赤道付近の海水温度の上昇により例年より早く台風2号が日本列島を襲い、線状降水帯の発生により各地に大雨を降らせたが、すでに台風3号も発生し、関東甲信越は梅雨に入っている。
それに伴い高湿度となり、花粉の飛来もなく、コロナ感染者数も「激減」したにもかかわらず、今度は「5類」のインフルエンザが流行ってきているという。
「『インフルエンザ』季節外れの流行10年ぶり コロナ禍での免疫力低下が原因か」
さまざまな原因があり、容易に免疫力が低下したとも言えないのだが、今までにも重篤になり多くの死者を出してきたことは確かである。
COVID-19に比べれば「単なる風邪」なのだが、「風邪は万病の元」とも昔から言われている。
永田町界隈では中高年の大人が「解散風」によりバタつき始めているらしい。
もっとも、この「解散風」の発生元は、言わずもがなの「解散権」を握っている岸田文雄なのだが、コヤツの腰が定まらないらしい。
「解散風すら岸田政権では朝令暮改 吹いてやんで、また吹き始めた…会期末?秋?首相の判断は」
「岸田さんには、リアルな情報が入っていないのではないか。裸の王様のようだ」。こんな声が野党幹部から聞こえてきたのは、6月9日に衆議院内閣委員会で可決された、LGBTなど性的少数者への理解増進法案の修正をめぐる自民党内のドタバタ劇。2年前に超党派で合意した法案内容を、党内の保守派に配慮して文言を一部変更し、当初は「一言一句、替えることはできない」とかたくなだった自民党が、あっさり与党案の修正に踏み切った。 背景には、首相からの指示があったといわれている。法案成立への危機感がその理由だったとも伝えられている。 先月18日に与党案が国会に出された後、立憲民主と共産両党が、超党派の合意案を対案として国会に提出。5月末には、日本維新の会と国民民主両党が「第三の案」を提出した。政権と是々非々の立ち位置でもある維新と国民が対案を出したことで、全会一致が原則の議員立法なのに3案が並び立ち、「対立法案」のような形になった。日程的にもどこまで審議が進むか、法案成立への道筋も不透明な状況になっていた。 関係者を取材すると、維新と国民の案にある「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意する」の言葉に、自民党内には評価の声があったという。一方で、9日の与党修正案可決後に記者会見した当事者の支援団体からは「結局、マジョリティーへの配慮しか気にしていない。マイノリティーを押さえつける意味合いを持ち、大変危険が大きな文言だ」と激しい反発が出た。 一連の流れから、法案の中身を吟味するというより、成立ありきで、体裁が整えられたという印象を受けた。それを指示したのが首相なのであれば、法案に対する思い入れの度合いも、おのずとにじんでくる。 1度方針を出しても、間違ったり適切ではないと判断すれば、後の変更も気にしない「朝令暮改」ぶりは、これまでいわれてきた首相の政治スタイル。最初は「聞く力」のたまものといわれていたが、そういうパターンが増えてきたことで、だんだん「行き当たりばったり」とやゆされる一因にもなっている。今回の法案修正は、まさにその真骨頂だったように感じた。 野党案を丸のみしてまで同法案成立を急ぐのは、首相の衆院解散・総選挙に向けた戦略と直結している。解散権は首相にあるのだし、いつ踏み切るのかは、首相の選球眼、センスが問われる問題だ。今、永田町では「6月21日の会期末前後に解散はある」「会期末解散はない。夏に党役員人事と内閣改造をやって秋だろう」と、2つの見方がある。岸田首相は解散の可能性に関して「今は考えていない」と繰り返す。「今ではなければ考えるのか」とも読み解けるが、首相はそれ以上、踏み込まない。 かつて、解散に関して「頭の片隅にも真ん中にもない」と言った安倍晋三氏は「風は気まぐれ。誰かがコントロールできるようなものではない」と口にした。確かに解散風は永田町でどこからともなく吹いてくるものだが、強まることもあれば弱まることもある。G7広島サミット前後の支持率上昇や昨年末の首相公邸忘年会騒動による長男の秘書官更迭など、短期間のうちに岸田首相にとっていいことも悪いことも起き、そのたびに風は吹いたりやんだりしている。国会の会期末まで10日あまりとなり、立憲民主党が会期末の「恒例行事」ともいわれる内閣不信任決議案を提出した場合、首相がこれに対抗して衆院を解散するのではないかという疑心暗鬼から、また解散風は強くなっているように感じる。 これほど短期間のうちに解散風が吹いたりやんだり、また強まったり。なかなかないことだと感じる。ただ不思議なのは「なぜ解散するのか」という理由が、今の段階ではほとんど見当たらないことだ。そんな中、与党も野党もメディアも「解散風」という、見えない風に振り回されてしまっているのが現状だ。 岸田政権では、解散風でさえ「朝令暮改」なのかもしれない。12日から始まる最終盤の国会審議の中で、風の答えは示されることになる。 |
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— 鮫島浩✒️ジャーナリスト『朝日新聞政治部』『政治はケンカだ!』『SAMEJIMA TIME』 (@SamejimaH) June 11, 2023
岸田首相「解散風」煽って息子隠し!
