8年前の福島第一原発の大事故(原発震災)に伴い、電力会社所有の原発への目が厳しくなったが、熱い夏になり家庭でのエアコンの使用頻度が高まると、電力供給状況が毎日ネット上で表示されることがあった。
これはあくまでも原発が日本の電力の主役であるという、電力会社のパフォーマンスであった。
その後「脱原発」の世論の動きに合わせ、「持続可能エネルギー」という、太陽光、風力、波力、バイオマス等々の自然エネルギー全盛時期を迎えた。
そしてついに旧一般電気事業者により独占されていた家庭などに向けた電力小売が2016年4月に行われた法律の改正により全面自由化され、さまざまな業種の企業が電力の販売に参入できるようになった。
それにより、地方の自治体も積極的に地元の小電力供給業者と連携し、安い電気を公共施設や家庭に供給していた。
しかし既得権益を守ろうとする「旧一般電気事業者」の反撃が始まった。
<自治体新電力の4割 大手安値攻勢に苦しむ> 2019年8月17日 東京新聞 自治体が中心となってつくった新しい電力会社の約4割が、東京電力や関西電力などの大手電力の安値攻勢に苦しんでいることが、本紙が実施したアンケートで分かった。大手電力との関係悪化を恐れ、会社の設立を断念した自治体も。「自治体新電力」は再生可能エネルギーの普及や、エネルギーの地産地消による地域活性化の担い手として期待されている。大手電力からの攻勢が続けば、新たな潮流が停滞しかねない。 (西尾玄司、伊藤弘喜) 本紙は5~6月、24都道府県の主な自治体新電力36社を対象に経営状況などについてアンケートし、32社から回答を得た。このうち、13社が「大手電力が採算を度外視した値引きを自社の顧客に提示してきた」と答えた。 ◆島根・益田市は設立断念 中国電と関係悪化恐れる 島根県益田市が設立しようとした「自治体新電力」について、競争相手となる中国電力(広島)と協議した結果、中国電との関係悪化を恐れて設立を断念していたことが、本紙が情報公開請求で入手した市の内部文書などから分かった。 益田市と共同出資で電力会社をつくろうとした新電力「パシフィックパワー」(東京)は、中国電の「妨害」で会社設立が中止になったと指摘。電力市場の公正性を監視する経済産業省に抗議した。中国電は「個別の交渉についてはコメントを控えたい」とした。 新会社は本年度中にも、市内の再生可能エネルギー由来の電気などを学校などに供給する計画だった。パシフィックパワーが4月4日に山本浩章市長と面談した時点では、市は設立に前向きだった。 一方、市の公共施設の電気は中国電が供給しており、新電力の設立で関係悪化を懸念する声が市当局内で出ていた。市内に中国電の発電所があり、国から「電源立地地域対策交付金」が市に出ているほか、中国電から2014年と15年に計1億2000万円の寄付を受けていた。 4月12日と同23日に、河上信男副市長が設立について中国電の幹部と協議したが、理解は得られなかった。市は6月5日に設立の断念を公表。「ほかの第三セクターが事業休止に陥っている中で、新たなリスクを抱えることは望ましくない」などと理由を挙げた。中国電との関係悪化には触れなかった。 益田市は本紙に「中国電は地域に多大な貢献をしてきた企業で関係悪化を避けたかった」と説明した。 諸富徹・京都大教授(環境経済学)は「大手電力が自治体新電力に対し、妨害的な行為をしているという話は最近になって聞くようになった。競争相手が増えている上、原発再稼働がなかなか進まず、収益力が落ちている大手電に余裕がなくなってきている表れといえる」と話した。 <自治体新電力> 自治体が地元企業などと共同で出資してつくる電力会社。現在、全国に約40社。太陽光や小規模水力など地域内の再生可能エネルギーによる発電所や卸電力市場などから調達した電気を、役所や学校などの公共施設、企業、一般家庭などに販売する。国の「エネルギー基本計画」では、エネルギーを供給する多様な担い手のひとつとして期待されている。自治体の経営参加で信用が増すうえ、公共施設など一定の需要を確保できるため経営が安定しやすい。 (東京新聞) 群馬県中之条町の「中之条パワー」は今年五月、民間事業者との電気供給の契約二件を、東電の大幅な値引きによって取り返された。同パワーの山本政雄社長は「(電気代のうち)基本料金を三割引きにするという提示だった。明らかに採算割れだ」と憤った。 東電は「提供している電気メニューについては、客の使用状況やニーズなどを踏まえて適切に設定している」と反論した。 |
原発再稼働が予定通り進まず、徐々に経営を圧迫していることから大手電力会社が企業などに安値攻勢をかけているということなのだろう。
そのために、再生可能エネルギーの普及に貢献すると期待されている自治体による新電力会社の経営が悪化しているということは、大手電力会社によるいじめとみられても仕方がない。
