにはさせないぞ」ということですからねえ。金を後生大事にキープしとる奴が勝つ、ってこった。ゲンナマが一番なんだと。国民が貯金せんから、老後になって金に困るし、国のファイナンスにも悪影響が出るし、いいことなんかないんだ、日銀が(金融政策変更によって)財政政策さえも変えさせることができるんじゃ、ボケ、ということのようです(そんなことは直接言ってませんよ、勿論。私の妄想的推測です)。



公益法人という名の貪食集団

2005年11月12日 13時55分49秒 | おかしいぞ
どこもかしこも、薄汚い欲望に裏打ちされた錬金術システムを作り上げてきたんだと思う。それは「自分達だけが悪い訳じゃない、みんなやってる」「決まりに基づいて、役所が決定してきたんだ」「ルール通りで、違法なんかじゃない」というような御託を並べて、自分達を正当化することだって出来るという訳だ。役人というのは、本当に腐れ根性が染み付いているのかもしれないな。前から書いてきたように、こういうシステムを悪用すれば、何だって出来る。コイツラに金を流し込み続けた結果が、公務員の数や給与の削減圧力となったとも言える。

近畿整備局、予定価格の99%で“身内”と随意契約 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

参考記事:
公益法人の構図
特別会計は抜本改革せよ


今年、読売新聞が幾つかの公費に関わる問題点を報道したことは評価出来る。こういう報道がなければ、役人どもは「変えよう」などということには繋がらない(報道されても、変えないことも多いかも)。何故なら、常に「見つからなければいい」「隠せるだけ隠す」ということだけの為に、小賢しいクソ知恵を働かせるだけだからだ。他部局が挙げられても、自ら改めようなどという気は起きないし、むしろ巧妙に隠そうとするだけ。仕事をする時には、国民の為になどとは決して思っていない。「誰の為に」「何のために」という根本からして、分っていないか、間違えているか、だろうな。


本当のバカがそういうことを知らないでやるのと、多少クソ知恵がついてる連中がやるのとでは、意味が違う。「考え付かないから出来なかった、間違えた」ということならば、こういう風に改めればいい、と教えてあげればそれで済む。だが、クソ木っ端どもは、当然良いか悪いか「知っていて」ルールを悪用することに精を出す。これがもっと腹立たしいのだ。こういうタカリ軍団は一体何なんだ?何処も同じような構図。だからこういう連中とは「手を切れ」と再三申し上げてきた。

コイツラを肥え太らせる為に、国民の血税が費消されることに怒りを覚える。公金を公金と思っていないような連中だ。「自分達の裁量権で決められるサイフ」とでも思っているんだろう。貪欲に食い尽くそうとするだけだ。まさに「貪食」。そしてクソ木っ端が持つ、自分の下らない虚栄心を満たす決定権限は、社会的機構の中での「お役所」という存在を背景に、絶大な威力を持つからな。


本当に清算して欲しい、こういう腐れ縁を。
ぶっ壊して欲しい、悪しき錬金術システムを。



国と地方の大断層3

2005年11月11日 21時50分16秒 | 社会全般
中教審では「国が責任を持って義務教育を担っていく」ということになって、要するに今まで通り、ということだと思う。それで、従来の方法を続けてきて、地方の教育が良くなったのか?どうなんでしょう。国がやってきたので、全国の教育がうまくいったという評価なんだろうか?文部省が主導してきたことが大きなプラスであり、地方にはない優位性があったということだろうと思う。でもそういうことがずーっと続けられてきて、学者に言わせれば「教育格差」そして「希望格差社会」まで、最近では「下流社会」までもが生まれてきちゃったんですよね(笑)。こういう現状を振り返って、それでもやっぱり今のままが最も良い教育なのかな?


