立秋が過ぎ、「『8月の6日9日15日』は安倍晋三にとって憂鬱な日々」のお仕着せの行事が終わり、安倍晋三は山梨県富士河口湖町のゴルフ場「富士桜カントリー倶楽部」で御手洗冨士夫経団連名誉会長、渡文明JXTGホールディングス名誉顧問、小林喜光前経済同友会代表幹事らとゴルフ三昧。
チャンと夏休みを取っての別荘滞在、ゴルフは特に問題にすることではない。
その間にも、来年の「問題多い五輪」に関して看過できない事態が発生している。
すでに五輪期間中の酷暑に関しては、今までに、「東京五輪中の酷暑はアンダーコントロールできないらしい」とか、「東京オリンピックは21世紀によみがえったインパール作戦」などと警鐘を鳴らし続けた。
しかし今度は暑さではなく別の要素が加わった。
オフィシャルスポンサーメディアでさえ、「水質は最悪の『レベル4』 パラトライアスロンW杯スイム中止」(毎日新聞)、
「お台場の水質悪化でスイム中止 パラトライアスロンW杯」(朝日新聞)と報じている。
〈大腸菌の数値は16日午前5時に採取されたサンプルでは基準値内だったが、午後1時のサンプルで基準値上限の2倍を超えた。急激に上昇したとみられる〉…そんなに不安定では本番が危ぶまれる。コースを変えたほうがいい。https://t.co/TyYMzxTqKv
— 冨永 格(たぬちん) (@tanutinn) August 17, 2019
「未浄化下水広がる“肥溜めトライアスロン”に選手は戦々恐々」によると、水質の悪さはかなり以前から指摘されていた。
「私もNPOの代表をしていた平成19年に、このお台場でカキを使った大規模な水質浄化実験を提案し、お手伝いをしたことがあります。宮城からいただいてきたカキは、残念ながら1年を待たずして死滅してしまいました。理由の一つに挙げられたのが、毎月何度となく流れ込んでくる未浄化の生活排水によるものです」
(港区議会議員:榎本茂)
「東京都下水道局では、平成24年度に簡易処理水と呼ぶ排出基準を満たさない未浄化の下水を180万7200立方メートル、実に東京ドーム15杯分(原文ママ)に相当する莫大な量を運河に放水しております。この放水を実際に目にすると、誰もが驚くのですが、焦げ茶色の汚水が濁流となって放水され、あっという間に運河は黄土色に変わり、高浜水門から運河の外へ流れ出し、レインボーブリッジ、お台場へと順次海の色を変えていきます」
(14年9月の港区議会定例会議事録より)
ようするに、お台場の海は「トイレみたい」ではなく、「トイレの汚染水そのもの」であり、テスト大会に参加した選手は「肥溜め」の中を泳がされているような気分だったに違いない。
水質汚濁や富栄養化などを防ぐための浄化対策としても使われるカキが、1年も持たずに死滅し、雨が降った後は大量の黄土色の汚水が広がる海でなぜ、トライアスロン競技を強行する必要があるのか不思議である。
一体誰のため、何のための五輪なのか、あらためて考えるべきだ
実は「肥溜め」どころか、もっと恐ろしいことも明らかになっていた。
2週間前には、「東京湾への放射性セシウム流入続くへの放射性セシウム流入続く 河口付近の泥に集積」(朝日新聞)と報道されていた。
東京湾への放射性セシウム流入続く https://t.co/SKPq47k1yB 東電、福島第一原発の事故で出た放射性セシウムは東京湾に流入し続けており、事故から5年を過ぎても河口付近で集積がみられた。調査地点によっては事故直後よりも高い値が検出された。
— 文鳥さん ぶんちょうさん ( ???) (@komatsunotsuma) June 6, 2018
福一による汚染は今後も誰にももうどうにもできない
「東京湾の旧江戸川水系の河口で、2011年よりも汚染濃度が上昇」
— itou kino (@ItouKino) June 7, 2018
この論文、まだ全部読めてないけど、汚染図が気になる
特に酷い二か所とは
松戸を流れる江戸川水系の坂川と荒川の河口
荒川の源流は埼玉県の秩父山地、西は長野県の甲武信ヶ岳がそびえる
という事は・・https://t.co/xR1D9tABiW pic.twitter.com/yYzULUO9zD
論文はこれかな? https://t.co/E3Prx1NdZv 東京湾への放射性セシウム流入続く 河口付近の泥に集積:朝日新聞デジタル https://t.co/SfFgq9x04Z
— CAN (@champoolcan) June 6, 2018
極めつけは、「猛暑、臭いだけではない 国民が騙されている東京五輪の暗部」
たとえば、五輪大会の開会式から日本選手が活躍しそうな種目の入場券は一体いくらなのか?
