岸田文雄内閣になってから、あまり「文春砲」の轟を耳にしなかったのだが、久々にこんな記事があった。
「経済安保法案の責任者・藤井敏彦室長『更迭』の理由は無届け兼業と朝日記者不倫」
岸田政権の目玉政策の一つである「経済安保推進法案」。2月下旬の法案提出に向け、現在、各所との調整が行われている最中だ。それを事務方で取り仕切る責任者である経済安保法制準備室室長を務める藤井敏彦・国家安全保障局担当内閣審議官が、兼業届を出さずに私企業で働き報酬を得ていた疑いがあることや朝日新聞の記者と不倫関係にあることが、「週刊文春」の取材でわかった。「週刊文春」の取材を受けて、2月8日、国家安全保障局は「処分につながる可能性のある行為を把握した」として、藤井氏を更迭した。 藤井氏が働いていたのは、経済学者の中谷巌氏が立ち上げたビジネススクール・不識塾だ。 「不識塾では10カ月のカリキュラムで、将来、経営トップを担うと嘱望されている大手企業の執行役員、部長クラスにリベラルアーツ教育をしている。生徒は中谷氏が取締役や社外取締役を務めた企業などで、定員は30名。年間の授業料は550万円で、5月中旬から翌年2月下旬まで土曜日に定期的に講義が開かれている」(不識塾OB) 講義ではテーマごとに大学教授など“ゲスト講師"が講演するほか、進行や生徒へ指導をする“師範"がいる。藤井氏はこの師範を長年、務めているのだ。塾関係者が明かす。 「中谷氏が師範に招き、2013年からやっています。他の師範は学者や企業幹部なので、官僚の藤井氏からは、違う視点のアドバイスを受けられると生徒からの評判もいい」 だが不識塾では藤井氏が師範をしていることは、表に出さないようにしている。 ■内部資料でも藤井氏の名前を伏せたのはなぜ? 「生徒にも藤井氏の名前を出さないように伝えるほか、内部資料でも藤井氏のことを『F』と記している」(同前) 一体なぜか。それは報酬が発生するからだ。 「師範のギャラは1回あたり5万円、ゲスト講師は1回あたり25万円ほど」(同前) 師範として全部出席し、1回5万円の報酬を得ていた場合は年間約130万円、13年からの9年間で1170万円になる。公務員倫理規程に詳しい国際基督教大学の西尾隆特任教授が語る。 「国家公務員の兼業については国家公務員法で制限されている。報酬を得て、継続的または定期的に従事をする場合は、兼業届を提出し、事前に承認を得なければなりません。また兼業が認められるのは原則、大学など教育機関や非営利団体。営利企業は稀です。違反をした場合は、懲戒処分の対象となり得ます」 不識塾は生徒から年間に数百万円の授業料を取る営利企業である。届け出をせずに報酬を得ていた場合は、立派な“闇営業"だ。 2月5日、不識塾の後に、当の藤井氏を直撃した。 ――不識塾で師範として5万円のギャラを貰っていると聞いている。 「違いますね」 ――師範を今日もしていましたよね。 「まぁ、参加……。参考に見てただけですけど」 ――兼業届は? ■講義前夜、朝日新聞の女性記者のマンションに一泊 「ボランティアなので出していません。講師としてじゃないです。勉強になるんで、行ってるだけです」 当初はボランティアなので兼業届は必要なく、さらに師範をしていることさえ否定したが、次第に回答は二転三転。 ――2013年から一度も報酬は貰っていないのか。 「自分が(ゲスト)講師として行った時には講師代を貰います。講師として年に1回講義はしています」 ――無給ではなく? 「1回30万……いや20万、30万か。講演に兼業届はいりません」 と、講演で高額の報酬を貰ったことは認めた。 講演で5000円以上の報酬を得た際には「贈与等報告書」を提出することが国家公務員倫理法で規定されている。だがこの9年間、藤井氏が所属していた内閣官房、経産省、防衛省で、藤井氏は不識塾の報酬についての贈与等報告書を提出していなかった。 そして2月8日付けで藤井氏は更迭、経済産業省に出向する辞令が出された。 だが問題はそれだけではなかった。妻を持つ藤井氏が不識塾の講義前夜、一泊したのは、朝日新聞の敏腕女性記者の自宅マンションだった――。 |
文春の抜け目のないところは、Web版ですべてを発表しないで本来の「紙媒体」の購入へと誘っているところである。
たとえば、こんな件で終わっている、
「このほか、藤井氏の人物像、藤井氏を引き上げた大物官僚、不識塾のゼミに藤井氏の所属省庁の利害関係者がいたこと、藤井氏が不倫デートを楽しんだ敏腕女性記者の素顔、藤井氏の問題についての経済安保室と朝日新聞の回答など、詳しくは2月9日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」及び2月10日(木)発売の「週刊文春」が報じている」
