緊急事態宣言下での五輪開催の是非を問われ、「もちろんイエスだ」と答えていたのは、IOC副会長でIOC調整委員会委員長のジョン・コーツ。
在米ジャーナリストの飯塚真紀子に、「来日したIOCコーツ氏の“知られたくない黒歴史" 欧米豪メディアの過去記事を探る 東京五輪」という記事で、過去にはシドニーに五輪招致のために「アフリカのIOC委員2名に計7万ドルをオファー」したことにより、「2票差で北京に勝った」のは「賄賂ではない?」と主張したり、「ルールに抵触しないギリギリのことをする」人物であると暴露されていたジョン・コーツ。
コヤツではなくコーツが来日したことにより、もはや菅義偉政権は後には引けなくなり、メディアも加担し国内に五輪開催モードが急激に高まってきたようである。
その菅義偉は国内では「私は主催者ではない」と言っておきながら、「G7英で開幕 菅首相 東京五輪・パラ大会開催に向け決意を表明」したらしいのだが、昨年来から繰り返していた「人類がコロナに打ち勝った証」ではなく、「新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が団結し、人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを日本から世界に発信したい」と大見えを切っていた。
ところで、山籠もりの最中にこんなことが明らかにされていたことを知らなかった。
2022冬季オリンピックの招致レースから降りたノルウェーがIOCから要求された内容が細かい。ワインやシャンペンの銘柄まで指定してくるそう。何様?本当にぼったくり男爵。 #報道1930 pic.twitter.com/yGRpcWDRst
— ミスターK (@arapanman) June 10, 2021
具体的にはこんな内容らしかった。
◆空港は一般客とは別の専用口を用意しろ
◆バッハ会長到着時は滑走路で式典風に歓迎せよ
◆開会式前に国王と面会させろ
◆その後にカクテルパーティーを開け
◆その費用は王室かオスロ五輪委が負担しろ
◆委員の車移動用に一般車両やバス進入禁止の専用レーンを作れ
◆ホテルでは支配人が季節の果物とケーキを持って部屋にあいさつに来い
◆ホテルのバーは委員用に深夜も延長営業しろ
◆ミニバーには必ずコークを
◆競技スタジアムにもワインとビールを用意・・・
もちろん日本の「おもてなし」精神ならば全部用意するのであろうが、残念ながら五輪が中止か開催かの話が、どんどん観客の数の話になってきてしまった。
全てが五輪ありき。好き放題だな😡#報道1930 pic.twitter.com/X6gcBLKWcX
— twonotes (@twonotesfussa) June 15, 2021
そして、すでに「インパール作戦」になぞられていた五輪開催に関しては、こんなタイトル記事のメディアもあった。
「東京五輪中に緊急事態宣言の必要性も…有観客目指す政府 『「責任者不在で突撃、第2次世界大戦みたい』」
◆開会式前後に新規感染700人 宣言なしで2000人も 「宣言解除後の人流を10%増までに抑えても、7月後半から8月前半に宣言の再発令が必要になる可能性がある」。京都大と東北大、国立感染症研究所のシミュレーションによると、7月23日の開会式前後で、東京の新規感染者数は約700人。五輪開催で人流が10%増えると、7月末には約1000人に達する。 これは、インドで見つかったデルタ株の影響力を小さく見積もった試算。現在流行中の英国由来のアルファ株に比べ感染力、病原性ともに1・2倍とした。影響を大きく見積もり、宣言もないと仮定すると、7月半ばに約2000人に達する。 厚労省によると、14日時点で国内で確認されたデルタ株は117人だが、専門家組織に出された資料では、7月中旬にデルタ株は感染者の半数以上を占めると予測する。国民の4割以上がワクチンを接種した英国でも、デルタ株のまん延を受けて、今月21日に予定した都市封鎖の全面解除が1カ月延期された。 ◆ワクチン神話に専門家は警鐘 専門家組織座長の脇田隆字感染研所長は「シミュレーションで1番関係するのは、デルタ株の影響と人流増加」と説明。