極寒に近い温度のなかで行われた昨日の東京マラソン。
どうやら、レースの結果よりも終了後の表彰式の模様が多くの国民の注目を集めたようであった。
最近の小池百合子の言動を見ていると、都知事選におけるイメージは、あくまでも大衆受けするという計算され尽くした戦略であったことが明確になってきている。
「緑の厚化粧」もスッピンになれば、ただの「口先おばさん」になってしまうという典型的なシーンであった。
小池百合子さん
— Riyama.K (@onitsuka0358) 2019年3月3日
寒いのはわかるけどレゲセ選手は傘もささずに立っていて小池さんはメダル渡し終わったらポケットに手突っ込むのはレゲセ選手に対して失礼だとは思わないのかな?#東京マラソン #小池百合子 pic.twitter.com/DemLRpntL2
あの東京マラソン表彰式の小池知事に国体開会式の秋篠宮殿下のこの姿を見ていただきたい。 pic.twitter.com/4Ur23XI1WD
— エルコン@国語教室 (@hidelcondorpasa) 2019年3月3日
「小池知事が陳謝「すみません」表彰式でポケットに手」と陳謝したところで、まさに「後の祭り」であろう。
ところで、こんな記事があったことに気づかなかった。
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<自民党職員の改憲ソングに漂う“軽さ” 国家の規範も「もう替えよう」?>
毎日新聞 2019年3月3日 16時47分
♪憲法なんてただの道具さ♪ 憲法を改正しようと高らかに歌う「改憲ソング」が、2月に発売された。企画したのは自民党本部の職員で、自身が歌っている。「個人の作品で、自民党とは無関係だ」と強調する。耳になじみやすいメロディーだが、曲全体に漂う「軽さ」は何だろう。歌を聴いて、安倍晋三首相が目指す改憲路線を考えてみた。【江畑佳明/統合デジタル取材センター】
現憲法は「子どもの服」か
タイトルは「憲法よりも大事なもの」(CDシングル、1080円)。2月6日に発売された。アマゾンなどで購入でき、動画投稿サイト「ユーチューブ」でも視聴できる。
メロディーはややアップテンポのフォーク調で、なじみやすい。問題は歌詞だ。
♪いつまでも同じ服は着られない 大人になったらもう着替えよう♪
と、まずは改憲の必要性を訴え、サビの部分で、こう呼びかける。
♪憲法なんてただの道具さ 変わること恐れないで 憲法よりも大事なものは 僕たちが毎日を幸せに安全に暮らすことさ♪
「原案」と歌を担当したのは、自民党政務調査会の前審議役、田村重信さん(66)。これまで安全保障政策や憲法問題に取り組み、著書は共著を含め「防衛政策の真実」(扶桑社)や「改正・日本国憲法」(講談社)など約50冊に及ぶ。昨年1月に定年退職し、その後嘱託職員として再雇用された。
憲法改正を目指す自民党の広報戦略なのかと思いきや、本人は「セカンドライフを充実させたいという思いから作った。党は全く関係ない」と、あくまで個人の仕事だと主張する。以前から歌うことが好きで、CDを出した経験もある。作詞と作曲は、音楽プロデューサーの坂本裕介さんが担当した。田村さんは「旧知の間柄で、憲法についても議論してきた」と語る。
他国からの侵略におわす
改憲ソングといえば、中曽根康弘元首相が作詞した「憲法改正の歌」(1956年)が知られる。やや勇ましい曲調で、歌詞は「押し付け論」に基づき、とにかく硬い。
♪平和民主の名の下に 占領憲法強制し 祖国の解体を計りたり♪
田村さんは自身の改憲ソングについて「中曽根さん以来ではないか」と胸を張る。
田村さんの歌詞は「憲法改正の歌」と異なり、改憲を声高に叫んでおらず、全体的に抽象的な内容だ。「憲法に興味のない人や改憲に反対の人たちに届くように、聞きやすいものにしたかったから」(田村さん)。「日本は経済の停滞など、さまざまな閉塞感が漂っている。今の日本はこれでいいのか。世の中の変化に合わせて、憲法改正だけではなく、前に向かって一歩踏み出そうじゃないか。そんなメッセージを込めた」とも。
