新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

高齢者排除を唱えている輩もいつかは自分も高齢者になるという想像力が欠如している

2023年02月15日 11時52分30秒 | マスメディア

 1年前にこんな動画が発信されていた。
  
 
 
寡聞にも知らなかったのだが、今年になって様々な人が様々な視点から「成田発言」に対して批判記事を投稿していた。
 
1月18日には埼玉工業大学非常勤講師、で批評家の藤崎剛人が「日本のメディアは、憎悪扇動の効果について、過小評価しているのではないか」との観点からこんな記事を書いていた。
 
『高齢者は集団自決』で爆笑するな
 

<日本人と日本のメディアは、憎悪扇動がどんな恐ろしい効果をもたらすか、理解しているのか>
2023年1月11日ごろから、イェール大学アシスタント・プロフェッサーの成田悠輔氏が高齢化社会の解決のため「高齢者は集団自決すれば良い」という発言をしていたことが動画等で拡散され、SNS等で議論になっている。主に拡散されているのは2021年12月の『ABEMA Prime』の動画だが、その他YouTube番組や講演会でも複数回にわたって同様の発言をしていたことが分かっている。
■「メタファー」では済まされない
「集団自決」という言葉を使ってはいるが、とりあえず多くの場合、成田氏は「世代交代」の文脈で、この言葉を過激な「メタファー」として用いている。一方、「自決」という言葉のイメージ通り社会福祉カットの文脈でも彼はこの言葉を用いることもあり、その境界は未分化だ。何年にもわたって高齢者の「集団自決」あるいは「切腹」について執拗に語り続けているところをみると、成田氏はこの「持論」を単なるレトリックとしてではなく、ある程度は本気で提唱しているのではないかと思えてくる。『みんなの介護』インタビュー記事では、成田氏は当該発言を「言ってはいけない」としたうえで、「言ってはいけないとされていることはだいたい正しい」と述べている。
本人やこの発言を聞いた周囲がどこまで高齢者の「集団自決」を本気で考えているかはともかくとして、この発言を「メタファー」として安易に捉えるべきではないだろう。組織や社会の新陳代謝の問題はそれはそれで考えればよいが、一方でエイジズムと呼ばれるような年齢差別は解消するべきだ、というのが世界の流れで、主に雇用に関する差別をなくすよう、各国で立法化がなされている。「集団自決」発言はそれに逆行するだけでなく、特定の年齢層への憎悪表現ということもできるだろう。
少子高齢化などを要因とする日本社会の衰退化傾向が顕著になる中で、足手まとい・お荷物となりうる存在を切り捨てたいという欲求を持つ人が増えつつある。そうした状況下でこのような憎悪表現をメディアで行うことは、それを口に出して良いのだという免罪符を人々に与えることになってしまうのだ。
