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「○○リテラシー教育」は本当に効果的なのか

2008年04月14日 21時07分07秒 | 社会全般
うーん(←オヤジ語)、正論なのかもしれないけれど、どことなく喉のつっかえがとれない、みたいな。それとも、秋刀魚の小骨が軟口蓋に刺さってとれない、みたいな?(余計に判らんか?)
という感想を抱いてしまいましたので、もうちょっと書いてみます。


小寺信良:臭いものにフタをしても、何一つ解決しない 33 - ITmedia D LifeStyle

(一部引用)

 法案では「国および地方公共団体は、ネットの適切な適切な利用に関する教育の推進に必要な施策を講ずること」とあるが、具体策は何一つない。この程度で適当にお茶を濁されたのでは、親としてはたまったものではない。

 情報化社会への道を歩み始めてもう何年にもなり、小学生のうちからパソコンやケータイを使う子供も出てきているというのに、まともな情報教育が高校からでは遅すぎる。小学校のうちから、特別授業として実地を含めた情報リテラシー教育を義務付けるぐらいの政策こそが、必要なのだ。その教育が教員には難しいのならば、それこそNTT東西や地元プロバイダに協力義務を課して、年に1回2時限ぐらい使って「ネットに詳しいおじさんの、こんなに危ないパソコン・ケータイ教室」ぐらいをやるべきである。

 ネット自体の浄化に対しては無策のままで、単純に有害情報から遮断するだけでは、何が悪いのかを知らないままに成長してしまうことになる。それでは悪意を持って情報を発信する人間が居ること自体を理解できないので、もうダマされ放題である。さらに、悪いことと分からずに有害情報を発信する、あるいは悪いことと知っててもその影響を理解できずに有害情報を発信する人間を、限りなく量産してしまうだけだ。この法案が示す政策には、子供にも知る権利を認め、時として成長に必要な厳しさを与える親の愛情が欠如している。

 ネットの抜本的な浄化策にしても、教育という手法は効果が高いのだ。子供から親まで、それぞれの年齢に合わせた情報リテラシー教育を、正面から政策として取り組む事こそ、青少年の健全な成長に一番遠いように見えて、本当は一番近い道なのではないのか。

=====


非常に大雑把にいうと、各個人が装備を万全にせよ、やられないように武装せよ、それが一番いいのだ、ということかな。理想を言えばそうかもしれんけど、本当にそんなにうまくいくのだろうか。

教育するとなれば、かなりのコストがかかることを覚悟する必要がある。みんなに護身用拳銃を1丁配布し、襲われた時の対処法とか拳銃の扱い方とかを「教育」し、実際にあぶないヤツにちょっと遭遇したりしながら、「ああ世の中って、危険がいっぱいなんだな、あいつも撃たれちゃったもんな、だからオレも自分の安全は自分で守るぜ」ということをできるようにせよ、とかなのかな?

金融リテラシーの話も似ているのだが、各個人が全員「一定以上の水準に到達」してさえいれば、悪徳商法とか詐欺商法とか出資金詐欺とか振り込め詐欺とか、そういうのには引っ掛からなくなるだろう。法律で何ら規制せずに、金融リテラシー教育を万全に施して自己責任できちんとやってくださいね、ということにすればいいだけだ。確かにそうなんだよ。だけど、実際そんなにうまくいくのだろうか、という疑問があるのだ。ただのイタチごっこになるだけなんじゃなかろうか、とか思ったりもするんだよね。悪いヤツラもバカじゃない。どんな世の中になっても、あの手この手で考えてくるから、結局は後追いになるだけで、防ぎきるのは難しいのではなかろうかと思ったりするのですよね。多分始めに考えついたヤツは、本当に凄い商才とかを持ってるのと同じようなものなんだと思う。ただ考える方向性が「犯罪行為」だっただけなのさ。何たって、いかに楽して金を大量に儲けられるか、ということを真剣に考えて取り組んでいるわけだから(笑)。

犯罪者の称賛はこれくらいにして、本題に戻ろう。
普通に生活していても、こんだけ「振り込め詐欺」だの「架空請求」だの「還付金詐欺」だの、報じられていても尚且つ250億円以上の被害に遭う、というのが全く理解できない。なんだけど、引っ掛かってしまう人たちは次から次へと出てくる、ということなんですよ。世の中の大半の人々は引っ掛からないかもしれないが、少ない確率ではあるけれど騙される人たちはいる、ということです。仮に、全員に小学生頃から金融リテラシー教育とやらを施してみたとして、男に騙されてむしられた女とか、詐欺商法で金を取られる人とか、うまい儲け話で騙される人とか、果たしていなくなるでしょうか?とてもそうとは思えないんですよね。


個人に対する教育の効果が極めて高いということであれば、かなりのコストがかかってもやってみるしかないと思いますけれども、学校の授業内容と同じで全員が同水準の理解レベルとかに到達できるというのはかなり難しいと思いますね。必ず理解できない人とか、大事なことを覚えていない人とか、教育が役に立ってない人とか、出てくると思います。そういう人は少ない確率でしか存在しないと思いますが、それでも僅かに存在するだろう、ということです。振り込め詐欺に引っ掛かる人の確率はとても低いのではないかと思いますが、それでも必ずやられている人たちがいる、ということなんですよ。それと何が違うでしょうか、ってことです。

もし教育してもしなくても、ある確率で被害に遭ってしまうのであれば、教育をやってもやらなくても大して効果がない、有意差がない、ということも考えられるのではないでしょうか?これは調べてみないと何とも言えないんですけれども。個人的推測を言えば、教育で騙されなくなる人というのは、教育しなくてもあんまり騙されないのではないか、と思ったりするんですよね。いや、若干の改善率があることは期待できるとは思いますよ。でも、教育にかけたコストの方が、教育をしないで被害に遭った額よりも大きいのであれば、有利な政策とは言えないのではないかな、と思ったりもします。


それから、時々見かけたりする「親がDQNだから」みたいなことって、これまでの義務教育の結果なんではないでしょうか。ごく普通に義務教育を受けていれば誰でも判りそうとか回避できそうなことなのに、「どうしてそんなことをするのか」とか「何故~が判らないのか」というようなことが少なくないのではないでしょうか?教育を受けていてもそんな有様ですから、教育すればどうにかなる、っていうような簡単な話ではないような気がするのですよね。もし本当に教育でどうにかなっているなら、とっくの昔にもっとどうにかなっていてもよさそうにも思えるのです(笑)。

例えば、ネット界隈で著名な某氏とか、某氏とか、某某…みたいな表現・言説や対応は出てくるはずないとしか思えんのですよね。彼らが情報リテラシー教育を受けていないからだ、と言われたら何ともお答えのしようもないのですが、リテラシーの問題なんかではないように思うのです。結局は、元々の人間そのもの、人間性みたいなもの、個人の能力的なもの、つまりは「人間力」(笑)ということでしかないのでは。全員が一定以上にみんな頭が良くて、賢くて理解力が十分備わっていれば、様々な教育による効果が高くなることは期待できるかもしれませんが、そんなことは現実には難しいとしか思えんのですよね。


無論、教育はやった方がよいか、と聞かれたら、「やった方がよい」と答える。僅かであっても改善効果は期待できるかもしれないから。けれど政策選択として、個々の教育に金をかけてやるのがいいか、もっと範囲を限定して業者側に法的規制をかけた方がいいのかは検討の余地があるように思われる。
「バイ菌への耐性がないのが問題だ、もっと不潔にした方がいい」とか言ってみたところで、今の東京で普通に生活していても赤痢にはならないが、バイ菌豊富な環境下で育った途上国の人であっても楽々赤痢に感染し死亡したりするからね。

「○○リテラシー教育」というのが本当に効果が高く、他の法的規制に比べて低コストで済むのであれば、本格的にやってもらえばいいと思います。例の「上限金利規制」問題でも同じですよね。上限金利規制よりも、個別に金融教育(カウンセリング)するのが望ましい政策であるという意見は経済学者側から出されていましたからね。
早速やってもらえば、ヤミ金被害や振り込め詐欺関連の被害をなくせるし、詐欺商法だの悪徳商法だのもなくせるし、警察の労力も大幅に縮小されるし、国民全員が効率の高い投資家になれて今よりもずっと儲けられるはずだし、万々歳なのでは。私個人の意見としては、そう簡単にはいかないように思いますけど。



