「8月の内閣改造は失敗だった。改造はもろ刃の剣だ。大義と時期、人選を精査するのが常識だ。が、旧統一教会問題を軽く見すぎた。岸田文雄首相の危機管理能力の低さがはっきり見て取れる」
と、東京新聞の望月衣塑子記者に一刀両断されていた岸田文雄。
昨年の総裁選挙で勝ち内閣総理大臣になってからは、「聞く力はあっても何もしない検討使」と小ばかにされていた岸田文雄。
しかし重しになっていた安倍晋三の想定外の銃殺により、これ幸いと安倍晋三の死をさっそく政治利用して、「国葬」をぶち上げた。
これは自民党内の「安倍派」を始めとする保守層の支持を得るためと、弔問外交で己の存在を見せつけようとしたと、身内からも批判されていた。
そして岸田文雄が恐れていたことが表れ始めた。
「安倍氏国葬、マクロン氏は見送り 仏、元大統領ら派遣検討」
これに関しては、2人の学者が的確なコメントを発していた。
◆慶應義塾大学総合政策学部鶴岡路人准教授 弔意を寄せることと実際の参列の間には大きな差があるのは当然だろう。これまで、政府(および一部マスコミ)は、国葬儀の実施に関して、海外から寄せられた弔意の大きさ、そしていわゆる弔問外交の機会を強調し過ぎてきたのではないか。 加えて(フランスの場合の詳細はまだ不明だが)、各国は参列者を決定するにあたって、国葬儀をめぐる日本国内の論争状況を見極めている部分もあるだろう。そしてこの種の参列者決定にあたっては、「他国は誰を送るのか?」を気にする国も少なくない。 海外からの弔意や弔問外交を強調した結果として、「これしか来ないではないか」という批判が増加するとすれば、何とも皮肉だし建設的でもない。 |
◆同志社大学政策学部吉田徹教授 マクロン大統領と安倍首相との距離は、トランプ大統領と比べれば、それほど近いわけでも、重要なわけでもない(以前にフランスでの共同記者会見で、安倍首相が「エマニュエルと私は、」とファーストネームで呼んだのに対し、マクロンは「安倍晋三首相は、」と返していた)。 マクロン大統領としては、内政で困難を抱えており(議会でマクロン派は過半数を得ておらず、インフレや干ばつで対処に批判が集まっている)、アメリカも副大統領の派遣となったこともあって、喫緊の課題に対して国葬参加の優先度はそれほど高くなくなったということではないか。 |
さらにネット民たちもタイムリーでシビアなコメントしていた。
◆最近はフランスの反セクト法が注目されているけど、フランス国内でその制定のきっかけを作ったのが正に旧統一教会なんだよな。フランスでも、1980年代に旧統一教会による過剰献金や信徒の囲い込みが社会問題になったから。だから、フランスでも旧統一教会のイメージは未だに悪い。その旧統一教会と繋がっていただけでなく、信者になったとされる政治家の葬儀はフランスとしても参加しにくいだろう。 ◆現役の主脳は何人果たして来日されるのでしょうか。 アメリカも副大統領だし、ロシアとの関係を考えるとインドの首相も微妙だと思うし。 各国は日本を外面では重要視しているようですが実際は、お金をせがめばすぐ融通してくれる、都合の良い国だぐらいにしか思っていないようです。特に岸田総理に対しては。 ◆外交はその時点での国の指導者(元首、首相など)の力量と評価で動く。亡くなった過去の人の実績のみで他国の指導者は判断しない。儀礼的外交ならともかく、現実には日本の現職首相の国内外での力量・評価を考慮し、諸外国の現役リーダーは「国葬」と称する儀式への参加するか否かを決めると思う。儀礼的価値はすでに各国のリーダーから弔意が述べられており、彼らはの気持ちはそれでOKであり、自国で多忙な業務を抱えている中でわざわざ岸田内閣と自民党のために来日する方は少ないかもしれない。元首相、元大統領等の来日で終わるだけで、政府が期待した「国葬」と称する儀式で外交上の成果など期待するのは見当違いであると思う。冷静になった方が良い。 ◆岸田総理、自民党、そしてその支持者。多くの国民、メディアの方々は知っているのですよね。世界から見たら日本の位置付けは江戸時代程度。特に政治家、それを支持する国民のレベルは世界では通用しない。しかし、自分たちは優秀で、世界から認められている。政府、岸田氏が言っていましたね。世界の要人が弔問に来たがっている。来たがっている(社交辞令)と、実際に来る。は別問題。まして、今の社会情勢下、日本に来て何のメリットがあるのでしょうかね。 ◆亡くなった直後には弔意を表したいと思った首脳も結構いたかもしれないが、亡くなってから3か月近く経ってあらためて弔意を表したいと思う首脳はどれだけいるだろうか? 安倍氏の友人といえる人が弔意を表したいと思うかもしれないが、それなら国葬ではなく私的な場を設ければそれでいい。 各国から見れば、国葬がなければ何もしなくていいのに、日本がやるというから社交儀礼上それなりの人を仕方なく派遣する、というただの重荷、負担になるようにも思う。 |
明らかに岸田文雄の思惑外れということに相成った。
また、国内問題を無視するかのような、「アフリカ支援に官民4兆円 首相『人への投資』表明」という記事には、予想通りの批判が殺到していた。
こんなニュースには必ず、「国会を無視して税金をあたかもテメーの財布のようにして海外に金をばら撒く」といったたぐいの批判があるのだが・・・
岸田首相、アフリカに4兆円支援を表明→アフリカへのサポートも大切ですが、もう少し、日本の皆さんへのサポートもお願いできないでしょうか?オチはありません。
— デーブ・スペクター (@dave_spector) August 27, 2022
アフリカ支援に4兆円を投入する岸田文雄は、たまには
— 鈴木傾城 (@keiseisuzuki) August 27, 2022
・消費税10%で苦しむ日本国民
・社会保険料で苦しむ日本国民
・物価高騰に苦しむ日本国民
・実質賃金が上がらない日本国民
・奨学金の重さに苦しむ日本の若者
のことを思い出してくれ。
お前はどこを向いているのか?https://t.co/7utJN1716r
実際は、岸田文雄を擁護するわけではないが、「さぐる」ジャーナブロガーによれば、海外投資の実態はこうらしい。
「この類の支援には外貨準備高(通貨当局が為替介入に使用する資金。あるいは通貨危機などにより他国に対して外貨建て債務の返済が困難になった場合などに使用する準備資産。日本では財務省と日本銀行が保有。外貨のため、日本国内では使用ができない)が使われますので、コメントで指摘されているような税金云々との話とは別物です。また、外務省の公開ページで確認した限りでは、譲渡ではなく、低利の円借款(貸出)となります。
なお財務省の発表によれば、2022年7月末時点における外貨準備高は1,323,034百万ドル(180兆8928億6355万円)で、そのうち証券は1,064,930百万ドル、預金は137,623百万ドルなどとなっています。」
こんな岸田文雄が率いる自民党に対しては、作家でアルファブロガーでもある鈴木傾城が自民党の終焉を予想していた。
「安倍元首相の死と共に終わる自民党。いよいよ国民の「消極的支持」すら失う日が来た=鈴木傾城」
■安倍首相の死と共に自民党も終わるのかもしれない 2022年7月8日、安倍晋三という大きな存在が撃ち殺された。 そして今、残された自民党保守議員は韓国カルト統一教会の結びつきでズタズタになっており、内閣改造に失敗した岸田政権も支持率が急激に消えてしまっている。 自民党がこの危機を乗り切れるのかどうかは分からないが、強力なリーダーシップも見られないで内部が動揺し続けるのであれば、自民党は迷走し、弱体化してしまうのは避けられない。 安倍首相の死と共に自民党も終わるのかもしれない。 