いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

テポドンを追尾せよ!(4)

2006年07月09日 19時28分24秒 | 俺のそれ
・日本―5月11日午前3時

攻撃部隊は出撃した。メインの攻撃部隊である、岩国に来ていたホーネットは、初めに2機、続いて2機が離陸していった。予備の攻撃隊である厚木の4機も同じく命令を受けて、漆黒の空に向かって出撃していった。

在日米軍の司令部には、北朝鮮の防空能力に関する情報は全て集められていた。現在攻撃ポイント付近の空域には、障害は何一つなかった。待機していたプラウラーは、ホーネット部隊が到達する15分前から敵レーダー網を探知不能にさせることになっていた―もっとも北朝鮮のものは、初めから大して能力の高いレーダーではなかったし、防空能力も最低ランクではあったが。その予定ポイントに既に移動を開始していた。

米軍は、日本側へはまだ連絡していなかった。攻撃が完了した後で、事後的に通告するだけでよかった。そもそも今の日本では、事前に攻撃を知ったところで何もできないことに変わりはなく、攻撃任務を知らせれば情報漏れが多くなるだけだと考えられていたからだった。必要なことは迅速に、そして確実にミッションを実行すること、これだけだ。日本という国は、実戦においては足手まといでしかない。


・北朝鮮―5月11日午前3時

軍司令部でも、外交部でも、お手上げ状態になっていた。うまい手が何も見つからなかった。

外交部に1人の若手がいた。彼は以前に北朝鮮の国連大使と伴にアメリカで過した経験があり、国外事情には他の無能な幹部たちよりも明るかった。韓国の外務省筋に一応のコネクションを持っており、そこから米国へのルートを手繰っていってはどうか、と考えた。もう時間がない為に、韓国側がこちらの言うことを信じてくれることを祈るしかなかった。

彼は、韓国外務省の1人に緊急連絡を入れた。どうしても大臣につないで欲しい、と願い出た。非常に重大なメッセージだ、と訴えた。韓国外務省の職員は、自分の判断では大臣に直接取り次ぐのは難しい、と返答してきた。しかし、米国の韓国大使館にならば伝えられる、ただし別な重要情報も一緒ではないと納得させられないだろう、とも付け加えられた。彼は一瞬迷ったが、一縷の望みを賭けて、そのルートに託すことにした。「今夜北朝鮮のミサイル発射はない、絶対に5月中の発射はない。タイムリミットは5月の最終日だ。金正日がそう決めた」と断言した。これが果たしてアメリカに通じるのか・・・どうにか間に合ってくれ、と祈った。


・中国―5月11日午前

チャンは北朝鮮の党幹部から意外な情報を得た。ミサイル基地の兵士たちが緊急招集された、ということだった。また、党幹部や軍幹部たちも慌しく集合しているらしかった。一体何が起こったのかは分っていなかったが、緊急事態のようだった。ミサイル発射基地の点検のようなことを始めたようだ、ということらしかった。軍部の情報では来月以降に発射らしい、ということも伝えられた。チャンは急いでいつもの中国系米国人に暗号メールを送信した。


・ロシア―同時刻

CBPのクラコフの元に、北朝鮮のミサイル基地がまるで蜂の巣をつついたような騒ぎになっている、という情報が入った。例の中国系米国人からだった。

来月発射なのに、何故だ?これは何かおかしいな。
しかも発射準備ではなく、何かの点検、って何だ?
弾頭が盗まれたとか?
よく分らんな。何かの事件であることは確かだろうな・・・
ここはひとつ、ホフマンに聞いてみるとするか・・・

CIAエージェントのホフマンならば今回も知っているだろう。


・米国―(日本時間午前3時過ぎ)

国防総省に、いくつかの新たな情報が集まってきていた。

CIA経由では、北朝鮮の今の騒動と、来月のミサイル発射予定、ということがわかった。
更に、韓国大使館の武官を通じて、武官の知人である米国の陸軍大佐宛に緊急の重要情報が来たようだった。それは、ミサイル発射は来月以降であり、今月中の発射は絶対にない、ということらしかった。これは非常に確度の高い情報だ、ということであった。

こうした情報は、大統領補佐官の元に届けられた。補佐官は大統領にすぐさま報告した。


「大統領、新たな動きがありました」
「北朝鮮は何か変えてきたのか?」
「はい。情報を総合すると、今のところ発射意図はない、ということのようです」
「それは確かな情報か?」
「ええ、それぞれ情報源が異なっており、内容が一致しています」
「衛星の方は?」
「発射口は小さくなっている、との分析です」
「それは閉じている、ということか?」
「多分そのようです。現在作業途中なのではないか、と」
「自動ではないのか?」
「さあ、でも時間がかかっているものと思われます」
「いまどき、セーフコ・フィールドの天井でさえ自動だぞ」
「貧困とはそういうものなのでしょう(笑)」
・・・・・


攻撃中止が決定された。
大統領命令はすぐさま伝えられ、司令部から中止命令が下った。
「攻撃中止、攻撃は中止。全機、帰投せよ」

ホーネットの攻撃部隊は、攻撃ポイントのわずか手前で大きく旋回し帰路に着いた。



・日本―5月11日午前4時過ぎ

危機管理センターに詰めていた人々は、外が明るくなり始めるのと期を同じくして、米軍の攻撃中止を聞いた。北朝鮮のミサイルは今月中には発射されない、というものであった。多くはやや安堵の面持ちを見せたが、今後どのような展開になるのか不明点が多く、手放しでは喜べなかった。今後も監視体制は続けられることになるだろう、と誰もが思った。


第3章  情報戦


・米国―5月12日

今回の北朝鮮への極秘裏の攻撃プランは、実施寸前で中止された。しかし、対北朝鮮政策の分岐点に来ていることが政府内では認識されることとなった。北朝鮮のミサイル発射計画は未だに残されており、6月以降になれば再び発射危険性が高まっていくであろうことは確実であった。そこで、北朝鮮のミサイルに対しては、次のように基本方針が確認された。

①核ミサイルの可能性が否定できない時には先制攻撃を行う、②日本のミサイル防衛強化を促進、というものであった。
特に②に関しては、北朝鮮のミサイルが核弾頭以外の場合には敢えて発射を阻止しない、つまり言い換えると「わざと発射させる」ということをもって日本のミサイル防衛に対する危機意識を高め、防衛力整備を促す効果を持たせる、というものであった。通常弾頭の地対地ミサイルが着弾した場合であれば、金正日体制壊滅=北朝鮮解体の大義名分にできる、ということも含まれていた。

日本に対しては、米軍が協力体制をとり、情報提供も行うということを改めて防衛庁に申し入れることとした。勿論、「わざと発射させる」ということは言わなかった。


日本は米国側の申し出を受けたものの、非常に抽象的な「協力体制」という言葉が何を・どのレベルまで意味しているか、ということは確認しなかった。とりあえずは米国の言う通りにする以外にはなく、情報をくれるまでは待つということしかできないのだった。


・北朝鮮―5月15日

先日のアメリカの攻撃情報は結局脅しに過ぎなかった、という意見が多数派だった。軍部はこれに乗じて、ミサイル発射準備を着々と進める、と強く主張していた。隠蔽サイロのことは、チョ中佐とパク中将以外には知られていなかった―そのミサイル基地の兵士たちは開けろと言われたり、直ぐに閉めろと言われたりで、何が何だか分らなかっただろう―から、パク中将派の権勢を削ぐには至らなかった。外交部は逆に発言力を弱め、結果的に軍部の増長を許すこととなった。

外交部の一部はこの状況を受けて、何とか交渉の糸口を外交努力で見つけるべく行動を開始した。米国との2国間交渉への道筋を探るべく、中国経由の働きかけを行った。軍事的行動では不利な状況となるだろう、と考える勢力も存在していたのだった。先の韓国外務省へのルートで工作した、若き幹部もその1人であった。タイムリミットの今月末までには、北朝鮮と米国の協議のチャンスを作り、何とか経済封鎖を緩和してもらえるように努力するしかなかった。

もう一つ、韓国ルートでの日本向け工作として、「拉致家族」というカードを使うことにした。「めぐみさん」の夫であるキム・ヨンナム氏を登場させる舞台を準備することとした。このカードは、外交路線重視の一派にとっては頼みの綱であった。これで何とか成果を挙げなければ、軍部の発言力を覆すことはできない、という危機感があった。今は、持ってる手段を全て使うしかないのだ・・・外交部内には悲壮感さえ漂い始めていた。


・米国―5月17日

ホフマンは、北朝鮮のミサイル発射計画が実験発射であるとの情報を、2日前に連絡員の「アロー」から受け取った(「キム大尉」がきっと頑張ったに違いない)。この情報はいつものように、すぐさまCIA末端から米国政府内に伝達された。米国の基本方針に変更はなかったが、どうやら弾頭の心配は減退し、方針の2番目の方に重点が移っていった。それに加えて、北朝鮮が仮にミサイルを発射したとしても、制裁措置に踏み切れる方が利益が大きかった。この情報を得てからは、本格的な緊張状態よりも発射後の影響分析に関心が集まった。国防総省のアジア地域担当者たちは、また新たなレポート作成に頭を悩ませることになった。


一方、北朝鮮の外交部筋の要請を受けた中国は、米国へ働きかけを積極的に行い、それが奏功したのか、米国メディアに意図的な情報がリークされたようだった。外交重視派の協調戦術の一環であった。
17日のニューヨーク・タイムズには「米国が北朝鮮との平和条約締結も視野に入れた政策を検討している」という、軟化路線に転換したかのような印象を与える報道が載せられた。北朝鮮の反軍部勢力の強力な巻き返しかと思われた。しかし、この作戦はすぐさま頓挫させられることとなった。


・日本―5月18日

北朝鮮の軟化路線転換が本格化すれば、そのことが不利な状況と考える人々もまた、存在した。それは米国にも、日本にも存在していたのだった。北朝鮮には発射計画を推進してもらった方がいい、と考えていたのだった。

