新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

大国の首脳と渡り合える総裁選候補者はいるのか

2024年09月03日 11時42分28秒 | 総裁選

自民党の総裁選にすでに数人の候補者が名乗り出ているが、12日告示に向けて今週は連日のように出馬会見が開かれ、中身のないお祭りに多くのメディアが協力することだろう。
 
全員が出馬に向けての「公約」を明確にした後に個々の評価を改めてやることにする。
 
その前に、世界情勢と米国大統領選に関する日本への影響について2つの記事を紹介しておく。
 
 「ガザの次は西岸潰し

イスラエル軍(IDF)が8月28日から、ガザで昨秋からやってきたような、パレスチナ人に対する攻撃・破壊・虐待などの人道犯罪を劇的に強める軍事作戦を、ヨルダン川西岸でも開始した。
この作戦の目的は、西岸を破壊してパレスチナ人の居住を不可能にして、西岸市民を難民化させてヨルダン川東岸のヨルダン王国に追い出す「パレスチナ抹消」だろう。昨秋からのガザ戦争の目的が、ガザを全面破壊して居住不能にして、ガザのパレスチナ人をエジプトに追い出すガザ抹消であるのと同じだ。
ヨルダン王国は、西岸から自国への難民流入の増加を予測・懸念している。これは「パレスチナ国家とは、西岸のPA(パレスチナ自治政府)でなく、東岸のヨルダン王国のことである」という、イスラエル右派が15年前から言ってきた「ヨルダン・オプション(ヨルダンを使った、拡大的または詭弁的な2国式の実現)」を、暴力によって実現する策でもある。
既存の2国式は、あらかじめヨルダン川東岸をパレスチナの範囲から除外してあり、それは英国系の謀略だとイスラエル右派は言ってきたが、英国系のエスタブやリベラルは、ヨルダンオプションこそイスラエル右派の詭弁だと言ってきた。
IDFは8月28日、西岸を破壊する新たな攻撃を開始するのと同時に、ガザに残っているパレスチナ人の面倒を見る人道担当官の職位を新設した。私が見るところ、この動きは、IDFが昨秋来のガザ破壊を一段落し、今後は、残っているガザ市民を監視しつつ、国際社会からイスラエルへの人道犯罪の非難をかわす時期に入ったことを意味する。
IDFは「国際社会と協力してガザの民生インフラを再建していく」などと表明しているが、これは非難を回避するためのウソだろう。IDFは、ガザを不可逆的に破壊・抹消し、市民を追い出して、パレスチナの半分を潰した。イスラエルはパレスチナの完全抹消によっって、パレスチナ問題を終わりにしようとしている。イスラエルが、ガザ市街の再建を許すはずがない。
IDFはガザの破壊をおおむね完了し、今後は壊したガザに市民が戻ってこないよう、何年間も監視し続ける。人道担当官の新設の意味はそれだ。そして同時にIDFは、西岸の最終的な破壊に着手した。これらは連動している。今回の動きは、そのように見える。
イスラエルから見ると、パレスチナ問題は、国際社会を率いていた英国が、イスラエルの強国化を防ぐために独立戦争(中東戦争)で得た領土(西岸とガザ)を自国化することを許さず、パレスチナ人に譲渡せよと強要した問題だ。英国系が邪魔しなければ、イスラエルは独立戦争で西岸とガザからも先住のアラブ人(パレスチナ人)をヨルダンやエジプトに追放(ナクバ)して自国領にしていた。