このように考えたとき、成田氏の発言も問題なのだが、より深刻なのは、その発言がその場にいる番組の他の出演者に受け入れられてしまっていることだといえる。主に拡散されている『ABEMA Prime』の動画では、成田氏が高齢者の「集団自決」論を唱えたのち、スタジオは(リモートで参加していたひろゆき氏も含めて)爆笑の渦につつまれている。この発言自体が面白いというよりは、出演者はこれが成田氏の持論であることを知っていて、「いつもの発言」が出たことに起因する笑いだったようにも思えるが、冷静に考えて、これはジョークとして捉えられるだろうか?ブラックユーモアが強いバラエティであれば文脈によってはありうるかもしれない。だが、『ABEMA Prime』は仮にも報道番組をうたっているのだ。そのような番組が、果たして風刺や皮肉ですらない高齢者の「集団自決」論を冗談にしてよいのだろうか。
2016年、元フジテレビアナウンサーの長谷川豊氏が遺伝由来ではない人工透析患者は全額自己負担として払えないものは「そのまま殺せ!」とブログに書いて炎上したとき、長谷川氏はある番組に出演して、「人工透析患者を殺せと書いたら炎上したんですよ」と発言した。やはりスタジオは爆笑の渦に包まれていた。
今回、そのときと同じような薄ら寒さを覚えた。日本のメディアは、憎悪扇動の効果について、過小評価しているのではないか?もっとも、長谷川氏はその後全番組を降板することになったが、成田氏についてはその兆候はみられない。
■「世代間格差」論の問題
年金保険料の負担や福祉の手厚さの充実度、金融資産の有無に関して、現役世代に比べて高齢者が優遇されているとする世代間格差の議論は、若者向け政策を取り扱う論者によってよく主張され、ネットメディアでは既成事実となりつつある。
しかし、たとえば子育てや教育といった予算を充実させるべきだとしても、高齢者福祉を削る必要はない。よほどの富裕層でもない限り?、高齢者福祉を削って自分の親を自己責任で面倒みるほうが現役世代にとっては負担が大きいだろう。また、なるほど金融資産の多くを保有しているのは高齢者だが、これは退職金の影響もあるし、積み立てられた資産は年齢が上がるほど大きくなるのは当然ということもある。そして、生活保護受給者が多いのもまた高齢者世代なのだ。
芸人で実業家のたかまつなな氏は、成田悠輔氏の「集団自決」発言を批判している。しかしたかまつなな氏自身も、高齢者の発言力が強すぎる「シルバー民主主義」が問題だという持論を持っており、昨年6月、年齢が上がれば上がるほど選挙での一票の価値が下がる「余命投票制度」の仕組みを導入すべきだと提言し、参政権の平等を無視しているとして批判を受けている。「世代間格差」の議論とは、結局のところこうした人権を無視するような極端な帰結にしか至りようがないということではないのか。
社会に余裕がなくなっていく状況下で、エスニシティにせよ、セクシュアリティにせよ、年齢にせよ、特定の属性をスケープゴートにするような言説は、すぐに憎悪表現に至るようなエスカレートをたどる。最悪の場合、表現に留まらず、実際の排斥へと至るかもしれない。
厄介なのは、そうした排斥が、恵まれない者たちの救済という顔で登場してくることだ。ナチスは苦しい生活を強いられているドイツ人の味方を標榜し、ユダヤ人を排斥した。世代間格差論者も、若者の味方を標榜しており、ネットテレビやYouTube などの新興メディアに頻繁に登場している。
しかし世代間格差論は結局、あからさまな憎悪扇動表現に対して誰も注意しないような恐るべき言説空間をつくりあげることになった。発信側が扇動を制御できないのならば、視聴者の側がコントロールするしかない。その意味でも、このタイミングで成田氏の過去発言の「炎上」が起こったことはよかったのかもしれない。
 