米国側には、どうしてもミサイル防衛を拡大したい人々がいた。彼らは、日本に北朝鮮のミサイル発射計画の一部情報を伝達してきたのだが、「実験発射であり実害は想定されない、万が一にも着弾はさせない」ということまで言ってきたのだった。故に、北朝鮮に発射を許容させる、という意味であった。これによって、日米協力関係強化やミサイル防衛整備は促進されるだろう、ということを読み筋に入れていた。そうした勢力は、北朝鮮のミサイル発射計画が存在するという情報を、一部メディアにリークしたのだった。昨日の「平和条約締結に向けた政策」などという、ヌルイ「落とし所」なんかに落ち着かれては困るのだ。この情報リークはそうした意図で行われた。



このリークによって、ミサイル発射計画を公表されてしまった北朝鮮は、再び迷路に嵌ることになるのだ。

タイムリミットの5月末が迫ってきていたが、ここに来て状況変化が目まぐるしく起こってきたのだった。



テポドンを追尾せよ!(3)

2006年07月08日 16時29分36秒 | 俺のそれ
・北朝鮮―5月11日午前1時過ぎ

北朝鮮の最高幹部の1人に、中国から緊急の電話連絡があった。これまで北朝鮮とのパイプを作ってきた外相クラスの人物であった。極めて重大なメッセージを伝えられた。それは「アメリカは今夜中に、発射可能な弾道ミサイル発射台を極秘裏に攻撃する」というものであった。ただ、現在は攻撃待機ということで、北朝鮮が「発射不能な状態」にはっきりと変えるならば攻撃は猶予する、と付け加えた。

「発射のことは全く聞いていません。それに発射計画はもっと先ですよ」
「いや、アメリカには見えているらしい。発射可能な発射台が何処かにあるはずだ」
「幹部の知らないところで、発射しようとしている連中がいると?」
「そういうことかもしれない。後は、そちらの対応次第だ。我々ができることはこれだけだ」
「わかりました。今夜中に何とかします」


軍部の連中だな、クソ!
幹部には思い当たる節があった。
パクの奴だ。きっとそうだ。独断で発射しようとしてるんだ。だが、・・・これは奴を陥れるチャンスかもしれない。軍部のヤツラをギャフンと言わせる絶好の機会になるかもしれない・・・。うまくやるんだ、チャンスを活かすんだ・・・


軍の参謀本部と司令部の指揮官たちに、緊急連絡が届けられた。
「ミサイル発射の兆候がどこかにある。それを直ちに封鎖・解除せよ」というものであった。
初めのうちは、軍部は「どうせアメリカのこけ脅しに決まってる。そんな要求に応える必要なんかない」と抵抗していた。しかし、アメリカが本気らしい、というのは中国筋からの情報で確度が高いと判断されたのだった。
ヤンキーは、本気モードになると、躊躇わずに実弾を撃てる人種だと知っていた。しかも、他に被害が及ぼうとも、お構いなしに撃ってくる。ショットガンが好まれるのは、威力もそうだが、「敵を倒す」ことを何より最優先する人種だということを示しているのだ。

パク中将は司令部に呼ばれていた。
中将は、「私はそのような命令を出した覚えはない」との一点張りであった。これを確かめる術はなかったが、今はそんなことにかまけている時間などなかった。アメリカに攻撃されるかもしれないのだ。ともかく全てのミサイル部隊に連絡して、発射を疑われるような部分は全て隠させることとなった。



チョ中佐も参謀本部に現れた。
隠蔽サイロの開口部を開けさせたのは、彼だった。これには目的があった。

一つはアメリカの探査能力を知る、ということだった。
判別のやや難しいノドンの隠蔽サイロを発見できるとなれば、実際の使用時には必ず攻撃されるだろう。問題は発射可能地点を如何に増やすか、だ。半分は攻撃を受けたとしても、半分発射できれば攻撃は可能だ。彼らが全部を破壊できるとは限らない。「ノドンの数」というのは、そうした脅威を与えるのに役立つのだ。アメリカの攻撃成功率が90%であっても、100発あれば10発は発射できる。200発ならば20発の核ミサイル攻撃が可能、ということだ。日本を壊滅させるには、十分な数だ。主要都市圏―東京圏、大阪圏、名古屋圏、九州北部―が核に汚染されれば、もう終わりだ。4発着弾するだけでいいのだ。つまり生き残った20発のうち、4発あればいいのだ。20%の成功率でも、大都市圏に着弾したら終わり、なのだ。核ミサイルの脅威とは、そういうものだ。

もう一つはミサイル発射に対する耐性だ。3月の短射程のミサイル―スカッド改良型―の時は、発射が実行できた。事後に不快表明が少しあったが、国際社会の反応は鈍かった。この程度ならば許容される、ということでもある。もう少し長距離のミサイルならばどうだろうか?イランやパキスタンでは発射可能であった。ならば、我々が発射しても許されるはずだ。いや、邪魔されるべきではないのだ。


チョ中佐は以前にパク中将に、次のように話したのだった。

この前のミサイル発射は成功しました。今度の新型ミサイル発射を成功させるには、事前に一つのステップが必要になります。そのステップとは、発射準備段階で阻止の動きが強まるかどうかを調べることです。いきなり新型の発射準備を開始して、その段階で介入されれば、最終的に発射できなくなる恐れがあります。阻止の介入がなければ、実戦での使用可能性が高まります。それは、「得体の知れないミサイル」の発射準備というだけでは攻撃してこない、ということを意味すると思われます。もしもそうであるなら、実戦においてもその確率は高まるでしょう。3月の発射では、射程の短いミサイルであったため介入してこなかった可能性が濃厚です。従いまして、旧型(ノドン)の発射兆候でまず反応を見るのがよろしいのではないかと。実際に燃料注入はしないとしても、サイロの擬装を外して、開口部を露出させます。それでアメリカの出方を窺います。別な見方では、童話にある「オオカミ少年」の話を御存知かと思いますが、それと同じことが起こるかもしれません。何度か実験発射という「ハズレ」を見せることで、本物の発射であることが信じられなくなるかもしれません。将来「また実験なんじゃないか」という慢心を生むかもしれない、ということです。
いかがでしょうか?


パク中将は中佐の意見を受け入れた。ただし、責任はお前が取れ、とも言った。もしも失敗した時には、関知しないということを意味していた。


今は、どこの発射基地がアメリカの攻撃目標となっているのか、司令部内では分っていなかった。一体、どこのことを言っているのだ?可能性のある基地すら誰も思い当たらなかった。チョ中佐は当然厳しく詰問された。

「必ず何処かのミサイル部隊が疑われているんだ。君はわからんのか」
「新型はまだ運んでもいません。他は今までと変わりない状況です」
「しかし、アメリカは攻撃する気だ、と言ってるんだぞ」
「私にもどこが問題にされてるかわかりません」

時間は刻々と過ぎていった。何かのアクションをせねばなるまい。困った軍部は外交部にしぶしぶお伺いを立てた。「どうしたらよいか?」

夜明けまで残された時間は少なかった。外交部でも緊急に討議された。何か方法はないか?
国連大使に、「発射の意図はない」と言わせるか?
だが、そんなことをすれば、こちらが謝ったことになってしまい、アメリカの脅しにひれ伏し、屈したことになってしまう。次からも必ずその言い分を受け入れることになってしまう。それは絶対にダメだ。
ならばどうする?仮に攻撃を敢えて受けて、アメリカが攻撃したという証拠を掴んで公表できればよいが、アメリカが「足のつく」ような攻撃をするとも思えない。
中国に頼んでみるか?しかし、例の要人はこれしかできない、と言って一方通行のメッセージを伝えてきた。これは極秘裏の非公式メッセージであって、アメリカは逆からのメッセージを認めないだろう。
どうする?どうしたらいい?


・日本―5月11日午前2時過ぎ

危機管理センターでは新たな情報を待っていたが、米軍からは何も連絡が入ってこなかった。
緊迫感だけがその場を支配していた。


米軍の攻撃部隊は、既に沖縄から岩国に到着しており、厚木でも予備の飛行隊が待機中とのことだった。攻撃命令が下れば、すぐにでも出撃となる予定だった。

「米軍からは、連絡がまだ来ないのか」
「はい」
「自衛隊機はどうなった?」
「イーグルは交代で警戒飛行を行っています」
「プラウラーも到達してるのか?」
「はい。予定空域で待機中です」
「北朝鮮のミサイルは本物なのだろうか?」
「わかりませんね・・・ですが、万が一ということはありますから」
「待ってる時間は長いね・・・」
「いっそ北の基地をぶっ潰してもらった方が有り難いのですけどね」
「便乗かね?君は中々エグイね(笑)」
「ええ、貧乏性なもので、タダなら何でも」
「タダは高くつくよ?君も今に分る。歳を重ねればな」


・米国―同時刻

「大統領、北朝鮮にはメッセージが伝わっているそうです」
「そうか。で、何か変化はあったのか?」
「いいえ。暗視衛星で見ても、特に変化はないそうです」
「彼らは単なる脅しだと思ってるのではないか?」
「それは何とも。夜明けまであと2時間ほどです。日が昇れば・・・」
「うむ。わかっている。日の出前にはケリをつけよう」
「出撃命令は発令しますか?」
「そうしてくれ」
「わかりました。予定通り日本時間の午前3時に出撃させます」


・北朝鮮―午前3時

チョ中佐は今までわざと開かせていたノドンの隠蔽サイロの開口部を、大至急閉じるよう密かに命令を出していた。しかし、部隊の連中は集合が遅く、夜間であることもあって作業は捗っていなかった。精鋭とは呼べないような、鈍い部下が多かったのかもしれなかった。上官はノロノロ動くな、急げ、と怒号を発していた。彼らはこのサイロに、「アメリカ製のミサイル」がぶち込まれるなどとは想像もしていなかった。もしも分っていたら、もっと早く作業ができたかもしれない―いや、全員逃げ出していただろう。

ミサイル発射口の天蓋部分は全て動力による開閉ではなく、大方が人力であった。しかも、高い場所までハシゴをひたすら登らねばならず、そのハシゴも1人ずつ順番に登るしかなかった。これでは時間がかかるのも当然であった。