イスラエルは、米英覇権が永久に続くかに見えた冷戦後の1990年代前半に、いったん譲渡(パレスチナ建国。2国式和平)を容認してオスロ合意を結んだが、その後、翻心し、911後のテロ戦争に便乗してパレスチナ人をテロリスト扱いしてパレスチナ国家を潰しにかかった。
IDFや入植者がパレスチナ人を攻撃虐待するほど、怒りを扇動されたパレスチナやアラブ諸国の人々が過激化し、イスラエルや後ろ盾の米欧に対してテロやゲリラをやり、その対策として米国からイスラエルへの軍事支援が増える仕掛けが作られた。イスラエルは、敵であるハマスをこっそり支援してきた。
その動きをさらに過激化し、これから米英覇権が崩壊してイスラエルの後ろ盾が失われる前に、パレスチナ人を西岸とガザから追い出してパレスチナを抹消してしまう策が、昨秋からガザ戦争として進行している。
以前は、米国にイスラエル防衛をやらせるためにテロ戦争やアラブ過激化扇動策が用意されたが、今後は米覇権が衰退して頼れなくなるので、その前に、イスラエルがやりたかったが米国に気兼ねしてやれなかったパレスチナ抹消をやることにしたのがガザ戦争の意味だろう。
イスラエルが安定・発展するにはパレスチナ国家に協力する2国式しかないという観点からみると、これは世界からイスラエルへの制裁を招く自滅行為だ。
だがイスラエルが実際に昨秋からの抹消・大破壊・人道犯罪をやってみると、イスラエルは誰にも抑止されず、ほとんど制裁も受けず、思い切り人道犯罪をやってガザの抹消をほぼ完了し、次は西岸の大破壊に入ろうとしている。
米国では選挙戦の真っ最中で、トランプはネタニヤフに好き放題にやらせて全面支援することを確約している。民主党は、左派がイスラエル敵視を強めたが、権力を握るバイデンやハリスの陣営は、停戦仲裁の演技をしつつ、ネタニヤフを軍事的に全面支援している。来年以降も、イスラエルは好き放題に人道犯罪をやれる。
米欧は、エスタブ内のリベラル派(左派)が、人権外交の観点からイスラエルへの非難を強めており、マスコミはガザ戦争での人道犯罪を喧伝している。
だが同時に、米欧エスタブの政界や諜報界、軍産複合体はイスラエルに牛耳られて傀儡化しており、親イスラエルな政策を出し続けることを強要されている。
この相克・分裂傾向はガザ開戦後に強まった。米欧の上層部は、反イスラエルとイスラエル傀儡がせめぎ合い、決定不能になる傾向を強めつつ、覇権低下が加速している。
イスラエルは今の覇権の空白状態に便乗し、懲罰・制裁されないまま、パレスチナ抹消を圧倒的な暴力によって進めている。英国系の人権外交用の断罪機関であるICCでの有罪も、イスラエルにとって痛手になっていない。
最近、EUのボレル外相が、イスラエル非難を強めている。「ホロコースト犯人」のドイツが主導するEUはイスラエルに対する立場が弱く、ボレルは10月で任期が切れることを利用して最後っ屁的にイスラエル非難を開始した。
だが、EU内での賛意は弱く、腰が引けた状態だ。ボレルはむしろイスラエル側から「ユダヤ人差別」の逆レッテルを貼られかねない。
中東では、サウジアラビアやUAEがいまだにイスラエルとの和解案を捨てていない。イスラエルがパレスチナを抹消したら、サウジが和解の条件にしているエルサレム分割も実現せず、サウジはイスラエルと和解できなくなる。それがわかっているのに、サウジはイスラエルとの暗黙の和解を保持している。
サウジの気持ちを逆なでするかのように、ネタニヤフ政権のベン・グビール国内治安相が最近、エルサレムの神殿の丘にユダヤの第三神殿を建設する構想を蒸し返している。こんな挑発をされても、サウジは少し怒ってみせるだけだ。

