新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
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蟻地獄に陥ってしまった菅義偉

2020年10月29日 11時54分32秒 | 菅義偉

当初から余り期待していなかった菅義偉の所信表明演説に対する代表質問が昨日行われた。
 
この代表質問も事前に質問項目を提出しているらしく、立憲民主党の枝野幸男代表の質問中、菅義偉がしきりと用意された答弁書の付箋を探している光景が見られた。
 
そして予想通りというのか、国民の代表でもある野党党首の質問に対して、まともには答えず26日の所信表明演説と全く同じ内容の答弁に終始していた。
 
もっとも本会議での代表質問VS答弁は残念ながら国会における最初の「儀式」なので実のある答弁を期待するほうが無理である。
 
その辺は、ジャーナリストの高野孟がわかりやすく批判していた。
 
菅内閣は個別政策のみで長期的ビジョン・社会像が見えない

木を見て森を見ない」のが菅義偉首相の思考方法の最大特徴である。個別・具体的な政策はあるのだが、それがその課題全体の中でどう位置づけられるのかは語られることがなく、ましてや政権としてのビジョンなり目指す国家・社会像にどうつながっていくのかは、まったく見えてこない。
 たぶん、準備不足だったのでそれも仕方のないことで、所信表明演説まで待てば少しはその懸念も解消されるのかと期待していたが、全然ダメだった。
 政権ベッタリの読売新聞は、「理念重視型だった安倍晋三前首相とは対照的」に「仕事師としての実務色を前面に出したスタイル」と、何とか褒め言葉を見つけて解説したが、その文末では「ただ、首相の演説を巡っては、自民党内から『長期的な戦略や国家観が欠けている』(閣僚経験者)との批判も出ている」と、ただし書きをつけ加えざるを得なかった。
 「木」というのは例えば、不妊治療への保険適用という、それ自体としては誰も反対しない政策である。しかし、それが深刻さの度合いを増している日本の少子化=人口減少社会への突入という「森」レベルの問題にどれほどの歯止めとなるかというと、多くの専門家は「ほとんど影響ない」と指摘する。不妊治療を必要としない圧倒的多数の若いカップルが、失業したり非正規雇用を強いられたり保育所に入れそうになかったりで子供をもうけることをためらうことが中心問題だからである。
 携帯電話料金の値下げというのも同様で、日本の消費者は必ずしも「安ければいい」とは思っておらず、むしろ多少高くとも通信品質が安定していることへの志向が強いし、度が過ぎた「大容量」も必要としていない。そんなことよりも、4G時代に後れを取り、5G時代にはすでに致命的に乗り遅れてしまったデジタル事情が大問題であるというのに、通信会社や機器メーカーの将来投資の体力を奪う値下げが、なぜ内閣の売り物政策になるのだろうか。
 アップルの5G対応のiPhoneも発売になったが、それをどこで使えるのかと思えば、ドコモショップ店舗内のほかはJR山手線の上野、東京、新宿など8駅の駅前だけ。なあ~に、これ。「携帯料金値下げ」という木は「デジタル対応失敗」という森とつながっていない。
   
 
昨夜の報道番組ではまともな批判や解説が見られず、特に劣化著しい「報捨て」と酷評されているテレ朝のこの番組では、現場が一所懸命良いビデオ仕上げをしたにもかかわらずMCのアナウンサーやコメンテーターの発言に対する批判のツイートが多かった。 
 

菅総理「撤回せず」学術会議“任命拒否”めぐり論戦(2020年10月28日)
 

「報捨て」のYouTubeの画像には、ネトウヨ連中がわんさかと集まっていた。
 
ネトウヨ連中のコメント満載
 
ところで、ウスバカゲロウ科の幼虫のことをなぜ「蟻地獄」呼ぶのか。 
 
それは、「乾燥した土をすり鉢状に掘って巣を作り、底にひそんで落ちたアリなどを捕らえる」習性からそう呼ばれるらしいが、本来はそこに落ちたアリは「アリジゴク」によって体液を吸い取られ幼虫のえさになるので、アリにとっては地獄となる。
 
学術会議の推薦者のうち6名の任命を拒否した菅義偉の拒否理由が、「名簿は見ていない」→「総合的・俯瞰的に判断した」→「出身大学が偏っている」→「任命権者である私が判断した」→「拒否した理由は差し控える」と普通に考えれば支離滅裂なのだが、本人はまさに「蟻地獄」に陥ったアリと同様、もがけばもがくほど抜け出すことが困難になる。
 
まっとうな反論には答えることができないだろう。
 
学術会議 元会長 菅首相の『会員が一部大学に偏り』指摘に反論
日本学術会議をめぐって、菅総理大臣が会員が一部の大学に偏っているなどと指摘したことについて、会議の大西隆元会長が出身大学などによる偏りは改善されてきているとして反論する文書を野党側に提出しました。
このなかでは、会員の出身大学について10年ほど前は30%近くを占めていた東京大学の出身者が、およそ17%まで減ってきていると指摘しています。
また、会員の地域間のバランスも、15年前は関東地方の出身者が全体の63%余りを占めていたものの、現在は関東地方とそれ以外の地域の出身者は、ほぼ半分ずつになっているなどとして、出身大学や地域による偏りは改善されてきているとして反論する文書を野党側に提出しました。
野党側は「菅総理大臣の発言は、事実関係を踏まえていない」として、今後の国会審議で追及を強めていく方針です。


その昔、安倍晋三は「国民には丁寧に説明する」という回答を毎回「丁寧」に繰り返していた。
 
この発言自体笑止千万なのだが、菅義偉は安倍晋三よりもっと酷くなった。

実際、菅義偉は所信表明演説をおこなった26日にNHKの『ニュースウオッチ9』に出演し、「民間の人も若い人、地方大学を満遍に選んでほしい」などと言い出したのだが、このとき、有馬嘉男アナが国民への説明が必要と突っ込んだのに対し、キレ気味にこう述べていた。
 
「説明できることとできないことってあるんじゃないでしょうか。105人の人を学術会議が推薦してきたのを政府がいま追認しろと言われているわけですから。そうですよね?」
 
「説明できないことをやった」と総理大臣が自ら公共放送で言い放ってしまうというとはあ然とするほかないが、この「説明できることとできないことってあるんじゃないでしょうか」という開き直り発言は、非常におそろしいものでる。
 
菅義偉は国民に説明できないようなことも自分の判断があれば実行できる、と言っているからだ。
 
今後、口を開くたびにこんな状態では文字通り「蟻地獄」からは当分這い上がれないのではないだろうか、とオジサンは思う。
  
 

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