東京の人流は昼夜ともに5週連続で増えており、専門家組織は「リバウンド(再拡大)に向かうことが強く懸念される」と結論付けた。実際、都の発表によると、20代の新規感染者数は6月中旬から増加傾向を見せている。 政府が「頼みの綱」とするワクチン接種への過度の期待にも、専門家はくぎを刺す。脇田氏は「宣言解除で対策が何もなくなれば、高齢者接種が100%完了してもそれ以下の年齢層の感染者は減らない。ワクチンは強力な武器だが、感染源と感染経路対策が緩むと、1人が何人に感染させるかを示す実効再生産数は上がる」と明言した。 ◆開催リスクの専門家提言 「こういうのは作文」 都の新規感染者数は16日、約2週間ぶりに500人を上回った。五輪開催を不安視する国民も多く、政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は、開催リスクに関して政府に提言を出すと表明したが、発表に時間がかかっている。 専門家の独自性を保ちながら、政府にも受け入れられ、提言に参加する全員が納得できる内容が求められる。あるメンバーは「こういうのは作文だから。どうとでも読めて、皆が納得できるよう(政府とも)協力してやるのが1番いい」と話す。このメンバーによると、提言は大筋で完成した。尾身氏は菅義偉首相に手渡し、説明することにこだわっているという。 東京五輪はパンデミック(世界的大流行)下で開かれる世界最大のイベントとなる。別のメンバーは「あっと驚くような提言は出てこない。(大会後)組織委は解散し、政府は『俺たちは知らない』と言う。第2次世界大戦みたい。誰か責任者がいるわけでもなく突撃している感じ」と皮肉った。 |
元朝日新聞社編集委員だったデモクラシータイムス代表のジャーナリスト 山田厚史は冷静に分析しつつも菅義偉の狙いをこう喝破していた。
「『五輪の力』は世論を変える?菅首相が仕掛けた社会実験」
東京五輪の開催まであと1カ月に迫るが、菅義偉首相は「開催する意義」を問われても、答えないままだ。 本当のことを言えないからだろう。「私の政治生命がかかっている。東京五輪で一発逆転を狙っています」と答えれば、世間は「なるほど」と思うだろう。 そうは言えないから、念仏のように「国民の命と健康を守り、安全安心な大会が実現できるように全力を……」と繰り返す。 首相周辺から聞こえてくるのは「五輪が始まれば、世の中の気分は変わる」という淡い願望。熱狂し「感動をありがとう」と支持率がV字回復することだってある、と期待を寄せているらしい。 「ニッポン、チャチャチャで世論は変わるか?」 ■「開催の意義」、語らず答えず 成功した「時間切れ作戦」 東京五輪は菅首相による社会実験だ。試されているのはわれわれ日本人の成熟度かもしれない。 閣僚経験のある自民党議員はこう語る。 「広島、長野、北海道の国政選挙3連敗で明らかなように、このまま総選挙に突入すれば大敗する恐れがある。五輪を中止すれば、コロナ対策の失敗を認めたことになる。開催すれば、ナショナリズムが燃えて世論が変わるかもしれない。勝機はそこだけ。さまざまな不安には目をつむり、楽観的願望を頼りに突進する。第2次大戦末期にも似た展開です」 コロナ禍が長引き生活不安などが鬱積する気分を、お祭りで発散させる。国民も気分が変わる刺激を求めている。開催してしまえば、ムードは一変する。日本人選手の活躍をメディアは汗と涙の物語で取り上げる。「ガンバレ、ニッポン」の渦が巻き起こる――そう思ってのことのようだ。 政府のコロナ対策分科会や医療関係者らからも五輪開催への疑問が出されているにもかかわらず、首相は語らない、訴えない、答えないダンマリ戦術で押し通した。 医療関係者が悲鳴を上げようと、新聞が「反対社説」を掲げようと、無視。国会で何を聞かれようと、決まり文句を繰り返し、論議をはぐらかした。耳と口を閉ざし、時間切れに持ち込む。その作戦は成功したようにみえる。 ■G7で「世界への約束」に IOCとタッグ組む首相 英国・コーンウォールで開かれたG7サミットで首相は「難局を乗り越え日本から世界に発信したい」と東京五輪への決意を語った。