「アンフェア」もみたよ

2008年04月13日 14時18分52秒 | いいことないかな
どんだけテレビを観れば気が済むんだ、とお叱りを受けそう(笑)。


アンフェア the movie

ドラマ版は一度も観たことがなくて、映画版が初めて。
登場人物では、割と好きな俳優さんのサングラスの人(寺島進)が出ていて良かった。

子どものシーンは思わず涙してしまう。
バイオテロ関連の部分はあまりにお粗末(特に最後の方)だとは思ったが、それはおいといて、泣ける。

悪性黒色腫と炭疽菌とガス壊疽が混合されたような、架空のウイルス(細菌?)ということだろうと思うが、こういう分りやすい筋になっていないと観客には楽しめないので、設定としてはまあアリなのではないかと思った。

SAT隊長、警察の裏金、偽造領収書告発、バイオテロ、ということで、チラッと思うところもあるけど(笑)、楽しめました。けど、SAT隊員たちが余りに弱すぎなんではないかと、描かれ方に若干の心配もありました(いや、実際弱いとか強いとかは分らんのですけど)。あれでは水戸黄門のただやられるだけのお侍さんみたいなもので、弱すぎな感じが…。


最後のシーンというのは、次作品を匂わせる為のものだったんでしょうか?ちょっと、よく分らなかったのですが。前のドラマを観てないと分らないことがあったのでしょうか?
売上が多かったら、次に作れるようにしておいたとか?
それとも、フジ系でいくつかの成功例をもたらしたスピンオフ作品で狙ってますか?(笑)

よく判りませんが、終わり方が何となく消化不良っぽいな、と。




「オトコマエ!」は面白い

2008年04月13日 13時49分04秒 | いいことないかな
オトコマエ! NHK土曜時代劇


昨晩やっていたので、観た。中々面白いので、今後も期待できそう。
時代劇の良さと若い主人公が相まって、爽やかさがある。

30分ドラマにするのが難しかったのではないかと思うが、健康的な感じと清涼感を持たせたことで、時間が短いことが逆に良い結果をもたらしているように思える。話はスピーディだし、毎回変わる登場人物の描写は少なくしても問題ないし、余分さを感じさせないところがいいのだ。

町人出身の主人公が合気道の使い手?っぽくて、剣を安易に用いないという設定もよい。殺陣シーンはこれまでの時代劇とは異なった仕上がりになっており、指導者(本物の使い手?)の良さと演出の賜物と思う。

恐らく毎回同じ決めセリフが採用されているのではないかと思うが、次回を観ないと分らない。個人的にはそうした「決めセリフ」が固定化されている方が好きだが、中にはワンパターン化を嫌がる人もいるかもしれない。「食いタン」や「ごくせん」でも、お決まりシーンがあったからこそ成功していたかもしれず、主人公にはそうした定型的な部分がある方が受け入れられやすいのではないかと思うがどうだろう。

昔、役所広司が全然有名ではなかった頃、NHKの時代劇(宮本武蔵だったか?)に登場していて、初めて観たのに強いインパクトを受けたことを思い出す。若い役者さんで時代劇で成功すると、その後に大型俳優とかに成長することがあるのかも。



「エンゲージリング」は間違った英語らしい

2008年04月13日 13時10分03秒 | 俺のそれ
知らなかった。
私が結婚する時には、妻に「婚約指輪はいらない」と言ってもらえたのでナシだった。なので、これまで一度も婚約指輪なるものを贈ったことがない。どうせお金も大して持ってなかったですし(笑)。オヤジの昔話は別にどうでもいいか(→中高年のビミョー発言らしい)。

偶然知ったのだが、婚約指輪って、engagement ring なんですと。日本語になっちゃってるっぽい「エンゲージリング」は和製英語みたいなもので、間違いなんですと。英語苦手なので、そんなことは知らんかったっす。


けど、これが本題ではないです。
gageというのは、担保のことです。決闘の時、騎士の投げつけた手袋とか。そういう約束事のしるし・証みたいなものですね。engageは、担保に入れる、抵当に入れる、みたいな契約ごとが婚約の意味ですね、きっと。

「ウェディングドレス」みたいに言うでしょ?これも wedding という英語だけど、元の動詞はwed ですよね。「結婚する」とか「婚約する」とかの意味の言葉です。語源として、古英語のweddianということらしく、質入するってこと。engageとも大体似てますね。

「将来の夢はお嫁さん」とかキラキラしながら話す女性には申し訳ないが、婚約とか結婚というのは契約みたいなものであって、その証とか質草とかが「指輪」とか「ドレス」とか、そういうもんなんだろう、ということです。残念ながら、一般的には「将来の嫁はお婆さん」になってしまうでしょう(オヤジギャグですみません)。

これらの語に相通じるのは、wadiumというラテン語で担保という意味です。今の英語では、wageということになり、賃金のことです。
wageが賃金や給料というのは、EU労働法政策雑記帳 最新アメリカの賃金・評価制度に出ていたので、知ったんですよ。


右側に担保するもの(質草)として対応を書いてみると、
・借金:土地
・労働:賃金
・婚約:指輪
みたいになっているんですね(笑)。

日本人の場合には、労働価値を過小評価してしまい、自分の能力を安く売ってしまうことが多々あるので、注意すべきですね。
全く同一の土地であっても、
 Aさん 「土地の担保価値が1億円だから、1億しか出せないぜ」
 Bさん 「土地の担保価値が50億円だから、50億出せるぜ」
という風に評価が分かれるかも、ということです。Bさんは外人さんとかでしょうね。
多くの場合に、日本人労働者は騙されています。それは自分の仕事の価値を低く見積もらされることを強いられたからです。

先進国のトラック運転手が世界中でどのくらいの給料なのか、バス運転手の給料がどのくらいなのか、完全な職業別の給与表みたいなものを作成してみたらいいと思いますね。タクシー運転手は生産性が低いので給料が安いのだ、なんてことにはなってないんですよ。嘘っぱちの経済理論だとか、こじつけの理屈を言ってるだけなんだよ。みんな騙されてきたんだよ、きっと。


engagement というのは、婚約という意味のほかに、雇用や債務という意味を持ちます。対価が低すぎる場合には、労働者側がサボタージュで対抗することも必要ではないかな、と。だって、借金1万円に対して、提供する担保を3万円とかにするようなものなのですから。或いは、1万円の債務なのに、2万円を返してあげているようなものです。その分を搾取している大企業とかが確実に存在している、ということは憶えておくべきでしょう。お前には3万円しか給料を払えねえぜ、と言われりゃ、3万円分だけ働きました後は知りません、ということにするしかないではありませんか。

wage claimが弱すぎるのです、日本は。



エンドレスな…?

2008年04月13日 10時29分27秒 | 俺のそれ
特に意図はないけど。
新学期とか新年度とか新年とかにありがちな定番ネタなのでしょうか。


はてなブックマーク - はてなブックマークのネガコメ批判の胡散臭さ


確かに「うさんくささ」と「うんこくささ」は似ている。いっけん見分けがつきにくい。ああっとこれも「えっけん目がきつく憎い」ではありません。冗談です。ほんのつまらん冗談です(ごめんなさいね>えっけんさん)。
本当に何の他意もありませんから。
並ぶ文字が似てるってことを言いたいだけです。


「うんこくさい」で盛り上がってるようで、うんこだけどバニリンでバニラの香、って話です。違った?