テポドンを追尾せよ!(2)

2006年07月07日 21時27分38秒 | 俺のそれ
第1章 (続き)

・中国―5月5日

中国系米国人からの指令が来ていた。チャン(仮名)は北朝鮮のミサイル発射計画について調べるように、情報提供者である北朝鮮の党幹部に指令を伝える手筈を整えることにした。チャンは、この中国系米国人がソ連に情報を流していることを知っていた。もう随分長くやってきたが、今でもロシアに情報が渡っているのかどうかは確かめようがなかった。まあ、金は確実に入ってきてるから、どちらでも良かったのであるが。


・米国―5月5日

大統領は補佐官と海軍司令官から北朝鮮のミサイルについて説明を受けていた。

「当面、攻撃力には心配ない、ということだな?」

「はい、閣下。短射程のミサイルだけは攻撃力が一応ありますが、韓国に向けて撃つことはないと思われ、唯一の目標になりうるのは日本だけでしょう。ノドンが本当に使いものになるのかは不明です。恐らく慣性誘導はほぼ絶望的ではないかと。」

「日本は過度の不安民族だからな・・・牛肉騒動を見れば一目瞭然だ(笑)。で、将軍、万が一の場合のオプションは?」

「沖縄と厚木にホーネットを各4機待機させ、どちらか一方を予備チームとします。発令から目標地点の攻撃までは、約40分で可能ですので、弾道ミサイル発射の40分前がリミットです。まず2機がASMで攻撃します。2機はバックアップで、最初の攻撃で万が一外した場合に、誘導爆弾で攻撃します。北朝鮮のレーダー網はザルで、対空ミサイルは恐らく1発も飛んでこないでしょう。念のためということなら、プラウラーも一応出せますが、その場合には目標地点到着時間が延びてしまいますので、予め空域に飛ばしておくことが必要になります」

「それで問題ないな?補佐官。よし、いいだろう。日本側にも、攻撃オプションは説明しておくように在日米軍の司令官に伝えてくれ、将軍。その時には、自衛隊にも参加を求める、ということもだ。攻撃できずとも、プラウラーを守ることくらいならできるだろう。駐日大使には、こちらで連絡しておく」


・日本―5月6日

米国駐日大使と海軍司令官は極秘裏に首相官邸に入った。官邸では、総理、官房長官、外相、防衛庁長官らが顔を揃えていた。
駐日大使が概要を説明し、その後、攻撃オプションの詳細については海軍司令官が行った。

「実際、日本に向けて発射するでしょうか?」
「それは何とも言えません。万が一に備える、ということだけです」
「通常弾頭の場合には、ミサイル基地の攻撃をしてもらえるのですか?」
「それは現時点ではわかりません。核弾頭の場合は絶対に阻止しますが」
「しかし、通常弾頭であっても被害はかなりあるかもしれん・・・」
「まずは、発射計画の詳細を調査するしかないと思われます」
「わかりました。大統領によろしく伝えておいてくれたまえ」


・米国―5月8日

国防総省では、依然重要な情報が集まらないことに苛立ちを感じていた。北朝鮮の狙いが何なのか、弾頭に何を搭載して発射するか、ということが問題であった。


アジア地区担当者たちは北朝鮮の分析レポートを提出するため、ミーティングを開いていた。

「今回の発射は、実験なのではないか?」
「確かに、その可能性が高いだろう」
「他の狙いがあるということは?」
「まさか、日本や韓国に攻撃、ということはないだろう」
「やれば壊滅させられる。死ぬ気なのか?」
「わからんね。そもそも金正日が何を考えてるかなんて」
「まあね。現状でも十分キチガイじみてるからな」
「それは言えてる」
「冗談はさておき、発射は何の為に?」
「・・・・・」

その後も検討が続けられ、いくつかの見方が出された。幸いにも、もっともらしい理由が見つかったので、報告書にまとめられた。その要旨は次のようなものであった。


北朝鮮は新たな手段を手に入れようとしている。ポイントは2つ。
一つは、イランの戦術である。イランは核を放棄せず、ミサイル発射実験を行った結果、欧州や米国の介入を退け、石油・油田を盾にして外交交渉では優位に立っている。強硬なイランの態度を変えさせるという点においては、現段階でも成果はほとんど上がっていない。この戦術を踏襲しようとしている可能性がある。

もう一つは、ミサイル技術の強化である。3月に行った改良型の発射実験で、ミサイル実験に成功したと考えられている。少なくとも朝鮮半島有事の際には、ある程度の威力を発揮すると思われる。このことは、北朝鮮のミサイル技術が向上してきていることを窺わせるのに十分である。新型ミサイル―テポドン2号―の第2段ロケット部分は、発射実験を経ており、輸出されていることを考え合わせると実用段階に到達している可能性がある。イランでの発射実験は、この第2段部分がある程度使用可能なものと考えることを支持していると考えられる。このことを前提にすれば、第1段部分の発射実験が必要なことは確実で、これに成功すれば、新型ミサイルは完成をみることになるだろう。


・北朝鮮―5月9日

キム大尉はミサイル発射計画に関する新たな情報を探していたが、詳しいことを知る人間は以外に少なかった。それでも、新たな情報として、次のことが判明した。
まず、発射時期が決まっている、ということ。それがいつなのかは、誰も知らなかったのだが。
それと、どうやら新型ミサイルが投入されるらしい、ということ。どこに向けて発射されるかは不明。

こんなショボイ情報でも報告しないよりはマシだろう、と思って、衛星電話回線につないだ。






第2章 先制攻撃


・日本―5月10日夕刻

画像分析は極めて退屈な作業であった。24時間体制で衛星写真をくまなく調べてはいたが、新たな動きはなかった。米軍からの情報で、テポドン(1号あるいは2号)の発射基地周辺の正確な位置を掴んでいたので、その領域は集中的に調べられていた。可能性の高い基地は2つあり、それぞれ命名されていた。一方が「ヤマアラシ」、もう一つは「イタチ」だった。なぜこの名前になったのかは誰も知らなかった。だが、写真に付けられた無味乾燥な名称―エリア「Ⅱ-D-8」とか「Ⅳ-G-12」という―で呼ぶのは面倒なことに違いはなく、分析官たちは好んで「ヤマアラシ」と「イタチ」の名前を用いていた。


午後4時過ぎに撮影された一枚の画像に食い入るように見つめる男がいた。彼は航空自衛隊に入隊した後、画像分析の専門家となっていた。本当はパイロットになりたかったのだが、視力に問題があって道を閉ざされた。航空写真や衛星写真が元々好きだったこともあって、自分に向いているのは画像分析だと確信していた。今はメガネをかけてるから、視力の心配はない。画像を見る目は、パイロットの視力を要求されたりはしないのだ。もっと違った集中力・注意力、そして何よりも想像力が必要だった。物体を判別するための目というのは、「写真では見えてない部分」さえも自分の目の中で構成しなおして、識別する能力が必須であったのだ。


他の分析官たちは、「今日もヤマアラシは静かだね。屹立するモノなんざ、見えないよ」などと軽口を叩いていた。「イタチ」も同様に、何も新たな情報を得られてはいなかった。その傍らにいた先の分析官は、大声で他の分析官たちを呼んだ。

「ちょっと、これを見てもらえないかと思って」
「山岳地帯だな。ここに何か?」
「ああ、ここの部分に禿げてる部分が見える」
「どれどれ。へー、こりゃ見えにくいね。でも確かにそう見えなくもないな」
「ひょっとすると、発射口のようなものなんじゃないかな、と」
「ホントか?もしそうなら、発射準備ってことか?」
・・・・

地下トンネル型のミサイル発射口である可能性があった。衛星情報センターには、米軍の分析官が指導に来ていたので、問題の画像を見せた。すると、分析官は顔色を変えてどこかに連絡し、急遽、他の衛星情報との突合が行われることになった。米軍での分析結果は、内部でミサイルが垂直に立っている可能性がある、という結論だった。ノドンかテポドンかは不明であった。

まさか、発射寸前なのか・・・・?



危機管理センターに、「ミサイル発見」の一報が届けられた。米軍の決断は早く、すぐさま出撃体制をとる、ということだった。夜間にいつでも発射できる状態になる、という可能性が否定できなかったからだった。航空自衛隊にもスクランブル要請が来た。総理以下、主要閣僚には既に連絡が入っていた。


日本の対応は、敵の領空外ならば航空自衛隊機を出撃せられる、というものだった。勿論、交戦は避けなければならなかったのだが。更に、弾道ミサイル発射に備えて、イージス艦を出航させた。


イーグルの部隊にスクランブル発進の指令が下った。三沢基地を飛び立ったイーグルは、米軍のプラウラーが空域に到達するまで警戒飛行を続けることになっていた。初めに2機、1時間後に次の2機が飛び立っていった。厚木のプラウラーは、ミサイル発見から僅かな時間で離陸した。足がノロかったからだ。攻撃するホーネットの部隊にも命令が下っていた。HARMを搭載した第一陣、ウォールアイを搭載した第二陣が待機していた。あとは、攻撃命令がくるのを待つだけだった――。


・米国―5月10日

衛星によるノドンの隠蔽サイロと思われる発射口の発見は、大統領に伝えられていた。攻撃するか否かの決断をせねばならなかった。

「状況を聞こう」
「ハッ、大統領閣下。現在赤外線衛星の画像では、熱源は非常に微弱で、活動状況は不活発と思われます。しかし、既に作業終了ということも考えられます。」
「で、ミサイルは何なんだ?」
「正確には判りません。地下の深さの推計ができてないので。しかし、テポドンではない、というのが情報部からの情報です」
「それは当てになるのか」
「どうでしょう。仮にテポドンだとしても、米国本土には撃ってこないでしょう。これは確実です」
「弾頭は何か判ったのか」
「いいえ。核の可能性はかなり低いでしょう。しかし、否定材料は今のところありません」
「ふーむ、サイロを潰すのはわけないが・・・極秘で攻撃できるか?」
「はい、閣下。正体不明の山火事くらい、いつでも起こせますよ」
「なるほど。謎の鉄道大爆発や工場爆発が珍しくない国だからな」
「仰る通りです。北朝鮮は隠蔽サイロを潰されても、公表できないでしょう」
「夜明け前に発射される可能性は?」
「光学式の偵察衛星を避けるならば、発射する意味はありますが・・・」
「熱源探知は逃れられない、と」
「その通りです。赤外線衛星には必ず探知されます」
「北朝鮮は本当に発射するつもりなのか?」
「それは何とも。発射可能なサイロであることは確かです」
「発射を思いとどまらせるルートはないのか?」
「成功するかどうか分かりませんが、シグナルを送ってみましょうか?」
「それは?」
「中国経由で、『口を閉じないと火事が起こるぞ』と(笑)」
「いいだろう。攻撃部隊はとりあえず待機。変化がなければ、夜間のうちに攻撃だ」
・・・・・


