昔、「勝てば官軍」という言葉があった。
物の本によれば、「戊辰戦争(慶応4年/明治元年)」は、明治新政府軍と旧徳川幕府軍との間で戦われた日本国内最大にして最後の内戦であった。
旧徳川幕府軍はもともと日本を統治しており、天皇からも認められる「官軍」だったのだが、戊辰戦争では、天皇は明治新政府軍を『官軍』と認めることになった。天皇はそもそも軍隊を持っておらず、戦争に勝ち統治権を握った側を支持することになるため、『勝てば官軍』という言葉が生まれた」という次第。
さて自分たちの生存をかけた政治家連中の選挙でも、個々人にとっては落選すれば「ただの人」と呼ばれていつしか国民からも忘れ去られる運命にある。
しかし政党レベルでは選挙前の議席が選挙によって議席が増えれば、それのミニ政党ほど高揚感が高まり、「勝てば官軍」という気分になることなのだろうが実情はどうなのか。
「野党共闘の効果限定的 統一候補の勝率3割」
「勝てば官軍」は「この世では強い者が正義」という意味で、「とにかく勝つことが大事」「勝つためなら手段を選ばない」というニュアンスで使われることもがあるのだが、一方、「勝てば官軍、負ければ賊軍」といった場合には「正しさの基準はその時々によって変わる」「今日の正義は明日の悪」「栄枯盛衰」といった意味合いが強くなることは言うまでもない。
そんな「官軍」気取りのミニ政党の国民民主党のトップが支持団体と会談をしたという。
「国民・玉木代表と連合会長が会談 『共産党とは一線 画すべき』」
連合は大手企業内労働組合組合の集まりで、労働者を守るということをしないという指摘は、「労働争議」を闘って労働者を救ったことがないということからも明らかであろう。
こんなネット上での連合に対する批判もある。
「いつになったら連合は古いイデオロギーから脱却して労働者のための活動に回帰するのか
14~15年春闘にアベノミクスで給料上がったらマズイと過小要求し、批判されたら今度は絶対無理な4%要求して賃上げ要求してますポーズ、そのくせ妥結は14~15年を下回るとか何の冗談だ?
来春もコロナで無理だと判ってるのに変わらず4%要求を維持とか…交渉する気もないくせに労働者団体を名乗るな」
そのような連合の会長に言いくるめられたのか、その会談後にはこんなニュースが出ていた。
「国民民主、立共社の国会対応の枠組みから離脱」
まあ、着々と与党化に向けて突き進むのでしょうね。
— 無職労オジサン (@649rouojisan) November 4, 2021
国民民主、立共社の国会対応の枠組みから離脱(産経新聞)#Yahooニュースhttps://t.co/Vw8WoTYaCn
やはり、こんな指摘もあった。
「玉木の支持者は別に好きにしたらいいけど反自民の受け皿として玉木と国民民主を選んだ奴は近いうちに裏切られると思いますのよ 自民と連立組むか取り込まれるまであると思いますわ」
たしかに、「共産を含む野党共闘から一線を画して衆院選で議席を増やしたことを踏まえ、独自路線をより明確にする考え」というものの、自民党が単独で絶対安定多数の議席を衆議院で得たことにより、自公政権が数合わせに少数野党に頼ることはあり得ない。
さて、ミニ政党ではないが大阪という東京からみればローカル政党とみられていた日本維新の会が今回の総選挙では3倍増という議席を獲得し、かなり危険な兆候が表れ始めた。
2010年3月まで関西学院大学法科大学院教授だった宮武嶺はかなり前から維新の会とその創設者の橋下徹、および後継者らを痛烈に批判していた。
総選挙後でもその舌鋒の鋭さは増すばかり。
「【卑怯で下品な維新】橋下徹元代表が、ここぞとばかりに宿敵れいわ山本太郎氏代表と枝野幸男立憲代表を攻撃。おまけに松井一郎維新代表が来年夏に改憲と言い出した!【調子に乗るな!】」