開催は世界への約束となった。ここまで来れば、もう誰も止められない、と思っているに違いない。 次の段取りは、東京・大阪などの緊急事態宣言を解除し、開催を前提に観客などの規模を決めることだ。 分科会の尾身茂会長らによる「提言書」に待ったをかけていたのは、開催が動かない時点まで抑えるためだった。 提言は「参考にします」といんぎん無礼に処理し、来日するIOCのコーツ副会長らとの5者会談で、最終的な段取りを決める。あとはIOCと開催地・東京都に任せるということだろう。 首相とバッハIOC会長は「何がなんでも開催」で、ピタリと息を合わせてきた。バッハ会長は、4年に一度のお祭りが中止になったらIOCの収入が吹っ飛ぶ。全米に独占中継するNBC放送から放映権料が入らなくなったらIOCの屋台骨は揺らぐ。日本の事情などお構いなしだ。 IOCは「大会関係者が観戦できるように」と要求している。「五輪貴族」と呼ばれるIOC役員や王族、スポンサーなどの豪華接遇を大会の度に開催地に求めてきた。一般の外国人観客を受け入れない東京五輪の観戦は、特別扱いのサービスとなる。「五輪貴族用」の席を求めているという。 ■「観客を入れて」の開催は 首相の指示だった? 菅首相も「観客を入れろ」と言っているようだ。 「無観客の覚悟を固めていたのに、いつの間にか有観客の方向で話が進み始めた。理由を組織委幹部に聞くと『総理が観客にこだわっている』。がっくりきた」という五輪組織委員会幹部の嘆きを、朝日新聞の五輪特集(6月4日「五輪 記者は考える」)は報じている。 首相は国会で「黙秘」しながら、裏で「観客を入れて開催」という方針を鮮明にしていたということのようだ。本当なら国民への背信である。 観客を入れる理由を「子どもたちに感動の機会を与えたい」「声援があったほうがアスリートは力を発揮できる」などと政府は言うが、子どもや選手をだしにしている。 首相が「観客」にこだわる理由は、別のところにあるようだ。 五輪開催で「世論の風向きを変える」。ならばお祭り騒ぎがいい。熱狂を誘うには、観客は必要だ。パブリックビューイングにこだわるのも「人が集まる」場面がほしい。日本選手が勝ったとき、喜ぶ観客の表情や集団観戦する人たちの熱狂ぶりをTVが伝えることが、望ましい――。 こうした官邸の意向の下で組織委員会などの事務方は疲労困憊(こんぱい)のようだ。 ■支持率回復狙う「政治の都合」 「相棒」とも“仲たがい" 政府の姿勢に専門家たちも気が付いた。 首相の記者会見の度に横に立たされ、助け舟を求められる分科会の尾身会長は、コロナ対策で首相の「相棒」だったが、五輪が近づくにつれ“亀裂"が深まった。 お祭りを盛り上げれば、人は外に出て、はしゃぎ、大声を上げる。人の流れは膨れ、感染防止と真逆の動きが始まる。感染症の専門家は、人流を抑えることが大事だと主張し、接触機会を減らし、大声を出さないようにと言ってきた。官邸のやり方に黙っていられなくなった。 五輪が終われば後はお構いなしのIOC。政治の都合でお祭りにしたい官邸。相棒のままでいたら、いいように使われるだけ、という危機感が専門家たちにも広がったようだ。 東京五輪を「普通なら(開催は)ない」と尾身会長は語った。感染を抑え、医療体制を守る専門家の立場なら「五輪開催はコロナ対策の障害になる」と中止を主張してもおかしくない。そこまで踏み込まないのが「相棒」の限界かもしれない。 しかし、専門家が「注文」をつけたことは、大きな意味を持つ。 菅政権は専門家のアドバイスもろくに聞かず五輪を強行した、という事実を天下に知らしめることになる。身内の意見でも、首相の意に沿うものでなければ聞く耳を持たないという政治姿勢も改めて印象づけた。 だが、菅首相には“成功体験"がある。官房長官として安倍前首相を支えた7年だ。 安倍首相夫人のなじみである学校法人森友学園に国有地を格安で売却し、公文書改ざんを局長が指示し、担当職員が自殺に追い込まれた。責任者の処分や真相解明も不十分なままだ。 