サウジは米国から軍事支援を切られたくないので表向きイスラエルに良い顔をしているだけだという説もあるが、今のサウジはBRICSであり、中露など非米側から兵器類を買える。サウジは、パレスチナの大義よりも、現実的な中東の早期安定を望んでいるように見える。パレスチナ国家にこだわっている限り、中東は安定しない。
こうした現実策は、トルコやイランにも見て取れる。ポピュリストのエルドアン大統領が支配するトルコは、ガザ開戦直後から、イスラエルを非難し、石油輸出など貿易関係を断絶する経済制裁をやると言っていた。
経済制裁の一部は開始されたようだが、トルコとイスラエルの貿易停止の多くは迂回路が用意され、イスラエルへの打撃が少ないように設定されている。トルコは、イラクのクルド地域から原油を密輸入してきたが、この密輸入分をイスラエルに輸出することで、表向きだけイスラエル制裁しつつ、裏は仲違いしてないとも指摘されている。
トルコも、サウジと同様、イスラエルのパレスチナ潰しを黙認している。それが中東安定の早道だからだろう。パレスチナ国家に拘泥しても、永久に実現せず、不安定さだけが恒久化する。
イランは7月末、テヘラン滞在中のハマスのイスマイル・ハニヤをイスラエルに殺され、面目を失った。イランは、イスラエルに報復すると宣言したが、報復を実行していない。4月にダマスカスのイラン大使館を空爆された時は、イスラエルを報復攻撃したが、今回は自制している。
米国では、イランが近いうちにイスラエルを報復攻撃するので、米軍を中東に派兵せねばならないと言われている。しかし、これは米軍派兵の口実作りの誇張話だ。イランはイスラエルに報復しない。
イランは、パレスチナの大義に拘泥してイスラエルと潰し合いの戦争をするのでなく、イスラエルと冷たい和平の関係を維持することを模索しているように見える。
ヒズボラやイラク民兵団など、イランの傘下にいるシーア派の武装諸勢力は、イランの自制に対して不満を持っていると報じられている。
今後長期的に見て、米国の覇権が低下し、米国が唯一の後ろ盾であるイスラエルも弱くなる。ヒズボラなどイラン系がイスラエルを倒せるようになる。いずれ、イラン系がイスラエルに戦争を仕掛けて潰すのか?。
私の見立てでは、今後の多極型世界の中心になるBRICSを率いる中国ロシアが、そのような展開を望んでいない。中露は、既存覇権の英米と異なり、パレスチナ問題を使ってイスラエルを弱体化すべきだとも考えていない。
それよりも、イスラエルをめぐる不安定さが現実面で早く解決され、中東が早く安定することを望んでいる。中露がイランをなだめてイスラエルへの報復を自制してもらった可能性がある。
今後の多極・非米世界を主導するBRICSは、イスラエルやパレスチナ問題に対して意見が多様で、統一した行動をとりにくい。原加盟国の中で、南アフリカとブラジルはイスラエルを非難・制裁している。
中国はもう少し中立で、二国式に拘泥し、パレスチナ側で長年対立・内紛してきたハマスとファタハの和解を最近仲裁したが、イスラエルをあまり非難していない。