一方、上記記事の翌日には、ノンフィクションライターの窪田順生が「世紀の悪法」として知られる「優生保護法」の歴史的な問題も含めた記事を書いていた。
 
成田悠輔氏『高齢者は集団自決』発言を“例え話”と笑っていられない理由
 
■成田悠輔氏の発言で「尊厳死解禁」に向かうか
「そういえば最近、田中さんのところのおじいちゃん見ないわね」
「あら、知らないの?昨年末にボケが進んでもう会話も成立しないくらいになっちゃって。家族みんなでよく相談して結局、尊厳死されたそうよ」
「なんか最近、尊厳死を選ぶ人が増えたわね」
「昔、えらい先生が“高齢者は集団自すれば良い”なんて言ってボロカスに叩かれたことがあったけれど結局そうなっちゃったわよね」
 ――そんな世間話がいたるところで聞かれるような時代が、近い将来にやってくるかもしれない。
 イェール大学アシスタント・プロフェッサーの成田悠輔氏の「高齢者は集団自決すれば良い」という発言が批判を浴びている。これに理解を示している人もかなりおり、「尊厳死解禁」へ向けた議論が一気に進んでいく可能性もあるからだ。
 ご存じのない方のために事の経緯を説明しよう。成田氏はさまざまなメディアや講演などで、高齢化社会への対応策として高齢者の「集団自決」「集団切腹」を繰り返し主張してきた。例えば、21年12月の『ABEMA Prime』ではこんな持論を展開している。
僕はもう唯一の解決策ははっきりしていると思っていて、結局高齢者の集団自決、集団切腹みたいなものではないかと……
 その具体的な方法のひとつとして成田氏が挙げているのが「尊厳死」だ。22年1月にNewsPicksで配信された動画でも同様の主張を繰り返して、こんな近未来を予想している。
「安楽死の解禁とか、将来的にあり得る話としては安楽死の強制みたいな話も議論に出てくると思う」
 これを受けて、「発言内容の全体を聞くと、納得できる部分はある」「表現は乱暴だが、見解はまとも」など成田氏の考えを支持する声も少なくないのだ。
 高齢化が急速に進んで、現役世代の社会保障負担が重くなっている日本では今、「老害」への風当たりが非常に強くなっている。若者世代が貧しいのは、高齢者が社会の第一線に居座り続けているからだ、という「世代交代」を望む声も多い。
 そんな高齢者への「ヘイト」が高まっている中で、「米有名大学の経済学者」という極めて権威的なインテリが、「高齢者は集団自決せよ」と主張すれば一気に「尊厳死解禁」議論が進んで、あれよあれよという間に関連法案が通過なんて事態も起こり得る。
「人の命に関わる法律の議論がそんな簡単にホイホイ進むわけないだろ」とあきれる人もいるかもしれない。あるいは、「成田氏は世代交代のメタファーとして集団自決って言っているだけなんだから、そんなに目クジラを立てなくてもいいのでは」と冷笑する人もいるだろう。
 ただ、歴史を振り返れば、そうも笑っていられない。
・・・中略・・・
■「国のため」といえば残酷になれる日本人
このような歴史の教訓を踏まえると、「尊厳死解禁」も我々が想像しているよりも早く議論が進んでいく可能性が高い。
 先ほども申し上げたように、今の日本は「老害」叩きのムードが高まっている。
「障害者や犯罪者は断種すべき」という下村氏の主張に多くの国民が賛同して一気に議論が進んだように、「高齢者は集団自決すべき」という成田氏の主張にも、多くの国民が賛同して一気に議論が進む「土壌」は既に出来上がっているのだ。
 特に日本人は「日本のため」という話を持ち出されると弱い。「集団のためには個人が犠牲になる」という思想教育を幼い頃から徹底されているので、「日本のため」と言われたら、自分の高齢の親にさえも「自決」を迫れるような残酷さも持ち合わせている。
 その残酷さの最悪の形が「集団自決」だ。ほんの80年前、我々は「日本のためにここでみんなで死ね」と命じられて本当に実行した。洞窟に隠れて泣き声が米軍にバレるという理由で、我が子の首を締めて殺した親もいる。
 それは決して「狂っていた」からではなく、すべては「日本のため」である。日本のためには自分を殺すし、家族も犠牲にしなくてはいけないとインテリたちも説いていた。そんな「ムード」に屈して、誰もが冷静な判断力を奪われていたのである。
「高齢者の集団自決」などあり得ないと笑う人もいるだろうが、我々は民主主義の社会になってから、「障害者への断種」を強いる悪法をつくった前科もあることを忘れてはいけない。
 気がついたら、高齢者を安楽死へ促すような法律ができていても、おかしくないのではないか。
 
 
ことの発端の発言主は日本のメディアからは排除されてはおらず、あいかわらずこの男をコメンテーターとして白昼堂々と起用したりして、そのポンコツ振りに磨きをかける始末だ。
 