ビラ投函事件に関する考察

2008年04月12日 17時56分01秒 | 法関係
遂に最高裁判決が出てしまいました。報道でも幾つか意見がありましたが、表現の自由という論点に囚われすぎているように思えます。
asahicom:朝日新聞社説syasetu1
東京新聞反戦ビラ配布処罰は合憲 最高裁が上告棄却 罰金刑が確定へ社会TOKYO Web
東京・立川の防衛庁官舎ビラ配布:有罪確定へ 市民運動に危機感 被告「司法に失望」 - 毎日jp毎日新聞


例によって判例Watchさんのところより。
平成17あ2652住居侵入被告事件

判決を読むと、まあそうだろうな、と感じました。法解釈論の部分に焦点を絞り、憲法で保障される表現の自由云々とは関係がない、ということを明らかにしたのでありましょう。しかし、最高裁判決だけからは、本件の問題点が見えてこないのではないかと思われます。いつもの如く、個人的見解を書いてみたいと思います。


1)住居侵入罪は成立する

争点となっておりました、団地やマンション等の共用部分に立ち入って戸別の玄関ポストに投函する行為ですけれども、正当理由とは認定されない、ということでした。住居侵入罪は刑法130条によるものです。

○第百三十条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

この条文通り、正当な理由がないのに侵入したので有罪、ということです。政治ビラだろうが、何だろうが、集合住宅の玄関ポストに投函する為に立ち入る行為は、正当理由に該当しないという判断かと思います。それは居住者や管理者たちが事前にビラ配りを拒否しているのにわざわざ立ち入って配るからだ、それが平穏を乱す行為だ、つまり法益侵害だ、ということです。

本件類似事件については、以前にちょっと取り上げたことがあります。
マンション共用ロビーでの喫煙について

この僧侶ビラ投函事件も似ているのですが、1審判決では無罪、高裁判決は有罪、という点も一緒ですね。基本的考え方としては、共用部分は人の看守する建造物だし、事前に断りの掲示等があれば居住者等の意思に反していることも明らかだ、だから有罪だ、というものです。解釈論としては特段の問題点は感じません。


2)戸別配布を禁止されても「表現の自由」は侵害されない

立川ビラ事件も僧侶ビラ事件も、弁護側主張に「表現の自由」を制限するから憲法違反とかいう論点が出されたりするのですが、それはあまり主要な論点ではないように思えます。何故なら「政治ビラ」や「反戦ビラ」を作ることも配ることも制限されていないのですから。「表現の自由」を簡単に言うと、例えば「イラク戦争反対」とビラに書いて表現するか、鉢巻、プラカードや車の車体部分に書くか、歌を作って歌詞に入れるか、みたいなものは自由にしていいですよ、ということです。ただそれだけです。本件の争点は、そのやり方が問題とされただけですので、憲法21条違反とかの論点には繋がらないでありましょう。

仮に、政治風刺漫才コンビがいて、どのような表現をしようと自由でいいですよね(名誉毀損とかはマズいけど、今は関係ないのでおいておく)。そうかといって、自分ちの庭に突如としてその漫才コンビが現れ、庭で漫才をされたらどうしますか?
庭には入ってこないでくれ、と言ってるのに、「表現の自由を侵す気か!」とか言い返されても困るだけです(笑)。手段が問題なのだ、というのはそういうことですよね。
この漫才コンビがどこかの集会だの市民運動会場だので漫才をしようが、テレビや駅前で演じようが、どの政治家や政党をネタにしようが、漫才でも歌でもコントでも自由に表現できますよ、というのが憲法21条の意味でしょう。そのことと、自分の家の庭に勝手に入ってきてその演目をやられるのでは、意味合いが違いますよね、ということです。漫才コンビが「庭に入ってくるのを法的に禁止する」というのが住居侵入罪適用、という意味であり、別に漫才コンビの表現内容とかは何ら禁じていない、ということです。漫才コンビが「音を一切出さずに演じた」としても、やはり庭に入ってきた(=住居侵入罪)のは変わらないし、そのことが居住者の平穏を脅かすものだと言われたとしても不思議ではありません。居住者たちが「入ってきて欲しくない」という主張をしているのですから。


3)ビラ投函事件での問題点とは何か

法解釈上で整合的であっても、何ら問題がないとは言えません。立川ビラ事件や僧侶ビラ事件での問題点は一体何か、ということになりますが、いくつかあると思います。私の思うのは、2点あります。
①他の同種行為に刑事罰を与えられてないこと
②警察及び検察権力の行使、訴訟手続的な問題

①について:
ピザ宅配業者のビラ投函、訪問販売や宗教勧誘、等々、戸別訪問を行っている人間は他にも多数存在し、行為の実態だけからみると、静かにビラを入れていくよりも平穏を乱していると言えなくもありません。それゆえ、1審判決にはそうした論点が述べられており、ビラを入れるのとその他行為との明確な違いというのが示せないことから、行為自体の認定としては違法であるけれども、社会の実態としては刑事罰を与えるほどの違法性があるとは判断できなかったので無罪としたものと思います。

マンションの入り口、階段、エレベーター等に「~お断り」とか各種禁止事項の掲示は珍しいものではなく、それらが居住者の意思表示ということで法的に有効であり、戸別玄関前まで立ち入れば本件の如く住居侵入罪の刑事責任を負うということになれば、普通に住民が現行犯逮捕できるでありましょう。(起訴するかどうかは別としても)保険の勧誘だとか教材販売とかに訪れた営業マンとかを、いきなり「住居侵入罪により逮捕します」と住民がやってもいい、ということになります。告訴することもできてしまいます。これが認められる社会というのは、どうなんだろうな、と。

②について:
立川ビラ事件では75日間拘留された、ということのようです。僧侶ビラ事件でも拘留は23日に及んだ、ということです。
逮捕や拘留といった警察権力行使に問題がなかったともいえない面があります。また、送検後の検察にしても、長い拘留期間を取らねばらないほどに悪質な犯罪であったのか、ということがあるかと思います。

刑事訴訟法では次のように規定されています。

○第二百十条
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

○第二百十七条
三十万円(刑法 、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第二百十三条から前条までの規定を適用する。

刑法130条の住宅侵入罪は懲役3年以下、10万円以下の罰金ですので、刑事訴訟法210条の条文からみれば、逮捕状なく逮捕するべき重大犯罪であるとも思われません。213条の現行犯逮捕にしても、217条のように当人の素性が明らかで逃亡のおそれがないのであれば、拘留することに問題があると考えられます。警察や検察にこうした強力な権限行使を認めることに果たして問題がないのか、という論点は、「表現の自由」を主張するよりもはるかに重要なのではないかと思えます。


反論すべきと思うことを列挙すると、次の通り。
・特別な犯意があったわけではない
・軽微な犯罪行為に過ぎない:ピザ屋やサラ金のチラシを入れるのと区別がつかない程度の行為、他人に危害を及ぼした形跡はない
・マンションや団地の掲示が必ずしも万人に明示的ともいえない:気付かない人たちはごく普通にいる程度のもの、見落とすと刑事罰になるのであれば居住者側に定型的な掲示義務を定めるべきではないか、全ての出入り口に掲示をすべきではないか
・外見上では掲示のないマンションや団地との区別がつきにくい:掲示の有無で住居侵入罪の成立か否かが変わってしまう、などとは普通の人には判らない、外見上は掲示の有無ばかりではなく自衛隊官舎も公務員住宅も公営団地も区別がつかないことはある
・被害者側の被害届けがあるだけで行為の重大性を認定するのは問題:行為の態様について基準を明示するべきで、居住者たちからの被害届けがあったことをもって重大と判断するのはおかしい


個人的な意見としては、長期拘留して起訴するべき事件であるとは到底思われない。上にも書いたが、保険屋オバちゃんがピンポーンと来たら「保険勧誘、ビラ、販売等、立入禁止」と明示してあれば、住居侵入罪で現行犯逮捕、が通常の刑事手続として成立してしまう、というのはいき過ぎだと思う。しかし、最高裁判決だけではなく、両高裁判決でも刑事罰を与えるのは当然、ということになっており、社会生活の実態とはかけ離れすぎであると思う。
普通は、注意するとか退去を命ずるのであって、それでもなお従わないとか警告を何度も行っているのに侵入を繰り返すというような場合には警察を呼びますよ、ということで警察権力の介入を求めることもあるかもしれない。それでも、拘留してまで起訴するべき事件とは思われない。警察権力が過大なのは、元国家公安委員長の白川氏が職務質問された上、警察署に連れて行かれた事件を思い出す(白川勝彦Web 政治理念 忍び寄る警察国家の影)。

更に、被害届けが出ているから重大なのだ、というような判断の仕方も不適切だろう。そんな基準で刑罰が成立させられるなら、ささいな行為でも暴行罪だの、侮辱罪だの、被害届けを出すことは可能ですからね。映画やドラマなんかで使う警察の手口として、なんだよと胸を軽く触っただけで「ハイ、公務執行妨害で連行ー!」とか、やめろよと軽く腕を振り払っただけでも「イテテテテ、はい暴行罪で連行ー!!」とか、逮捕理由をいくらでも作り出せるようになるだろう。被害届けがあればいいだけなんですから(笑)。