中国がパレスチナの内紛を仲裁したのは、アラブ諸国に依頼されたからだろう。パレスチナの内紛は2008年に米国が(イスラエルに依頼されて)扇動・誘発したものだ。米覇権が強かった従来、アラブ諸国は米国のパレスチナ弱体化策を黙認してきたが、米覇権が低下して中国など非米側が台頭する中で、アラブが中国にパレスチナ仲裁を依頼したと考えられる。
イスラエルが再了承しない限り、2国式は進まない。イスラエルは2国式を二度と了承しない。パレスチナ内部の和解は、ハマスの正当性を強めるだけの結果になっている。
国内の財界にユダヤ人が多いロシアはイスラエルに対して中国よりもさらに寛容で中立的だ。印度は、現政権が国内のイスラム教徒を差別するポピュリズムを展開している関係で反イスラム主義の傾向が強く、BRICS原加盟国の中で最も親イスラエルだ。
BRICSには昨年、中東諸国が新加盟したが、その中でも、UAEとエジプトはイスラエルと正式な外交関係があり、サウジアラビアもイスラエルと隠然和解しているが、イランはイスラエルと鋭く対立している。
このようにBRICSは、イスラエルやパレスチナに対する姿勢がバラバラで、統一した策を決めてイスラエルに強要することができない。米欧も、すでに述べたように上層部での相克が強く、イスラエルに何も強要できない。イスラエルは戦争し放題になっている。
私はこれまで、イスラエルは巨大な人道犯罪によって人々を激怒(親ハマス化)させつつ、ガザ市民をエジプトに追い出し、西岸市民をヨルダンに追い出すことで、エジプトとヨルダンの既存の米傀儡政権をハマスに転覆させ、ガザと西岸でなくエジプトとヨルダンを「パレスチナ国家」にする「ヨルダンオプションの拡大版」を進めようとしているのでないかと推測してきた。
事実、エジプトとヨルダンの政権は、ハマス(同胞団)支持の国内世論の強まりを受け、かなりぐらついている。今後いずれ「アラブの春」が再発し、両国の政権転覆・ハマス化が進むのかもしれない。
ドナルド・トランプは大統領だった2018年、イスラエルに依頼されてヨルダン国王に西岸の面倒を見てくれと「ヨルダンオプション」を提案して断られている。イスラエルは、バイデン政権を破壊する策動をやり、トランプを再選させて、ヨルダンオプションを具現化したいのでないか。とか。
だが、そのような動きについて考える以前に、イスラエルは圧倒的な暴力によってパレスチナ人をエジプトとヨルダンに追い出す攻撃を続け、ハマス化と関係なくパレスチナ抹消を具現化している。
ハマス化もヨルダンオプションも、2国式のパレスチナ問題解決を定義拡大によって成し遂げようとする政治的な策略である。
現実のイスラエルは、それらの政治的な策に依存せず、軍事的にパレスチナ人を追い出す策だけを強硬にやって、パレスチナ自体の抹消を進めている。パレスチナ人は、強制的にエジプト人やヨルダン人にされていく。
この暴力・戦争でパレスチナが消されてしまうと、2国式がどうのこうのという政治的な話自体が消し飛んでしまう。
ハマスがエジプトとヨルダンの政権を強奪したら、エジプトとヨルダンの軍隊がハマスのものになり、ハマスがイスラエルに負けない軍事力を持ってしまう。イスラエルは、むしろハマス化を抑止しているとも考えられる。
イスラエルの圧倒的な暴力、抑圧、略奪、人道犯罪。だが、世界の諸大国はどこもそれを抑止せず、傍観するか、イスラエルの傀儡になっている。パレスチナは消されていく


