緊急事態宣言発令後、皮肉にも東京都内の感染者数はうなぎ上りで、一番危機感を感じている小池百合子は内心では「ロックダウン」を考えていたかもしれない。
当然、都民の命を守るということは、それが自分の都知事としての地位を守ることにつながるということである。
少なくとも今回のCOVID-19感染対策が奏功すれば7月の都知事選は対抗馬なしの当選確実となる。
こんな思惑もあり、7日の安倍晋三の宣言発令前日には休業要請対象業種を独自で発表していた。
そして本来であれば都の休業要請は安倍晋三が「緊急事態宣言」を発令した7日の時点で公表されていて当然であった。
しかし、経済活動への影響や補償の問題を懸念する政府が難色を示し、さらに「2週間の先送り」を求めたためにこじれていたことは周知のとおりである。
改正新型コロナウィルス特措法では、「都道府県知事の権限が認められていた」にもかかわらず、政府が7日にこの法律の一部を改訂し休業要請について、「国と協議の上、外出自粛の効果を見極めたうえで行う」という一文を追加してしまったことから、「小池百合子vs安倍晋三」の水面下のバトルが繰り広げられ、小池百合子は安倍晋三の代貸である西村康稔新型コロナ対策担当大臣とタイマンを張ることになったわけである。
「小池都知事『社長と思ったら中間管理職だった』政府からの“天の声”に不満」
そして特定業種が休業補償から外された理由が、またもや政権と癒着している圧力団体の存在であった。
<休業要請除外は“カネと票” 自民懲りず支援業界優遇のア然> 2020/04/11 14:50 日刊ゲンダイ 10日は189人の新型コロナウイルス感染者が確認され、3日連続で最多人数を更新。感染拡大が止まらない東京都の小池知事が同日、緊急事態宣言を受けた休業要請の対象となる業種や施設を発表したが、百貨店や理髪店などは対象から外れた。 「社会生活を維持する上で必要な施設」として休業要請の対象から除外されたのは、「医療施設」「交通機関等」「食事提供施設」など8カテゴリー。「その他」に分類されたのが「メディア、葬儀場、銭湯、質屋、獣医、理美容、ランドリー、ごみ処理関係 等」だ。質屋はちょっと唐突感がある。西村コロナ担当相はおととい、「理美容、ホームセンター、質屋、ゴルフ練習場は継続できる形で小池知事と調整している」と話していたが、結局、その4業種はすべて休業要請の対象から外れることになった。 ■「お肉券」「お魚券」と構図は同じ 「営業継続を求めて、さまざまな業界が自民党の国会議員に陳情し、政府側から都に働きかけていたという話を聞きます。特定の業種に対して政治的な判断があると思われても仕方ない。小池知事は6日の段階で理髪店や百貨店など幅広い業種に休業を求めるつもりでしたが、政府は緊急事態宣言を発令した7日に『基本的対処方針』を改定し、知事による休業要請は『国に協議の上、外出の自粛等の協力の要請の効果を見極めた上で行う』という文言を追加。宣言発令後も事業継続が求められる業種として、わざわざ百貨店、ホームセンター、理美容などを書き込みました。小池知事の動きを制限する目的でしょう」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏) 新型コロナ対策で「お肉券」「お魚券」という業界への利益誘導には批判が殺到して引っ込めたが、票やカネになる業界を優遇する姿勢はちっとも変わっていない。 理容政治連盟中央会が選挙で支援するなど、理容業界と自民党の関係は近い。自民が圧勝した2013年の参院選の翌日には、安倍首相の地元・山口県の理容生活衛生同業組合理事長らが官邸を訪れ、祝意を伝えたものだ。全国2000店舗以上の質屋が加盟している全国質屋組合連合会も存在し、今年2月17日に都内のホテルで開かれた「東京質屋協同組合・東京質屋防犯協力会創立70周年記念祝賀会」では、自民の平沢勝栄衆院議員があいさつしていた。 水泳場やスポーツクラブなど「運動、遊技施設」の多くが休業要請の対象となったが、ゴルフ練習場はなぜか除外。かつて加計学園問題で“腹心の友”とゴルフや会食を繰り返していたことを批判された安倍首相は「ゴルフがダメで、テニスはいいのか、将棋はいいのか」とキレていたが、水泳場やボウリング場がダメで、なぜゴルフ練習場は営業していいのか。 「屋外施設は、密閉、密集、密接の“3密”リスクが軽減される。業種というより施設の構造が問題で、ゴルフ練習場でも屋内施設は営業を自粛していただければ……。ゴルフ場も屋外なので、休業要請からは除外しています」(東京都総務局総合防災部) まさか、ゴルフ好きのセンセイ方の要望ではないと信じたい。 |
あたかも「感染拡大防止」よりも選挙での票欲しさという党利党略むき出しの産物である。
こんなことを見せつけられれば、各国の世論調査機関が加盟する「ギャラップ・インターナショナル」が実施した調査によると、新型コロナウイルス対策について「自国政府はうまく対処していると思うか」との問いに対し、「思わない」「全く思わない」と答えた日本人は62%に上り、回答した29カ国・地域中28位のワースト2位になったのも当たり前であろう。
「ふつうであれば政府が東京都以上の政策を出すのが当たり前でしょう。それなのに安倍政権は何もせず、言うばかり。いつもの『やっているフリ』ですよ。少なくとも新型コロナに対して政府と都のどちらが真剣に取り組んでいるのか。その姿勢の違いが鮮明になったと思います」(法大名誉教授の五十嵐仁)