中国の駐米大使はパーティ会場へ向かう車の中で、至急中国大使館に戻るようにメッセージを受けた。大統領補佐官の1人から電話があったからだった。緊急事態ということであった。
大使館に戻るとすぐに、指示されたホワイトハウスの番号の一つに電話した。連絡してきた補佐官は、緊急で北朝鮮にメッセージを伝えて欲しい、ということを告げてきた。これは重大事件だ・・・、と大使は思った。

大使は電話を切ってから、クソ、伝書鳩じゃないんだぞ、と悪態をついた。ワインで酔ったその役立たずの脳みそを少しは働かせろ、と大使館員を罵倒してその憂さ晴らしをした後で、本国の緊急回線につなげ、と怒鳴った。


※昨日書いた内容を一部訂正してます。10日の米国の部分です。時差があることを忘れていたためです。お詫び申し上げます。適当に書いてる物語であることを考慮して頂き、各種不備については御容赦願います。



テポドンを追尾せよ!(1)

2006年07月06日 22時17分28秒 | 俺のそれ
(この物語はフィクションです。当たり前ですけど。笑)


第1章 発射準備

・日本―3月某日

在日朝鮮人のアン工作員(仮称)は、いわゆるスパイであるが、映画のように華々しい活躍などすることはない。日本人としてひっそりと生きるだけである。名前も戸籍も全て日本人のそれと変わらぬものであり、彼の正体が知られることはない。社会からは目立たぬように息を潜めているのである。アンは中国にメールを送ることを業務としていた。受け手の中国人が誰なのかは一切知らない。接触したことも当然ない。ただ、指示されたアドレスにメールを送るだけである。このアドレスは一度使用すると、必ず変更されるのであるが。毎回違うアドレスに送信するので、一体誰が受け取って読んでいるのかは知らないのである。

アンは日本や米国を初めとする先進国の報道を詳しく調べたり、ネット上で情報を集めたりして、分析情報を書いてメールするだけだ。極めて地道な作業を毎日黙々とやり、情報を送る役目を続けるだけなのだ。彼の送る情報がどのように使われるか、何かの役に立つのかなどと考えることは意味がないと知っていた。上層部まで辿り着けば良い方だろう、といつも思っていた。大抵は頭の悪い、無能な軍人か、党本部のバカどもに握りつぶされてしまい、その価値が理解できないで終わるのだろう、と。

アンは日本と米国の対北朝鮮外交の報道情報を分析して、いつものようにレポートを作成した。
北朝鮮の包囲網を狭める、決定的な状況変化があったからだ。それは、今までのブラックマネーの流れを根底から覆されるものであった。ニセドル札も、麻薬密売も、マネーロンダリングも、全て捜査当局の介入が厳しく行われ出したからだ。このままでは、ブラックマネーは滞り、本国へ還流できなくなるのが時間の問題であった。日米は、外交面では軟化のポーズを取りながら、現実には、真綿で首を絞めるという方法を選択したのだ。もはや核開発の脅しは通じていない、という状況であることも付け加えた。

アンは重要情報という意味の暗号を入れた。これが、果たして本当に使われるかどうか・・・いつものように不安なまま、送信ボタンをクリックした。


・北朝鮮―3月某日

北朝鮮は外交的手段だけでは手詰まりに陥っていた。既に、韓国ルートや中国ルートで努力をしてはいたが、アメリカの態度を変えさせることは難しかった。更に、金が入ってこなくなることが何よりも恐ろしかった。故に、最高指導者からの厳命が軍部にも下ってきていた。
「お前ら、何とかしろ!」
これだけだった。

核開発を進めるぞ、ということをアピールして脅す、というのも、既に効力を失っていた。アメリカは読み切っている。こちらの手段が見切られてしまっては、単なるブラフに過ぎない、という評価以上にはならない。それでは意味がないのだ。譲歩してくれなければ、脅しにはならない。新たな「次の一手」をひねり出すことが必要であった。何よりも、断固たる行動が不可欠だった。

北朝鮮の外交部は、まだ外交的態度で交渉できると踏んで、明確な軍事行動には反対というのが支配的な雰囲気だった。しかし、軍部内には急進派が存在しており、下らぬ自己の手柄を欲する愚かな輩が大勢いたのだった。パク中将もその1人であった。彼は、ミサイル部隊の総指揮と、新型ミサイル―「テポドン2号」と呼ばれている―の開発責任者であった。最高指導者への進言機会を窺っていたのだが、タイミングよくそのチャンスをものにした。それは、在日工作員から送られてきた情報―アンのレポート―を元に作成された、軍事行動計画だった。

パク中将は、最高指導者を前にした党幹部の会議で熱弁をふるった。

「諜報員の情報を総合すると、日米はわが軍のミサイル部隊の能力について過少評価している。そして、核開発を進めるというのが脅しに過ぎないということを公表している。これは由々しき事態である。最も有効なカード、それはイランの例を見れば判るように、核開発と核ミサイルのセットである。このカードを今失えば、アメリカの言いなりにならざるを得ない事態に陥るであろう。

彼らはわが軍が行動に出ない限り、ミサイルは脅しに過ぎないのだ、ということを力説し、あちこちでそれをふれ回っているのだ。そのような暴挙を許しておくわけにはいかない。これは最高の指導者を戴く、偉大なる軍と、国家への挑戦だ。我々が決して、発射ボタンを押さないと高をくくっているために、このような見くびりを招いたのだ。もはや外交部の徒労では、何も得ることはできないだろう。

そこで、我らが父、将軍閣下にお願い申し上げたい。是非とも、ミサイル発射機会を与えられんことを。」


その場での結論は持ち越された。パク中将のあまりの売名行為っぷりが、他の幹部たちの不興を買ったからだった。

外交部は猛然と反対した。しかし、パク中将は自分の配下にあるミサイル部隊と新型ミサイルで、功名を立てたいという野心が非常に強かったが故に、強硬論を崩さなかった。軍部にはパク支持派が多数いたし、他の幹部にしても、パク中将に手柄を奪われることよりも、外交部になんかに何ができる、という空気が強かった。

最高指導者は頭が悪い為に、どの意見を採用するべきかは判らなかった。そこで、次の会議までに詳細なプランを作ってくるように求めた。


・北朝鮮―4月某日

最高指導者と幹部たちが集まる会議が開かれた。軍部からの詳細プランの提示が行われる日だった。
「では、パク将軍、発射計画を聞かせてもらおう」
「わかりました、将軍閣下。チョ中佐からプランを御説明いたします。中佐」
「ハッ。参謀本部のチョ中佐です。では、プランAを・・・・」

チョ中佐は、パク中将に認められて腹心に引き上げられた、軍部の若きエリートであった。ミサイル開発は実質的に彼の支配下にあった。今度の作戦に成功すれば、新たな地位が与えられるはずだ。自分の将来のためにも、何としても成功させたかった。そして、発射してみたかった。これまで開発を進めてきたミサイルを。実際にどういう具合になってるのか、彼自身も知りたいと思っていたのだった。撃たないミサイルなど、単なる記念碑と同じように無用の長物に過ぎないのだから。

外交部は今回も反対した。ミサイルがまだ十分ではない段階なのに、下手に発射して不備がバレれば逆効果だ、と。チョ中佐は、弾頭に爆薬を搭載せずに発射し、上空で自爆させれば回収されるのも防げるし問題ない、と述べた。また、アメリカの空爆の可能性を否定はしなかったが、多分「できないだろう」とも述べた。これに対して、外交部はタイムリミットを設け、それまでは自分たちが外交手段で試み、それが奏功しない場合のみにするべきだ、と譲歩した。タイムリミットまでは、発射準備だけにしておき、その時の米国の反応をまず確かめるべきだ、とも主張した。

最高指導者は外交部の意見を採用し、タイムリミットのプランにしろ、と言った。それまでは、米朝2国間協議の可能性に賭け、発射準備段階でアメリカが攻撃してくる気配を示すかどうか、どこまでの段階ならばアメリカが耐えられるのか確かめることにした。それを待って、発射するかどうかを決定することとした。

「ではタイムリミットまで、発射準備を完了させよ」
最後は、最高指導者の一言で締めくくられた。


・中央アジア某国―4月某日

1人の男が衛星電話回線経由のデータを受信した。男は、通称「アロー」と呼ばれる連絡員だった。北朝鮮にいる軍人、キム大尉(仮称)からの緊急連絡が入っていた。「キム大尉」は本当に階級が大尉なのかどうか、怪しかった。そんなことはアローにとってはどうでもよかったのだが、大尉からは時々連絡が入ってきていた。キム大尉に直接会ったことがあるのは、日本人か若しくは日系朝鮮人の機関職員だけだ。

「キム大尉」からの緊急電は、「弾道ミサイル発射計画あり」というものであった。「アロー」はホフマンという名前の米国在住の男に暗号メールを送信した。多分偵察衛星で見えてるはずだろう、と内心思ったが、一応極めて稀な緊急電だし、何か特別な意味があるのかもしれない、と推測してみた。その後にふと頭に浮かんだのは、何故か今日の夕食の予定―子羊の柔らかい肉でも食べようか―だった。見たことも行ったこともない、彼方の地で起こる出来事とはそういうものだった。