 
 “ハリス大統領”誕生でプーチンが描きかねない最悪シナリオ。日本周辺の“威嚇”は激化し北方領土の“基地化”が進む事態に
 
いよいよ2ヶ月後に迫ったアメリカ大統領選挙。ハリス氏の登場で「確トラ」から「もしハリ」へとフェーズが変化したとも報じられていますが、国際社会はこの状況をどのように受け止めているのでしょうか。安全保障や危機管理に詳しいアッズーリは今回、習近平、プーチン、金正恩各氏の心中を推察。さらにトランプ再選となった際、「ポスト岸田」に何が求められるかについても考察していた。
■米大統領選は「確トラ」から「もしハリ」へ。習近平、プーチン、金正恩、そして日本はそれをどう見ているか
これまでのトランプvsバイデンの選挙戦の構図では、全体的にトランプ優勢だった。しかし、7月にバイデンが選挙戦からの撤退を表明し、副大統領のカマラ・ハリス氏が後継候補となったことで、「確トラ」から「もしハリ」になりそうな状況だ。
米大統領選挙まで2ヶ月あまりとなるが、たとえば米国の選挙分析機関クック・ポリティカル・リポートが公表した世論調査結果によると、選挙戦の行方を左右する激戦7州においてハリスが5州でトランプをリードしているようだ。具体的には、ウィスコンシン州とミシガン州でハリス49%、トランプ46%、アリゾナ州でハリス48%、トランプ46%、ペンシルベニア州でハリスが49%、トランプが48%、ノースカロライナ州でハリスが48%、トランプが47%などとなっており、この調査ではトランプが優勢なのはネバダ州のみとなっている。では、仮にこのままハリスが勝利すれば、習近平、プーチン、金正恩、そして日本はどう動くのか?
■習近平にとって見る価値のないアメリカ大統領選
まず、中国の習近平だが、おそらく各国の指導者の中で、米国大統領選の行方を最も冷ややかな目で見ているのが習近平だろう。理由は単純で、ハリスが勝利しようがトランプが勝利しようが、米国の対中姿勢に大きな違いはなく、来年発足する新政権が対中強硬姿勢を貫いてくることは間違いないからだ。
トランプは政権1期目の際、米国の台中貿易赤字を打破するため、中国製品に対する関税を次々に引き上げ、両国の間では貿易摩擦が激化していった。しかし、トランプ政権の4年間を批判してきたバイデン政権も、トランプ政権が発動した対中貿易規制措置は解除せず、それに追加する形で先端半導体分野での輸出規制を強化するなど、対中強硬姿勢は継承されている。
ハリスは基本的にはバイデン路線を継承し、トランプも大統領に返り咲けば対中関税を60%に引き上げると豪語しており、習近平にとって米大統領選挙は見る価値のないものになっている。しかし、それでもトランプは何をしてくるのか予測が難しい一方、ハリスだとバイデン政権の延長と捉えることができるので、ハリス政権となった方が対処しやすいと感じていることだろう。
■プーチンにとってハリスより使用しやすいトランプ
そして、ロシアのプーチンや北朝鮮の金正恩にとって、今日の大統領選挙の動向は面白くないだろう。ロシアによるウクライナ侵攻は解決への道筋が一向に見えないが、トランプはウクライナ戦争を24時間以内に終わらせる、ウクライナへの軍事支援を最優先で停止する、欧州諸国が防衛費を十分に払わないならロシアの脅威から米国は守らないなどと主張している。ロシアの脅威に直面するウクライナや欧州諸国にとって、米国の軍事支援がなくなることは死活的問題となるが、今日の状況を有利に展開させたいプーチンからするとトランプは利用しやすい。
しかし、米大統領選挙の状況は「もしハリ」になりつつあり、プーチンとしてはまた面白くない選挙戦になってきたと感じているだろう。ハリスになれば、北朝鮮との軍事的結束を強化し、日本周辺での軍事的威嚇、北方領土の基地化をいっそう進めるシナリオも考えられよう。
■「もしハリ」に不快感を強めていることが確実な金正恩
金正恩も同じように感じている。バイデンは中国との戦略的競争を最重要課題としてきたが、その中でウクライナ侵攻という国際秩序の安定を揺るがす暴挙が発生し、対ロシアにも時間を費やすことになり、バイデン政権にとって北朝鮮は完全に蚊帳の外となった。しかも、バイデン政権は日本や韓国と結束しながら北朝鮮に対処する姿勢に徹しており、この4年間米朝関係では何も進展が見られない。
しかし、トランプ氏はベトナムやシンガポール、板門店の3カ所で金正恩と会談するなど、米朝関係のデタントが見られた。トランプは自分が大統領に戻ることを彼も望んでいるだろうと主張したが、ハリスは金正恩のような独裁者に擦り寄るつもりはないなどと発言しており、金正恩も「もしハリ」に不快感を強めていることは間違いない。ハリス政権となれば、金正恩も引き続き、プーチンなどとの結束を強化することだろう。核やミサイルなどによる挑発もエスカレートすることになる。
■ポイントは「トランプとどれほど仲良くなれるか」
最後に、日本にとってはどちらが勝利しても日米関係が大きく変わることはないが、1つ懸念事項がある。むろん、ハリスが勝利すればバイデン政権の延長なので、ハリスは台湾情勢や経済安全保障などで日本を最重要同盟国に位置付けることは間違いなく、あらゆる協力を求めてくるだろう。
しかし、トランプとなればポスト岸田が彼と“個人的なお友達”になれるかがポイントになる。8年前の大統領選でトランプが勝利した際、真っ先にトランプに会いに行ったのが安倍晋三だった。安倍晋三は黄金に輝くゴルフクラブを手土産にトランプタワーを訪問し、そこから両氏の個人的な信頼関係が始まり、トランプ時代の日米関係は前評判とは裏腹に極めて良好なものとになった。トランプも基本的にはその路線を継承して日本に向き合ってくるだろうが、9月の自民党総裁選挙で誰が選ばれ、その人物がトランプとどれほど仲良くなれるかがポイントになる。