地方にしても、「我々がちゃんとやれるんだ」ということを、政府・省庁に向かって主張しているんだけれども、ここに意識のズレがあるんだろうと思う。今の義務教育問題は財政問題としてだけ扱われてしまって、本質的な教育の問題をどうするのか、地域の人々にとっても「どうなるんだか、よく分らんな」ということになっているだろう。住民たちが「自分達(の子供達)の為に地方に財源を」という取り組みを一緒に考えたり、財源・権限を移譲してもらったら「こんな風な学校にしたい」「こういう仕組みをつくっていこう」「教員だけに頼らないで、地域住民もこういう参加をしてもらう」といったことが出されたりしない。国民にとっては、お金を出してくれるのが国だろうが、都道府県だろうが、あんまり変わらんと思うよ。ですが、学校への希望とか、教師への要望とか、そういうことってたくさんあると思う。「義務教育の問題」とかって言いながら、実は単に国と地方という権力構造の中での対決に過ぎなくなっているように思う。だから、国民にとっては分りにくいし、どちらになっても大して変わらない感じしか持たないと思うよ。地方に移ってきたら、実際にどういう取り組みを考えているのか、示すべきなんじゃないのかな?従来と全く変えないなら変えないということを確約するべきだし。変えていくなら、どこをどんな風に変えていくか、ということを伝えるべきなんじゃないのかな。


だが、知事会を中心に地方六団体は政府や省庁に向かってだけ、意見を言っている。本当に「よい教育を目指して」いるんだろうか?これは中教審も同じだ。文部科学省もそう。結局、今の教育制度、仕組みでいいんだよ、ということなんですか?本当に必要な事は、地域住民にも一緒に考えてもらって、地域の財政にも教育にも住民の協力を得ることでしょ?積極的に地域行政にも関わってもらって、理解をしてもらい、住民達が自ら「何か力になれることはないか」という姿勢になってもらうことなんじゃないのかな?住民達が「自分達は何も出来ない。だから完全委任で」ということならば、従来通り国が定型的に決めてちゃっちゃとやってくれれば十分だし。そういう選択が住民に提示されてもいいんじゃないのかな。今は「より高度な政治的問題」となっていて、最も身近な問題であるはずの教育が、国民からは随分と遠く離れたところで議論が進んでいる感がある。


もしも地方に税源も権限も移譲するということになれば、それ相応の覚悟が必要ですよ、住民達にも。地域の自己責任ということで、自分達がその結果についても連帯責任を負うつもりでやらないと。そういう取り組みをやっていく覚悟が果たしてあるかな?自分達の理想を目指して、学校作りに取り組めるならそれでいいと思うけど。出来そうにないなら、変えずにいる方が無難だな。工夫や努力が必要であり、住民達にも「自分達の学校」という当事者意識が高まらないとダメだな。まさに「地域で育てる」意識でやらなければ、きっとうまくいかないだろう。そういう将来像を見据えて、地域住民が一緒に「三位一体の改革」とか「義務教育費移譲」問題を本当に考えているんだろうか?そういう提案を各自治体はやってきたか?国や文部科学省は、住民達に覚悟の喚起を、或いは有無を確認したか?


どちらも、国民に向かっては、話そうとしていないような気がする。子供達の為を思っていい教育を、ということでもないような気がする。なのに、教育の問題として考えなければならないところに、難しさがある。どちらの主張も理解できるけれども、心には響いてこない。多分「子供達の為に」と心底思っていないからだと思う。「地方行政(財政)の為に」とか「文部(科学)省の為に」とか、そういう思惑が透けて見えるからなのかもしれない。



国と地方の大断層2

2005年11月10日 21時55分10秒 | 社会全般
三位一体の改革で双方の主張が正面からぶつかっているのが、義務教育の問題です。これは初・中等教育のあり方という点でも、中々難しい問題です。