「日本イソジンの会の吉村大阪府知事が立憲民主党に対して「ああいったパフォーマンスは僕は大嫌いです」と言ってしまって特大ブーメラン。むしろウソとハッタリとパフォーマンスのみの維新やんかwww」
内容の引用は割愛するが、やはりこんな発言は許せない。
「参院選までに憲法改正案を 松井維新代表」
現状の国会内勢力数からみれば、すれば改憲派は衆参両院で3分の2を超えており、このまま推移すれば自民党の改憲案が実現する可能性もある。
維新の改憲に対する立場からすればやはり、ターゲットは「9条改悪」であろう。
「戦争を国防としか思わない維新の代表」という批判する人もいる。
もっとも日本維新の会は総選挙用にこんな政策集を出していた。
「日本大改革プラン」
これを読んだ「維新の政策を読んでみた」という記事があった。
税制改革のところ メインの改革は、「税制改革」「社会保障改革」「労働市場改革」の三つからなります。 税制改革は、減税と制度の簡素化。法人税と消費税を減税し、所得税は10%と30%の二つの税率にします。分離課税や所得控除は全廃します。 金融所得にも普通に課税するために今の逆進性は改善されるのですが、累進課税に触れていないところが根本的にアカン感じがします。所得控除も、障害者控除や寡婦控除などもなくなってしまいます。基礎控除、給与所得控除もなくなるので、ほとんどの人にとっては増税になります。 そして、この結果税収がいくらになるのか、という話は出ていません。たぶん大規模な行政の削減をやらないと無理、な数字になると思うんですが、そこは触れないことにしたみたいです。 「ベーシックインカム」のところ 二つ目はベーシックインカムです。これは全国民に月額6万円を支給するというもので(外国籍の方にはどうするのかは触れていません)、その代わりに年金などの社会保障の現金給付を全廃します。 6万円というのは、高齢基礎年金よりもちょっと安い金額なので、それを意識していることは間違いありません。高齢者などには10万円まで増額する、と言っているのですが、予算規模から言って増額は少数の例外に留まりそうです。 年金の2階部分などは継続するというプランなので、その部分を見れば、今の年金制度と違いはありません(医療保険などは継続します。障害年金には触れていません)。 労働市場改革のところ 三番目の労働市場改革は、解雇規制の緩和と再就職支援、雇用保険の強化、労働分配率での法人税の優遇などからなります(「働き方改革」を言い換えるキャッチコピーが用意できなかったみたいです)。 解雇しやすくする代わりに再就職を支援する…というのは北欧型の社会民主主義政策のようにも見えますが、不吉なのは「失業者への権利と義務を課す」という(ちょっと文法的にも不安定な)文言が入っていることです。「福祉を撤廃して勤労を促す」というワークフェア、アメリカの貧困層の生活をさんざんなものにしたあれの雰囲気がします。このパートはかなり短いので、拾えるのはこれくらいです。 まとめ まとめます。労働市場改革の所でも触れましたが、このプランは、全体としてアメリカやイギリスの新自由主義改革と似ています。税制の簡素化や福祉の簡略化、解雇規制の緩和など、いずれも1980年代に登場した「サッチャリズム」や「レーガノミクス」の焼き直しです。したがって、当然のことながらこれによって格差が拡大し、富裕層と大企業だけが肥え太るという社会の到来が予測されます。 そして、このプランのもう一つの大きな問題点は、財政の見通しがないことです。税制にせよ、BIにせよ、どのくらいの財源が生み出されたり、必要になったりするのか、という観点が全くありません。もし維新が政権を取ったら、「再検討の結果、BIは不可能。増税だけする」ということになりそうな気が、僕はします。 |
まあ、穴だらけの政策集らしいのだが、政権を取る気もない、机上の空論なのだが、こんな政策をおそらくは大阪の小選挙区の有権者は全く見もせず、知らずに維新の候補者に投票したのであろう、とオジサンは思う。