安倍政権が戦後最長政権になった途端に、長期政権が避けられない澱が膿として漏れ出している。
国政選挙で勝ち続け衆参両院で3分の2議席を占めたことにより、どんな悪法でも、国民の多数が反対しようが数の暴力を使えば政府提出の法案が全て成立させられるという状態が続き、国会が形骸化し機能不全となることはある意味、自然の流れであった。
いくら野党が厳しく追及しようが口先で誤魔化し続けれな時間切れで強行採決で法案が委員会を通過し、当然本会議でもすんなりと成立してしまう。
こんなことが続けば安倍晋三を始め閣僚や与党議員のモラルは崩壊し緊張感もなくなり、単なる税金ドロボーと批判される政治屋集団に成り下がってしまう。
「大臣待望組」と呼ばれる所属議員たちを、「滞貨一掃」と批判されながらも新閣僚に起用し、ロクに知識も経験もないポンコツ大臣がぼろを出せば直ちに更迭し、「任命責任は私にある」と言いながら、責任の取り方を知らない安倍晋三。
それを支える内閣のスポークスマンにも、「勤続疲労」が見え始めている。
「『桜見る会』で菅氏会見紛糾 官邸側が終了要請」
官邸記者会見
— 反戦平和 (@liberal16peace) December 25, 2019
毎日秋山記者
「長官は以前から懇切丁寧と言ってきたが、我々が取材を申し込もうとすると内閣府は取材は窓口にと拒む。
内閣官房も『詳細に関わるから答えない』と言って全く説明しない。本当に懇切丁寧と言えるのか?」
菅長官「可能な限り改善を…」
幹事社も抗議
丁寧とは言えない pic.twitter.com/Gk62mhBKlW
記者が反論。菅官房長官粉砕??
— ジョンレモン (@horiris) December 25, 2019
司会役の官邸報道室長が「次の質問を最後に」と求めた。記者側は反論し、会見はしばらく続行された。
「桜見る会」で菅氏会見紛糾 官邸側が終了要請 | 2019/12/25 - 共同通信 https://t.co/CdmLrtPP66
ようやっとメディアが本来の機能を取り戻し始めたか。潮目は変わりつつあるな。https://t.co/7hKbPoHvNd『桜を見る会の問題が浮上して以降、政府の対応を問いただす質問が相次ぎ、「次の日程」を理由に打ち切られるケースが続いていた。』
— 橋本 至 (@kid75) December 25, 2019
午前の官邸記者会見。区分番号「60」に関する質問が相次ぐ中、望月記者に対する意地汚い質問妨害で知られる上村室長が会見を打ち切ろうとし一悶着。毎日新聞の秋山記者が食い下がり幹事社も堪らず抗議。安倍首相と会食しなくなってからの毎日新聞、本当に強い。そして、ふざけるな菅官房長官。
— 異邦人 (@Narodovlastiye) December 25, 2019
さて、来月の通常国会前に起訴に持ち込みたいという東京地検特捜部の予定通りの行動で、クリスマスの日に、「10年ぶりの現職国会議員逮捕 収賄罪は鈴木宗男氏以来」という事態になった。
これについては本人が黙秘し本格的な取り調べが終わらないので詳細は不明だが、久々に在京大手マスメディアの「社説」を読み比べてみた。
■朝日新聞「秋元議員逮捕 カジノ推進の裏で何が」
巨額のカネが動くIRと政治の癒着を指摘する声は、以前からあった。17年に首相が訪米した際、全米商工会議所との朝食会にトランプ大統領を支援するカジノ企業代表が同席したのは記憶に新しい。西村康稔経済再生相も、米カジノ関係企業にパーティー券を購入してもらっていたことが判明している。 外国の事業者が日本進出をめざし、陰に陽に働きかけを強めてきた。今回の摘発は氷山の一角ではないのか。カジノ利権の解明なくして、国民の理解は得られないと知るべきだ。 |
■毎日新聞「秋元・元副大臣を逮捕 カジノマネーの闇解明を」
安倍政権は訪日客増や地域振興を掲げ、成長戦略の目玉として、カジノ解禁を推し進めている。 菅義偉官房長官はカジノ整備について「着実に進めていきたい」と述べた。だが、元副内閣相が逮捕されたことを深刻に受け止めるべきだ。 長期政権による政治の緩みの表れではないか。一国会議員の逮捕と済ませられる問題ではない。 |
◆讀賣新聞「秋元議員逮捕 IR巡る疑惑の徹底解明を」
IR事業への投資規模は、多い所で1兆円超と見込まれる。巨額の資金の一部が、行政への不適切な働きかけなどに使われることがあってはならない。自治体など行政側は、事件を機に業者との関係について襟を正すべきだ。 |
◆産経新聞「秋元容疑者逮捕 IR事業の闇放置するな」
「政府がなすべきは、まず捜査に全面協力を惜しまぬことである。容疑が事実であれば、担当副大臣に登用した不明を恥じ、任命責任を問われなくてはならない。 逮捕直前まで「事実無根」などと関与を否定していた秋元容疑者は自民党を離党した。 それで事件に幕が引かれるわけではない。最大3カ所とされる候補地の選定は、これから佳境に入る。他に不正はないか。監視の目を強める必要がある。 |
見事に各社の旗幟が鮮明になっている社説である。
朝日新聞と毎日新聞は「政権・政治」がらみで批判しているが、政府広報紙と言われている讀賣新聞は安倍政権批判を避けるために「自治体など行政側」と「微笑ましい」表現をしている。
政権擁護というよりはネトウヨ的な産経新聞なのだが、面白いことに「政府の任命責任」を問い、「自民党を離党した」ことで「事件に幕が引かれるわけではない」と背後の大きな闇への追及に期待しているかの論調である。
地方紙の代表として東京新聞は、「秋元議員逮捕 カジノの闇はどこまで」という社説の中で、
「成長戦略が利権にまみれていた証左だ。IRは立ち止まって再考すべきだ。
雇用創出などのプラス面ばかりを強調せず、この際、政府は住民の声に真摯に耳を傾け、考え直すべきなのではないか。
日本では古くから、民間の賭博を禁じてきた歴史がある。この禁を破り、ギャンブルで経済成長しようという発想自体が、どこかおかしい。」と、カジノ誘致自体が問題であり、利権にまみれた成長戦略の再考を促している。
元東京地検特捜部検事から見れば、「秋元司衆院議員逮捕に元地検特捜部検事『かなり驚き』 事件の争点は『本当に本人が直接受け取ったのか』」という懸念もあるらしい。
この問題は「軒下の議員だけでなく二階の議員へ」といわれる程なので、「IR汚職、秋元議員逮捕に続き安倍直系議員にも強制捜査…中国企業から接待受けた『政治家12人リスト』も流出」ということから、年明けには「疑惑」から「疑獄」に進化するかもしれない。
ところで、目を沖縄に転じれば、「現役の海兵隊員が論文で『十分な能力なく抑止力にならない』」という記事では、沖縄の海兵隊員は「紛争シナリオに関連する能力がなく、敵にとって大きな抑止力とならない。沖縄での訓練は制限され、重火器の訓練もできない」という海兵隊歩兵士官のウォーカー・D・ミルズ中尉の論文が発表されたと報じていた。
そんな沖縄の辺野古に新基地を建設をすることは決して「世界一危険な普天間基地」の移転にはならないことが、「『辺野古』工期は12年、政府が見通し 総工費9300億円で当初の2.7倍に」とい記事から、この馬鹿げた金食い虫の如く税金をドブに捨てるような工事はただちに中止すべきであろう、とオジサンは思う。