私の個人的感想から言うと、中学生くらいの年代では、東京にいて塾通いをしたり、家庭教師をつけたりしても、あまり出来ない子達はたくさんいるんじゃないかな、と思う。地方にいても、東京の子よりも点数が上の子達はたくさんいると思う。例えば全国的な中学試験があったとして、地方である程度上位層であれば東京の中位層よりは上にいくと思うけれども、人口規模にもよるかな・・・?大学受験くらいになれば、住んでいる地域に多少影響されるかもしれないが、地方でも上位層は東京あたりでもそこそこの層になるんじゃないかな?中高一貫私立とかみたいな学校だと、さすがに選ばれた子供達が多いのかもしれない。東大受験みたいなハイレベル難関校を調べると、首都圏が圧倒的に多いのかもしれませんけれど。それも単に人口規模にある程度比例しているだけかもしれないし。


今の時代に、それ程地域格差ってあるのかな?どうなんだろう。色々な形で情報は地方にいても手に入るし、全国展開をしている通信教育大手もあるし、田舎に住んでいても勉強しようと思えば出来そうな気もする。都会と大幅に変わることってなんだろう?義務教育で「格差」って言うほど大きな格差が本当にあるのだろうか?特に義務教育期間に必要なのは、基礎的な学力ということで、それは地方だろうが都会だろうがあんまり変わらないような気もするけどね。いい大学を出て事務次官にまでなっても、セコイ犯罪で逮捕されるような人もいる訳ですから、試験の為に必死に勉強していい大学に入ったからといって、幸せな人生とも限らないし立派な人物になれるとも限らないですね(笑)。


違う方向にいってしまいましたが、初・中等教育が地方に任せると失敗に終わる、とかっていうこともなさそうな感じがする(過去数十年に渡って同じようなことが続けられてきたのですから、大して変わるはずもなさそうです)のですが、「本当に地域差がないのか?」という疑問には、全く自信が無い。結構頑張っている地域もあれば、トップが頼りなくて漫然と経過してきたダメな地域もあるかもしれないな。ならば、プロサッカーチームの監督みたいに、トップに(教育委員でもいいんですけど)外部から優秀な人材を招いて、徹底的に変えるというようなことが可能であれば、逆に現状の文科省主導の制度よりも優れた教育システムを作れる可能性もあるかもね。地域のブロック範囲がどの程度なのか、にもよるかな?


都会で住んでる学者さんとかは、「習熟度別クラスは効果がない」とか「少人数学級は無意味」とかの研究成果を出したりするんだそうです。正確には知らんけど。でも、田舎の学校では学年も別々な子供達が一緒だったりするし、全体の人数が既に「少人数学級」だったりするから(小・中学各1クラスずつ、とかですね)、東京にいる学者の言うことなんて聞いていても、今後過疎の進む地方での教育にはあまり足しにもならんかも。「教育格差をなくして平等に」なんて、全国的に出来るんだろうか?土台無理なんじゃないのか?理屈を並べるのも結構だが、「どういう教育をすれば落ちこぼれを作らずに済むか」「中学生なのに分数が出来ない生徒には誰がどうするか」などといったことを具体的に教えて欲しいものだ。妙案があるなら、中教審でも具体的解決方法を挙げてもらって、学者の理論通りの教育方法を実践させればよいのです。教育学者だって学生には自分が教育してるんだろ?自分がどうやって「物分りの悪い大学生」に教えるのか、その実践方法を出してみて欲しいな。「聞く気のない学生」にどうやって自分の「授業」を理解してもらうのか?同じだろ?「九九の出来ない生徒に方程式をどうやって教えるか」「覚える気のない生徒にどうやって漢字を覚えさせるか」というのと似てるだろ?


まさか、自助努力?(笑)児童・生徒や学生には、「自分で何とかしろ、自分で頑張れ」か?「塾にでも行け」か?
根本的には家庭教育が重要だと思いますよ。でもね、個人差があるのは仕方がないし、興味の方向が全く違う子もいてしまうんですよ。「算数だけは大嫌い」って。「法学だけは大嫌い」ってのと、訳が違うんですよ。大学生ならば、義務教育ではないから「放っておけ」で済まされるのかもしれない。だが、義務教育は違うよ?9年間も積み上げで続くんですよ?途中でつまずいても止まれないし、周りは前にどんどん進んで行くんですよ?勝手に進んで行く、本人とは無関係に。