・米国―4月某日

ホフマンは連絡員の「アロー」から受けた緊急電を、CIAの組織末端に伝達した。
CIAの中枢に届いた後は、アメリカの情報収集能力のいくらかが投入されて集中的に北朝鮮のモニタリングが行われた。どうやら、高い確率で情報は正しいようだ―これが米国での判断であった。このことは、数日後に日本の外務省と防衛庁にも伝えられることになった。ミサイル発射の真意が何なのか、これはまだ掴めていなかった。

弾道ミサイル攻撃という、直ぐにでも緊急事態が想定される、という段階には到達していなかった。弾道ミサイルの発射準備には時間がかかるはずで、その動きは必ず見つけられるはずだ。短射程の地対地ミサイル発射程度であれば、本格的な危機段階とは言えないのだった。米国か米国人に被害が及ぶわけでもないのだから。


・日本―5月2日

ゴールデンウィーク期間中だった為、総理は外遊先で聞くこととなった。あまり慌てた様子もなかった。「それって、まだ発射できないんでしょ?」と単刀直入に官房長官に尋ねただけだった。答えは勿論、決まっていたのだが。

ミサイル発射の情報を初めに米国側から聞いたのは、「2プラス2」で丁度米国を訪れていた外相と防衛庁長官だった。まさにタイミングよし。外相は外務省の情報統括官に召集をかけるように指示した。防衛庁では、新設された情報本部の統合情報部に情報分析担当官を待機させた。

日本に残っていた官房長官には、外相から直接告げられた。官房長官は、「いかにも北らしいですね」と簡単な感想を漏らしたが、当面は内閣情報調査室で情報収集を統括する体制とすることを伝えた。


主要閣僚が日本に急遽戻るほどの危機的状況ではない、という米国側の説明を受けていたから、できるだけ平静を装っておき、とりあえず情報は極秘とされた。


こうして、各省庁では人員が緊急召集された。内調は当然だったが、外務省や防衛庁の情報担当は危機管理センターに集合した。今までのところ、判っている情報は「北朝鮮にミサイル発射計画がある」ということだけだった。今後は米国からの情報を待つことも必要なのだが、防衛庁の画像・地理部の衛星担当官と内閣衛星情報センターの分析官は3交代制で衛星画像に張り付くことになった。警戒レベルは一段階引き上げられた。

集められた人々は口々に「あーあ、折角の休みだったのに・・・子どもに恨まれるよ」などとボヤキが漏れたのだが、今までにない緊張感があり、みな心に期するものがあるに違いなかった。米国頼みばかり言ってられない、日本の情報分析能力を試す絶好の機会かもしれない、と。


目を皿のようにして、或いは血眼にして、なのかもしれないが、北朝鮮のミサイルを積載したトレーラー類を発見せねばならなかった。北朝鮮の国土はそれほど面積があるわけではないのに、拡大した衛星画像で見れば、かなりの範囲を自分の目で探すことになり、その作業が想像する以上に大変だった。まだ発射準備に取り掛かっていなければ、当然画像上には何も見つけられないこともある。それでも、「何も見つからなかった」という証拠を示すためだけに、分析官たちは昼夜を問わず衛星画像の写真とにらめっこを続けることになった。


・ロシア―5月4日

CBP(旧KGBのこと)のクラコフ(仮名)の元に、米国在住の中国人連絡員から暗号メールが届いた。それは「北朝鮮がミサイル発射準備に取り掛かる」というものであった。クラコフはすぐさま情報を上に流したが、何のことはない、「待機」ということで処理されてしまった。ロシアにとっては、北朝鮮のニュースは無関心なニュースらしい。


クラコフは以前に協力依頼を受けたことのあったCIAのホフマンに、この情報を知っているかどうかを確かめることにした。ホフマンならばこの情報が重要だと気付くに違いない、とクラコフは確信していた。だが、ホフマンからの答えは、ガッカリさせるものだった。(なーんだ、知ってたのか。やはりCIAは侮れんな。)しかし、ホフマンは素朴なことを尋ねてきた。それは「北朝鮮が何故ミサイルを発射するのか」というものであった。

確かに、北朝鮮が韓国や日本を攻撃する為にミサイル発射を決行するとは考え難い。けれども、その可能性は完全否定はできないな。湾岸戦争の時、イラクは侵攻できない、と誰しも思っていたのに、実行するバカがこの世に存在することが実証されたからな。ましてや、核ミサイルなんて発射できっこないはずだ。これは一体、どういうことだ?ホフマンが言うように、不思議ではあるな。少し調べてみるか。


クラコフは、何かわかったら連絡する、とホフマンに伝えた。
早速連絡員に調査を命じた。
「ミサイル発射の意図は何か探れ」
この連絡員=中国系米国人は、中国国内に諜報員組織を持っているらしく、北朝鮮国境付近にいる中国人からの情報が多いようだった。北朝鮮内部のどこかにも、情報源があるのだろう。

ところで、ロシア人にとって、東洋人の国にロシア人スパイを送り込むことは、鴨の群れの中に白鳥が紛れ込むようなものであった。永久にスパイにはなれないのだ(笑)。だからロシアでは、アジア圏の情報収集はあまりやりたがらない。現実的な利益は少ないし、組織を作るまで時間がかかり過ぎる。自分が直接やれないから、下請けに仕事を出すようなものなのだ。昔は軍事顧問などでやっていたが、最近はそういうことも少なくなった。米国や他の先進諸国とうまくやる方が重要なのだ。だから時々米国にも恩を売っておくことも必要と考えるようになっていた。


すっかり時代は変わったのだ。
冷戦の終結が過去のものとなったという、証なのかもしれない。

(つづく)



誤解を与えるといけないので

2006年07月04日 22時14分33秒 | 俺のそれ
弁解めいたことを言いますが、昨日書いた松本教授の記事に関して、全国の大学教授の方々を非難したいわけではないです。また、学問を修めている方々を非難したいわけでもないです。


でも、知識人という階層の人々は、それなりの責を負うべきではないか、とは思います。昔に比べると、大学教授という人が異常に増えたんではないかと思います。専門分野の細分化とか、大学自体が増えたこととか、そういう影響もあって、教授という人種がもの凄く多くなってしまったのではないかと思います。


するとどうなるかというと、色々なレベルの人が存在するのですから・・・ということは容易に想像がつきますね。官僚を退官した後で、教授のポストにサクッと収まる人もいたりしますから、学問を専門にやってた人ばかりとも言えない面がありますし。


一般庶民にはあまり興味のない分野であることが大半で、何をどうやってるかなんて判らんのですよ。ですがね、研究者たち同士であれば互いに評価が可能でしょう。真面目に頑張っている先生もたくさんいると思いますけれど、そうでもない人もまたたくさんいるんですよ、きっと。


「リスペクトが、ない」というのは、現実を見ればそうなのでしょうけど、そうなっていったのは大衆のせいばかりでもないでしょう。ちゃんとやってない教授もゴロゴロいたり、他の教官や院生あたりにも散々批判される教授もいたりするので、知識階層全体の地盤沈下というようなことがあると思いますよ。


私には評価が難しいのですが、内部の人たち(同業者=同じ専門分野とか)ならばきっと判るでしょう。それにも耐えられない程度であれば、リスペクトはやはり得られないのではないでしょうか。



話が飛びますが、総合科学技術会議のメンバーは2年任期で、時々入れ替わりがあるんですが、これにはちょっとした謎があります。

因みに松本教授は2期4年やってたんですよ。

会議は平成13年からスタートしていて、森総理の時からやってたんですよ。で、その後、一度も替わってない人がたった1人だけいるんですよ。理由は不明ですけれど、こうした会議のメンバーを長くできる大学教授というのは、珍しいのではないかと思ったりします。授業も、研究も、院生に指導も、となって、そのほかに総合科学技術会議とかでしょ?かなり大変じゃないですか。


最古参のメンバーとは、東大の黒田玲子教授でした。小泉総理よりも長いんですよ。他の閣僚なんて途中で入れ替わりますから、もっと短い人はたくさんいます。でもお写真を見ると、中々お美しい先生のようですよ(笑)。それは別にどうでもいいのですけど、どうしてこの先生だけがスタート時から一度も替わることなく続けているのか、ちょっと不思議に思いました。

政府の審議会とか委員会とか、こういう科学技術会議とか、同じ人が長年やるというのはよくないのではないかと思ったりします。大抵は腐敗の温床となっていったりしますからね。黒田先生がそういう疑いがある、とかってことではないですよ。そうではなくて、一般論として、ということです。



社会保障はフラット化できないのか

2006年07月04日 21時09分09秒 | 社会保障問題
世界はフラット化していくのに(笑)、何故か医療とか年金などの社会保障はフラット化できないのは何故なんでしょう?
現在の保険料方式は、必ず資格問題というのが起こってしまう。これは健康保険だけの問題ではなく、年金であってもそうですね。


例えば国民年金に未加入か保険料未払いのままで過してきた人たちがいて、既に加入期間が25年未満しか残ってない人たちもいるでしょう。すると、どうなるか?仮に45歳の人がいて、今後20年間保険料を納付し続けたとしても、国民年金は貰えないことになります(納付期間が25年以上ないと貰えない)。そうであれば、わざわざ払う必要性なんてないんですね。払っても「どうせ貰えない」と判っているからです。今から払い込む意味なんてない。そんな時に、「これは法律で決まってる義務だから、払え」と言ってみたところで、この人には何のメリットもないのですよ。そういう人たちからも保険料を徴収するために、多額のコストをかけているんですよ、今の制度というのは。

また取り上げて申し訳ないですが、福井総裁みたいな資産もガッポリある高給取りに、貧乏な国民年金生活者よりも多額の公的年金が給付されとるんですよ。今の年金制度というのは、そういうものなのです。再分配というのがあんまり機能してないとしか思えないんですよね。高給取りが(保険料も多く払ったので)高額年金を受け取れる仕組みになってるからですよ。しかも保険料には最高等級になってしまうと上限があるからね。どこかの取締役みたいに1億円の給料の人であっても、2千万円の人であっても同じだけの厚生年金保険料で済んでしまいますからね。