本気で知りたいのなら、コンビニなどで立ち読みすればいいのだが、それほどの内容でなければ購買意欲はわかない。
その後写真週刊誌がセンセーショナルなタイトルの後追い記事を出していた。
「キーマンの室長更迭で岸田政権が直面する『断崖絶壁』」
「不適切な関係」&「闇営業」の発覚で、藤井敏彦・国家安全保障局担当内閣審議官がまさかの更迭――!「ふだん淡々としている岸田首相が、執務机を拳で叩いて怒っていました」
— FRIDAY (@FRIDAY_twit) February 10, 2022
キーマンの室長更迭で岸田政権が直面する「断崖絶壁」https://t.co/ahRiDqw9vg
藤井敏彦・国家安全保障局担当内閣審議官が更迭された。 経済安全保障法制準備室長として、岸田文雄首相肝いりの「新しい資本主義」に関する法整備を進めていた経済政策のキーパーソンだった。 今日発売の「週刊文春」が、藤井室長と朝日新聞女性記者との「不適切な関係」の疑いと、民間「塾」での講演「闇営業」を報じている。 同誌発売前の6日、日曜日に松野官房長官に報告があり、岸田首相と協議のうえ、即刻、藤井室長の経産省官房付への異動を決めた。 「岸田首相にはプランがあったんです。新しい資本主義の骨格を閣議決定し、3月に会見する予定だったものを2月に前倒しして、経済政策を加速させる狙いでした。それが、まさかのスキャンダルで司令塔の藤井室長を欠くことになりました。大衝撃です」(内閣府キャリア) この醜聞に慌てた松野官房長官は、政権へのダメージを避けるため「電光石火の人事」に踏み切った。 焦る岸田に追い討ちをかけた オミクロン株の爆発的感染拡大に対応がもたつき、内閣支持率は一気に10ポイント近く下落している。岸田首相の焦りは尋常ではなかった。 まずは、関係閣僚10人を国会内に緊急召集して「ワクチン1日100万回」を厳命。堀内詔子ワクチン担当大臣へのテコ入れとして、菅義偉政権下でワクチンを担当していた官僚十数名を張り付かせたばかりだった。岸田の政権運営は手堅さが身上なのだ。 「サッカーでいえば、危ないボールは大きくクリアーし、ディフェンス補強に3バックから4バック、5バックにだってするのが岸田首相です」(厚労省キャリア) 現場の官僚は、岸田首相の当初方針の軌道修正に合わせ、てんてこ舞いだ。ほころびは直ちに修正し、批判には迎合を繰り返して、その場をしのいできた。 首相は、机を叩いて怒った そんななか、岸田政権の目玉政策の「最高責任者」藤井室長のドロップアウトはあまりに痛い。 1971年、沖縄返還協定をめぐり大手新聞社の記者が情報目当てに「不適切な関係」を利用した「西山事件」を想起させる今回のスキャンダル。この「令和の西山事件」に、自民党重鎮は「老婆心ながら」と前置きしてこう言った。 「今進めている経済安保推進法案は、多数の大企業が絡む大規模な成長戦略だ。その中枢で、松野官房長官が調査している『不適切な関係』の問題が起きた。会合を伴うなんらかの交際があったのかもしれない。法案が事前に漏洩していないかなどが気にかかる」 経済安保法案は、すでに110にのぼる条文作りを終えている。が、完全に出鼻をくじかれた感は否めない。 「この法案、公明党は罰則規定が重すぎると注文をつけたものの、おおむね同意している。国民、維新も反対はしない。財政出動派の安倍晋三元首相にとっても異を唱える話ではない。あとは立憲の態度が不明なだけでした。 経済安保の成長戦略4000億円の法案はすんなり承認され、思惑通り、通常国会を延長せずに参院選挙に突入する目論見だったんです。 その計画をぶち壊す醜聞に、ふだん淡々としている岸田首相が、執務机を拳で叩いて怒っていました」(官邸スタッフ) 法案提出の予定日、2月25日を目前に、後任は財務省出身の泉恒有内閣審議官が即日着任した。この人事にも、岸田首相の慌てぶりがうかがえる。 岸田首相の「新しい資本主義」が、利益供与をした一部大企業の思惑に左右されることがあってはならない。目を引くのはスキャンダルだが、ことの本質は企業との関係と、そこから繋がる「情報提供」や「利益供与」。それがたとえ数万円であっても、なのだ。企業との「不適切な関係」は、藤井以外にも、あるいは政権中枢に波及する可能性さえある。岸田政権は今、断崖絶壁に立たされている。 |
毎回必ず出てくる「日本の反日工作機関 朝日新聞」という陰謀論。
これ、かなり大きな事件ですね。https://t.co/9wkzIQF6XG 裏で動いたのは安倍晋三かな。それともCIAか。噂される朝日記者が月刊誌に投稿している記事が意味深だ。安倍晋三による岸田文雄追い落とし?