「開会式30万円、閉会式22万円。日本勢のメダル獲得が期待される男子100メートル決勝などの陸上競技の午後決勝は13万円だ。優勝に絡めそうな競技は軒並み高く、体操競技決勝7万2000円、柔道決勝やテニス決勝は5万4000円、男女のバドミントン決勝やレスリング決勝が4万5000円(いずれもA席)。「できる限り求めやすい価格に」を大会テーマにした16年開催のリオ五輪とはえらい違いである。富裕層向けに11日間パッケージの635万円チケットも売りに出されるというから、恥も外聞もない金満五輪道を突っ走っている。」
「東京五輪は禍根を残すだけではないでしょうか。招致の前後で話が変わる。大量のボランティアを募って国家的イベント化させているにもかかわらず、チケットは高額でおいそれと手が出ない。銀行員時代に米ニューヨークに駐在したのですが、日米の違いをつくづく感じたのが文化的催しの身近さ。メトロポリタン歌劇場では25ドルほどでオペラ鑑賞ができ、カーネギーホールなども手頃な料金設定をしています。それを可能にしているのが企業や篤志家からの寄付。お金持ちだけが楽しめるような文化は広がっていかないので、ハードルを下げて門戸を開いているのです。日本企業の内部留保は450兆円に迫る勢いなのですから、国民が気軽に五輪観戦できるように支援する動きがあってもよさそうなものです」
(経済評論家の斎藤満)
「〈「骨太の方針2018」に示される安倍政権の産業政策について、三つの問題点を指摘しておこう。まず『インダストリー4・0』、『ソサエティー5・0』などとスローガン的な言葉だけで飾られているが、具体的な国家戦略を持っていない。政府は、守旧的な重化学工業を中心とする経団連のために、政策的予算的な重点になる産業政策を実行している。それらは、原発再稼働と原発輸出、リニア新幹線、国土強靱化計画や東京オリンピックと建設事業、大阪万博とカジノIRといった旧来型のものに占められている。とてもイノベーティブと呼ぶに値するものではない〉」
(立教大大学院特任教授の金子勝:月刊誌「世界」『9月号』)
「世界は産業と技術の大転換期を迎え、各国がしのぎを削っている。いまこそ産業衰退を食い止める戦略が必須なのに、安倍政権は現実を無視し、五輪という国家的行事を利用して深刻な事態を覆い隠そうとしています。五輪で建設需要を掘り起こし、大阪万博やカジノ建設で引っ張り、リニア中央新幹線を走らせる。そうした派手なイベントを次々に打ち出すのは目くらましです。前回の東京五輪では東海道新幹線が開通し、6年後の大阪万博も盛り上がった。二番煎じで成長期の残像を呼び起こそうということでしょうが、当時とは産業構造が全く異なります。デジタル通信機器、半導体、液晶ディスプレー、情報通信、バイオ産業。先端産業分野は見る影もなく衰退し、国民を食べさせていく産業がなくなろうとしている。パンとサーカスに踊らされたこの国は、祭りの後に一体どうなるのか」(同)
それでは世論調査による国民の声はどうなのか。【時事通信の世論調査(7月5~8日実施)】
■競技などを会場で見たいという人
「ぜひ」と「できれば」を合わせても37.1%しかいなかった。昨年7月調査の45.6%から8.5ポイントも低下である。
■会場観戦を望まない理由
「テレビなどで見られれば十分」71.2%。
「会場が遠くて行くのが大変」 40.0%
「見たい競技のチケット入手が困難で高額」が23.5%
「夏の暑い時期で熱中症など体調面が不安」が20.6%
子どもの頃、よく耳にした五輪のモットーというのか、「より速く、より高く、より強く」という言葉が記憶に強く残っているのだが、もはや2020東京五輪は、「暑い、臭い、高い」が新キャッチフレーズになるのではないだろうか、とオジサンは思う。