所信表明演説に対する野党第1党の立憲民主党の枝野幸男代表の「優等生的な質問」に対しては、あるネット掲示板にこんな批判があった。
日本学術会議任命拒否問題について... 枝野は質問の仕方が間違っている。 総理に答えさせるべきは、除外した理由ではなく、任命するか除外するかを振り分けた選別基準です。 除外した理由なんて聞き方をするから、国民が、除外したのが105人全員だった場合と区別できずに、除外されるのが誰なのか知らないまま承認したことに何の問題もないような気になってしまうのです。 除外したのが105人全員なら、除外されるのが誰なのか知らなくても問題ないもんね。 国民はその状況と区別できなくなってしまってるのです、除外した理由なんて聞き方をするから! 枝野よ、任命するか除外するかを振り分けた選別基準を聞けよ! 加藤は、 「総理は、除外されるのが誰なのか知らないまま承認したが、選別基準を承認したから、除外されるのが誰なのか知ってて承認したのと同じだ」と説明している。菅も加藤の説明を否定していない。 枝野よ、そこを突かなくてどうする! 「誰なのか知らないまま承認したのは、 誰なのか知ってて承認したのと同じだ」 この馬鹿げた説明を、加藤や菅が自分の口から言ってところを、国民に見せ付けることが重要です。 |
それに対して翌日の共産党の志位和夫委員長の質問にはそれなりの迫力があったことは否めない。
首相、学術会議の任命拒否の理由として「多様性」を言い出した。
— 志位和夫 (@shiikazuo) October 29, 2020
それならなぜ、「50代前半の研究者」、「その大学で1人しかいない研究者」、「比重の増加が求められる女性研究者」の任命を拒否したのか。今日の代表質問で聞いてみることにしよう。
首相に、きちんとした説明を求めたい。
?志位さんの質問。菅首相の矛盾、デタラメがはっきりわかる。pic.twitter.com/pro0QmCGEj
— 猫屋敷にゃんか?? Seesaa (@oyasuminya5) October 29, 2020
一般紙では書けない表現で核心を突いた記事らしいのが赤旗であった。
「任命拒否正当化 菅首相発言すべて虚偽 大西元学術会議会長の資料で判明」
「地方の大学が少ない」「一部の大学に偏っている」などとして日本学術会議会員の多様性に問題があるかのように言い立てた菅義偉首相のNHK番組(26日夜)での発言が、事実に反することが、大西隆元日本学術会議会長が野党に提供した資料で28日、明らかになりました。首相は同日の衆院本会議でも同じ趣旨の答弁を繰り返しました。 大西氏が提供した資料は、男女比、会員の地域分布、特定大学への集中是正の「成果」を年次ごとに示したもので、女性比率や関東以外の大学の構成比が大きく前進していることを示しています。 菅首相は日本学術会議法が定める「優れた研究又は業績がある科学者」との推薦基準を無視し、「一部の大学に偏っている」など法律にない基準を勝手に持ち出して自らの任命拒否を正当化するという法治主義破壊の姿勢を示していましたが、持ち出した“基準”をめぐる主張そのものが事実に反することが明らかになりました。 しかも菅首相と梶田隆章会長が16日に面談した際に、梶田氏から、会員構成の多様性を確保する取り組みの成果を報告したとする会員宛てメール(28日既報)が明らかになっています。菅首相はこうした事実を知ったうえで、意図的に事実と異なる虚偽の攻撃を行った疑いが強まりました。憲法23条に反し学問の自由、精神活動の自由を脅かす任命拒否について、論点をすりかえたうえ“うそ”の攻撃をしたという重大な問題です。 大西氏が提出した資料によると、男女比で1997年7月が男性99%、女性1%だったものが、2020年10月はそれぞれ62・2%、37・7%と女性の比率が上昇しています。 会員の地域分布では、97年7月に関東地方の会員の比率が68・1%、その他の地域が31・9%でしたが、20年10月では、それぞれ49・5%、50・5%になっています。 特定の大学への集中の是正では、東京大学在職者の比率が11年10月28・1%が、20年10月に16・7%に減少しています。 ![]() |
国会では嘘で強弁してなんとか逃れようとしているが、国会外ではすでに菅義偉にまつわるスキャンダルが浮かび上がっている。
「『菅総理』密接業者が不可解な公有地取引 異例の好条件、交渉では総理の名も」(デイリー新潮)