マスコミは岸田一族の大忘年会を忘れたのか?
麻生も茂木も公明も立憲も右往左往
岸田がひとり楽しむ権力ゲーム!
急変する永田町の一週間を『ダメダメTOP10』で解説
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「解散風」で右往左往している日本はまだ平和であるが、突然ダムが決壊し大量の水に襲われた国もあった。
6月6日に決壊した、ウクライナ南部ヘルソン州の巨大ダムにより多くの市民が避難を余儀なくされるなど、その被害は甚大なものとなっているのだが、日本のメディアの報道は「決壊させたのはロシアかウクライナか?」というまさに高みの見物的な内容であった。
元国連紛争調停官の島田久仁彦は、このダム決壊を巡るウクライナ・ロシア両国の姿勢を批判しながらも、ダム決壊の原因究明のための調査委員会設置の動きの輪に加わることがないであろう日本政府に対して失望感を露わにしていた。
「『問題は「プーチンが犯人か否か』じゃない。ダム決壊を政治利用する“バカども"に覚える吐き気を催すほどの怒り」
■ダム決壊を政治利用か。激化するウクライナ戦争で見捨てられる市民 「果たして戦争に勝者はいるだろうか?」 今週、調停グループの会合を行っている際、何度も尋ねられた質問です。 「核戦争には決して勝者はおらず、存在するのは敗者のみ」という表現がリーダーの間で流行っていますが、それは通常兵器を用いた戦争でも同じことが言えると思います。 そして戦争がプロの戦闘員、つまり軍隊の間でのみ戦われている場合は、まだ被害やコストはある程度の枠内でコントロール可能だそうですが、実際の戦争は、2023年も半ばに差し掛かった現在でも、多くの一般市民を巻き込み、多くの無抵抗の人たちの生命と生活を奪い、地球環境にも、築き上げてきた文化や文明も、生きるための作物もすべて奪い去っています。 とても精巧な誘導ミサイルや兵器でターゲットを確実に破壊できる技術も能力も備わっている最新鋭の軍をもってしても、この現実からは逃れられません。 もちろん、対人地雷や大量破壊兵器、Dirty Bombsのように意図的に人命を奪い、無差別に被害を与えることを目的とする輩も多数存在し、人々に恐怖心を植え付けて適切な思考能力を奪っていくという戦い方を行う集団もいます。 今週6月6日に発覚したウクライナ南部へルソン州にあるカホウカ(カホフカ)水力発電所の巨大ダムの決壊もその例外ではありません。 今、世間は「Who did this?(誰がやったか?)」の追求で応酬していますが、個人的には、その答えは対して大事だとは考えません。 ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアによるテロ行為であり、戦争犯罪だ」と糾弾していますが、それに呼応してくれるNATOの“仲間たち"はあまり存在していません。 起こったことに対する懸念の表明は、遅ればせながら到着し、6月8日にはブリュッセルで緊急支援国会合をNATOが開催するそうですが、その内容が本当に“緊急支援"にフォーカスしたものなのか、それともすでに始まっている“ポスト・ウクライナ戦争"の復興における主導権争いの一環として扱われるのかは、わかりません。 ロシアについては、直接的にプーチン大統領の発言は聞いていませんが、ぺスコフ報道官が「ウクライナの反転攻勢がうまく行っておらず、その結果、ロシアが編入した地を水浸しにして、一般人を巻き込むことにした非常に卑劣な行為」とウクライナによるテロ行為であることを示唆しています。 この“ウクライナによる仕業"という説については、否定はしませんが、恐らくウクライナに与していると言われている反プーチンの武装勢力による何らかの関与はあるのかもしれません。 ぺスコフ氏が“ウクライナの勢力"と呼ぶ際は、この反プーチンのロシア人武装勢力をも含めた呼称であることに注意しなくてはならないでしょう。 ■ウクライナ・ロシア両国に見られるダム決壊を利用する動き そしてアメリカとイギリスがほぼ同時に発表した衛星写真をもとにした分析では、当該ダムの一部が6月2日の段階ですでに破壊されており、決壊の予兆が鮮明に見えていたにも関わらず、その時点では何の対策も講じられなかったという状況が伝えられています。 ダム決壊時に“爆発音"を聞いたという住民が多いため、「誰かが爆破した」という見解が、戦時中ということもあり、広まっていますが、もしかしたら、6月2日の破壊・破損の理由が何であったにせよ、6日の日に水圧に耐えられなくなって決壊し、その際の破壊が爆発音に類似していたのではないかという指摘も多く聞かれます。 ただ、ロシアによる仕業なのか、ウクライナによる仕業なのかは関係なく、ロシアによる占領地も、ウクライナ支配地域も、例外なく甚大な被害に直面し、市民生活を完全に破壊し尽くしています。 UN-OCHAやUNHCRからの情報では「被災地に居住する数十万人が飲料水を与えられないまま放置されている」という悲惨な状況が明らかになってきていますし、人々が絶望の淵に追いやられている様子も伝わってきています。 6月8日時点での国連系の専門機関の見立てでは、世界の穀倉地帯としての当該地域の復興については、今後十数年は期待できず、約1年半戦争状態にあるという理由に加え、今回のダムの決壊と一帯の水没によって、農産物の生産能力を期待することはできないだろうとのことで、これは確実に世界経済に対するショック、そして穀物のサプライチェーンへの打撃と、食糧安全保障に対する危機を引き起こすことに繋がるとされています。 このような悲劇的な状況に際し、私自身が吐き気を催すほど怒り心頭なのが、どうもウクライナ・ロシア双方とも、今回のダムの決壊と人道的な悲劇を利用しようとしているように見えることです。 その目的は一体何なのでしょうか? 「一般国民に戦意を喪失させるためのトドメ」 「ヘルソン州を諦めよ、というメッセージ」(これはロシア・ウクライナ双方) 「ここ(ヘルソン州の悲劇)に“敵"(NATOを含む)の注意を引き付けておき、その間に他のターゲットへの攻撃を激化させる」 「支援という名目で、外国からの支援をスピードアップさせ、規模も大幅に増加させる」 いろいろな見解が出てきますが、個人的にはそのどれも当たりであってほしくはありません。 そんな中、災害と一般市民の悲劇に追い打ちをかけるように、ウクライナによる対ロ反転攻勢は本格化し、それに呼応するかのようにロシア側の攻撃もレベルアップして、戦争の激化が進んでいます。 ここ16か月ほどの間、晒されてきた「どちらが優勢か・劣勢か」という情報も、「どちらが相手の何かを破壊した」という情報も、正直どうでもいいと感じています。 皆さんもお感じの通り、戦時に流される情報、特に戦果については必ず内容は誇張されており、自陣に対しては戦意を奮い立たせ、相手陣に対しては戦意の喪失を狙ったものです。 しかし、この情報が溢れ、即座に現場からの情報が映像のかたちで配信される現在においては、その誇張された内容の真偽と誇張度合いはすぐにバレるはずですが、私たちの“こうに違いない"という一種の思い込みを強める確証バイアスに阻まれ、操作されがちになってしまいます。 その結果、今回の戦争の長期化がほぼ確実になり、それはさらなる苦難と悲劇を一般市民に強いることに繋がってしまいます。 ■ロシアが最前線で行ってきた「在庫一掃セール」 NATO側・ロシア中国側に関係なく言われているのは「消耗戦に持ち込まれた場合、状況はロシアに有利になる可能性が高い」という分析です。 質ではNATOに支えられるウクライナ軍に軍配が上がるとされ、NATOの兵器に習熟しているという前提であれば、短期決戦に賭ければウクライナ有利になると予想されますが、実際には、ドイツのNATO軍基地での訓練を受けたとはいえ、内容はつけ刃程度のものと言われ、習熟しているというレベルにまでは達していないようです。 