私は別に自民党を心から愛しているわけでもないし、自民党の議員がみんな支持できる人であるとは思っていないし、自民党の議員ならばそれだけで他の野党議員よりもマシと思っているわけではない。 昔から自民党の中には金丸信みたいな北朝鮮べったりの売国奴もいたし、橋本龍太郎みたいに経済音痴で日本経済で破壊したうえに中国のハニートラップに引っかかって日本の国富を中国に垂れ流しした首相もいた。 二階俊博みたいに中国を賞賛するおかしな政治家もいれば、石破茂のように立憲民主党の回し者なのかと思うような発言をする議員もいる。 そして、統一教会のような反日カルトべったりの議員も安倍晋三元首相の死で急激に表沙汰になった。 自民党は売国奴から憂国の国士まで取り込んだ非常に大きな寄り合い政党で、だからこそ自民党は清和会や宏池会などのいくつかの派閥があって、その派閥の中で駆け引きが繰り広げられている。 頑張ってもらいたいと思う議員もいるのだが、まったく支持できない議員もいる。そういう状況があるので、私は自民党を強く支持しているわけでもないし、まして自民党に心酔しているわけでもない。 ■「何もしていない」情けない自民党 自民党は中国や韓国や北朝鮮には弱腰だ。韓国が約束を守る国だと錯覚して日韓合意をまとめたのも失策だったし、日韓合意を破られても何もしないのも愚鈍だ。 さらに「北朝鮮から拉致被害者を取り返す」と口では言いながらも、徹底的に北朝鮮を締め上げることもないし、朝鮮総連を日本から叩き出すこともしないし、スパイ防止法を強化して北朝鮮の工作員を片っ端から摘発することもない。 今の自民党は何もしていないも同然だ。私は自民党の中国・韓国・北朝鮮に対する態度にはずっと不満を持ち続けている。 この点に関して「自民党は情けない」とすらも感じている。 ■消費税は撤廃すればいいのである。ゼロにすればいい さらに、日本を亡国の道に導く少子高齢化に関しても無策であるうえに、日本経済が好調でもないのに消費税を引き上げ続けて日本経済を完全に破壊してしまったことで私は自民党に完全に見切りをつけた。 現在は、経済が悪化し続けているが「これはコロナ禍という災厄が発端になっているので仕方がない」と思われている。 しかし、コロナ禍の前に消費増税ショックがあったのは忘れてはいけない大きな事実だ。 今、日本で起きている経済の悪化は「消費増税ショック+コロナ禍」という二重の災厄から起きていることなのである。さらに2022年からはエネルギーや資源価格の高騰もあって、日本国民が苦しむようになっている。 そうであれば、消費税は撤廃すればいいのである。ゼロにすればいい。 それで、すべての国民が恩恵を受けるうえに内需も回復する。消費税ゼロにするというのは、国民の所得が10%増えるも同然なのだ。 「国民に寄り添う」とか「社会的弱者を守る」というのであれば、さっさと消費税ゼロにすれば「全員助かる」のだからすぐにやった方がいい。 そもそも、内需で回っている国なのに消費税で内需を殺すという時点で、日本の政治家・官僚の頭は狂っている。消費税は「最初からすべきではなかった」というのが本当のところだ。 日本の衰退は消費税を導入したところから始まっているのである。 ■日本国民が消極的ながらも自民党を支持してきた理由 何はともあれ、消費税が10%であるというのは尋常なことではない。ましてコロナ禍は終わらず、価格高騰が止まらないなかでは、消費を守るために消費税はとにかく引き下げるべきである。 そういう効果的な対策を迅速に取れないというのであれば、それが自民党の限界であるということができる。 しかし、だからと言って自民党を吹き飛ばして、まったくわけのわからない野党に政権交代をして欲しいとも言えないのが日本国民の心境でもある。今の左派野党を見ると、自民党よりも悪い政治が行われるのはわかりきっているからだ。 日本国民が消極的ながらも自民党を支持してきたのは、コストの問題を考えているからだ。 