私は、消費税を財源として年金・医療等の社会保障をフラットなものとして、制度設計するべきだと今までにも主張してきました。この方式では、誰もが「資格制限」などを受けることもなく、生存していく為の保障だけは最低限確保されるからです。年金は基礎年金相当分だけを一律として、余裕のある人たちは別な年金を自助努力で確保すればよいのです。所得の追跡なんか必要がないですよ。徴収コストは大幅に削減できるし。無駄な社会保険庁のような部門も削減できるし。とりあえず制度を複雑にしておけば、一般人はよく判らないし、計算や徴収などの業務が増えるから、役人の頭数も増やせるからね(笑)。

asahicom:国保滞納で保険証取り上げ、受診抑制の21人死亡-暮らし

(記事より一部抜粋)

国民健康保険(国保)の保険料の長期滞納を理由に、正規の保険証を市町村に返還させられ、代わりに「被保険者資格証明書」を交付される加入者が急増している。05年度は全国で約32万世帯に上り、00年度の3・3倍だ。滞納対策の一環だが、証明書で受診した場合、医療機関の窓口でいったん医療費を全額自己負担しなければならず、受診を手控えるケースが後を絶たない。朝日新聞社の取材では、00年以降に少なくとも21人が受診抑制の末、死亡していたことが分かった。




国民健康保険も似たようなもんでしょ。地方の財政は苦しくなるし、いいことなんてないんですよ。保険料が払えずに、資格を奪われた人たちがいくら困っても、現在はどうにもできないことになってるんですよ。でも、今の保険料方式でなければ、資格を失ったりせんでもいいのですよ。自己負担金はあることはあるけどね。無保険よりはマシでしょ?本来、消費税によって年金も医療も徴収することにしてしまうなら、余計な給与計算とか徴収にかかるコストとかは減らせるし、事務だって大幅に簡素化できるハズなんですよ。


朝日の記事が全部に該当しているわけではないと思いますが、こういうのはきっとあるんだろうと思いますね。

今のままでいいとは到底思えないですよね。



あっせん利得議員だそうで

2006年07月04日 00時01分20秒 | おかしいぞ
こういう事業があれば、必ずそのうまい汁を目当てに集まってくる連中がいる、ということなんでしょうね。

Yahooニュース - 共同通信 - 国会議員らが「口利き」 仙台防衛施設局工事


防衛施設庁の出先機関、仙台防衛施設局の元幹部が在職中に、同局発注の建設工事や用地買収などについて、自民党衆院議員ら14人から業者側に立った「口利き」を受けたとして文書に記録していたことが3日、分かった。「あっせん利得議員リスト」と題する文書で、1999年4月から2000年6月までの分として、14人は実名で記載されている。

元幹部の説明によると、口利きは仙台防衛施設局の建設部と施設部などに対するもので、文書は2000年7月に作成した。建設工事が9件、土地や建物の買収が5件。14人の内訳は、現職国会議員が8人(衆院7人、参院1人)、元職の国会議員が2人(衆参1人ずつ)、地方政治家1人、防衛庁の幹部OB3人。現職議員には防衛庁長官経験者が4人おり、ほかに国土庁長官や農相などの閣僚経験者も3人含まれている。






まあ、世の中こういうものなんでしょうね。

警察なのか検察なのか知らないですが、こういう場合には捜査しなくてもいいのでしょうか?記録した元幹部というのは、恐らく自分の身を守る為か、いつか「仕返し」しようと思っていたのか、単に悪いヤツラは許せないということなのか、ワザと記録していたのではないかと思いますね。普通は証拠になっちゃうから、敢えてそんな記録を残すはずがないもの。


どこにでも腐れ頭はいるもんですよね。



羨ましい時給!

2006年07月03日 23時36分19秒 | おかしいぞ
財務省に限らず、あちこちに公的研究機関はあるのですから、自前でやってみれば?それに、もっと安い費用で調査してくれる大学とか、きっとあると思いますよ(笑)。


財務省“大甘”査定、随意契約で「日当19万」も 社会 YOMIURI ONLINE(読売新聞)

(記事より一部抜粋)

同省が04年度に野村総合研究所(東京都千代田区)に委託した調査は5件(総額3150万円)。
このうち、カンボジアやベトナムの貿易支援に関する調査(500万円)では、主任研究員2人が昨年3月、両国の企業などを訪問。人件費は計23日間分で総額436万円、1日換算で18万9600円に上る。運賃や滞在費などは別に支払われており、他の調査でも、人件費はほぼ同じ水準だった。

また、同省が、「税理士法人中央青山」(同区、プライスウォーターハウスクーパースに社名変更)に委託した、主要先進国(イギリス、ドイツ、フランス)の課税に関する調査(約1000万円)も、人件費は割高となっている。同社の調査員6人が日本国内で作業を行い、計277・5時間働いたとして、総額444万円が同社に支払われた。時給に換算すると1万6000円となる。財務省の契約担当者は「報告書を検査する別の担当者もおり、適正に予算を執行している」と話している。





野村総研とか中央青山あたりに依頼すると、中身のレベルはどうなのか知りませんが、かなり高額な費用を請求されてしまうんですね。これって、要するに再就職先とかそういう関連ですか?(笑)違ってたら、ゴメンナサイですけど。福井総裁も、以前には富士通総研だったそうですから、日銀とか財務省から下っていく時には、研究機関とかは重宝するのかもしれないですね。単なる印象なんですけれども。


まあ、ここでもインナー・サークルに金を流し込むということが行われている可能性があるのかもしれないですね。



大学教授は信頼すべき有識者と本当に言えるか

2006年07月03日 21時07分59秒 | 社会全般
今までに何度も書いてきましたが、いわゆる「頭のいい人」のやってることというのが、果たして一般庶民に信頼をもたらすものなのでしょうか?


私は特別に高学歴とか、頭のいい人たちを恨んだり、憎んだりする訳ではありませんけれども(笑)、普通の人から見れば高度な学問を修めて、社会的な地位もあり、それこそ立派な人たちなのに、問題を起こすということが何故これほど多いのか?という素朴な疑問があります。頭が悪く、育ちも悪くて、貧乏で、どん底人生のような人が、「会社のカネをネコババしたんだって」というような事件があるなら、これほど驚きもしないし、悲しみも深くないと思う。報道する側が、つまらない事件だと報道しないから、現実には松本早大教授のような事件が一般人の中にもゴッソリと隠されているんだよ、ということなのかもしれないが、そうだとは到底思えない。「頭がいい連中」というのが、クソ知恵を働かせてくすねるのさ、金を。何度も言った通りではないですか?

松本・早大教授、疑惑企業と起業計画…国の資金支援も 社会 YOMIURI ONLINE(読売新聞)

SANSPOCOM 社会


色々報道されるのを見ていると、社会的にそれなりに認められているような地位にある人たちが、悪巧みをしてるんですね。全くのバカだったら、思いつかないもの(笑)。役人もそう。省庁の事務次官クラスとか審議官クラスやら、外交官とかであっても、地位が高くて普通の人たちよりも多額の給料を取ってる連中が、悪い事をやってるんですよ。大学教授も、そう。同じだよ。


地位の高い人たち皆が、そういう悪い事をするわけではないだろうけど、頻度としては少なくないよね。不正が発覚してしまった前例などを見てるはずだから、元々頭がいいんだし、「自分はやらない」とか考えられるじゃないですか。でも、何故か同じようなことを繰り返して、バレちゃったりするんですよね。談合もそう。全く同じ。バカじゃないかと思うけど、そうじゃないんですよ。わざわざチャレンジするんですよね。捕まらない方に賭けてみたくなるんでしょうかね。それも、頭が良すぎるからでしょうか?


早稲田の松本教授の例は、最悪の例だと思う。総合科学技術会議の議員だったそうですよ。文部科学省の委員だったりして、自分に決定権限があって、その権限とか地位を半ば利用したような形で多額の金を引っ張ってきていて、ベンチャーもやってたんだそうですよ。


早稲田の教授がみんな不正を働くわけではない、というのはそうだろうと思う。それは「たまたまだったんだ」、と。そうですよね、多分。ですがね、信頼できますか?と聞かれた時に、一点の疑いもなく信じてます、なんて断言はできんわけですよ。そういう目で見てしまうかもしれない、ということですよ。まあ、どこの学校でも、大多数の教授というのはきちんと真面目にやっていて、不正なんかしたりしないんだろうな、とは思いますよ。でも、今回発覚した以外の全国の教授が全員シロだと思うか?と聞かれりゃ、???疑問だね。シロと思う、とも言えないんですよ、ってのが庶民の感想です。だって、これまでにも不正流用は何度も発覚している訳で、みんな教授連中なんですから(笑)。それも、1人や2人じゃないんですよ。だから、疑っても不思議じゃない、ってことなんですよ。


結局、専門家に任せておけば大丈夫、とはならないんですよ。国民が権限を与えた公務員にやらせて、専門分野はその道の専門家たちに考えてもらって、多くの国民が何も考えたり心配したりしなくとも、物事がきちんと進んでいき、何の問題も起こらなければ大変有り難いです。是非そういう風になるように、各エリートだか知識人や公務員とかが、一般大衆より頭が良くって正しい答えを導き出せるはずだから、誤った方向に行かないようにやってくれればそれでいいに決まってるんですよ。

ところが、どうだ?彼らは、何をやってきた?
日本という国が、とってもよくなってきたか?
いい方向に進んできたのか?
大学教授たちが何をやった?