つまり、NATO各国から供与されている武器の性能をまだ十分に引き出せないという現実が、ウクライナ側にあります。 ただし、2014年以降、ロシアが予想していた以上に米英の軍事支援がウクライナに入っており、全体的な能力としては、ロシアに次ぐユーラシア大陸第2位の軍事力を誇るレベルに達しているとされていますが、先のバフムトの攻防を含め、各地での戦闘で熟練度の高い戦闘員の多数が死亡していると言われており、現在の実力はわかりません。 それに対してロシアは、想定をはるかに超える数の死傷者が出ていますが、質よりも量で対応するという人海戦術を取っていることに加え、これまでに破壊されたり、遺棄されたりした装備の多くは、耐用年数を超え、保管とメンテナンスにコストがかかってきたものであるという情報もあり、一種の“在庫一掃セール"をロシアがこれまで行ってきた可能性があるとのことです。 言い換えると破棄するにも保管するにもコストがかかる古い兵器を実戦で使用することでコストを削減し、ロシア不利というイメージを創り出しつつ、虎の子の最新鋭の兵器は可能な限り温存するという戦略ではないかと思われます。 ただその最新鋭の兵器の実力は、これもまた未知数ですが。 ここで勝敗を分ける要素があるとしたら、「NATOからのウクライナへの支援が高いレベルで継続され、遅延なく迅速に供給し続けられること」だと考えますが、最近になって、この継続にも暗雲が漂い始めています。 その元凶は、NATOが“表向き"は禁止してきた越境攻撃がウクライナとその支持者によって実行されるケースが増加し、その越境攻撃にNATOから供与された装備・兵器が使用されているとのリークです。 特に多くの兵器・弾薬を供給しているアメリカと、戦況を一転させることが出来るかもしれないレオパルト2戦車を供給しているドイツにとっては、供与の条件があくまでも“ウクライナ本土の防衛と、ロシアによる侵略への反攻に限る"という内容で、国内を説得してきた経緯から、いかなる形での越境攻撃もレッドラインになってしまう可能性が出てきます。 特にドイツのショルツ首相は、これまでドイツが非常に慎重な姿勢をきた他国への武器供与・軍事支援を行うという的判断に踏み切った手前、自国の武器がロシア領の攻撃に使われることが明るみに出ると、80年弱かけて克服してきた“侵略者"としてのレッテル・イメージを彷彿させることに繋がりかねないとの懸念が出てきています。 ウクライナのゼレンスキー大統領が熱望し、G7広島サミットの場でバイデン米大統領のOKを取り付けたF16の供与が、英国などがオファーするパイロットの訓練と共に、早期に実現すれば、戦況を有利に変え得るゲームチェンジャーになると期待されますが、それがなかなか進まないのも、アメリカとNATO各国にある国内事情とともに、常に付きまとう「武器の転売への懸念と武器管理の不徹底に対する批判」、そして時折行われるウクライナの越境攻撃にF16が使われた日には、ロシアのプーチン大統領とロシア政府内の強硬派のレッドラインを超えさせ、アメリカとNATO各国を直接的な対ロ戦争に引きずり込むことにつながるとの懸念ゆえです。 その結果、ウクライナも十分な戦力を確保できないまま、ロシアとの攻防戦を繰り広げざるを得ず、NATO各国のウクライナ離れがいつ起きるか戦々恐々としながら、戦争を継続するというとんでもない状況に陥ることになります。そして戦争は不可避的に長期化していくこととなるでしょう。 ■しっかりと押さえておくべき「ブカレスト9」の動向 そんな中、当事者ではないものの、がっちりとロシア・ウクライナ戦争にコミットしてしまった各国はさまざまな手を打とうとしているようです。 まずはNATOですが、8日のダム決壊に対する緊急支援会合のみならず、戦争の長期化と、戦火の周辺国への波及に備えて、ロシアの周辺国に位置するNATO加盟国の防衛を優先する“前方防衛"戦略を取ろうとしているようです。 