警察や検察の恣意的な逮捕・拘留の範囲を拡大する口実を与えかねない、という危惧があるのです。


4)その他

最後に、少し気になったことを。
立川反戦ビラ配布事件 - Wikipedia

反論としていくつか書いたのですけれども、立川ビラ事件は複雑な状況もあったみたいなので。
被告人側の所属団体とか活動内容が云々ということが事件に影響したかどうか、というのは判りません。警察に特定集団であるからという理由で狙い撃ちされたのかどうかも、何ともいえません。
が、気になった点を書いておくと、
・居住者らに一度注意されていた
・それでも再び投函に行った
・完全黙秘した
ということですね。

政治的主張は大事だろうし、その活動も自由にやらせてくれ、というのは理解できなくはないですが、「止めてくれ」と注意されたのであれば、そこでやめるべきであったろう、と思いますね。他の手段に切り替えれば済むことだから。門の前で手渡しするとか、駅で配るとか、色々と方法はあったのではないかと。集合ポストに投函でも良かったのですし。
更に黙秘は何故なのか判りませんでした。接見禁止決定に対する抗議の意思とか?警察権力への抵抗意思?
ちょっとよく判りませんが、問題を複雑にしてしまったのでは、と思います。取調べに応じていれば、拘留が短かったとか、不起訴で済んだかもしれないとか、思わないでもありません。


警察の逮捕と検察の起訴ですけれども、これには問題があったと思います。
・最初のビラ投函 12/13、その後12/19~24に禁止事項の掲示を作成し掲示
・次のビラ投函 1/17 → 1/23被害届 → 2/27逮捕 →3/19起訴
・次のビラ投函 2/22 → 3/22被害届 

つまり逮捕と起訴理由は1月17日の住居侵入罪ですね。12月時点では掲示が不備であった為、立件は困難であるということであったのでしょう。起訴後に追加的に2/22分の被害届が出されただけで、逮捕理由には関係がないでしょうね。拘留期間を延長させる為に、別件が追加されたようなものではないかと思われます。
12月時点では刑責成立には至らなかった行為が、1月時点では成立するようになっているとか、普通の人が判ると思いますか?前回と全く同様の行為をすると、今回からは刑事罰を受けることになる、などとは普通は判らないでありましょう。これを逮捕、起訴、拘留すべし、ということにすべきだ、それが当然だ、と思いますか?
12月時点の行為は住居侵入罪が成立せず、1月以降の行為については成立していることが誰の目にも明らかになっていなければならない、ということです。1月に注意されたのであるから、2月時点では方法を改めるべきであったろうとは思いますけれども、これで逮捕というのは…どうかと思います。
2つの地裁判決の方が、高裁や最高裁判決よりも、ずっとまともだろうと思います。


検察側の思惑としては、こうした「便利な摘発手段」を封じられたくない、ということでしょうし、類似事件の関係上無罪にはさせないぞ、という決意があったでしょう。そうした検察の意向とか都合よく用いられる拘留延長とか、それに裁判所が全面協力した結果が本件判決を生んだ、ということではないでしょうか。警察や検察の暴走を止める手段さえも国民は失いつつある、ということの方が、憲法21条違反云々よりもはるかに危険なことだ、と考えるべきでしょう。

国民やマスメディアは、高裁判決後にもっと十分注意して見ておくべきだった、ということはあるかと思います。私自身も反省しています。用心が足りませんでした。



会社更生法適用と詐害行為取消権について・2

2008年04月11日 19時38分02秒 | 法関係
吉行さんに頂いたコメント(会社更生(民事再生)法適用と詐害行為取消権について)で論点が複雑化しつつあるので、もう一度整理してみます。


破産法、会社更生法や民事再生法を適用しなかった場合について、詐害行為取消請求が心配だ、ということであると理解しました。

通常の破産法・会社更生法・民事再生法適用では、個々の元借り手の債権を目的として詐害行為取消請求を行ったとしても、民法425条により効力を生じないと考えてよい、ということです。全ての債権者の利益を考慮する場合においてのみ、効力を生ずるからであって、一部債権者(この場合では個々の元借り手)の利益が最優先されるとまではいえないでしょう。共益債権であったとしても、払えない場合には例えば会社更生法133条1項の適用を免れるものではありません。

これら法制度によらない、私的整理という性格を持つ事業清算のような場合にはどうなるのか、ということです。これについては、前回記事で述べたように、法定充当による整理が行われることになったものと考え、個々の元借り手からの債権申出の無かったものについては、請求先が消滅した後では権利行使するべき相手を失うであろう、ということです。
貸金業者Xが事業清算をする為に債権残高1000の債権を500で売却、債務800を払わねばならない、と。足りない300は債権放棄で、売却代金500を債権者A、Bに弁済、株主資本は分配がゼロ、ということであるとします。債権放棄と株主資本部分は親会社Yが100%負担したものとします。この清算確定後に、元借り手のCが過払金返還を主張して、自分も債権者なので払ってくれ、と請求してきたらどうなるか、ということですね。
 ア)Xは数個の債務全部を消滅させに足りない給付を行った
 イ)清算時点で確定していた債権はAとBで、XとCの間では弁済指定がない
 ウ)先に弁済期が到来したのはAとB
よって、法定充当に従い弁済した、ということをXは主張可能なのではなかろうか、と。

ここで、元借り手Cには「債権がある」し「詐害行為取消権もある」が、法定充当に従い弁済されたのであれば、詐害行為の主張が通ることを期待するのは困難ではないか、という主旨です。たとえXが元借り手の債権の存在を調べて明らかにすることが不可能ではなかったとしても、そのことが「Cの持つ債権が弁済期にあった」ことを自覚させることにはなりません。Cの債権が、先に弁済期が到来するわけではなく、Xにとって弁済利益が大きいということにもなりませんので、Cの債権への弁済よりAやBへの弁済を先に行うことが詐害行為に該当するとまでいえないのではないか、ということです。

しかし、Cが別な主張をすることも有り得るかもしれません。それはAやBの債権も同様に弁済期にはなかった、という場合でしょうか。長期借入金などの場合には、それを繰り上げて返済することになると思われますので。
すると、
 エ)A、B、Cの債権はいずれも弁済期になかった
だから489条4号規定の如く、債務額に応じた分配とすべし、という主張ですね。
この場合には、先に弁済を受けたA、Bが再度の分配やり直しに応じなければならないのか、ということがあります。これについては、民法706条規定により返還する必要はないのではないかと考えます。

○第七百六条
債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。

つまり、AとBへの弁済として給付した500はXから返還請求する権利を有しない、ということです。CはXへの請求はできますが、AやBへの請求権は持たないでありましょう。Xは錯誤によってAとBに弁済をしたわけではありませんから、XはCから請求されることはあっても、Cが債権申出を行ったとして先に弁済を受けたAやBが返還すべき理由はないように思います。

詐害行為取消権の消滅時効がいつまでか、というのは案外裁判によって違う判断が出ることがあるかもしれず、2年を経過すれば本当に請求権が消滅といえるかどうかは判りません。過払金返還請求権に関する消滅時効の考え方も、判例によって若干異なる部分はありましたので。

普通に考えると、清算行為から2年以内であって、実務的に債権者AやBの同意が得られるとか、親会社が債権放棄分を増加させてCに払うということが可能なのであれば、詐害行為取消権の主張に応じて裁判には至ることなく対処可能な場合があるかもしれません。
どうしても事業を清算したければ、決算公告のように広く周知させる努力を行い、債権申出機会を一定期間取った後、順次保有債権売却や債権者への弁済を進め、最終的には株主と親会社の債権部分だけが残ることになると思いますが、存続会社を少なくとも2年間は残してCのような過払金返還請求者が現れたら随時弁済処理をするような仕組みを残すべき、ということになりましょう。あまりに返還請求が多額で払えなければ、残しておいた存続会社の破産を選ぶしかないのではないかと思います。破産法制に則り処理するのであれば、責任範囲が無制限に及ぶこともなく、次々と現れるかもしれない元借り手の詐害行為取消権に苛まれることもないでしょう(笑)。これまで借り手のもとに、足しげく取立に通っていたのが、全く逆の立場に置かれるだけに過ぎないでしょうね。