げらげらげら



総合科学技術会議の議員というのは、総理をはじめ閣僚たちが同じテーブルについているのですよ。一般庶民の手の届かないような、雲の上の世界です。そういう人たちと同じテーブルで議論をするような大学教授さえも、仮に「信頼に値しない人物」であったなら、一般庶民はどうやって信頼できる知識人だか学者だかを見分けられるのだ?選別はどうする?人相で見破れとか?(笑)それとも、大学のブランドか?笑い過ぎて、腹が痛いよ。


参考までに、松本教授は次のようなことを言ってたみたいですよ。

第51回本会議議事要旨


(議事要旨から一部抜粋)

【松本議員】
 私は4年間議員を務めさせていただきました。それ以前は普通の早稲田大学の教授でありましたから、非常に私個人といたしましては貴重な体験をさせていただいたと感謝しております。このお陰で多くの大臣にお知り合いにならせていただきましたし、また非常に優れた議員の先生方に多数お知り合いにならせていただきまして、私としましては本当にこの上ない光栄な経験をさせていただきました。

 この間、小泉首相はずっと首相でいらっしゃいまして、小泉首相の議長の下に一貫して改革という言葉が科学技術の分野にも本当に津々浦々聞こえてくるという思いでおりました。国立大学の改革、それから今度第3期になってその目標の絞り込みですね。そのような、今まで過去30年私は大学教員をしておりましたけれども、その間には考えられなかったような大きな変化が現在起こりつつあるということで、私としてもこれから日本の大学及び研究機関のシステムというのは本当に新しい日本らしい効率的なシステムができてくるのであろうと、大きな期待をしております。
 今後も、是非周囲から支援をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。



それと、文部科学省の委員は、次のようなものだったようです。

科学研究費補助金「分科細目表」の改正について

これによると、「科学技術・学術審議会学術分科会 科学研究費補助金審査部会委員」(任期:平成13年3月7日~平成15年1月31日)ということのようですよ。何と、野依先生と並んで名前が載っているのですよ。そういう役職ということですね。



要するに、大衆を常に欺き、騙し、失望させてきたのは、そういう連中なのですよ。わざわざ信頼を損ない、大衆との対立を引き出してきたのですよ。そういうことの繰り返しなの。いうなれば、条件付けみたいなもんですな。なので、福井総裁みたいなのとかには、条件反射で非難が集中するんですよ(爆)。


行政府の中枢には、規制緩和・改革のところには宮内さんがいて、その人脈というかインナー・サークルというようなのがあって、規制緩和の恩恵を自分のところに引っ張ってきたようなもんですよ。早大の松本教授の場合には、総合科学技術会議という違う場所だけれども、自分のところに恩恵を預かれる、という立場にいたんですよ。まさしく、構図は同じなのですね。行政府内での「専門的」「客観的」な議論とか判断というものができないのではないか、という疑念を生じさせるに十分なんですよ。私心があるんじゃないか・権力を利用しているだけなんじゃないか、そういう「下衆の勘繰り」が躊躇いなく生じる状況を、彼らが自ら作り出しているんですよ。


専門家の言うのは、確かに正しいことが多いかもしれん。だが、任せておけば、必ず腐敗してるし、見つかるまで止めようともしないし、大衆が無関心でいればいるほど、「腐れエリート」は貪る。無知な大衆から巻き上げることだけが得意なだけじゃないか。コッソリと、人々のサイフから金を掠め取っていくだけじゃないか。だから、安心して任せておけないんだよ。そういう状況を作ってきたのは、大衆なんかじゃない。腐れエリートどもだ。その典型例が、時々発覚するに過ぎないのさ。



大衆は何に対峙しているのか(追記後)

2006年07月02日 18時42分34秒 | 社会全般
今日の読売朝刊には、例の「地球を読む」欄があったのですが、筆者は岡崎久彦氏でした。ちょっとお怒りのご様子。なので、取り上げることにしました(笑)。


中身については、読売新聞を読んで頂ければと思いますが、非常に大雑把に言うと、岡崎氏にとっては「テレビは何をやっているんだ!」というようなことです。不愉快な番組が多いようです(笑)。特に、『一つの局だけに顕著な傾向』との指摘もありますし。


見出しとしては、タイトルが『戦後平等主義の悪弊』、サブが『空虚な「激論」番組』と、『「高視聴率のシナリオ」空回り』というもので、明確なテレビというメディア批判になっています。内容としては、やや無理な記述とも受け取れましたが、気持ちは判らないでもございませんでした。


酷い番組作りの裏側を嘆いて、『精神的頽廃である』と訴えた後に続けた、「アメリカの視聴者はいいよなあ」的記述は、ちょっと疑問でした。
『アメリカの視聴者が得る情報の質と量に比べて、日本の視聴者のそれは比較にならないほど貧弱』
『日本人の視聴者の教養の蓄積がアメリカ人に劣っているであろうことは明々白々』

こんなにアメリカ讃辞を連発しなくてもいいのではないかと思いました(笑)。確かにアメリカにおける一定以上の階層の人たちは、いい番組を観ることで教養蓄積に役立っているのかもしれませんが、アメリカ人の中では「国外事情には全くの無関心」とか「平均的な日本人以下の知識しかない人たち」は決して少なくないでしょう。典型的なのは、例えば「日本の場所が何処にあるか」とか、「イラク派遣に協力した国のうち、イギリス以外にどこがあるか」というような簡単な質問にさえ答えられない人々は結構いるでしょう。それに、日本が自衛隊を派遣していることを知っているアメリカ人を探す方が難しいのでは、と思います。なので、「番組のつくり」自体が、その国の知的水準を正確に反映するかどうかは不明ではないかと思います。


そうは言っても、やはり「酷い番組」というのはやっぱりありますし、ネット上でもよく非難されているのを見かけます。私も何度か批判したりしましたし。別にアメリカと比べてみなくてもいいし、劣っているとかの判断は別として、「いい番組」というのを提供するのは、テレビ番組製作側の責任であると思います。「ホリエモン」騒動の時に散々メディア自身が「メディアは社会の公器」とか言っていたのですから、その通りに実行するべきでしょう。ですが、岡崎氏の言いたいことは判りますが、実際にテレビ局を経営することというのは難しい面があると思います。


岡崎氏の言うように、高尚な、まるで政治学とか国際政治学とかの授業のような番組であるとすれば、勉強にもなりますし教養蓄積には役立つと思いますが、恐らく殆ど誰も観ないでしょう。観る人がいたとしても、極々少数でありましょう。大衆の多くはそういうものを求めてはいないのです。そもそもテレビを観ることで、そういう情報を得たいと思っている人は多分ほとんどいなくて、専門的な知識を得ようとか教養に役立てようと考えるような人は逆にテレビを利用しようとは考えないのではないかと。つまり、有益な情報を求める人はテレビよりも本などの別な媒体を利用するし、テレビを利用する人たちの多くは岡崎氏の言うような番組を求めたりしないのです。そうなると、いかに「もっと高尚ないい番組を」と思っていても、誰も観てくれないのなら「打ち切り」となってしまうのは、ある意味仕方がないことなのです。そういう面では、NHKはもっとガンバレ、ということになりますが、そのNHKを観たがらないので、いくら気張ってみても大衆には届かないのではないかと思います。


やはり、視聴者にうまく届くような方法で番組を作るしかなく、割と長く続いている報道番組とかにある程度頑張ってもらうしかないのでは、と思います。昔は報道番組と言っても、「ニュース原稿を読む」ということが専ら行われていたので、今とは随分違っていたと思いますね。現在の番組で問題なのは、岡崎氏の指摘する通り、「シナリオ」があたかも「事実」というような誤解を与えるように作られたりしている、ということでしょう。また、いい加減な話者が多数出演するので、もしも番組で討論機会があるのであれば、それを完全論破するしかないのではないかと思います。岡崎氏ご自身も、短い言葉の中に、決定的に否定する表現を入れる訓練が必要なのかもしれません(笑、具体的に言えば「ああ、○○さんの認識は完全な誤りですね」とか。面と向かって言った場合には、強烈!ですね。もうちょっとソフトに言うなら「○○さんの仰るのはよく判るんですけど、問題の核心とは言えないですね。~~という判断が妥当ですね」みたいな感じでしょうか)。他の出演者をあんまり厳しく否定したら、次からは呼んでくれなくなっちゃうかもしれません。


このようなテレビの状況を生み出した背景には、何が考えられるのか、ということについて、岡崎氏は次のように述べている。


『戦後の平等主義、アンチ・エリート主義が深く浸透して、識者の意見など聞かない、あるいは識者というものの存在自体を認めていない風潮があるのではないかと思うに至っている。』

『おそらく戦後日本の悪平等思想があるのであろう。私は戦後の平等思想の背後には、左翼の影響だけでなく戦時中の軍の思想の残滓があると思っている。「組織でやるんだよ。お前だけ特別な人間と思うなよ」。これは軍隊経験のある人たちの口癖であった。そのお陰で識見のある人一人でやれば良いところを、何人、何十人の組織でやろうとするから、カラ廻りするのである。』


このように、平等思想(それも、「悪い方」の)浸透が、「識者の意見を聞かない」とか「識者の存在を認めない」という事態を生んでいるのだ、と。アンチ・エリート主義は、多くの人々が「エリートに成りたがる」クセに(笑)、そこから漏れてしまい自分がエリートに成れなかった者たちの妬みというか反感として顕在化しているのかもしれない。平等思想の淵源を辿れば、戦時中に蔓延していたと思われる突出したエリートの存在を認めない傾向に発しているのではないか、という、平たく言えば「出る杭は打たれる」的なものと岡崎氏は推測している。


なるほど、アンチ・エリート主義は軍隊時代から育まれてきたのだ、と。こうした対立構図は、宮台氏が書いていた記事を思い起こすと、丸山眞男の提示した「インテリ・亜インテリ・大衆」という三元図式と重なるようにも思える。

アンチ・リベラル的バックラッシュ現象の背景【追加】 - MIYADAIcom Blog

テレビに登場する―少なくとも岡崎氏が思わず眉をひそめるような―亜インテリというのは、きっと多いのであろう。そのことが、何よりも我慢ならない、という意味なのではないかと思う。インテリにとってみれば、亜インテリは邪魔な存在というばかりか、害悪を撒き散らす分だけ一般大衆よりも手に負えないというか、もっと悪い存在である、ということなんだろう。時には(アンチ・エリート主義を掲げて?)インテリに敢然と挑戦してくることも、亜インテリの存在は、インテリにとっては知識人vs大衆の2元的対立構図より度し難しということだ(今ふうに言えば「ウザイ」)。