中学に入ってきても、九九が出来ない、割り算が出来ない、分数・少数が出来ない、習った漢字が書けない、そういう子でも、当然中学に上がってくるんですよ。そういう中で、公教育はどうやっていくのか、考えて行かなければならんのですよ。都会の中高一貫私立みたいに選抜されて入ってる学校ばかりじゃない。学校規模も凄く小さいところもたくさんある。そういう環境の中で、子供達に何をどうやって教えるか、意欲的に取り組めるようにするにはどうしたらいいか、そういう具体的な解決方法が必要なんです。地域ごとにある程度任せてもいいような気もします。中央での具体策が乏しいのですし。


ただ、今問題となっているのは、国と地方の財政面ということなので、教育だけの問題ではなくなっていて、教員の給与問題も同じような次元の問題なんだろうと思う。地方にやらせることで、地域住民達の学校運営への協力が得られるようになるかもしれないし。高齢ボランティアの活用にもつながる可能性もある。でも、財政的に苦しい地域になると、他の地域よりも不利な条件となってしまう可能性もある。特に多く出てきそうなのが、学校の統廃合かな?凄く広い学区に変えて、校舎を一つにまとめ、生徒も教師もそこに集めれば経費は節減出来ると思う。でも、学校に通うのが遠くなって大変になる生徒達も増えるかもしれない。地域住民がそれを選択するならば、仕方がないかもしれないけれど。


地方に住んでいて、東京の大学などに入ったところで、地元には帰ってこなくなるだけなので、その地方としてみれば無駄な教育投資を行ってしまうことになるのかな?若者が戻ってくるならば意味のある教育投資ということかな?そう考えると、東京の大学になど行かせずに、近隣の地方大学へ行かせるか、そうでなければ地元で就職させる方が望ましいが、仕事が果たしてそれほどあるのかどうか・・・実家が農家とか漁師などの自営ならばいいけれども、サラリーマンだと就職口を見つけなければならない。これが地方の難点なんですよね。


そうか・・・ある地域での基本的循環が作れるかどうか、というのは結構重要だな。じいさんばあさん、父さん母さん、息子や娘、というのが、その地域内で常に存在しており、そこの中で学校教育を受け、仕事にも就いて、消費もその中で行う、というようなことが継続的に行われるとなれば、その地域はある程度持続するだろう。人口はやっぱり減少傾向になるのかもしれないけれども(どれくらい産むかによるな)。でも今の地方の状況は、息子や娘はみんな都会に出て行ってしまう。やっぱり、ブロック単位で鎖国するしかないのか?(笑)それか、じいさんばあさん、父さん母さんも基本的には流転の民となって、生存に有利な場所に移動するしかないのかな?若者が出て行ったら、同じ割合の老年者が流出しないと、地域社会は不均衡となり経済的成長は出来なくなるかも。


余計にこんがらがってしまったかもしれないが、地方では教育にしろ生活とかにしろ、都会と同じことをやっていてはダメだ、ということになるかな?地方独自の価値観というか、暮らし方を実践する以外に地方の生き残りは難しいかも。それをしないならば、大都市に依存しなければ成り立たない、ということからは結局逃れられないということになるのかな。




ちょっと寄り道

2005年11月10日 01時32分14秒 | 社会全般
地方の問題については、少し前に極東ブログで義務教育費の問題が扱われたのと、ガ島通信さんのところにあった記事を見たので、自分も整理して考えてみようかな、と思った次第です。でも、まだあまり深く考えていないので、ハッキリとした結論が出せてはいないのですけれども。おいおい書きながら、答えを出して行こうかな、と思います。