いうなれば借り手の受けていた恐怖みたいなもので、逃げたくとも逃げられず、次から次へとやってくる取立屋がドアをドンドン叩くとか、何度も繰り返される電話とか、そういうのに耐えていた人々の立場を今は貸し手であった側が味わうのもいいかもしれません。過払金返還請求とか、詐害行為取消請求とか、そういうのに少しくらい怯えるだけならまだまだカワイイもんじゃないでしょうか。清算したい貸金会社にしても、早い話が「飛べば楽になる」ってだけですな。破産すれば処理は進みやすくなりますよ、どうしますか、ってことです。借り手が自己破産することに痛痒を感じないでいたからこそ貸し込んでいたのだろうし、今度は貸金会社が破産すべきかどうかを苦しんでみる番なのかもしれません。これはこれまで苦しんだ人々の怨念かもしれませんね。


It's my turn!
遊技王か(笑)



行政不服審査法改正

2008年04月11日 14時35分58秒 | 社会全般
大事なニュースでした。

<行政不服審査法改正>「審理員」新設など柱 初の見直し(毎日新聞) - Yahooニュース

(以下に引用)

 政府は11日午前の閣議で、国や地方自治体による違法・不当な処分に対して国民の権利救済を図る行政不服審査法の改正案を決定した。審理の公正性を担保するための「審理員」新設や、審査請求可能な期間を現行の「処分を知った日から60日」から「3カ月」に延長することなどが柱。1962年の法制定後初の見直しで、今国会に提出し成立を目指す。

 行政不服審査制度は、裁判と比べ手続きが簡易・迅速で手数料もかからない。近年は、情報公開請求に対する行政機関の不開示決定を覆す手段にもなっている。半面、不服申し立てが認められるのは1割程度で、05年度の国に対する不服申し立ては約1万8000件と、ピーク時(84年度)の4分の1に低迷している。

 改正案は、弁明書や反論書を提出できる「審査請求」と、そうした手続きのない「異議申し立て」に分かれている現行制度を「審査請求」に一元化。審査請求に対しては、閣僚や首長らが処分に関与した職員以外から審理員を指名する。審理員は請求人の主張や証拠を整理し、閣僚らが裁決する際の判断材料として意見書を出す。行政不服審査会など第三者的な諮問機関も国や自治体に新設し、判断過程に関与させる。

 このほか、審理の遅延を防ぐため、閣僚らが「審査請求から裁決までの標準的な期間を定めるよう努める」と規定。複雑な事案に対しては審理員があらかじめ審理の終結予定時期を決め、迅速化を図る。【石川貴教】

=====


初めて知りましたが、制定来初改正(「年初来高値更新」みたいなものか?笑)ということのようです。総務省は05年頃に行政手続法改正を実現し、続いて行政不服審査法改正という一連の取組みを頑張ってくれたものと思います。いや、たまたまそういう時期だったのだ、ということなのかもしれませんが(笑)。こういうニュースこそ、もっと詳しく報じたらいいのに、と思うのですよね。国民と行政を繋ぐ接点の問題ですし、国民生活とか行政参加の上でかなりの影響を持つだろうという点でも大変重要な法だな、と思うからです。

丁度、人権擁護法案関連の記事を書いていた頃に、行政手続法や行政不服審査法についての話が出てきていたかな、と思います。昔話で恐縮なんですが。
人権擁護法案はどうなるか2


今、ネット規制の何とかっていう運動だか、法案だかが一部のネット住民の間で騒ぎになっていたかもしれないが、なんといいますか、戦術的にどうなんだろう、とか、誰を説得しようとしてるのか、とか、よく判りませんね。チラッとしか見てないから、全員の活動状況とかまでは知らないわけですが。基本的には、国会議員の方々やマスメディアの方々に届かなければ、無駄に烏合の衆(ネット住人?イナゴちっくな人々?)が騒いでいるようにしか見えないのではなかろうか、と思います。人権擁護法案やPSE法案(?名前忘れた)などの経過を検討したりして、有効と思われるような対抗策を考えてみたりするとか、何かやり方を変えない限り難しそうな印象ですね。私は特にこれといった考えもないので、成立したらしたで「そういうものなのかな」と思う程度かも。賛成か、反対か、とか尋ねられても、答えられない(笑、ゴメンね)。



SMAP定食じゃなくて…

2008年04月11日 13時30分58秒 | いいことないかな
大した話じゃないけど。

“SMAP定食”に事務所&フジTVが困惑(デイリースポーツ) - Yahooニュース

8日から大阪府庁の食堂に“SMAP定食”が登場したことで、SMAPの所属事務所とフジテレビが困惑していることが10日、分かった。

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全くの別物ということらしいが、これではまるで

「SPAM定食」

ではないか(笑)。


昔、adidasのスポーツバッグの模造品とかで「adidos」だの「adibas」だのを見かけたような記憶があるが、それみたいなもんだな。
ちょっと違うか。

なので、大阪府庁の定食は、明日から「SPAM定食」に名称変更してみてはどうだろうか。案外、気付かれ難いかもよ?

それとも「SMOP定食」ではどう?ああ、「SAMP定食」とか。本当に粥定食みたいなのにすればいいんじゃね?

「STOP定食」は?これはマズい?
不祥事とか責任追及を連想させ、「STOP停職」みたいな語感があるので?


以上の検討(?)から、名前差し替えの第一候補は「SAMP定食」(通称スマップ定食←何で?)、次点が「SPAM定食」(通称スパム定食orスマップ定食←これも何故?)ということで(笑)。

(既にスマップ定食と憶えてしまった人が多いか、一瞬見間違えてうっかりスマップと言う人が多いのではないか、という予想です)




史上最強の取立屋?

2008年04月10日 15時28分06秒 | 法関係
偶然発見したのですけど、勉強になります。

平成18年度原告訴訟の状況|報道発表資料プレスリリース目次|国税庁


内容が興味深いのでよくお読み下さればと思いますが、特徴としては、国税庁が滞納を回収する為にあの手この手を駆使する感じです。国税庁(税務署長)&国税リーガル部隊が大活躍、みたいなイメージ(笑)です。「国税リーガル部隊」とかいっても、法務省の公務員の方々なんでしょうけどね。ひょっとして取立に一番詳しいのは法務省の人なんではないかと思えるくらいですが、実際どうなのか判りません。

過払金(不当利得)返還請求権さえも差し押さえてしまう、国税リーガル部隊。恐るべし。しかも、国税庁(税務署)の場合には、「取立」という記述を見ると、武者震いといいますか戦意高揚といいますか、回収専門部署の人たちが奮い立っているんじゃなかろうか、とか思います(ただの憶測ですけど、笑)。世の中広しといえども、「取立」という語から「よーし、やってやるぜ」とかやる気満々になるのは、国税庁とヤミ金くらいではなかろうか、とか思いましたよ(笑、冗談です)。
あと、「こんだけ回収か、でかしたな」とか褒められそう。
ま、まさか、壁には「今月目標 取立100件」とか貼ってあるとか?
営業成績みたいに、取立額の棒グラフも?

