新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

本当に日本人は岸田文雄政権に不満をもっていないのか

2023年04月14日 11時32分38秒 | 岸田統一教会内閣

今から8年前に「元天才詐欺師と堅物FBI捜査官が知的犯罪に挑むクライムサスペンス」という海外ドラマが放映されていた。
 
自由と引き換えに捜査協力することになった元犯罪者が釈放された後も常にGPSで監視されながらFBI捜査官とタッグを組んで詐欺や偽装、横領などの知的犯罪に挑むクライムサスペンスドラマであった。
 
このGPSは半径3km以内ならば自由にうごきまわれるということだったと記憶している。
 
とても日本人の発想ではありえない話ではあるが、最近では犯罪者ではない保釈中の被告人にGPSを装着させるという。
 
在京メディアではなく京都新聞が報じていた。
 
社説:保釈中にGPS 『人質司法』解消が先だ
 

保釈する刑事被告人に裁判所が衛星利用測位システム(GPS)の装着を命令できる刑事訴訟法などの改正案が国会に提出された。
 新制度は海外への逃走防止に限られるとはいえ、人権侵害になりかねない。否認だと保釈を認めない長期勾留の解消につながるのかも不透明だ。
 逃亡防止とプライバシー確保の両立に向け、慎重な審議を求めたい。
 海外に拠点がある企業の幹部らを想定し、端末を装着後に保釈される。空港など制限区域への立ち入り禁止や常時着用を求め、無断で取り外せば拘禁刑が科される。
 2019年に相次いだ逃走事案が呼び水となった。特に保釈中だった元日産自動車会長のレバノン逃亡は、巨額の保釈保証金没取もいとわず関西空港から脱出。欧米で導入されているGPSでの行動監視を求める声が高まった。
 ただ、海外逃亡の恐れを、どう見極めるのか。端末を着ければ必ず逃亡を防げるわけでもない。適用は極めて少数とみられ、費用対効果の議論も欠かせない。
 運用面も未知数だ。どんな機器をどう装着するのか、法務省は実証実験中というが、小型端末の開発など詳細は定まっていない。
 とりわけ保釈中の行動が把握される人権侵害の懸念を拭えない。
 そもそも刑が確定前の被告は推定無罪であり、身体は自由であるのが原則だ。逃走や証拠隠滅の恐れがある場合に限り、裁判所の判断で勾留することができる。
 日本では逮捕段階から自白を得るまで長期勾留する傾向があり、「人質司法」と国内外から批判されてきた。
 裁判員裁判を機に保釈の運用が緩やかになり、保釈率は3割台に伸びたが、否認事件では難しい状況が続いている。
 改正案は、他にも逃亡を防ぐため、不出頭罪や制限住居離脱罪の新設を盛り込んだ。近親者らを新たに監督者に選任し、保釈保証金とは別に、監督保証金を納めなければ保釈を認めない。いわば「連帯責任」も課す仕組みだ。
 言うまでもなく逃げ得は許されない。GPS導入をはじめ監視や罰則の強化で、保釈許可が出やすくなれば、過剰な身柄拘束を免れ、確かに被告のメリットは大きいかもしれない。
 ところが、保釈率が向上する保証はない。「被告側の負担のみが増大し、バランスを欠く」との指摘もある。むしろ長期勾留を検証し、「人質司法の解消こそが先決である。

 
そもそも人間にGPSを装着させて監視するというお上の発想は許せない話だが、だからといって国民の個人情報が流出するような政策も見逃せない話であろう。
 
なにしろマイナンバーカードを巡っては、2017年からの5年間で少なくとも3万5,000人分の情報が紛失・漏洩したとの報道もあることから、このマイナンバーカードの積極的な活用には疑問が残る。 
 
個人情報の流出は必至か。不安しかない『マイナ保険証』をゴリ押しする政府の無責任
  
■強引な誘導に疑問。ゴリ押し「マイナ保険証」のリスクを心配する
つい先日、かかりつけのクリニックを訪れたさい、見慣れぬ器械が受付に置いてあった。
マイナンバーカードを読み取って健康保険に加入しているかどうかの「オンライン資格確認」をするカードリーダーで、今年4月から原則として義務付けられているそうだ。
筆者はマイナンバーカードを持っていない。カードをどこかに置き忘れたり、紛失するのが怖いし、個人情報が漏洩したり、悪用される不安もあるからだ。