横道に逸れますが、触れておきたいことが幾つかありますので、全然別な話題を少し。


地方に出先の労働局の不正が会計検査院に指摘されたことが再び取り上げられていますね。何度か記事に書いてきましたが(官の意識改革は可能かまた間違えていました)、会計検査院は例年よりもずっと頑張ったと私は思っています。すでに新聞社説にも結構取り上げられておりますが、もう少し評価してあげてもいいと思いました。そもそも会計検査院が完璧に検査できるものでもありませんし、本来各省庁や財務省での予算策定とその執行に何ら問題がなくて不正もなければ、何も指摘されることなどないはずなのです。会計検査院が「見抜けなかった」「指摘から漏れた」というようなことが本質的な問題なのではなくて、各省庁がどれくらい適正に業務を行い、会計処理をきちんと行えているか、という役所内部の問題であるはずなのです。会計検査院は全てではないけれども、幾つかの代表的検査例を通じて、各役所へ規範を示しているということだろうと思います。そういうフィードバックを活かすのも殺すのも、各省庁・機関であると思います。なので、他人から「こういうところがオカシイぞ」といちいち言われる前に、本来は自ら改めることが大切なのです。他が指摘を受けていれば、似たような事例は各機関が率先して「ウチも改めよう」ということが最も必要なんだろうと思います。会計検査院には今後とも鋭い切り込みを期待して、頑張って頂けるものと思っています。


谷垣くんは、「項羽の心境」という、ちょっと可哀想な状況となってしまったね。勇気をもって飛び込んでいってみたものの、集中砲火を浴びてしまい、「財務省」「政府税調」「財政審」の意向を反映した意見も、あっさり「拙速」「安易」「理解が得られない」といった批判を受けることとなってしまった。当面の状況は「国民の人気」を誰が得られるかが重要な時期なので、そういうことも影響したのかもしれませんね。


道路財源に関しては、小泉首相の指示があった、ということですが、一般財源化ということも視野に入れた検討がなされるということのようです。北城経済同友会代表の「容認」発言がありました。まあ、あくまで個人的見解(笑)ということですけれども。奥田さんも同じように個人的見解ということでしたね(話題シリーズ16(ちょっと追加))。


経済団体でも、幾つか意見が分かれるということでしょうか?それはそれでいいと思いますけれども。今後を見ていきたいと思います。自民党からは、柳沢税調会長の発言もありましたし、石原氏を道路調査会長に据えたり、ということもありました。今後も色々と綱引きは続くでしょう。



国と地方の大断層1

2005年11月09日 23時22分15秒 | 社会全般
これから非常に大きな山を迎えることになります。三位一体の改革、それに伴う義務教育の問題、基地移転問題等々、国と地方の対決姿勢はより強まるでしょう。首都圏を中心とする大都市圏での政策議論の前提となる意識と、人口集積の少ない、地方での身近な末端(現場)レベルでの意識が大きく異なるということがより鮮明になっていくことでしょう。住んでいる地域によっては国民の感じ方にかなり違いがあるので、これからの日本ということを真剣に考えなければならないでしょう。どういった将来像があるのか、地域住民がどういう方向へ進みたいか、ということを議論することが必要でしょう。


今の少子化が継続するなら、多くの地方では「過疎化」が深刻な問題となっていくでしょう。主な産業がない、仕事がない、ということもあるでしょうから、若い人達の都会指向は続くでしょう。地域に残っていたとしても、就職先がないからです。昔のような1次産業は就業人口が減少し、労働生産性の高い仕事(笑)に就かなければなりませんし。国は基本的に「自助努力」ということを推進していくことになりますから、大都市圏で標準的と思われていることであっても、地方では同じように出来る訳ではない、ということをまず覚悟するべきでしょう。かつては国が主導してきたことも、今後は地方の受け入れレベルによってそれを選択していかなければならないでしょう。例えば新幹線や空港を作るといったような、中央の言うがままに何でも受け入れてきたようなことは無くすしかないでしょう。