このような状況は既に1年前から「一から学ぶ電力自由化(第八回)電力自由化の失敗」で詳説されているので時間に余裕のある人はご参考に。
さて、毎年「終戦記念日」前後になるとNHKは「NHKスペシャル」として、過去の戦争の検証番組を作ってきている。
今年も、8月11日には「激闘ガダルカナル 悲劇の指揮官」、翌12日は「かくて“自由”は死せり ~ある新聞と戦争への道~」、そして15日は「全貌 二・二六事件 ~最高機密文書で迫る~」が放映された。
オジサンは録画して見たがかなり衝撃的な事実が明らかになり、「激闘ガダルカナル 悲劇の指揮官」では、米軍により海戦で負け続けであった海軍が米軍への復讐心とプライドから、「陸軍の一木支隊(900名足らず)を囮にして、結果としてほぼ全滅させてしまったという。
まさに、つくづく戦争とは「無駄な死」、「犬死」しか生産できない代物であるということが分かる。
ところで2日前に、「敗戦記念日に戦争責任者を問う」というつぶやきの中で、田中利幸元広島市立大学教授の退位前の天皇明仁(平成天皇)へ向けた書簡の中で天皇裕仁(昭和天皇)の戦争責任を問う部分を紹介した。
いままでの確認されていた資料を基にした論稿であり特別な新事実ではなかった。
ところが昨晩、「昭和天皇「拝謁記」入手 語れなかった戦争への悔恨」が放映された。
【NHKは初代宮内庁長官が、5年近くにわたる昭和天皇との対話を詳細に書き残した「拝謁記」を入手しました。その記述から、昭和天皇が、戦争への後悔を繰り返し語り、終戦から7年後の日本の独立回復を祝う式典で、国民に深い悔恨と、反省の気持ちを表明したいと強く希望したものの、当時の吉田茂総理大臣の反対でその一節が削られていたことがわかりました。分析にあたった専門家は「昭和天皇は生涯、公の場で戦争の悔恨や反省を明確に語ったことはなく、これほど深い後悔の思いを語ろうとしていたのは驚きだ」と話しています。】
どうしたんだ、今年の夏のNHKは。こんな超弩級のスクープが出てくるなんて。昭和天皇独白録、全巻の編集が無駄となる大変な発掘。軍部の暴走を「下克上」とまで表現していた。衝撃である。→昭和天皇「拝謁記」 戦争への悔恨|NHK NEWS WEB https://t.co/IUcXYtlIna
— 岩上安身 (@iwakamiyasumi) 2019年8月16日
大スクープ。反省の気持ちを自由に表現できなかった天皇。これを語れていれば、かなり異なる後半生を過ごせたのではないか。天皇って、苦しい立場なんだな… →昭和天皇「拝謁記」入手 語れなかった戦争への悔恨 | NHKニュース https://t.co/u74zGyEVhw
— Shoko Egawa (@amneris84) 2019年8月16日
《昭和天皇は戦争への深い悔恨と二度と戦争を繰り返さないために反省の気持ちを国民の前で表明したいと強い希望していたが、吉田茂首相が反対し、その一節は全て削除されたことが分かった》
— 俵 才記 (@nogutiya) 2019年8月16日
岸信介とその孫安倍晋三、吉田茂とその孫麻生太郎。4人とも最悪だな?? https://t.co/vcuW7VoHw8
昭和天皇の「原爆投下はやむを得なかった」発言は、この人の無責任ぶりと無神経を象徴している。まあ、ちょっと前まで「神」だったんだからさもありなんではあるが、マッカーサーがこの人を免責して日本の統治に利用したことは、日本人の歴史観を大きく歪めてしまった。 https://t.co/9hUg2vBt2Q
— 想田和弘 (@KazuhiroSoda) 2019年8月16日
【すごい??第一級資料??】
— ??パーマンマン?? (@paamanman) 2019年8月16日
本物の玉音放送だ。
昭和天皇は軍部の下克上に遭い、敗戦後に「反省」を述べたが吉田茂首相に止められた。極東裁判は「戦争の原因は財閥の金儲け」と結論付けたが、吉田は戦時より兵器会社ジャーディン・マセソンの工作員、養父は横浜支店長だった。https://t.co/lRyORDzTzw pic.twitter.com/Vj53U6WQXH
過去の歴史はその後の歴史家たちの文献から知ることができるが、このような内容は側近の人間でなければ知りえない。
今夜、午後9時00分~9時59分で「昭和天皇は何を語ったのか ~初公開・秘録『拝謁(はいえつ)記】~」が放映される。 必見であろう。
安倍晋三の側近もこのような記録を残しておれば後世の歴史家からそれなりの評価がされるだろうが、公文書を始めすべてのメモも残さないという安倍政権の下では無理な話。
それにしても、このような貴重な番組を放映するNHKを、一部の思い上がりのチンピラ参院議員に簡単に「ぶっ壊され」ることだけは阻止すべきであろう、とオジサンは思う。