そんなわけで、この器械と自分は関係ないのだと思い、その時はたいして気にも留めなかったのだが、後日、健康保険証がとんでもないことになっているのに気づいた。
来年秋、健康保険証を原則として廃止し、マイナンバーカードに保険証の情報をデジタル的に紐づけた「マイナ保険証」に一本化するというのである。岸田政権はそのためのマイナンバー法など関連法改正案を今年3月7日に閣議決定し、今国会に提出している。
どうしてもマイナ保険証がいやだという人には、健保組合などが保険証の代わりとなる「資格確認書」を無料で発行することにはなっているが、有効期限が1年で、健康保険証のように自動更新ができないから、自分で1年ごとに更新の手続きをしなければならない。しかも、資格確認書を使用している限り、毎回の受診料がマイナ保険証より高いのだ。格差をつけて、マイナ保険証への切り替えに誘導しているわけである。
いつ、こんなことになったのか。たしか、マイナ保険証か、現行の健康保険証かは選択できるのではなかったのだろうか。そんな疑問から、この法案のもととなった昨年6月7日閣議決定の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2022」を確認すると、以下のような記述がある。
患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、関連する支援等の措置を見直す。2024年度中を目途に保険者による保険証発行の選択制の導入を目指し、さらにオンライン資格確認の導入状況等を踏まえ、保険証の原則廃止を目指す。
筆者の頭には「保険証発行の選択制」という文言が記憶されていたため、現在の健康保険証がそのまま残ると思っていたのである。よく読むと、「保険証の原則廃止を目指す」となっていた。
しかし、岸田首相はその後も、「マイナンバーカードを取得しない人でも保険料を払っていれば保険診療を受けられる制度を用意する」と国会で答弁していたのである。
その制度が「資格確認書」なのだろうが、受診料や手続きの違いを除くと実質的に健康保険証と変わらないとはいえ、正式の保険証ではないのも確かであり、やはり不安は拭えない。
■政府への信頼不足か。日本に電子行政が根づかなかった訳
そもそもマイナンバーカードを持つかどうかは「任意」であって「強制」ではない。それなのに、マイナンバーカードの健康保険証としての利用を強制するようなやり方には矛盾を感じる。
むろん、この国で遅まきながらもデジタル化社会をめざそうというなら、マイナンバーカードの利用拡大は必須であろう。だが、住基ネットに見られるように、これまで国民識別番号による電子行政が根づかなかったのは、政府への信頼が不足していたからではないか。
マイナンバーカードなら、大丈夫だというのだろうか。個人番号に紐づけされた健康保険の医療情報がハッキングされたり、漏出したり、悪用されたりする心配はないのだろうか。
マイナ保険証(オンライン資格確認)について、政府は「患者の医療情報を有効に活用して、安心・安全でより良い医療を提供していくための医療DXの基盤となるもの」としている。医療のデジタルトランスフォーメーションの基盤にしたいというのである。
経済産業省はDXをこのように定義づけている。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデル、組織、企業文化を変革し、競争上の優位性を確立すること」。要するにデジタルによる産業革命のようなものだ。
医療の業界についてもそれを進めようということなのだろう。具体的にどうしたいのかについては、先に示した「骨太方針2022」のマイナ保険証についての記述に続く次のくだりで明らかだ。
「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化等」及び「診療報酬改定DX」の取組を行政と関係業界が一丸となって進めるとともに、医療情報の利活用について法制上の措置等を講ずる。
全国医療情報プラットフォームは、日本の医療分野における情報のあり方を抜本的に改革するためにと、2022年5月に自由民主党が提言した。中身は次のようなことだ。