言ってみれば半分「独立」という考えで臨むしかないかもしれません。ある離島があって、そこに住む人々が一定の生活を維持していこうとする場合に、島から出て行くお金の合計が入ってくるお金の合計よりも多ければ、島の住民は段々と貧しくなっていくでしょう。島の経済成長がなければ、やっぱり相対的に貧しくなっていくでしょう。例えば島の中にパン工場を作り、島の中でそこのパンしか消費しなければ島の中に利益が残されることになりますが、島のパン工場を駆逐して東京本社の会社がパンを売りつけてしまえば、東京に利益が移転されてしまう、というようなことです。逆にパンを島の外に販売(=輸出)できれば、島は利益が稼げるので潤うことになります。そういう地方の競争力がなければ、内部での循環を多くする以外にないでしょう。もしもある地域に、完全に閉鎖的な循環が形成されれば、その地域内部に利益の全てが残ることになります。これは反グローバル化ということになりますね。そういう閉鎖的地域が形成されたら、その成長レベルに応じた利益配分が行われることになるのではないかな。利益が少なければ、不便も非常に多くなるかもしれないけれど。


そういう目で見ると、地域運営は国同士と同じようなものかなと思います。言ってみれば、東京という国と地方という国の貿易圏があって、その地方特有の資源を活かす方法がなければ、利益は一方に流れていってしまいます。現状では人の流れもそういう傾向になっていますね。鉄鉱石を掘るだけの島があって、そこの住人はどんなに汗水流して必死に掘り続けても安くしか売れず、外国産品との価格競争も厳しいのに、島の住人に必要な物資などを「トカイ」の連中が売りつけるのです。「トカイ」の連中はいくつもの「島」を全国各地に占有しているようなものなので、利益は「トカイ」に集められてくるのです。島はいつまでたっても豊かにはなっていきません。鉄鉱石の需要が物凄く増えたりして仕事が多くなるとか、単価が上がるというようなことがない限り、島全体に入ってくるお金が増えるということはないでしょう。


地方の農業とか漁業などはこの鉄鉱石を掘る島と似ていて、必死に働いても「トカイ」の連中には追いつけないのです。島の外へ輸出できる資源が限られるとか付加価値や競争力が乏しいからなのではないのかな、と思うのです。この島が経済的に成長していく為には、鉄鉱石を利用して加工製品を作る工場を整備したり、古い鉱山の探検コースが人気の観光業を盛んにしたり、といった「何か」を生み出さねば、仕事が増えたり入ってくるお金が増えるということはないでしょう。ですが、島の外側では給料が上がっていったり、税金や物の値段が上がったりして、払うべきお金が増えていくと、ますます島の中で自由に使えるお金が減少してしまうでしょう。鉄鉱石をいつまでも一定に掘り続けていても、多分何も変わらないでしょう。


このように考えると、地方にはあって、都会にないものを資源として、地方にお金が入ってくる仕組みが必要だろうと思います。今までは国に頼って、「国が何とかしてくれる」「地方に仕事を持ってきてくれ」というような流れの中で、地方の自助努力が不足していた面もあるかもしれません。そういう部分を減らしながら、世界遺産とか自然などの観光資源、都市部へ供給する水資源、・・・他にいいのが思いつきませんが、そういう都会にないもので、地方の金になる資源を活かす方向性を必死に探るしかないと思います。勿論、日本全国では無理だ、というのは理解できます。ですから、近隣でもいいですから、「首都圏」というようなある範囲のブロックの中で、そういう活性化地域が生まれれば、そこでの仕事が増えたり、人が増えれば消費も増えたりすることになるでしょう。そういう「何か」を各地で見つけていく努力をする以外にないと思います。


続きはまた。



鳥インフルエンザ拡大?

2005年11月08日 00時19分08秒 | 社会全般
いよいよ世界中で深刻化してきました。恐怖も一緒に拡大しつつあるかもしれません。ロシュは「タミフル」の供給体制が追いつかないので、インドやイスラエルでの生産も許可するかもしれない、ということらしいですね。日本の対応は結構悠長に構えていますね。

Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - <鳥インフルエンザ>専門家会議が開会 WHO本部
Yahoo!ニュース - 共同通信 - 先進国の損失65兆円 インフルエンザで世銀推計
Yahoo!ニュース - ダウ・ジョーンズ - WSJ-ロシュ、第三者による「タミフル」製造を認める用意あると表明


参考記事:鳥インフルエンザ対策

中国もライセンス申請をする、という報道もありました。日本ではどうするのかな?