菅義偉総理の周辺に公有地をめぐる疑惑が噴出した。衆議院初当選以前から付き合いのある密接業者が、異例の好条件で神奈川県の土地を取得、転売していたことが明らかになったのだ。県との交渉の中では、総理の名前も出ており、事態は「第二の森友疑惑」の様相を呈している。 *** 問題の場所は、神奈川県横浜市・保土ケ谷区にある3千平方メートルほどの土地だ。もともと神奈川県の県有地だったこの地が、横浜市内の「(有)成光舎」なる民間業者に売却されたのは5年前のこと。代表を務める河本善鎬(かわもとよしたか)氏は菅総理を長年支援し、成光舎名義で献金を続けてきた人物である。 2007年、菅総理は、自身の所有するビルに事務所を置き、多額の事務所費を計上していたことが問題視された。この直後、菅総理が売却したビルを購入したのも成光舎だった。そこから11年まで河本代表の関連会社が所有するビルに菅事務所は入居していたから、菅総理にとっては「スポンサー」であり「不動産取引相手」であり「事務所の大家」――つまり、総理の“密接業者”といえるのだ。 そんな河本代表が関与した公有地取引のどこが問題だったのか。 ひとつは、本来、競争入札が行われるはずの公有地の取引が、成光舎との随意契約になった点だ。もともと件の県有地と隣接する土地を所有していた成光舎は「保育所と学生寮を併設した施設整備」を理由に土地の取得を要望し、横浜市長によるお墨付きである「副申書」(参考意見)が提出されたことも手伝い、取得に成功している。この副申書の作成にあたっては、県から市に対し、書き方指南の連絡があったという“厚遇”ぶりである。 契約の経緯も疑問であるが、取得額の決定も不透明である。もともと、不動産鑑定士の鑑定に基づき、土地の売却額は約4億5700万円とされていた。だがこれに河本代表は「事業の採算が合わない」などと主張。であれば改めて一般競争入札になるところを、交渉の末、県は異例の短期間での再鑑定を実施したのだ。「建築費が高騰した」ことなどを理由にした再鑑定額は、約3億8800万円。じつに15%の値引きである。 こうして15年1月に土地を取得した成光舎。県と成光舎が結んだ契約書では、土地の用途を「保育所及び学生寮」とし、売買から10年間はこの目的で土地を使用することが義務付けられた。にもかかわらず、県から売却を受けた当日、成光舎はこの土地を関連会社に転売。さらに他の業者への転売も視野に入れていたのだ。河本代表は神奈川県の呼び出しに、保育所を整備するための開発が行えず、学生寮の設置も採算が取れない、と主張したという。 本来であれば契約自体を無効にして、成光舎を訴えてもよいほどの事態だが、県は「保育所建設は困難」「成光舎は努力した」となぜか理解を示し、その後、用途指定が解除されたため、転売は公式に認められた。結果、この土地は翌16年に大手住宅メーカーに転売され、多額の利益を上げたとみられている。 そもそも、成光舎の主な業務はパチンコホールの経営。福祉関係の業務経験など皆無ゆえ、「本当に保育所を設置する能力や意欲があったかどうか疑問」と、神奈川県庁関係者は言う。 「菅さんのスポンサー」 神奈川県が作成した交渉メモによると、河本代表はその過程で、菅総理の名を2度も出している。再鑑定を巡って県と揉めていた時期に「対応によっては、知事、副知事、菅官房長官へ話しに行く」「納得がいかなければ、知事、副知事にも、(菅)官房長官にも行きますから」と発言した記録が残されているのだ。 週刊新潮の取材に対し、河本代表は菅総理に関する発言も関与も否定。菅事務所も、 「(取引への)関与はありません」 と答える。だが「かながわ市民オンブズマン」代表幹事の大川隆司弁護士はこう語るのだ。 「随意契約、求めに応じる形での再鑑定……いずれも公務員が個人の利益のために行動したような印象を受けます。売却後の無断転売も不可解。交渉の中で実質的な“脅し”の発言をしているように、政治的な要素が影響を与えた可能性は否めません」 |
「菅首相の“オトモダチ”に「公有地払い下げ」の異様な経緯」(日刊ゲンダイ)
「神奈川県における菅氏の影響力は絶大です。県庁や議会には、菅氏の元秘書もたくさんいる。重大な契約違反が発覚しても見逃し、県が訴えようとしなかった背景には、やはり菅氏の存在があると考えるのが普通でしょう。直接の口添えをしていなくても、行政が歪められた可能性があります。あまりに森友事件と構図が似ていて驚きました。この問題を予算委員会で追及されたら、菅氏はどう答えるのでしょうか」(政治評論家の本澤二郎)