「オンライン資格確認等システムのネットワークを拡充し、レセプト・特定健診等情報に加え、予防接種、電子処方箋情報、自治体検診情報、電子カルテ等の医療(介護を含む)全般にわたる情報について共有する全国的なプラットフォームのこと」(日経メディカル)
つまり、マイナ保険証のシステムは、クラウド型電子カルテを標準化し、その医療情報を行政や医療界、産業界が共有し、利用・活用することまでめざしているのだ。
デジタル世界では、毎日のように不正アクセスなどによる情報漏洩事件が発生している。個人の医療情報が広く共有されるということになると、それだけ流出の危険性は高まるだろう。
当然、患者の個人情報の秘匿の観点から、マイナ保険証に反対する医師も数多い。
東京保険医協会の呼びかけで、保険医・歯科保険医274人が今年2月、オンライン資格確認義務化の違憲・違法性を訴えて、国を相手に東京地裁に提訴したのはその顕著な例だ。
「オンライン資格確認システムを利用しインターネット回線に接続することにより、カルテ情報等の漏洩の危険が生じている」というのが、提訴の理由らしい。
■マイナポータル利用規約に記載された驚きの「免責事項」
マイナンバーの中核システムは「情報提供ネットワークシステム」といい、その設計・開発を行っているのはNTTコミュニケーションズとNTTデータ、富士通、NEC、日立製作所のコンソーシアムである。
そのうちNTTデータは、医療情報をビッグデータとして二次利用する業務に携わっている。医療機関の電子カルテデータを含む実名の医療情報の提供を受け、それらを匿名化した情報を、研究機関や自治体、製薬企業などへ有料で提供する政府認定の事業だ。つまり、全国医療情報プラットフォームの先駆けのようなことをすでにやっているのである。
ところが昨年、患者の医療情報を利活用するにあたっては、あらかじめ本人に通知することが必須なのに、プログラムの不具合により、通知しないまま約9万5,000人分の患者データがデータベースに混入してしまう不手際があった。
今後、マイナ保険証を基盤とした医療情報の利活用が本格化すれば、個人情報にかかわるさまざまな問題が噴出してくる可能性がある。その場合、政府は責任をとるつもりがあるのだろうか。
あるどころか、マイナポータル利用規約には免責事項として、「マイナポータルの利用に当たり、利用者本人又は第三者が被った損害について、デジタル庁の故意又は重過失によるものである場合を除き、デジタル庁は責任を負わないものとします」と書かれているのである。
そのくせ政府はメリットばかりをあげてマイナ保険証への移行を急がせる。例えば「自分の健康情報を統合的に管理することができる」「重複する投薬を回避した適切な処方を受けることができる」「簡単に医療費控除申請の手続きができる」…などだ。
このようなメリットがあるにしても、どうしても必要なものかとなると疑問が残る。「重複する投薬を回避した適切な処方」というが、「お薬手帳」があれば十分だろう。
便利なデジタル社会に移行するのはいいが、そのさい肝心なのは、システムへの信頼性だ。
たとえば、デジタル先進国のエストニアでは、セキュリティサーバーにより、日本のマイナンバーにあたる国民ID番号とIDカードを誰がいつ利用し、どのような意思決定が行われたかなどを復元できるため、そこから個人情報が盗み取られたり、悪用されたりする心配のないシステムになっている。
日本政府もこの20数年、デジタル化への意欲だけは示してきた。2001年に、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)を設置し「5年以内に世界最先端のIT国家になる」とぶち上げた。その結果、ブロードバンドインフラについては高い水準に達したが、「世界最先端のIT国家」にはほど遠い。各省がバラバラにIT投資、施策を進めたためである。その背景には、省庁や族議員とつながっている経済界の既得権益がある。
やがて、健康保険証を原則として廃止し「マイナ保険証」に一本化する法案の国会審議がはじまるだろう。政府が責任をとらないというマイナポータルに、本当に信頼を置けるのか。どこまで突き詰めた議論ができるのか。心配は募るばかりだ。