先月末頃に米国市場で「ファイザーショック」があって(業績悪化で大幅に値を下げた)、日本でも大手医薬品株は軒並み大幅に下げていたにも関わらず、何故か中外製薬株の大量買い注文があって、寄り付きで大幅上げの日がありました。調べてみたら、「タミフル」の販売は中外製薬だそうで、ナルホドその買いでしたか、と判りました。

やられた、買っとけば良かった(笑)。因みに私は別な製薬会社を買ってしまい、損した気分です。かすっていた。残念。全然関係ないんですけれども。


横道に逸れましたが、日本ではヒトへの感染が今のところ出ていませんけれども、もしも初感染例が見つかれば人々を恐怖に陥れるだけではなく、米国のように感染地域との出入りを遮断する、ということになれば、日本との交通はストップされる可能性すらあるのです。経済活動などにも大きな影響を与えるでしょう。

水際作戦がうまく機能すればいいのですが。薬剤備蓄は進めなくても大丈夫なのでしょうか?



話題シリーズ16(ちょっと追加)

2005年11月07日 21時11分32秒 | 社会全般
1)勝負師

プロキラーとして著名だった瀬川さんの挑戦が見事に実った。挫折後の再挑戦だった。

Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 瀬川さん、将棋プロ試験合格…第5局で3勝目、戦後初


将棋のプロ棋士を目指した試験対局で3勝を挙げて、通過が決まった。将棋に詳しい訳ではないが、昔は「アマに負けるようなプロは、プロ失格だ」というような厳しい風潮があったように思う。新聞棋戦の観戦記や解説などでは、そういうイメージがあった。今の時代にはアマらしからぬ強豪も、野に存在するということなのだろう。昔と違うのは、情報の質によるものなのかな?プロとアマでの情報格差が減少したからなのかな?よくわからないけれども。


どちらかと言えば、昔の勝負師っぽい感じがする。定跡とかの研究成果もあるだろうが、勝負師としての強さが身についたのが、今の瀬川さんなんじゃないのかな、と思う。それは多分、どん底に落ちて、打ちのめされた経験があったからなのかもしれない、と勝手に想像している。「何故今はプロに勝てるのに、奨励会時代にはプロになれなかったのか」という不思議もあるのだが、きっとその時には勝負への厳しさが足りなかったのかもしれない。きっと彼自身にしか分らないことだろうと思うのですが。


私と年齢が近いので(笑、4つ違い)、これからも是非プロとして胸を張って活躍して欲しいな。


2)公明党の微妙な立場

例によって、靖国参拝に「待った」をかけたい公明党は、首相、外相、官房長官の参拝を避けるように明言した。

Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 安倍官房長官、公明の靖国参拝自粛要請に「ノー」


しかし、多くの指摘があるように、「参拝トリオ」にとっては「聞く耳持たない」ということらしい(笑)。小泉さんだけならまだしも、安倍ちゃんにも袖にされて、公明党としては、一応「言ってみる」ということでしかないようだ。中国側主張の「紳士協定」(参考記事:王毅大使の紳士協定)を型通り踏襲してみたが、ダメだったということだね。ひょっとすると、対中関係を心配して、公明にお願いした経済界の方々でもいたのかもしれないけれど。


このように蔑ろにされた連立政党の立場としては、ちょっと立つ瀬が無い感じでもありますね。これは選挙圧勝だったから、予想されたことですけれども。今後、外交・防衛関連での公明の発言力低下は、ある意味で「歯止め」が弱くなるから、慎重な戦術が公明党に求められていると言えるだろう。それほど存在感が薄くなっている、ということだ。