感染者数と死者の数では日本をはるかに上回っている米国のニューヨーク州のクオモ知事が外出禁止令を出す際に「責めるなら私を責めてくれ。他に責任のある者はいない」と発言していたが、安倍晋三は7日の会見で、イタリアの記者から対策が失敗した場合の責任を問われ、「私が責任を取ればいいというものではありません」と本気で答えていたが、要するに政治家としての覚悟も知恵もないことを国内外に知らしめてしまったわけである。
休業補償に関して、今朝の「サンデーモーニング」に久々に出演した佐高信は「安倍政権が思い切った補償ができないのは、森友問題で、安倍晋三のウソを隠すために自殺者まで出して守り続けた財務省が反対しているからだ」という主旨の発言をしていた。
つまり、なぜ他国のような強行措置が取れないのかといえば、この政権には「ウソをつかない」「欺かない」という最低限守るべき信念が欠けているからであろう。
「政府というのは、天災や疫病などの非常時に対応するために存在している。そのために政治権力を持ち、国民の生命、財産を守るのです。今の新型コロナがまさにそのケースで、他国のように補償を求める国民のためにあらゆる手段を尽くすべき。それなのに何もせず、責任は取らないと平気で言っているなんて、もはや政府とはいえません。森友問題で財務省にも尻尾を握られているのでしょうが、何もしないのであれば即刻退陣すべきですよ」
(政治評論家の森田実)
こんなネット上の声が聞こえてくる。
どうして国はかたくなに一律の休業補償を実行しないのか理解できない。世界は均衡財政を変更し、給与補償や一時金に舵を切っているのに。アベノミクスは順調で経済は回復してたと政府は言っていたのに。どうしてなんだろう。
— 鴻上尚史 (@KOKAMIShoji) April 11, 2020
非常時にひとり10万円も配れないアベノミクスってなんだったんだってツイート見かけたけど、ホントそのとおりだわ。庶民には10万円ぽっちのトリクルダウンすらしなかったという厳然たる結果。
— yudai (@upawss) April 11, 2020
安倍晋三さん、何の役にも立たない布マスクなどいらないので、それより先にあなたが7年前から何度も繰り返して来た「日本全国津々浦々にアベノミクスの暖かい風を届けます」という公約をそろそろ実現してもらえませんか?あなたが首相になってから生活が苦しくなる一方なのです。
— きっこ (@kikko_no_blog) April 10, 2020
国民に不安と怒りを与え続けている安倍晋三だが、「国民の皆様と一緒にこの国難を乗り切りましょう」と威勢の良いことを言っていたが、自民党の連中はこの「国民」には含まれず「火事場ドロボー」の道を歩んでいるようである。
「自民党、改憲論議を「強行」 緊急事態の対応巡り推進本部会合」
これに対して、日本ジャーナリスト会議はこんな声明を出していた。
そしてもう一件の「火事場ドロボー」とはこれである。
<火事場泥棒を許さない 検察人事への介入を止めよう> 2020年04月11日 東京法律事務所 弁護士の江夏大樹です。 コロナで大変な情勢の中、すごく危険な法案が来週の4月16日にも衆院で審議入りしようとしています。 まさに「火事場泥棒」です! 1 検察官人事に内閣府が介入 ついこの間、黒川検事長の定年延長が違法であると散々叩かれていましたが、これに端を発して、法案を改正して検察官人事に内閣が介入できるという法案です。 法案は①検察官の定年を63歳から65歳に段階的に引き上げ(これはOK)、②63歳の段階で役職定年制(例えば検事長や次長検事という役職は終わり)を採用し、内閣府が認めれば、63歳を超えてその役職を継続できるという制度です。小学校で例えると、校長を定年後も引き続きやりたいなら、内閣の承認が必要という仕組みです(例えられてないか…笑)。 内閣が役職人事に介入しちゃったら、検察官は腐敗政治に切り込めないですよね。 2 なぜこの法案をこのタイミングで通そうとするのか 安倍内閣は現在、自民党の河井克行前法相、河井案里参院議員に対する公職選挙法違反事件や元自民党の秋元司衆院議員に対するカジノを含む統合型リゾート(IR)事業の汚職事件が直撃している上に、自身も森友問題や桜を見る会に関連する支出を政治資金収支報告書に記載していない等の様々な疑惑が浮上しており、捜査の対象となる立場です。 内閣が検察官の人事に介入しようとする動機は十分ですね。 |
これ成立したら、与党関係者の汚職は捜査されなくなっちゃうじゃんねーーーー!
— ?? {君はアレがエロく見えるのかね?平和の証に見えないならば教養が足りんよ。本を読みなさい。 (@un_co_the2nd) April 11, 2020
火事場泥棒を許さない 検察人事への介入を止めよう : 東京法律事務所blog https://t.co/1BOUCaWkvi
改めて明らかになったのは、安倍晋三を中心に利権集団の政府・与党の連中は国民の命なんかには全く眼中になかったということであった、とオジサンは思う。
最後に、児玉龍彦先生(内科医、東大先端研がん・代謝プロジェクトリーダー)によるメディアに表れていないCOVID-19対策の実態を暴いていた動画を紹介しておく。