「マイナポータル」ではなく「マイナーなポータル」といったほうがふさわしい。
 
政府への信頼不足」という点では、国民の命と財産を守るという政府の常套句が崩れ始めているのが「Jアラート」ではないのか。
 
Jアラート『北海道にミサイル落下』情報訂正に批判殺到。もはやオオカミ少年状態で日本は大丈夫か?
 

■テレビ画面に突然のJアラート
午前7時55分、政府の緊急警報「Jアラート」が出されたことで、恐怖を感じた人も多かっただろう。朝、子どもと一緒にNHK教育番組を観ていた都内在住の男性は言う。
「突然、『ミサイルが北海道に~』という不穏なJアラート画面が出現して驚きましたよ。チャンネルを変えてもどこも同じでした」
独自路線を貫く番組作りがウリのテレビ東京ですらもJアラートを出していたようで、緊急性をより感じることができる。
「しかも、テレ東は画面を棒読みの自動音声が読み上げていて、怖さ倍増でしたね。ここでも独自路線かよ、とちょっと思いましたが(苦笑)」(前出の男性)
■5分前に言われてもね……
しかし、「ミサイルが落ちるかも」と警告された北海道に関わりのある人々は、テレビ局の独自路線どころではない。
「高齢の母が北海道に一人で住んでいるので、ミサイルが落ちるかもと思うと怖くて仕方がなかった。けれど、7時55分頃に鳴ったJアラートを見ると「8時頃落下するとみられます」と書いてあって…。その5分でどこに逃げればいいんだよという感じです。その後、誤報となりホッとしたと同時に、政府に怒りを覚えました。本当にミサイルが落ちてきたら国民を守れるのか?いや、本気で守る気があるのか? 疑問ですよ」(30代女性)
ネットには、道民ではないと思われる人からも、この「落下5分前に言われて、どうすればいいのか?」の声が多く上がっていた。外野がそう感じるのだから、避難の必要性があった人々はもっと強く思うことだろう。
Jアラートの誤報は過去にも複数回ある。そのせいか、「どうせ落ちないでしょう」と静観する人も少なくないそうだ。
「これだけ不安を煽られ、結果的に何もないと『ああ、またか』と思うのは当然です。今日のJアラートもどうせ誤報だろうなと」(20代男性)
「今回も日本の領域外に落下したようですね。どこに落ちるかもわかっていない政府が出すアラートを信用しろと言われても無理がありますよ」(30代男性)
■本当に落ちてきたとき、Jアラートは役に立つのか
だが、今のままで心配なのは「本当に落ちてきたとき」である。今日のように5分前に言われても困るし、「どうせ誤報だろ」と舐めてかかったときに落ちてきても大変だ。
松野博一官房長官は記者会見で、「Jアラートの役割に鑑みれば、発出判断そのものは適切だったと考えている」と述べた。
「国民を守るために出したのであれば仕方がない」といった意見もあるようだが、度重なる誤報でJアラートに対する国民の信頼が失われているのも事実だ。政府のJアラートがオオカミ少年にならないことを願うばかりだ(もうなっているとの指摘も多数アリ)。
 