「そんなに無視するなら、協力してやらんぞ」と、果たして言えるかな?公明党。


3)道路特定財源にこだわる奥田氏

これも結構しつこいね。道路がそんなに大事なの?(笑)

Yahoo!ニュース - 時事通信 - 道路特定財源、「一般化は早い」=奥田経団連会長


「まだ、やるべきことがある」というは、大体何でも一緒ですよ。少なくとも、道路財源の剰余が出そうなら、他へ回すのが当然ですよね。何で道路の為に積立金とかにして貯めておく必要があるんだ?単年度で数千億円も余るなら、他で使えるでしょ。


特定業界への利益誘導に過ぎない、って言ってるのが分らんのかね。そういう立場であることを自覚して頂き、発言するべきですね。経済財政諮問会議の民間議員というのは、そういう立場にあるんですよ。何で「自分のとこ」の代弁ばかりするんですか?執拗に道路財源に拘るのはオカシイですよ、と言っているんです。

経済財政諮問会議内の抵抗勢力


日本自動車工業会は、今はやりの、「抵抗勢力」であるところの「霞ヶ関官僚」の、「天下りポスト」指定席を用意しているもんね(笑)。だからなんでしょ?政府系金融機関の理事になったりするような官僚たちが、工業会にワンサカ下ってくるからな~。

だから、「天下りも無くせない」「道路財源も死守」なんだろ?

官民一体の、グルなんだろ?日本自動車工業会。

こりゃ、筋金入りの立派な抵抗勢力(笑)じゃないか。違うか?


そういう誤解を国民にもたらすことが、そんなにいいことなのですか?よく考えて発言するべき。「個人的には~」って枕詞を並べれば、それで済むとでも?



外国人労働者受け入れへの危惧

2005年11月06日 16時09分38秒 | 社会全般
フランスでの暴動は酷い騒ぎになっているようですね。日本でも将来的には「海外からの労働者受け入れ」という構想があるようですが、このような問題が発生する可能性があるということをよく考慮しておくべきですね。暴動は日本でも同じように起こってしまうかもしれません。

Yahoo!ニュース - 産経新聞 - パリ暴動、地方に拡大 移民隔絶、憎悪の悪循環

参考記事:
右翼化する時代


昔に日本人が起こしてきた暴動はたくさんありましたが、戦後にはかなり減少して、近年の大きな混乱としては日米安保・成田闘争くらいがあった程度でしょうか(他に思い出せないだけなのですが)。あまり記憶にありません。日本は割りと穏やかな日々を過ぎてきたんだろうと思います。ああ、大阪の警察署前で暴徒が発生したことがありましたね。大阪は暴徒の発生しやすい地域なのでしょうか?阪神優勝の時にも、多少の騒ぎがありましたね。無関係な建物や車などに破壊的行為などがあったと思います。他の地域では思い出せません。


それでも、日本では概ね凶暴な暴徒の発生は食い止められてきたと言えるでしょう。治安能力の差なのか、国民性なのか、不満・怒りレベルの問題なのかよく判りませんけれども、将来的に外国人を大量に受け入れていこうという場合には、これまでとは異なった状況が生まれてくることも想定しておかなければならないでしょう。民族的対立による日本人の暴動という場合と、海外から入ってきた外国人の暴動という両面が有り得ますね。フランスでの暴動は移民によるもののようです。そういえばロス暴動の時には、アメリカ国籍を有する黒人による暴動でしたね、確か。移民が国籍を取得しても、人種差別的背景があれば、それも問題となり得るかもしれませんね。受け入れの数の問題ということなのかもしれないですし。少なければ、暴徒化するパワーが弱いので直ぐに鎮圧されるということだろう。適度に少なければ、大きな問題とはならないのかもしれない。でも、何万人までは大丈夫なのか、というようなことはよく判りませんね。


アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスといった、移民受け入れを行ってきた他国の状況について、もう少し検討したり議論を積み重ねていった方がいいですね。日本国内での準備がもっと必要なのではないか、ということです。