ふざけ過ぎました。失礼。


冗談はいいとして、この中でも出てくるのが「詐害行為取消請求」事件でして、万が一これを貸金業者に向けて提起された場合には、裁判所判断がどうなるのか判りません。前の記事に書いたような①消滅時効はどう判断されるか、②法定充当として認められるか、等の問題がありますからね。国税庁の紹介事例でもあるけれども、相手側が金融業者であることは珍しくなく、国税リーガル部隊が貸金業者と競合して取立回収してるんですよね。永遠のライバルっぽいわけですが(こと回収にかけては、貸金の得意技であろうと思うので)、これまでのありがちな貸金業者は「スネに傷」があることが殆どであったろうと思いますので(超過利息を取ってるとか、モグリ営業とか)、法廷戦ではあまり大したことなかったのではないかとも思えるのですよ。出廷せずに勝ちが確定とか。それと、国税リーガル部隊は法務省でしょうから、裁判所とご近所みたいなものだろうし、国税側に勝ちやすい素地みたいなものもあったかも、とか。

今後に国税リーガル部隊が本格的に過払金(不当利得)返還請求権を差押えたり、詐害行為取消請求を仕掛けたりするならば、貸金側は続々と撃たれることになるのではなかろうか、とか思ったりします。市町村の自治体でも、住民税や健康保険料等の滞納を回収するべく、返還請求をやってくれてたりしますからね。普通の弁護士たちが大儲けするよりは、こうした国税リーガル部隊や市町村の方でやってもらえれば、返還請求者は助かるかも、とは思いますけど。


ネットでチラッと検索すると、法的な論点がとても多いのは破産関連なんだな、と思いました。判例だけでも相当の数にのぼるし、本が何冊も書けそうですね。複雑怪奇ではあります。なので、私のようなド素人の書いた考え方は、かなりハズレっぽいかもしれません。

国税リーガル部隊が取立の為の様々な奥義を、きっと研究しているでありましょう(笑)。



会社更生(民事再生)法適用と詐害行為取消権について

2008年04月09日 22時37分25秒 | 法関係
遅くなりましたが、先日のコメントで問題提起(→会社更生又は民事再生手続と過払金返還請求について)されておりました詐害行為取消権について書いてみたいと思います。何度も申し上げて恐縮ですが、私は法学部出身でもなければ、法学的基礎教育を受けたことはありませんので、経済学同様あくまで素人考えですので、それを考慮してお読み下さい。


問題とされましたのは、貸金業者等の返還すべき過払金が発生する可能性のある会社が事業を売却・清算したり、会社更生又は民事再生法の適用を受けようとする場合に、過払金返還請求があることをどう処理するか、仮に売却・清算・更生・再生手続を受けたとしても詐害行為取消権を行使するべく提訴されてしまう可能性をどう考えるか、ということです。

1)基本的な考え方

前回書いたように、会社更生(民事再生)法適用後に過払金返還請求がある場合には、
・共益債権として取り扱う
・払えるものは随時弁済
・払えないほどに多額であれば裁判所の判断に従う
ということになるかと思います。

存続会社があり、事業継続ということであれば、その会社が支払うことになるでしょう。保有債権を別な会社に売却したとして、その債権に係る返還請求に関しては購入した会社が返還することになり、それ以外の返還請求―例えば現在残高のない完済者の場合―については、元々の貸金会社が支払うことになると思います。返還が多額になり過ぎて元々の貸金会社が倒産するのであれば、破産手続きに従うものと思います。


2)詐害行為取消権とは

問題となるのは、売却・清算・更生・再生等の手続後に、各完済者等が過払金返還を求める為にそれら手続を詐害行為として取消訴訟を提起してきたらどうなるのか、ということです。

まず民法の条文で「詐害行為取消権」をみますと、次の通りです。

○第424条
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
2  前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。

つまり、過払金返還請求者(面倒なので以下、単に「元借り手」と呼ぶ)も債権者であり、この債権者を害することを知っていながら各種手続を行ったのだから、取消を求めることができる、という主張ですね。利益を受けた者や転得者が元借り手の過払金が含まれていたことを知らないはずがない、不当利得が混ざっていたことを知っているだろう、だから詐害行為なのだ、という理屈かと思います。確かに一理あるかもしれません。これが適用になれば、たとえ会社更生法、民事再生法や清算等の手続を経ようとも、それらを取り消しできることになり、債権者への分配を改めてやり直さざるを得ないということになってしまいます。パラパラと提起される詐害行為取消訴訟の度に配分やり直しをすることになる、ということですね。それが妥当であるかどうかを、次に検討してみます。


3)会社更生法適用は詐害行為なのか?

各種手続を行った後から元借り手が詐害行為取消権行使の為に提訴するとして、これが妥当なのか否かということですね。通常であれば、会社更生法申請に伴い債権届出せねばなりませんが、この時点では漏れていて届出をしていなかった元借り手の方々が訴えるということになります。会社更生法適用が決定され、既に更生手続開始となっている会社に詐害行為取消権の請求について考えてみます。

根本的に会社更生法申請は、債権者を害する行為なのでしょうか?民法424条規定のごとく、債権者を害するかどうかです。普通に考えれば、裁判所が認定するものですから、債権者を害するものであることは少ないでありましょう。本当に債権者に不利になるのであれば、会社更生法は適用にならないからです。また、詐害行為取消権には民法に次のような留保があります。

○第425条
前条の規定による取消しは、すべての債権者の利益のためにその効力を生ずる。

会社更生法を取り消すことが果たして「すべての債権者の利益」といえるでしょうか?そもそも会社更生法を申請するということは、多くの債権者に損害が及ぶことになると考えられるからであって、多くの債権者の利益保護をも考慮するものであるはずです。つまり、会社更生法申請が裁判所に認められ、適用となるのであれば、それは「債権者の利益」にかなうものであるはずです。従いまして、425条規定により詐害行為取消権が効力を生ずることはなく、更生開始後に過払金返還請求を行う元借り手の提訴があっても、会社更生法を取り消すことはほぼ困難ではないかと思われます。これは民事再生法適用後であっても同様かと思います。

また、詐害行為取消権の請求は時効消滅規定があるので、無際限に請求可能なわけではありません。

○第426条
第四百二十四条の規定による取消権は、債権者が取消しの原因を知った時から二年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

この「債権者が取消し原因を知った時」というのは、裁判所の判断を聞いてみないと何とも言えないかもしれませんが、普通に解釈すれば会社更生法申請後の債権届出公告の時とか、更生開始決定の時といったことになるのではないかと思います。


4)会社更生法や民事再生法以外ではどうか

倒産、清算で処理を終了した後になって、元借り手が詐害行為取消権を請求してきたらどうなるのか?
また分配をやり直さねばならないのだろうか。そうなると、倒産会社の資産を配分して処理したのに、毎回毎回それをやり直すことになってしまいます。

それが妥当なのかと言われると、そうではないだろうと思います。あまりに実際的ではないからです。
では、法的にはどう考えたらよいかということになりますが、私の考えたのは民法規定です。

○第491条
債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において、弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。
2  第四百八十九条の規定は、前項の場合について準用する。


この491条2項規定がポイントではないかと思いました。破産や清算等の手続終了後に元借り手が返還請求するわけですから、「全部の債務消滅には足りない給付をしたとき」ということになるかと思われます。元借り手の債務が残っていた、ということになると思うので。債務者(貸金会社)が複数(数個)の債務弁済をする場合であるので、この491条適用は可能かと思います。すると2項の適用を考えることになりますが、489条の準用となっていますので、489条を見る必要があります。

○第489条
弁済をする者及び弁済を受領する者がいずれも前条の規定による弁済の充当の指定をしないときは、次の各号の定めるところに従い、その弁済を充当する。
一  債務の中に弁済期にあるものと弁済期にないものとがあるときは、弁済期にあるものに先に充当する。
二  すべての債務が弁済期にあるとき、又は弁済期にないときは、債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する。
三  債務者のために弁済の利益が相等しいときは、弁済期が先に到来したもの又は先に到来すべきものに先に充当する。
四  前二号に掲げる事項が相等しい債務の弁済は、各債務の額に応じて充当する。

会社の破産や清算手続を行う時点では、元借り手は債権の請求を行っておらず、債務者(貸金会社)も弁済を考えてはいなかったので、ここにある弁済充当の指定のないものと考え、法定充当を適用するべきと思います。この法定充当が認められるのであれば、1号規定のごとく弁済期にあるものと弁済期にないものでは「弁済期にあるものに先に充当」というのは合法と考えられ得るのではないでしょうか。過払金返還請求は請求がなければ「弁済期にない時」ということになるものと考えれば、「法定充当は合法」と思います。更に債務者(貸金会社)にとっての弁済利益が異なるわけではないので、過払金返還請求より先に債権者が存在していた(倒産や清算手続時点での債権者たち)のであるから、3号規定の如く「弁済期が先に到来したもの」に該当するものとも考えられ、法定充当を適用することには問題があるとも思われません。

よって、会社存続とか事業継続などにより過払返還請求が共益債権として処理可能である場合と、それが困難であって倒産や清算等手続後になった場合では取扱いに差異が生じたとしても止むを得ないのではないかと思います。詐害行為取消請求を行ったとしても、法定充当であったのであれば「詐害行為」と認定することは困難なのではなかろうかと思います。

喩えていえば、死亡した債務者が存在するとして、債権者が死亡したのであれば本人に債権請求はできません。債務者の相続権者たちに消滅時効の2年経過後(詐害行為取消権行使の原因認知から2年という意味)に事後的に債権請求するようなものであり、相続財産の処理が既に済んでいるとか、相続権放棄などで処理が確定してしまっているのであって、その後に債権の申立を行うとして個々の取消請求が有効に機能するとは思えません。会社倒産(清算)は法人の死亡のようなものという印象があるので、死亡後であっても無際限に請求が可能ということは考えられない、ということです。



消費者金融の不良債権比率が2倍に上昇!!