この本澤二郎がブログでかなり赤裸々にこう書いていた。
「官邸霞が関のガン<本澤二郎の「日本の風景」(3890)」
官邸・霞が関のガン<本澤二郎の「日本の風景」(3890) <日本学術会議にメスを入れた警備・公安のボス> 自民党本部職員時代に、警備・公安とかかわりを持った元福田赳夫側近の目を誤魔化すことは出来ないだろう。目下の政治問題の争点となっている日本学術会議推薦会員6人をカットした主犯は、官邸に君臨する警備・公安のボスである。 前川喜平元文科省事務次官も証言しているように、官房副長官の79歳の杉田某であろう。元警察庁警備局長の人物を重用する理由は、霞が関のみなのらずリベラル・自由主義者にも監視の目を向け、国家主義に反対する勢力を撃退する官邸の「防護服」だからである、と断定することが出来る。 内外の組織・団体・人物に対して、とことん監視する公安・警備のボスの目を曇らせる、言うところの戦前派・改憲軍拡に抵抗する勢力・人物を排除することを目的としている、と杉田を断罪できるだろう。 官邸霞が関の監視人が、学問の世界にもメスを入れたことが、日本学術会議事件である。人権侵害の恐怖の内閣といえる。 <戦争三法推進の国家主義派は自由主義を警戒> 戦争三法(特定秘密保護法・自衛隊参戦法・共謀罪)は憲法に違反する。真っ当な裁判所なら、違憲の判決を下す事案である。 これの推進役となった自民・公明・維新の面々は、平和憲法を擁護する義務に反して、破壊する勢力として断罪されなければならない。この関連で、本丸の憲法改悪のための国民投票法改正案は、野党も平和国民も体を張って阻止する、憲法的要請を受けている。このことに応えなければならない。 この一点で、この政府と対抗する責任を公人も国民の誰もが負っている。財閥・日本会議の野望・悲願に屈してはならない。 今回の日本学術会議の問題で、明らかとなったことは、この戦争三法に抵抗した、真っ当な勇気ある科学者を排除した点にある。 戦争三法を強行した国家主義派に対抗した、自由主義派を排除して恥じない政権の主役を演じた公安・警備のボスが、今回の事件の主役ということになるのである。自由で開かれた日本は、その実、戦前のような暗い時代に追いやられていることについて、主権者は深刻な認識をせざるを得ない。 <急転「知らなかった」から「私が決めた」の非知性派首相> この問題について、菅は終始逃げ回って、国会での説明をしなかった。実際問題、日本学術会議のことを知らなかったのであろう。多くの国民も同様だったはずである。 困ったら「逃げるが勝ち」を踏襲してきた安倍晋三の女房役が、今度は自ら実践したものであろう。議会が始まると、一転して蛇行運転、とどのつまりは「自分の判断で」と軌道修正した。 公安・警備のボスが、政府の「防護服」?どう考えても時代遅れなのだが、ここが日本国憲法が否定して止まない国家主義の怖いところである。反対派を容赦しない、排除するという強権主義の発動である。 戦前の治安維持法と特高警察を連想してしまいそうなのだが、無知蒙昧の首相はそれを拒絶できない。杉田にとって菅も、安倍同様に使い勝手がいいのだから。 <官房副長官の杉田の国会証人喚問が不可欠> 日本学術会議事件発覚で、野党は格好の獲物を見つけ出したことになる。杉田の証人喚問である。国政調査権の行使である。罷免するまで追い込むのである。 これを回避するための菅の軌道修正であったのだが、ここは体を張って解散覚悟で追及することが、野党の責任で、そこに勝利を約束されよう。 <安倍犯罪・TBS強姦魔事件も見えてくる> 安倍内閣の下では、今井が表に出てきて、財閥利権政策に狂奔してきたが、安倍犯罪もみ消し役の菅の黒子が杉田だった。菅内閣になって杉田が前面に躍り出てきたことになる。 野党・言論界の標的は、国家主義に傾倒する杉田となろう。彼は安倍犯罪のすべてに関与してきた。特に、TBS強姦魔事件をチャラにした主役のはずである。中村格を操る黒幕ともいえる。 恐怖政治の本丸発見に、野党も元気が出てきた。霞が関の官僚たちの目も輝いてきている。早くも菅の正念場でもある。 |
それにしても、所信表明演説に対して日刊ゲンダイに、掛け声だけの「ヤルヤル詐欺」とか理念も思い込みもない「思いつき政治」と酷評されており、昨日は、「蟻地獄に陥ってしまった菅義偉」とつぶやいたのだが、「総理大臣」に就任してまだ1か月半余りで、早くも「正念場」に立たされた総理大臣は過去に存在したのだろうか、とオジサンは思う。