— 世に倦む日日 (@yoniumuhibi) February 9, 2022
朝日の方から漏れたんじゃないかな。朝日の中にはCIAのスパイがいるし、安倍晋三の諜報網もある。朝日の政治部、今ごろ動転しているだろう。今後の展開が気になる。噂の記者がどういう出方をするか。いずれにせよ、副業とか不倫とかは更迭の表向きの理由で、本当の理由はもっと深いところにある。
— 世に倦む日日 (@yoniumuhibi) February 9, 2022
新安保法の責任者が突然更迭されたのは、朝日新聞の女性記者の自宅に泊まるなど懇ろになり過ぎたからようです。文春が報じました。
— くつざわ亮治 日本改革党 豊島区議 (@mk00350) February 10, 2022
「記者が工作してんじゃなくて工作員が記事を書いてる」と言われる朝日新聞を甘く見たようで
この女性記者の本名と国籍が知りたいところhttps://t.co/Nwhi2Us74s https://t.co/G3ITzY9JIB
もっとも、こんな冷め切ったコメントもあった。
「たかが不倫くらい誰でも、とは言わないが珍しくもない。『事前届け出怠る』など造作もないもみ消しで解決できたはず。
なんかあやしい匂いがプンプンする。表に出せない理由があるだろう。訳がわからん。」
ところで、民主党政権の最後の首相だった野田佳彦は財務省の影響を強く受けていたが、自民党が政権を取り戻して第2次安倍晋三政権になったころから、今度は経産省が官邸にすり寄ってきたという歴史がある。
こんな霞が関官僚と政権の癒着ぶりをつぶさに見てきたようなコメントを見つけた。
内閣府が経産省の砦になっている感がある。そもそも安倍時代にぶら下がり記者会見の際に背後でしきりに頷いていた世耕官僚が自民党議員として政界進出し大臣まで務め、その後を継いだ頷き役西村官僚も大臣級となった。 省庁は歴代再就職先ポストの引き継ぎを省益の一環としているが、経済産業省も当時の安倍首相にドリルを持たせ霞が関岩盤規制の打破を宣言、内閣府ワーキンググループとして官邸内で特区構想を練り上げる先鞭となり、森友や加計事案に官邸官僚集団で果敢に挑んだが、汚職容疑が発生したため籠池夫妻を梯子から落として尻尾切りをした経緯がある。 その後公文書改竄などの汚点が明るみに出るも岸田新政権の元で新規巻き直しを図っており、首相を大統領のように担ぎ上げ、新しい資本主義など電通のコマーシャルの如く訳の分からない宣言をさせつつ、大統領官邸の如く内閣府補佐官として側近ポスト引き継いでいる。 本来は就任前に、権限ある地位に就く幹部級公務員は議会でその適格性を聴聞され承認を受けることで国権の最高機関が国会であると認識するが、日本はそうした国会関門が一切無く逆に内閣府内で自在に人事を采配している。 ゆえに最高法規の理念も無視した汚職も放任可能だ。彼らは首相を大統領気分にさせながら着々と政策を起案、党議拘束を掛けた与党の強行可決や通達の乱発かつ自治体に対しては沖縄県への対応に代表されるように、助成金を飴と鞭として使い分けるなどの恣意的な公金采配に成功している。 今回岸田側近が不祥事により古巣の経産省に戻るらしいが、内閣府の役職に就任した段階で省を退職、側近就任は再就職と認識すべきだ。にも拘わらず国民議会の承認も無く独断で不祥事を犯した者が元の省庁に戻れるシステムが、官邸官僚と霞が関官僚との談合の可能性を示している。 これでは国会で追及されるなど都合の悪いケースで官邸官僚が霞が関から現役官僚を呼びつけ、公文書改竄や破棄を指示命令する関係性が維持されるのも当然だ。 定年近くまで長きに亘り、官邸と霞が関を往来することが出来る官僚機構は、政権が変わり誰が内閣に就任しようとも、新たな出発どころか永年の垢を背負い規制秩序の維持たる省益の引継ぎが可能だ。結局は国権の最高機関たる国会も当然ながら内閣も、連綿と引き継がれる霞が関のシステム慣行から決別不能である。 首相は不祥事を起こした者を擁護しないならば国会に諮り国会の決定を以て辞令を出し解雇すべきで、霞が関に戻すようなシステムを容認すべきではないが、与党自民党は最高法規である憲法遵守精神を唾棄、国権の最高機関を国会とし国民を主権者とする法理念を無視しているゆえに、内閣が官僚機構とひたすら伴走、最高額の政党助成金という飴で、行政実務に関する議員の追及を交わす鉄壁役を担ってしまっているのである。 |
かつては「世界一の官僚」などと言われた時代もあった霞が関官僚群。
それが安倍晋三政権の2014年5月30日に内閣人事局が発足し、国家公務員の幹部人事を、官邸の下、内閣人事局に一元化したことで、人事への官邸の影響力が強くなり、官邸の意向を踏まえなければ出世できない、官邸の意向に反することをしようとすれば左遷される、そうしたことを懸念して国家公務員が官邸の意向に従順に従うに止まらず、それを先回りして過剰に「忖度」するようになった経緯がある。
一見強硬な「政治主導」だったのだが、「面従腹背」という処世術を身に着けている賢い霞が関官僚はその後、首相側近として官邸に入り込み、巧みに政権を操ってきたという経緯を振り返れば、岸田文雄も所詮は「手のひらで踊らされる孫悟空」なのかもしれない、とオジサンは思う。