自民党には満足しているわけではないし、あれこれ不満も山ほどあって耐え難い時もあるのだが、それでも日本人は長く自民党を支持してきた。 1990年代から首相が日替わり弁当のように変わって、日本を復活させるために最も重要な時期に政治が混乱したまま何もできなかった時期を国民は忘れていない。 あの大混乱の後に小泉純一郎政権が誕生したのだが、国民がなぜ小泉政権を支持したのかというと、「政治の混乱で、これ以上日本が壊れていくのを見たくなかったから」である。 しかし、小泉政権は1990年代後半の超就職氷河期で地獄に堕ちた若年層を救済するどころか非正規雇用に追いやって、より格差と貧困と断絶を生み出し続けた。 これによって世の中はますます荒廃して、結局は自民党は愛想を尽かされ、日本最大の悪夢「民主党政権」が2009年に誕生することになってしまった。 そして、民主党政権の3年間で、日本は阿鼻叫喚の地獄に堕ちてしまったのである。 ■いよいよ自民党そのものが見捨てられる状態になりかねない このような経緯を観察すると、2012年末に安倍晋三氏が戻って一応の政治的安定をもたらしたのは一種の奇跡でもあったとも言える。 |
確かに安倍晋三元首相は経済を立ち直らせる力量はなかった。消費税もどんどん引き上げて逆に日本経済を疲弊させてしまった。
しかし、安倍晋三元首相は極端に悪い政治はしなかったし、日本経済を壊滅させることもなかった。飛びきり良い政策をしていたわけではないのだが、凄まじく悪いわけでもなかったのだ。
民主党政権が凄まじく悪かったので、それならば自民党に長くやってもらった方がいいと国民が思っても無理はない。
要するに、日本国民は自民党を全面的に支持しているわけではないものの、他の誰かがやるよりも混乱が少ないので自民党を支持していたのだ。自民党に続けてもらうというのは、現状維持のコストのかからない選択であった。
しかし、そうした選択が許される時間は終わったのかもしれない。
長期政権で政治的安定をもたらした安倍晋三元首相は消え、自民党の保守派は旧統一教会の問題で急速に支持を失おうとしている。岸田政権もいよいよ支持率が30%台にまで低下してしまった。
岸田政権は旧統一教会の問題の幕引きも失敗し、コロナ対策にも失策を重ね、さらに物価対策も失敗しようとしている。だとしたら、日本国民の岸田政権を見る目は、非常に冷たいものになってしまうのだろう。
自民党も正念場に来たように私は思う。
岸田政権が日本の政治経済を安定化させることに失敗したら、いよいよ自民党そのものが見捨てられる状態になりかねない。果たして岸田首相は、強力なリーダーシップを発揮して揺らぐ自民党をまとめ、日本を救うことができるだろうか……。
日本最大の悪夢「民主党政権」という表現は、安倍晋三の「十八番」であった。
それは野党に転落していた自民党にとっては「悪夢」であったかもしれないが、民主党政権では自民党政権時代ではできなかった新たな政策をいくつも用意していたが、政権交代を認めたくない霞が関官僚の造反で挫折したり、菅直人政権では、それまでの自民党政権での杜撰な原発の安全管理によって東電福島第一原発の大事故が発生し、おそらく自民党政権ではもっと大混乱になっていた可能性もあった。
最後の野田佳彦政権は陰に財務省がおり消費税増税路線になってしまい、最後は自ら安倍晋三に解散すると言わせられてしまい自滅したわけであり、この間の詳細な事情は、「民主党政権が失敗に終わった本当の理由~悪いのは「マニフェスト」ではない 政権運営のためのOSをつくれず、社会変革への国民の期待に応えられなかった罪は重い」を参照してほしい。
もはや自民党に対抗する、政権交代可能な「野党」はいなくなり、自民党から危機感が喪失し、冒頭の望月衣塑子の指摘のように「岸田文雄首相の危機管理能力の低さ」がより顕著になっている。
こんな状態が続けば安倍晋三の「国葬」後の、臨時国会が文字通りの自民党の正念場になるのであろう、とオジサンは思う。