2008年04月08日 22時19分56秒 | 社会全般
日経さんの記事は、記名記事になっていないことが極めて残念です(ネット記事だけかもしれませんが)。同一性をトレースされると何か不都合な点でもあるのでしょうか?(笑)

日本振興銀行の定期預金残高が1千億円超えた(どういうニュースバリューがあるものなのか私には判りませんが)とかいう、提灯か何かでしょうけど、そういう記事を書いている記者氏が誰なのかとても気になりますしね(笑、冗談です)。これは関係ないので、どうでもいいですけど。

問題の記事はコレ。

NIKKEI NET(日経ネット) 消費者金融大手、不良債権の比率上昇・審査厳格化で返済滞る

 消費者金融大手の不良債権比率が上昇している。アイフルと武富士は20%を超え、アコムとプロミスも10%近くと、いずれも5年前の2倍以上になった。各社が過払い利息の返還請求や、上限金利を引き下げる貸金業法改正に向けた融資審査の強化に追われ、不良債権が増えてきた。ノンバンク事業に力を入れる大手銀行の収益見通しを狂わせる可能性がある。

 不良債権比率は3カ月以上返済が滞ったり、金利を減免したりした債権が貸出残高に占める割合。大手4社のうちアイフルの同比率は2002年度末に約6.8%だったが、07年12月末には21.6%に急上昇した。武富士も同じ期間に10.1%から20.3%と2倍に拡大した。(10:13)

=====

へえ~審査厳格化で返済が滞るんですか。なるほどねえ、経済紙だけにとても勉強になるわけです(笑)。
一体、何を言いたいのですかね?
日本のトップ経済紙の看板でこういう記事を通すのは、問題があるんじゃありませんか?書いた記者もそうだし、掲載許可みたいなものはどこかでチェックがかかるのではないかと思うのですが、それも機能しないのであればマズいのではないかと思えます。

仮に、これがサブプライム向け住宅ローンであった場合にも、「審査厳格化で返済滞る」と言いますでしょうか?(笑)
実際にサブプライムローンの延滞率は上昇していましたし、審査厳格化は早くから行われだしたのではありませんか?審査を厳しくすると延滞率が上昇するんですか?全然違いますよね?記者が適当に作った原因の断定を書くのは止めてもらいたいですね。日経に限らず、新聞記事ではよくある、大変便利な見出しのようですね、『で』というのは(参考記事)。

データを見て記事を書いた方がいい、とブログに書いた途端にこれですか(笑)。まあ偶然に過ぎないわけですが。
で、不良債権比率が5年で2倍に増加している、と言いたいのですね、記者氏は。なるほど。記者氏には、これがどういったストーリーなのか、恐らく推測は出来ていないのでしょう。自分の主張であったとしても、どういった可能性が考えられるのか、それが自分の中ですら理解できない、ということなんでしょうね。どうしてそう思うかって?記事中に、最低限必要になることが書かれていないからですよ。記者氏の主張を納得させる為に決定的なことが欠けているからです。

まず、記者氏の主張どおりであった場合、どうなんだろうか、ということを考えてみますか。

貸出審査厳格化があるのですから、貸倒リスクの高い借り手には貸さなくなっている、ということが予想されますよね?となると、それでもなお不良債権が増加するとなると、いくつか理由が思い浮かぶでしょう。私が思いつく程度の例で書いてみます。

①貸出審査が機能していない、実際には厳格化になっていない=リスクの高い借り手にジャンジャン貸してしまう結果となり、不良債権比率が増加したのかも
→じゃあ、スコアリングを変えたとか、信用情報機関を変更したとか、審査機能を大幅に変化させたようなことがあったか調べてみよう

②審査厳格化で実は優良顧客をも大量排除した結果、貸出残高が大幅に減少し、相対的に不良債権比率が上昇したのではないか→貸出残高はどのくらい減ったか比率でなく実額で見てみよう、貸出を断った割合がどのくらい増えてるか見てみよう

こんな風に考えたりするもんじゃないですか。けど、そういうのも全くないんですよ、この記事の中身というのは。審査厳格化の他にも、よく言われてた「失業増加」とか「収入減少」とか、いくつも考える理由があるじゃないですか。なのに、何故かこの記者は、「審査厳格化『で』返済滞る」と断定しとるんですね。その意図が判らないし、仮にその説であるとして、記者氏が考える「審査厳格化でどうして不良債権が増加するのか」ということが全くないわけです。

記事の前段を読むと、過払返還請求や法改正への対応(審査含む)に追われたので不良債権が増加してきた、みたいに受け取れるのですけどね。つまり、回収までには手が回らず、返還や法改正に追われてるからだ、というようにしか読めないわけです。なのに、どうして「審査厳格化で返済滞る」が出てくるんでしょうか、って話です。不思議でしょうがないわけです。この記事から、どうしてそんな主張が出てくるんですかね、ってことです。

普通に考えると、①の可能性はまずないと思いますので、②であると有り得るかもしれない。数字で書くと(全くの例に過ぎません)、

・5年前 貸出残高1兆円、不良債権500億円
・今 貸出残高5000億円、不良債権500億円
これで不良債権比率は2倍になるのですから。
リスクのある借り手の変化があったのではなく、貸出残高の大幅減であれば有り得ますよね。もしそうなら、何故貸出が半減したかといえば「審査厳格化」を適用したためだ、という説明をつけられるじゃないですか。この記事にはそういうのが全くない、と言ってるんです。記者氏にはそういう「考えた形跡」みたいなものがないので、記事にもそれが出てこない、ということですよ。


因みに、私の推測はもっと全然違いますね。新銀行東京の記事で書いたとおりですよ。新銀行東京の場合は、大手貸金の上昇率どころではありませんって(笑)。
新銀行東京に学ぶ経済学~その3(色々追加)

破綻先債権は1年で3倍(8億→24億超)じゃないですか(笑)。リスク管理債権だって、僅か半年で約3倍(2.24%→6.22%)、1年だと4倍近い(8.47%)のではありませんか?別に、貸金だけに限ったことではないかもね。大手貸金の融資が新銀行東京ほど「ずさん融資」でなかったとしても、増加するにはそれなりの理由というものがあってもよさそうですけど。

基本的には、大手貸金といえども「最後の貸し手」になってきた、という傾向なんじゃないかな。これまで中小貸金が大手の後から貸してたことが多かったのだが、その貸し手が消えたからであろう。大手は3社以内に貸し出すことが多かったが、弱小になるに従いそれ以降の順番で貸し出していたからね。そういう貸し手が現れにくくなったんだよ。だから大手貸金や新銀行東京の債権に焦げ付きが目立ち始めても不思議じゃない。日本振興銀行の不良債権比率増加も同様。これまでは「別な貸金」が資金供給をして、借り手に自転車を漕がせてきたからさ。そういう貸し手が現れないと、貸出順の始めの方であっても焦げ付くだろう。

新銀行東京も大手貸金も、共通していることがある。それは、貸し手責任となってきた、ということだ。これまでは別な貸金からの資金を回すことで「延命」を継続してきたのだが、その延命装置が壊れたのさ。これまでは大手貸金まで貸し手責任はあまり及んでこなかったのだ。だが、これからはそうもいかないだろう。貸金に融資してきたり投資してきた銀行も責任を負うことはあって当然だろう。

そういうわけで、大手貸金の不良債権比率上昇の要因を推理するなら、
・中小貸金の撤退により「次の貸し手」が消えたこと
・貸出残高減少(過払金返還、貸出審査厳格化、等)
・これまでの「貸し込み」の成果?笑
(=おまとめ商品などで1件当たり残高が大きい?)
みたいなことなのではないかな。かなり適当。特に、最後付け足したのは、個人的な思い込みだけどw。
ま、データでは大手貸金1件当たり残高は年々増加してきていたので、そういうもんかもな、と。トコロテンみたいに破綻水準に押し出されてくるのが、これまでより少し早まったんじゃないですかね。多くはキリギリスへの貸し込みで債務残高を膨らませてきていたようなもんでしょうし。

参考:
貸金業の上限金利問題~その18

エコノミスト金子洋一氏の記事について~その1・お詫びと訂正など


ひょっとして、これまで「審査厳格化でヤミ金被害増加」や、「審査厳格化で倒産件数増加」とかに対してブログに批判を書いてきたから、今度は「審査厳格化で返済滞る」を編み出してきたんでしょうか?(笑)
粘り強いね。
対抗するネタが尽きてきたか?
何が言いたいのかはっきりさせて、それなりの記事を書いてくれ。「ああ、なるほどな、そうかもしれないな」と思わせるような内容を出してみてね。そうすれば、ああ、さすがは日経新聞だな、と思うだろう。けど、今ままでのところ、ほぼダメだったね。

「審査厳格化で~」シリーズでも組んだらどう?(笑)




英知権??