 
もはや一体政府はどこを向いているのかというぞ僕な疑問がわいてくるのだが、2週間ほど前に内田樹がこんな記事を書いていた。
 
岸田政権は何をしようとしているのか」 
 
今回の防衛費増額の背景にあるのは岸田政権の支持基盤の弱さだと思う。
 彼にとって喫緊の課題は二つだけである。一つは国内の自民党の鉄板の支持層の期待を裏切らないこと。一つは米国に徹底的に追随すること。日本の将来についての自前のビジョンは彼にはない。
 今回の防衛予算や防衛費をGDP比2%に積み上げるのも、米国が北大西洋条約機構(NATO)に求める水準に足並みをそろえるためであって、日本の発意ではない。日本が自国の安全保障戦略について熟慮して、必要経費を積算した結果、「この数字しかない」と言ってでてきた数字ではない。アメリカから言われた数字をそのまま腹話術の人形のように繰り返しているだけである。
 国民がこの大きな増額にそれほど違和感を覚えないで、ぼんやり傍観しているのは、安全保障戦略について考えるのは日本人の仕事ではないと思っているからである。
 安全保障戦略は米国が起案する。日本政府はそれを弱々しく押し戻すか、丸呑みする。戦後80年、それしかしてこなかった。その点では日本政府の態度は戦後80年一貫しており、岸田政権は別に安全保障政策の「大転換」したわけではない。政権によって米の要求に従うときの「おもねりかた」の度合いが多少違うだけであり、そこにはアナログ的な変化しかない。だから、国民は誰も驚かないのである。
 岸田首相の党内の政権基盤は決して堅牢なものではない。だから、長期政権をめざすなら、米国からの「承認」がその政治権力の生命線となる。ホワイトハウスから「米国にとってつごうのよい統治者」とみなされれば政権の安定が保証されるし、少しでも「米国に盾突く 」そぶりを示せば、たちまち「次」に取って替わられ、政権は短命に終わる。
 岸田政権にはとりわけ実現したい政策があるわけではない。最優先するのは「政権の延命」だけである。喩えて言えば、船長が目的地を知らない船のようなものである。自公連立政権という「船」を沈めないことだけが目下の急務であり、岩礁や氷山が目の前にきたら必死に舵を切って逃げる。だが、どこに向かっているのかは船長自身も知らない。
「国民の声を聴く」とか「個性と多様性を尊重する」とか「新しい資本主義」とか公約を掲げていた時は、首相になれば少しはこのシステムをいじれると思っていたのだろうが、実際に船長になってみたら「お前が動かしてよい舵輪の角度はここからここまで」と言われ、ほとんど政策選択の自由がないことを思い知らされた。
 今回の防衛予算の積み上げも、まず米国からの要求があり、それに合うように予算が組まれ、さらにその予算枠に合うように、「中国や北朝鮮の脅威」なる「現実」が想定されている。
 ふつうの国なら、まず現実認識があり、それに基づいて国防戦略が立てられ、それに基づいて必要経費が計上されるのだが、今の日本はみごとにそれが逆立しているのである。
 日本政府が購入を決めたトマホークにしても、その前に「爆買い」したF35戦闘機にしても、米国内でははっきりと「使い物にならないほど時代遅れ(レガシー・プログラム)」の兵器とされている。
 中国との競争において、米国はAI軍拡で後れを取っている。もう大型固定基地や空母や戦闘機の時代ではない。AIに優先的に予算を投じるべきなのである。しかし、米国には軍産複合体という巨大な圧力団体があって、国防戦略に強い影響を及ぼしている。兵器産業にいま大量の在庫が残されている以上、それを処理しなければならない。だから、それを日本に売りつけるのである。日本に不良在庫を売りつけ、それで浮いた金を軍のヴァージョンアップに投じる。そういう「合理的な」メカニズムである。
 不良在庫を言い値で買ってくれるのだから、米国にしてみたら日本の自公連立政権ほど「使い勝手のよい」政権はない。だから、この政権が半永久的に続いてくれることを米国が願うのは当然なのである。
 日本国民は属国身分にすっかり慣れ切っているので、自国の政権の正統性の根拠を第一に「米国から承認されていること」だと思い込んでいる。「国民のための政治を行っていること」ではないのである。
 米国に気に入られている政権であることが何よりも重要だと日本国民自身が思い込んでいる以上、日本人が岸田政権に不満を持つはずがない。
 だから、岸田政権が防衛増税を進めても、インボイス制度やマイナンバーカードなどで、国民の負担を増大させても、国民はデモもストライキもしない。それは国民自身が「政府というのは、国民の生活のために政策を実施するものではない」という倒錯に慣れ切ってしまっているからである。
「政府はアメリカと、国内の鉄板支持層の方を向いて、彼らの利益を計るために政治をしている」ということを国民は知っている。でも、「政治というのは、そういうものだ」と諦めている。そうやって政府に対する国民の期待を下げれば下げるほど、棄権率は高まり、結果的に20%の鉄板支持層を持つ自民党が選挙には勝ち続けることができる。実際に、これからも自民党は選挙に勝ち続けるだろう。コアな自民支持層があり、浮動層の半数が「自民党以外に選択肢はない」と思っている以上、政治が変わるはずがない。
 問題は「政治はこれからもまったく変わらない」という諦念が広がると、国民の中から、このシステムを主権国家としてのあるべき姿に生き返らせることよりも、この不出来なシステムをどう利用するかをまず考える人たちが出てくることである。このシステムにはさまざまな「穴」がある。それを利用すれば、公権力を私的目的に用い、公共財を私財に付け替えることで自己利益を最大化することができる。今の日本がろくでもない国であることは自分にもよくわかっている。でも、そのろくでもない国のシステムのさまざまな欠陥を利用すれば簡単に自己利益を増すことができる。それなら、システムを復元するよりも、システムの「穴」を活用する方がいい。
 彼らはシステムを「ハック(hack)」する。死にかけた獣に食らいつくハイエナのように。彼らはこの獣がまた甦って立ち上がることを全く望んでいない。できるだけ長く死にかけたままでいることが彼らの利益を最大化するからである。今の日本では、そういう人たちが政権周りに集まり、メディアで世論を導いている。
 一方にはそれとは違う考え方をする人たちもいる。このシステムの内側で生きることを止めて、「システムの外」に出ようとする人たちである。地方移住者や海外移住者はその一つの現れである。彼らもまたもうこのシステムを変えることはできないと諦めている。そしてシステムの外に「逃げ出す(run)」ことを選んだ。
 若い人はいま二者択一を迫られている。hack or run。その選択がいま日本の若者に突きつけられている。そして、ここには、「システムの内側に踏みとどまって、システムをよりよきものに補正する」という選択肢だけが欠落している。

 
いままでも多くの識者やジャーナリストたちが、岸田文雄は「政権の延命だけ」が目的だと批判していたが、かつての民主党政権の鳩山由紀夫のように、「米国に盾突く 」そぶりを示せば、たちまち「次」に取って替わられ、政権は短命に終わるという事実を自民党の歴代首相は目の当たりに見ているからなのだろう、とオジサンは思う。  
 
 
 
【付録】
 
 
   
 

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