対象国は通称「ブカレスト9」と言われるバルト三国、ポーランド、チェコ共和国、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、そしてスロバキアの9か国で、ロシアによる戦線拡大という非常事態時に即応できるようにNATO部隊と軍備を配置する計画を明らかにしています。 大きな目的は「NATO製の兵器をこれらの国々が即座に使いこなせるように、今のうちに訓練を施すこと」と言われています。 ただ、ここでも武器の拡散とコントロールの不徹底という懸念がさらに広がる懸念がありますし、武器産業のさらなる収入源をつくるだけではないかとの別の見方もできてしまいます。考えすぎでしょうか? 実際に親プーチンの姿勢を取るオルバン首相率いるハンガリーは、NATO加盟国であり、このブカレスト9の一角を占める国ですが、「NATO軍の国内での常駐状況を認めることは、ロシアを過度に刺激することになり、地域の安全保障を逆に脅かすことに繋がる」と不快感を示しているようです。 そしてこのハンガリーですが、トルコと共に、スウェーデンのNATOへの新規加盟をブロックしている国でもあり、対NATO加盟国・対EUに対しての交渉カードとして用いて、ハンガリーに有利な状況を引き出す材料にしようとしているとも理解できます。 その予兆が、ブカレスト9へのNATOのコミットメントの2つ目の理由と表裏一体になっている懸念に現れています。 それはNATO内で根強く残る対ロ温度差への対応です。 アメリカと英国、そしてポーランドとバルト三国は反ロシアの急先鋒で、その分、ウクライナ支援に前のめりになっています。 しかし、NATO中軸であり、かつEUの中軸でもあるフランス、ドイツ、イタリアは、基本的には対ロ包囲網の一部を構成していますが、「プーチン大統領とロシアを過度に刺激し、恥をかかせてはならない」という姿勢を取っており、現時点でロシアに対するいかなる攻撃にも加わらないという意図を持っているようです。 言い換えると、ウクライナによる反転攻勢には加勢するが、これ以上、ロシアを現時点で過度に刺激することには同意しかねるという姿勢ですが、今後の対ロ戦略を、即時対応から中長期的な同盟国に対する予防的な展開という形で描くことで、NATO内にある溝を克服し、一枚岩の体制と意志をもってロシアとの対峙に臨むという狙いです。 すでにフランスのマクロン大統領も「中東欧諸国にロシアの魔の手が伸び、それを私たちが看過することがあってはいけない」と支援を約束していることもあり、ストルテンベルグ事務総長としては、そこに対ロ姿勢の心理的・政治的な溝を埋めるきっかけを見出したのかもしれません。 ブカレスト9の会合は近々、スロバキアで開催されるとの情報がありますが、今後、NATOがどう動くのかを予測するにあたり、その動向をしっかりと見ておく必要があるカと考えます。 ■国際調査委員会の設置を提案したエルドアンの狙い 欧州各国やNATOが動き出すのと並行して、再度、ロシアとウクライナの間の停戦仲介に登板しようとしているのが、最近、再選されたトルコのエルドアン大統領です。 NATOの加盟国でありながら、ロシア製のS400ミサイルを配備し、かつロシアとウクライナ双方とのパイプを持つという独特の立ち位置を持つのがトルコのエルドアン大統領ですが、ダムの決壊の次の日、6月7日にはプーチン大統領・ゼレンスキー大統領それぞれと電話会談を行っています。 そこで【ロシア、ウクライナ、トルコ、そして国連などの専門家によるダムの決壊に対する国際調査委員会の設置】を提案し、両国の支持と同意を取り付けようとしています。 ロシア側の返答は知りませんが、様々な情報ソースから聞いたところでは、エルドアン大統領はプーチン大統領に対して「今回の事案では、疑いの余地がない形で包括的な調査を行うことがとても重要である」と迫り、調査委員会の設置に賛成させたようです。 