首相のじっこんの理事長が経営する学校法人に官邸官僚が「首相のご意向」をかざし文科省に獣医学部の新設を認めさせた加計学園問題。「桜を見る会」の前夜祭の費用を首相の後援会が負担した問題で、首相が国会でうその証言を100回以上繰り返し、第1秘書が政治資金規正法違反に問われた事件もあった。 だがどれも安倍首相は責任を問われることなく、逃げ切った。 事件が取り沙汰されているとき世論は沸騰するが、終われば潮が引くように下火になる。独善だろうとうそだろうと力で押し通す。世間はすぐ忘れる。選挙に勝ちさえすれば政権は安泰だ。 ■「池江選手がメダルを取ったら 日本中が熱狂して選挙に勝てる」? 東京五輪は、首相に冷ややかな世論を「上書き」する願ってもないチャンスだ。 月刊誌でコラム子が、官邸筋の話として「池江璃花子がメダルを取れば日本中が熱狂し、コロナなど忘れて総選挙で勝てる」と首相が漏らしたと書いている(「文藝春秋」7月号)。 本当に首相がそう言ったのかは、分からない。 だが、ゴルフのマスターズで勝った松山英樹、全米オープンで「日本人同士」のプレーオフを制した笹生優花、大リーグでは大谷翔平の活躍など「日本人の活躍」はメディアが大好きな話題だ。 「五輪で池江璃花子がメダルでも取れば」というのは分かりやすい話だが、こんな願望に寄りかかっているとしたら政権は危うい。 日本選手のメダルに期待するのは分かるが、東京五輪は「スポーツの祭典」として欠陥大会ではないだろうか。 感染まん延で練習もままならない選手が世界にたくさんいる。予選に出られず出場資格を失った選手もいる。規制だらけのプレイブックで外国から来た選手は収容所のような環境に置かれる。観客は日本人ばかり、日本選手が声援を受け活躍する。とても公平な大会とは言い難い。 ■最悪の事態を考え準備するのが政治リーダーの責任だ 日本のメダルラッシュが起こる。ニッポン、チャチャチャ!開催してくれてありがとう。菅人気が盛り上がる――そんな展開はないとはいえないが、楽観シナリオにすがるのはまともな政治ではない。 現状は第4波が収束に向かう局面だが、西浦博京大教授は「高齢者へのワクチン接種が7月中に完了しても、8月には東京で緊急事態宣言を出さざるを得ない恐れがある」と警鐘を鳴らしている。 五輪開催中に第5波が襲来したら人々は五輪を楽しめるだろうか。大会によって生じた人流の増加で秋には感染爆発が起こるかもしれない。 遅くとも10月には総選挙もあるが、「五輪開催」が菅政権に都合よく働くとも限らない。それでも首相は「五輪の熱狂が政治状況を変える」に政治生命をかけた。 最悪の事態を考え、さまざまな処方箋を用意して国民に示すのが政治リーダーの責任だが、残念なことに、わが国の首相は自分に都合のいいシナリオを描き、当たるかどうかを実験しようとしている。 首相が期待するように、愛国気分が盛り上がり「五輪の力」が政府への不満を吹き飛ばすか。それとも感染を広げ、政権批判に油を注ぐか。 「コロナ禍の五輪」は世の中の空気をどれほど変えるのか。 やってみなければ分からない壮大な社会実験、この大博打には国民の命と暮らしが賭けられていることを忘れるわけにはいかない。 |
科学の「実験」には危険が付きまとうが、その実験から結果として多くの人命が助かる場合がある。
それと比べると菅義偉による「五輪開催」という、壮大な社会実験には成功しても多くの人命が救われることはまずない、とオジサンは思う。
最後に、菅義偉肝いりのデジタル庁のトップの平井卓也デジタル相にきな臭いうわさ以上の事実が文春砲が暴露していた。
「【新音声入手】親密企業の参入を指示 平井卓也デジタル相に官製談合防止法違反の疑い」
「干せ」だけではなかった。自分に親しい企業をデジタル庁発注の事業に参入させろ、と官僚に指示していたのだ。文春が音声データを入手。悪質な官製談合防止法違反だ。今度は「妻に怒られた」では済まない。東京地検特捜部は早く逮捕を。 https://t.co/GI2LbPa0gS
— さよなら昨日の私 (@SaYoNaRaKiNo) June 16, 2021
【音声動画】「新音声入手」平井デジタル相に官製談合防止法違反の疑い