新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
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理想的な「捩じれ」になるのか

2018年11月08日 12時17分38秒 | 米国事情

米国の中間選挙結果を巡り、朝から情報番組では米国通の識者による解説と、その他のコメンテーターたちの思惑と、予測が混ざった意見が飛び交い賑やかであった。
 
トランプ大統領にとっては就任2年目の「中間試験」に相当し、残り2年をさらに勢いを増して、次期大統領選を狙うという意味でも興味深いことだからである。
 
選挙結果は大方の予想通りに、上院は共和党が過半数を占め、下院は民主党が2年前の屈辱を果たし過半数を奪回した。

いわゆる上下両院で「捩じれ」現象となったのだが、米国の場合2期目では当たり前という歴史がある。
 
さらに言えば、共和党が上下両院で過半数を占めればますますトランプ大統領の暴走が続く危険性が高まり、ブレーキをかけた方が良いという判断が民主党への投票につながったと解釈するのが妥当であろう。
 
米国から民主主義を輸入した日本では、残念ながらまだまだ定着していないため、6年間も安倍晋三に国の最高責任者の地位を与え続けている。
 
2つの新聞メディアのアメリカ総局長の談話を掲載しておく。
 
<分断あおり独断専行、拍車か 米中間選挙 アメリカ総局長・沢村亙
 2018年11月8日05時00分 朝日新聞DIGITAL
 トランプ大統領は勝ったのか。それとも、負けたのか。
 歴史的な低失業率など好調な経済を考えれば、政権党の共和党が上下両院で圧勝しても、おかしくはなかった。しかし、共和党は大都市の郊外で多くの下院議席を失った。トランプ氏の排他的な発言や強硬な通商政策が、穏健な保守層に嫌われた
 一方、トランプ氏が応援演説に精力的にかけ巡った多くの州で、共和党は上院の議席を守り抜いた。
 少なくとも、トランプ氏は負けてはいない。
 米国をまとめることよりも、自分の支持層が喜びそうな政策の実行を優先してきたトランプ氏の作戦勝ちである。「今までの政治家は当選したら私たちのことを忘れた。だが、トランプは違う」。そんな声を至るところで耳にした。
 不満や怒りの感情にも訴えた。メディアを「国民の敵」と攻撃。選挙戦終盤には中米から米国を目指す移民を「犯罪者集団」と決めつけ、恐怖心をあおった。
 民主党は女性や少数者の権利向上など「政治的な正しさ」を掲げたが、かみあわなかった。国民に響くメッセージを発せられる「党の顔」にも欠いていた。
 それでも民主党が下院を制し、トランプ氏が政策を遂行するのは困難になる。下院を舞台に疑惑追及が本格化するかもしれない。
 トランプ氏は「議会のせいで政策が実現しない」と責任を転嫁するはずだ。それは皮肉にも、既存の政治を攻撃して支持を得てきたトランプ氏にとって、2年後の再選に追い風となる。
 外交や通商では、支持層をつなぎとめようと、より保護主義的な政策に傾く可能性がある。強いリーダー像を演出するため独断専行の外交にも拍車がかかりそうだ。
 特に危惧されるのが、社会の分断がより深まり、暴力に訴える衝動が蔓延(まんえん)することだ。ヘイトクライム(憎悪犯罪)が相次ぐなど懸念はすでに現実になっている。トランプ流をまねて、自国第一主義や移民排斥を掲げる政治が世界各地でも広がっている
 今回、大勢の若者と女性が投票所に足を運んだのは光明だった。テキサス州の上院選では「政党は違っても、敬意と尊厳を忘れずに選挙にのぞむ」と、個人攻撃を封印した民主党新顔が共和党重鎮を相手に肉薄した。「いがみ合いはうんざり」という声は、両党の支持者から聞いた。
 さらに分断が深まるのか、復元力を取り戻すのか。米国の試練である。
 
この選挙結果に対して、上記記事では「さらに分断が深まるのか、復元力を取り戻すのか。米国の試練」と指摘していたが、米国だけではないという解説もある。
 
<米中間選挙 分断社会 溝の深さ露呈>  
 2018年11月8日 朝刊 東京新聞
◆アメリカ総局長・後藤孝好
 トランプ米大統領が「私への国民投票」と自ら信を問うた6日の中間選挙は、民主党が下院を奪還して独善的な政治手法に待ったをかけた。民主主義が一定の修復力を示したといえるが、上院過半数を維持したトランプ氏への白人層の支持も底堅く、米国第一主義はさらに先鋭化するに違いない。米国発の排外主義や保護主義といったポピュリズム(大衆迎合主義)のうねりは止まらない。
 大統領自ら「民主党は頭がおかしい。ギャングを流入させる犯罪の党だ」と憎悪や敵意を助長する前代未聞の選挙戦は、人種や宗教、党派の違いで分断された米社会の亀裂の深さを露呈した。
 トランプ氏の熱狂的な支持者の男は、オバマ前大統領ら民主党有力者やCNNなど政権に批判的な勢力に爆発物を郵送。人種差別的な言動に触発された反ユダヤの男は、シナゴーグ(ユダヤ教会堂)で銃を乱射して11人を殺害する事件まで起こした。
 白人至上主義者が増長し、移民やマイノリティー(少数派)への憎悪犯罪(ヘイトクライム)は後を絶たず、移民排斥や反グローバリズムで支持を得る愛国主義が連鎖する。
 南米では「ブラジルのトランプ」と呼ばれる極右の元軍人が大統領選で勝利し、欧州では難民・移民に寛容なドイツのメルケル首相が地方選の敗北で党首退任を表明。日本も格差が拡大し、外国人労働者の受け入れを進める中、人ごとではいられない。
 トランプ氏は20年大統領選の再選に向け、ますます意固地になって自国第一を貫き、過激な言動で分断をあおるだろう。さらに、虚実ない交ぜの陰謀論をまき散らして民主主義の土台をむしばみ、合意形成に欠かせない議論をないがしろにする。国際社会は人々の心の奥底に潜む不満や差別意識を呼び覚ますトランプ主義の試練に向き合う覚悟が問われている。
 
いずれの記事も現地で取材経験の豊かな「アメリカ総局長」の見立てなのだが、「トランプ流をまねて、自国第一主義や移民排斥を掲げる政治が世界各地でも広がっている」ので、「国際社会は人々の心の奥底に潜む不満や差別意識を呼び覚ますトランプ主義の試練に向き合う覚悟が問われている」ということだけは、間違いない、とオジサンは思う。
 


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