 
さて、翻って日本の現状はどうであろうか?
 
この御仁の肩がこらないエッセイを最後に紹介しておく。
 
兵庫県知事・斎藤元彦に見る維新スピリッツの原点【適菜収】
 
■「その靴ほしいです。白い靴がほしいです」
  兵庫県知事の斎藤元彦に維新スピリッツの原点を見た。パワハラの犠牲になった人もいるので、笑いごとではないが、面白過ぎることは間違いがない。斎藤は、日本維新の会と自民党による共闘で知事に就任。吉村洋文との関係も深い。2021年の当選3日後には、馬場伸幸と並んで会見、「自民党に一定の軸足を置く一方で、維新の改革スピリットをしっかりと一緒になってやっていく」と述べていた。なお、2022年9月、日本維新の会から党の顧問就任を打診されている(その後、固辞)。
    *
 憲政史上というより、人類史上、ここまで「おねだり」する人間はいないのではないか。すでに名人芸の域に達している。よって、ここでは斎藤が引き起こした諸般の問題には触れずに、「おねだり」についてだけ述べておく。
    *
 報道によれば、斎藤は子供の頃から、祖父に「おねだり」をしていたという。そして、そのまま「おねだり」の道を突き進んでいく。県議会の調査委員会(百条委員会)が県職員に行ったアンケートの中間報告によると、「おねだり」の嵐の実態が見えてくる。
    *
 カニ、靴、姫路城のレゴブロック、播磨の牡蠣、40万円相当の革ジャン、玉ねぎ、養殖ノリ、黒枝豆、ゆるキャラ抱き枕、自転車、播磨織ネクタイ、法被、バースデーケーキ、日本酒……。アンケートに登場する斎藤の発言とされるものも、ことごとく面白い。「その靴ほしいです。白い靴がほしいです」「これはいい。もらえないか」「使わない物でも、とりあえず何でももらう、ほしがると職員から聞いた」「視察先は、何が食べれるか、もらえるかで決めていると聞いた」「茶菓子全て持ち帰り」「農家から大量の野菜をもらったり、牡蠣の養殖業者から大缶の牡蠣をもらった際も、独り占めして全部自宅に運ばせる」「(カニ業界の)関係者が、知事が何回も来てその都度、カニなどを持って帰ってもらっているが、それを目当てに来るので、もう来ないでほしいと言っているとのこと」。
    *
 面白いにも程がある。カニをせびりに来て嫌がられる知事。なお、革ジャンは高額なのでおねだりを断られたようだ。慌てる乞食はもらいが少ない。
    *
 私はPUFFYの「カニ食べ行こう」という歌詞を思い出した。「なんかちょうだい」というのはMr.オクレのネタだと思っていたが、伊武雅刀のほうが古いのか。
    *
 高市早苗が総裁選に出馬するという冗談みたいな話が出てきたが、過去にはなかなか含蓄のある言葉を残している。「さもしい顔して貰えるものは貰おう。弱者のフリをして少しでも得しよう。そんな国民ばかりでは日本国は滅びてしまいます」
    *
  私は「おねだり」という言葉から日活ロマンポルノを連想したが、「おねだり妻」みたいなタイトルのものは見当たらなかった。AVではたくさんあったが。Twitterで〝斎藤版・日活ロマンポルノ〟のタイトルを考えてくれた人がいた。『横すべり蟹野郎 ハサミでチョキチョキ』。
 
■チン次郎は「歩くポコチン」
  面白いと言えば、総裁選に出馬を表明している小林鷹之も面白過ぎる。「自民党は生まれ変わる」と言いながら推薦人は旧安倍派、旧二階派の裏金議員ばかり。「世界をリードする国へ」というのも意味不明。自民党は腐りきり、国が衰退しているのが現在なのにね。
    *
 どういう裏事情があるのかは知らないが、メディアが一斉に小林ヨイショ報道を始めたことにより、注目が集まり、逆にその危険な正体が明らかになった。小林は統一教会との「接点をもったのは軽率だった」などと言っているが、接点どころか、統一教会のイベントに参加したり、「世界日報」のインタビューに答えたり、支援者に統一教会の関係者がいたり、要するにずぶずぶのべたべた。自民党の闇そのもの。
    *
 愛称はコバホークと報じられたが、ツイッター上では「ツボホーク」という言葉が爆誕。「#ツボホーク」というタグも「政治 ・トレンド」にランクインしていた。多くの人のツボにはまったのだろう。
    *
 萩生田光一が、とばっちりを受けていた。「ツボポーク」だって。気の毒に。
    *
 小泉進次郎も安定の面白さ。賞味期限が切れている進次郎を担いだのは菅義偉だが、菅は自民党の腐敗の中心人物。菅は普通のコミュニケーションが成立しない人物だったが、進次郎の場合は別次元。最近知った進次郎の言葉がある。
「私、犬を飼っているんですけどね」「環境大臣になってから犬のうんちをこうやってビニール袋に持っている自分をハッとしたんですよね。これもプラスチックの袋だなと」。「ビニール袋に持っている自分をハッとした」という言葉遣いも変。憲法改正とか言い出したのも痛々しい。
   *
 こんな記事があった。《小泉進次郎氏は3位「一番汚いイメージがない」 自民党総裁にふさわしいのは誰?【2千人アンケート】(AERA dot.)》
 え?
 進次郎には「汚いイメージ」しかないけどね。三股不倫とか、逢瀬で使った高級ホテル代を政治資金から支出していたり。
   *
 安倍晋三は「歩くATM」だったけど、チン次郎は「歩くポコチン」だよね。行動原理も発言もすべて「ポコチン」に集約される。政治資金もチンポの管理もできない男に自民党総裁は無理。
文:適菜収 

 
いやはや相変わらず手厳しい内容だが、決してどこかの県知事みたいに「嘘八百」と反論できる人は皆無であろう、とオジサンは思う。  

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