2008年04月08日 17時08分01秒 | いいことないかな
まあ、わかる。
自分も是非参加してみたいもの(笑)。

新人研修はエド・はるみにお任せ!?(オリコン) - Yahooニュース

初見のインパクトは、中々だったし。それは別にいいんだけど、記事中の誤りを発見。

この部分>
「マナー講師をされていたそうなので、研修にはピッタリ」(東京都/40代/男性)といった意見が集まった【エド・はるみ】。お笑い芸人なので「真面目に教えるだけではなく、所々に笑いを混ぜて、楽しく研修をしてくれそう」(英知権/20代/男性)という声が集まった一方、元講師ということで「マナーのしっかりした人材を育ててくれそうだから」(神奈川県/20代/女性)と、性別、世代別全てのランキングで1位となった。


多分「愛知県」だろうと思うけど、急いでタイピングだったので間違えちゃったんだね(笑)。

「英知権」ねえ、なるほど、意外といい造語かもしれんね。

「オレには英知権がある!だから…」みたいに使えそうかも。


定義が難しいかも。あんまり思いつかないし。


それから、昨日のフェルドマンさんの記事ですが、あれは私の個人的思い込みかも(笑)。よく読めば、きちんと書いてあるもんね。ゴメンね。
バイアスがあるよ、と断りを入れてから、中身を書いてるもんね。バイアスを軽減する為の材料である、みたいには言ってないもんね。勝手にそういう印象で読んでしまったのは、私の落ち度。
申し訳ないです>フェルドマン氏



お友だちバイアス?

2008年04月07日 21時17分54秒 | 政治って?
まだ決まらない日銀総裁人事ですけれども、素晴らしい論考を発見致しました。
socioarcさん経由。

次期日銀総裁―候補者を比較する


フェルドマンさん執筆ですので、結論から言うと、「お友だちバイアス」みたいなものでしょう(笑)。
この結果を見たら、誰がどう見てもそのようにしか見えないでありましょう。平ちゃんは立派な人物ではあるけれども、そうかといって他のメンバーに図抜けて優秀かというと、そうでもないかもしれません。

以前にいくつか名前を挙げたことがありますが、上記の結果を見ると、どうも平ちゃんには劣るようですね。

日銀総裁人事案についての提案・さらに補足


植田さんは、伊藤先生と並んで4.50平均でございました。黒田さんはもうちょっと下がっていますね。

あのですね、フェルドマンさんは「三国志」とか「信長の野望」みたいなゲームをやりすぎたんではないかと思えましたね。だって、まるで登場キャラの「武力、知力、政治力」みたいな数値を出しているので。

ま、フェルドマンさんがお書きのように、バイアスを排除するという目的であるとして、変数というか評価点を組成し、まるで通知表のように総合的に評価をしようという試みは判ります。
しかし、これこそがバイアスを反映しているかもしれないかな、と思ったのですよね。個人的思い入れを回避する為に、株式投資の銘柄選定してウェイトをつけポートフォリオを組むというのも似てるかな。例えば銘柄Aと銘柄Bの比率が10%と20%であることの「論理的理由」みたいなものはない、ということです。一見、合理的な評価方法であるかのように「見せる」ことは可能なだけで、論理的な基準とか計算方法の正当性を立証することなどできないのです。

通知表で数学5、音楽4、の時、どっちが優秀であることの指標なのかは、正確に判らない、みたいなもんです。


重原氏って全く存じ上げませんが、評価が高いんですよね。竹中氏の若さが有利に働いていたかもしれませんが、日銀総裁の若さというのは能力と関係がないわけで、グリーンスパンは年寄りだったぞ、とかいうと、たまたまだ、ってことかもしれませんがね。

そういう種々の指標を入れることの是非、指標の適正なウェイトをどうやって考えることができたのか、そういうものの論理的裏付けなど一切ないものでしかない、ということなんですよ。主に、フェルドマンさんの「主観」でしかないわけです。すなわち、それこそがフェルドマンさんのバイアスを反映しているものに他ならないのではありませんか、って話です。


喩えがちょっとズレてますけれども、ある薬を調合しようという時があるとしますか。漢方薬みたいなものと思っていただければ。

コウモリの羽 1g
キノコ 2g
ナントカニンジン 3g

こういう組み合わせであるとしますか。これには、それぞれに意味があるのであって、ナントカニンジンが2gではなく3gであることには、何らかの理由が存在しているのですよ。2gではダメで3gの方がいいんだ、という理屈があるわけです。同じく、キノコ1gとコウモリの羽2gではダメで、上記配合でなければならない理由が存在する、ということなんですよ。説明可能な理由がある、ということです。ナントカニンジンを入れる代わりに、乾燥ワカメを入れていいということにはならないわけで、このことにも理由があるわけです。乾燥ワカメでもいいじゃないか、といわれた時に、「いやダメなんです、それは~だから」という説明が可能な理由がある、ということですよ。別に、適当な思いつきで入れてるわけじゃありません。


しかし、フェルドマンさんの論説の組み立ては、どんな素材を入れるのか、自由に自分の好きなものを適当に入れているのと同じです。
その指標が何故選ばれなければならないのか、別な○○という指標ではどうしていけないのか、という必然性もありませんし、そうしたことの考察がありません。ウェイトの配分にしても、そのことの論理的根拠なんてどこにもありません。

別にフェルドマンさんが意図的に平ちゃんをトップ成績にしたかった、とかそういうことを言ってるわけではありませんよ。しかし、論理的な展開をしているかのような錯覚を与えるだけなら、ちょっとズルい気がしたのですね。もっと率直に「各候補者の通知表をつけてみましたよ」ということなら、ああ「主観的評価」がかなり入ってるな、ということが読み手にも判るからです。

しかし、本評価の目的はバイアスの排除ですので、根本的に本来趣旨から外れるものであり、あるバイアスを排するために新たな「お友だちバイアス」を作っているのと何ら変わりない、ということです。それを読み手に意識させないものになっていることが、やや誠実さに欠けるかな、と思った次第です。


でも、全体的には興味深いもので、入れてる視点としては「人物評価」をする時に役立つものであると思います。
でも、平ちゃんの「経営者としての経験」とか4になってるけど、到底そのようには見えないんですけれどもね。試しに政府系の組織とか、本当に経営させてみたらいいと思うよ。企業経営的な手腕は、恐らく全くダメだろうと思いますね。だって「人の心」みたいなものが判らないもの(笑)。理屈で、理論で、人が動いてくれたりはしないと思うから。軍隊であれば、大将の言うことはきくしかないからみんなその通りに動くけど、軍隊ではない組織に大将が出て行って命令をいくらやってみたところでうまく行くとは限らない、ってことです。


まあこれは別にいいんだけど、フェルドマンさんの見方や考え方が何となく判ったような気がいたしました。


※追記:8日17時頃
次の記事にちょっとお詫びしました。



いくら何でも…

2008年04月07日 17時52分48秒 | 俺のそれ
色々な表現があっていいと思いますが、さすがにどうなんでしょうね、というのが、

「改革アパッチ」
「改革ベトコン」

というやつ。

ちょっとマズいんじゃないだろうか、と思うわけだ。


まるでネットの某所・某界近辺で見聞きする「モヒカン族」みたいなものか。
ならば、いっそ「改革モヒカン」とかにすればいいのでは(笑)。