しかし、海外のメディアはこの発言を見逃さなかったようである。
 
成田悠輔『高齢者は集団自決した方がいい』NYタイムズが発言報じて世界的大炎上「この上ないほど過激
 
「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹みたいなことをすればいい」といった主張が物議を醸している。発言者は、経済学者で米イェール大学のアシスタント・プロフェッサー・成田悠輔氏だ。
 各界の重要ポストを高齢者が占めている日本の現状に対し、成田氏は、2022年2月1日、堀江貴文氏と対談したYouTube動画『【成田悠輔×堀江貴文】高齢者は老害化する前に集団切腹すればいい?成田氏の衝撃発言の真意とは』で、世代交代を本気で考えようとして、次のように述べている。
 「(高齢の偉い人々を)1ミリも尊敬していないかのような雰囲気をみんなが醸し出すようになると、やっぱり誰しも周りに必要とされていない感をガンガン出されるとつらいと思うんで、少し世代交代につながるんじゃないか」
 その後、高齢化が進む日本社会の解決策として、「安楽死の解禁・強制」などにも触れている。
「成田氏の発言は、2021年12月17日の『少子化ってダメなこと?人口減少で60代が労働力の中心に?ひろゆき×成田悠輔』(ABEMA)などでも触れられており、持論なのは間違いないでしょう。この意見に対し、侃々諤々の議論が巻き起こっています」(週刊誌記者)
 実際、SNSでは、
 《「集団自決」発言も知ってるけど、これ「年寄りは死ね」って意味じゃなくて70代80代にもなって重要ポストにしがみつき若者の成長の芽を摘むような社会に将来はない、世代交代が必要ってことでしょ。》
 といった肯定派もいれば、
『#成田悠輔をテレビに出すな』とのハッシュタグをつけ、《こういう乱暴で非常識なことを言う人は、まず自分が高齢になったら率先してやりますという約束してから言うべきですね》などと批判する意見も多数投稿されている。
 そして、この問題がついに海外へも飛び火。2月12日付の米紙『ニューヨーク・タイムズ』が、成田氏の「集団自決」「切腹」発言について「この上ないほど過激」と報道したのだ。
 同紙は、成田氏がアメリカの学会で無名である一方、「彼の極端な主張は、高齢化による経済停滞に不満を持つ何十万もの若者のフォロワーを獲得している」と紹介。
 さらに、丸と四角のレンズの眼鏡をかけ、Tシャツやパーカーのカジュアルな姿でメディアに登場する成田氏は、「アイビーリーグ(米名門私立大学の総称)のブランドを利用している」とも述べている。
 同記事を受け、東大名誉教授のロバート・キャンベル氏は、成田氏の発言への批判とともに、国内メディアがまともに取り上げていないことへの疑問をこうツイートした。
 《高齢者に集団自決とはあくまで問題提起であり「抽象的な比喩」とする成田悠輔氏。太平洋戦争、優生保護法、やまゆり園の大量殺人事件もメタファーとでも言うのでしょうか。国内メディアより先に米国NYTが深掘りして「提起」を問うこと自体、日本の、メディアの問題です》
 ニューヨーク・タイムズの報道を受け、イギリスの『デイリー・メール』『テレグラフ』、ドイツの週刊誌『シュピーゲル』なども、次々に後追いし、世界的に炎上状態となっている。ちなみに、当該記事を紹介したニューヨーク・タイムズのツイートは、2187万ビューを超えている。
「seppuku」という言葉とともに、世界の耳目を集めることになった成田氏の発言。だが、日本の高齢化社会が待ったなしで、早急な対策が必要なのも事実。はたしてこの騒動、着地点はどこになるのだろうか――。

 

 
ところで、岸田文雄政権の「異次元の少子化対策」の一つに出産育児一時金の増額があり、現在、原則42万円が支給されているが、来年度からは50万円に引き上げられるというのだが、その財源は今回の引き上げに伴って、再来年度、2024年4月からは、75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度からも財源をねん出し、一時金全体の3.5%を賄うことになるという。
 
ある程度ゆとりのある後期高齢者からの捻出は仕方がないのかもしれないが、「世代間格差」論が本格化してくれば、「生産性のない老人」の「集団自決」とか「尊厳死」制度の確立などが日常的な会話になってしまい、さらにメディアが煽るようなことになれば、そら恐ろしい世界がやってくることになるのではないだろうか、とオジサンは思う。 
   

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