現在の対立構図は、3元図式において、インテリ、大衆というのが構成の一部なのであるが、実はもう一つの「亜インテリ」というのは、「メディアそのもの」かそこに棲息している「インテリもどき」ということなのではないか。ネットの世界の中では、メディアへの批判というのが普通に観察されるのであるが、まさにこのような3元図式を形作っているように思える。


ネット世界のありがちなものとしては、「ソース主義」的(そんな主義があるのかよ、とか突っ込まないでね)な部分がある。それは、別な言い方をすれば、「専門家」の意見には相当程度の信頼性というのが存在する、ということでもある。勿論、評価・解釈の分かれるものについては、無条件な受け入れというのは少ないかもしれないが、それでも一般人よりも「信頼性の高い専門家」の意見は、概ね採用されやすいように思える。それ故、学者や著名人のソースが持ち出されることが多いように感じている。


メディアというのは、テレビであったり、新聞・雑誌等であったりするのであるが、そこで提示される意見というものに対しては、批判というのが観察されやすい。それは製作側や、新聞記者などへの批判として、「大衆」側から提示されてくるのである。つまり、インテリと大衆との間には、実はメディアが介在しており、そこにはメディアと大衆との対立が含まれているのである。ネットに関心の低いような層の人々はかなり多いのであるが、その人々が必ずしもメディアに信頼を寄せているかというと、そうでもないと思える。それは、例えばテレビへの抗議の電話などをする人々というのが、ネットを利用していないことが多いのではないかと考えるからだ。通常、ネット利用者の多くは、テレビそのものをあまり見ないか、見ていても抗議は電話などしたりせずメールや掲示板などに書くことが多いと思われ、実際に電話する人というのが割りと「希少種」のように語られていると思う。メディアに動員されてしまう人々、というのは確かに存在していると思うが、そういう人ばかりではない、と思う。


要するに、メディアは大衆に働きかけ動員しようとする(高視聴率達成ということもその一部であるかもしれない)のだが、それは真のインテリ層への挑戦であり、専門家叩きという側面を合わせ持つような気がするのである。動員力の大きさをメディア側が感じ取ると、それが権力としての作用を示すのではないか(責任追及とか、何かのバッシングの時に顕著になりがち?)。一方で、メディアは大衆との対立を生んだりすることもあり、特にネット世界では大衆側の「的」として餌食となりやすい(笑)。「亜インテリ」であるが故に、メッキが剥がれてしまうことがあって、見破られやすいのであろうか。テレビや論壇誌などに登場する「亜インテリ」も、メディアの作戦に加担しているのであり、実質的にはメディアの一部のようなものであろう。インテリはこうしたメディアや大衆を相手にしなければならず、どちらからも叩かれる(笑)。多分、メディアに動員されてしまう人々は、インテリと「亜インテリ」の違いなどには気がつかないし、むしろ「有名な(テレビなどで顔や名前知られてる)亜インテリ」の方が偉いとか正しいという錯覚を抱くかもしれない。


特に日本では特徴的と思われることがあるようである。
宮台氏は次のように表現している。
『簡単に言えば、日本では欧州にあるような意味での知識人へのリスペクトが、ない。』

このことは、岡崎氏の指摘した『識者の存在を認めていない風潮』と一致しているように思える。こうして、インテリは「大衆」と「亜インテリ」との戦いを強いられ、その中で衰弱しつつあるかもしれない。岡崎氏の嘆きは理解できるが、残念ながら私には同情することくらいしかできないのである。インテリ層の人々が自らその打開策を見つけ出し、実行してもらう以外にないのである。



橋本元首相死去

2006年07月01日 17時02分41秒 | 社会全般
残念ですが、寿命とはこのようなものなのですね。


色々な問題があったりしましたが、行革の理想を持って政治に臨んでいたとは思います。詳しく知る訳ではないのですが。

献金疑惑は結局、捨て置かれたままで終わりましたし、かつては最大派閥の橋本派を率いていたのですから、裏も表も当然あったと推測しています。それでも、政治家としての「やらねばならない」という決意というか、何かの理想は持っていたはずだ、と感じるのです。


小泉政権の改革路線の源流は、橋本さんの時代に既に形作られていったのだろうな、と。その流れを結果的に引き継いだのが、小泉さんだったのではなかろうか。そうは言っても、政治的手法や人脈・人の使い方などは、両者において大きな違いがあったことは確かだ。派閥を背景にしないやり方などは、特に違う部分だろうと思う。


かつて橋本さんは、小泉さんを入閣させた。将来総裁選で相争う立場になるとは考えていなかったのかもしれないが、厚生族のドンであった橋本さんが、(自分の得意なフィールドである)厚生大臣に小泉さんを充てたというのは、その将来に期待していた部分があったからなのかもしれない。


そういう橋本さんの達成できなかった部分を、小泉さんは独自のやり方で「断行した」のだと思う。前に少し触れたのだが、青写真は橋本時代に作られていたのだろうな、と。勿論、全部ではないと思うけど。


あの頭髪を思い浮かべると、日本の歴代総理の中では(田中角栄の時代以降くらいしか記憶にないのですけど)、「随分とカッコイイ首相だな」と内心思っていた。それまでの総理というのは外国首脳と並んだ時の写真の酷いことといったらなかったのだけれど、日本の総理も「見栄えがよくなったもんだ」と、政治家の手腕よりも見た目で評価していたところはあった(笑)。


昨年引退したことが、今になって思えば、何か暗示めいたものに思える。良い面と悪い面の両方を、はっきり見せた首相であった。

御冥福をお祈り致します。



見えないこともある

2006年07月01日 14時53分32秒 | 俺のそれ
ITmediaの記事を見るとき、画像が見えないことがあるのですね。

ITmedia BizID:IT戦士の仕事術とは? 岡田有花さんに聞く


興味本位に、「岡田記者というのは、どんな人なのかな?」と思った訳ですが、写真の部分が見えない。何故かというと、Nortonが入っていたから。


うーむ、IT関連のことはよく知らんのですけど、写真部分が見えないのなら話にならない(笑)。これは何とかせねば、と思い、画像が見えない時の対処法を、指示に従って、悪戦苦闘しながらも何とか見えるようになったら、後姿じゃねーか!


初めから、いらん努力をする必要なんかなかったんじゃないか、と。

顔を出せないなら、初めから人物の写真を入れるなー!、と。


『ぬいぐるみで女の子らしさをアピールする“IT戦士”こと岡田有花記者。インタビューの行方は……。』
なんて写真の下に説明が入ってるから、「どれどれ、どんな人なんだろな」と期待しちゃうじゃないですか(笑)。それを見る為だけに、Nortonをいじってみたのに、結果は「なーんだ」。結構ガッカリ。


まあ、別に記者の顔を見たところで、別に何がどう、ってこともないのですけど。


関係ないけど、ドイツ勝ったね。
決勝までいくかもしれんね。



「骨太ティーンズタウン」かよ!

2006年07月01日 12時30分33秒 | 社会全般
経済財政諮問会議のHPデザインが変わっていたのですけど、ふと気付いたのが「骨太ティーンズタウン」ができてたこと。前から「21世紀キッズタウン」はあったけど、今度はティーンズ向けに作ったということでしょうかね。

内閣府 経済財政諮問会議


キャラクターは、「シモンくん」と「ジュンさん」。何となく気の利かない名前だけど、まあ、いいか。「シモン」はありがちとして、「ジュン」はナゼ?と思ってしまうけど、当たり前と言えばそうなのですが、「小泉さんの名前から」なんでしょうけどね(笑)。どうせなら、「ほねたくん」とかにすれば良かったのに。かなり変だけどね。「シモンちゃん」と「ほねたくん」なら、直ぐに「ああナルホド」ってわかると思う。こんな案はダメか。センス悪いもんで。

きっと、キャラを決める検討会議みたいなのがあって、プランをいくつか作り、名前が決められたんだろうけど。何人かで「うーん」とか言いながら散々悩んだり、いいのが出なかったりして、いくつか名前の候補を考えたんだろうね。そんな場面を想像すると何だか笑えるけど、仕事だから真剣だもんね。クライアント(この場合は「内閣府の担当者」ということになるんでしょうか?)に、「この名前でいかがでしょう?」みたいな感じで業者が提示したら、「もっといい名前ないの?」とか「シモンくんはいいけど、女の子の方の名前がねえ・・・違う名前を考えてもう一度持ってきて」とか、あったのかもしれないし。内容とは無関係なので、どんな名前でもいいのですけどね(笑)。


内容としては、判りやすいけど、子どもが対象であるとするなら、ちょっと言葉が難しい部分もあったりするかも。例えば、「策定」といった言い回しは、子どもに向かって使わないように思うけどね。大人に対してであっても、場合によっては、「サクテイ??、ハア?」ってなると思う。


途中に「ドラッグして~してね」というようなアクションを求める部分があるんだけど、余計なお世話なんじゃないかと思った。率直に言うと、「いらねー」だね。特に、「官から民へ」という意味の仕事を「国から民間に」移すというのがあるのですけど、やりにくい。規制の「デカイ手」が出てくるんですが、「手のヒラ部分」でつかもうと思ったら、うまくつかめないじゃないか、とちょっと思ったり。随分と変なのを入れたな、と思いましたね。


因みに、ティーン向けというよりも、大人たちに是非見てもらった方がいいのではないかと思った。実はこんな平易な説明というのを見たことはなく、政治家の言葉で説明されたり聞いたりするよりも、一般の国民には理解しやすいのではないかと思った。このくらいの説明で丁度いいのではないかな、と。なので、大人の方々にもオススメです。ああ、結構詳しく知っている方には、「くだらねー」という感想になってしまうので、あえて見なくてもいいとは思いますけどね。


参考までに、一応「人間力」も出てきました(笑)。分野のいくつかが象徴的なイメージとしてイラストになっていたのですが、「人間力」がどんな絵になっているかは、ご自身で確認してみて下さい(笑)。