ウクライナのゼレンスキー大統領については、ダム決壊による被害が拡大する中、NATOや欧米諸国、その仲間たちからの支援が一向に届かないことに苛立ちと戸惑いを感じているところに、まさに渡りに船のようにエルドアン大統領からの電話と提案があったことを喜んでおり、「ロシアの仕業であり断じて許せない」という姿勢は崩せないものの、国際調査委員会への参加については、close to yesだったそうです。 エルドアン大統領にとっては、自らの存在感を再度、国内外にアピールできたかと思いますが、そこには多重の狙いが透けて見えます。 1つは、決選投票にまでもつれ込むこととなった国内での支持率の低下に対応するために、見えやすい、でもトルコを戦争に巻き込まない解決策を提示し、国際社会のフロントラインに立っていることをアピールすることで、トルコ国内での支持率改善を狙うという内容です。 2つめは、シリアとの国境地帯で起きた大地震と自らの大統領選への対応に追われている間に、中国・習近平国家主席に主役の座を奪われた“戦争の調停および仲介者"という立ち位置への復帰という狙いです。 ここではエルドアン大統領流の外交戦術が活きてきます。 トルコと中国は決して対立する陣営ではなく、中央アジアでの権益争いでは多少の利害の衝突は見られるようになってきているものの、中国の中東諸国とアフリカにあるトルコ人コミュニティへのアクセスを後押しするwin-winの関係も保っています。 ゆえにロシアとウクライナの仲介という意味では“競合関係"になりそうに思われますが、実際にはcoordinated actions(協調行動)をアレンジしているとのことで、協力して仲介者の役割を演じることにしているようです。 ただ今回のダム決壊に起因する戦争の激化とレベルアップの兆候は、中国とトルコの仲介努力に水を差す行為になりかねないため、トルコのエルドアン大統領がいち早く国際調査委員会の設置という形で行動を取り、直接的な停戦協議の場とはならないにしても、ロシアとウクライナの当事者が何らかの形で直接に対話する場を設けようとしていることが見えてくるかと思います。 参加する“専門家"は各国が自ら選択するという形式ですから、もしかしたら国際調査委員会という場を調停の場としても使えるようにアレンジするかもしれません。 ■「残念な対応」に終始する予感のG7議長国ニッポン いろいろな企みと計画が各国間で行われようとしていますが、この輪の中にG7議長国である日本は入っているでしょうか? ダムの専門家も多いでしょうし、災害時の復興のノウハウも技術も有する国ですので、ぜひ国際調査委員会にも参加してもらいたいなと個人的に望みますが、昨今の国会でのやり取りを見る限りでは、そのような方向に目が向いていないように思われ、残念です。 ダム決壊によって一般市民の日常がさらに厳しさを増し、物理的な破壊のみならず、長年にわたって傷跡を残す多重的な安全保障への懸念(食糧、エネルギー、水、公衆衛生…)、そして予告されていた“反転攻勢の本格化"と“ロシアによる攻撃のレベルアップ"が同時進行的に進む中、国際社会は何を見、どこに進もうとしているのでしょうか? 状況はまた混沌としてきたように思われますし、すでに私たちの理解の及ばないところに向かっているようにも感じています。 皆さんはどうお感じになるでしょうか? 以上、国際情勢の裏側でした。 |
「アメリカと英国、そしてポーランドとバルト三国は反ロシアの急先鋒」であり、「ウクライナ支援に前のめり」なのだが、一方、「NATO中軸であり、かつEUの中軸でもあるフランス、ドイツ、イタリアは、「現時点でロシアに対するいかなる攻撃にも加わらないという意図を持っている」ということは、NATOは決して「一枚岩」ではないことでありは国際情勢の専門家ならばわかりきったことなのだろう。
残念ながら日本の岸田文雄はG7広島サミットで議長国として「NATO主要国をまとめウクライナ支援を取り付けた」と心酔していたが、
サミット効果も自分の「バカ息子」により半減してしまい、もはや「解散風」を持て弄ぶこともできなくなったのではないだろうか、とオジサンは思う。