それにしても、「毎日を幸せに暮らすこと」が「憲法」より大事だと言うが、現行「憲法」のもとでは「幸せ」に「安全」に暮らせないのか。
さらに、歌詞にこうある。
♪誰かの助けを待つんじゃない 自分の力で立ち上がろう♪
ここは、他国からの侵略をにおわせ、9条の改正を想起させる。「戦後、日本が平和だったのは憲法があったからではない。その考えは幻想で、日米安全保障体制と自衛隊によって守られた」と田村さんは持論を展開した。
南野さん「安倍改憲路線に合致」
改憲ソングを、専門家たちはどう見るのか。
九州大法学部の南野森(みなみの・しげる)教授(憲法)は「『憲法は道具』という表現は、確かにその通りです。憲法は国民を幸せにするためのものだから」と一定の理解を示しつつも、「いつまでも同じ服は着られない 大人になったらもう着替えよう」の部分を「憲法のたとえとしては不適切だ」と批判する。
「本当に改憲したいなら、どの条文をどのように変えたいかの具体的な訴えがあってしかるべきだ。『もう着替えよう』からは『時代が変わったし、細かいことは考えなくていいから……』というニュアンスを感じる。憲法について真剣に考えているのか疑問です」と首をかしげる。その上で、南野さんは改憲ソングを「安倍首相がこれまで唱えてきた改憲論の延長線上にある」と指摘する。
安倍首相はかつて、憲法の国会発議のハードルを下げようと96条(憲法の改正手続き)を改正しようと主張した。しかし、憲法学者の小林節氏に「裏口入学だ」と厳しく批判され、世論の反発でトーンダウンした。その後、東日本大震災への対処が不十分だったなどとして政府に一時的に強大な権限を与える「緊急事態条項」新設に意欲を示した。だが、これもトーンダウン。現在は9条への自衛隊明記にこだわり、「自衛官の息子が『お父さん、憲法違反なの』と涙を浮かべた」というエピソードを説いて回る。
南野さんは言う。「安倍政権は、改憲の中身は関係なく、改憲そのものを目的としている。今回の歌にもその考えが表れています」
平川さん「憲法の精神の無視」
「憲法のコモディティー(商品)化だ」と懸念するのは文筆家の平川克美さんだ。「グローバリズムという病」(東洋経済新報社)などの著書がある。
平川さんは、服のたとえの部分を問題視している。「例えば『パソコンが古くなったから新しく買い替えよう』というのと同じ発想だ。憲法には先人たちが積み上げてきた歴史的な英知が反映されている。『時代が変わったから』というような短期的な理由で、国家の規範が変更されないために憲法が存在している。そういう基本的な憲法の精神を無視している」と批判する。
そして「この『買い替えよう』という考え方は、経済発展を遂げた日本で受け入れられやすい。簡単に改憲していいという風潮が広がる可能性がある」と憂慮する。
辻田さん「政党のプロパガンダ」
政党による政治的宣伝は「プロパガンダ」と呼ばれる。田村さんは改憲ソングを自民党とは無関係だと強調するが、「たのしいプロパガンダ」(イースト・プレス)などの著書がある近現代史研究家、辻田真佐憲さんは「この歌もプロパガンダのひとつと言わざるをえない」と指摘する。
この曲は「ヒット」するのだろうか。辻田さんは「効果の大きいプロパガンダは、人気歌手が歌うなどエンターテインメント性が高い。今回は大きな広がりにはならないのではないか」と否定的だ。それでも、気になる点があるという。「今後もし憲法改正の国民発議が行われ、国民投票が実施される段階になると、CMなどで改憲派と護憲派が主張を激しくぶつけ合う宣伝合戦となる事態が考えられる。その時に冷静に判断できるよう、日ごろからプロパガンダに備えておく必要がある」と警鐘を鳴らす。
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先入観を持たずに歌詞も見ないで聞くと、あまり抵抗感がないことが危うい。
【憲法改正ソング】憲法よりも大事なもの/田村重信 with Friends
これに対する真っ当な批判が多くあった。
「本当に日本の未来を思うなら少子高齢化対策とかやる事あるんじゃないですかね……
辛い現実から国民の目をそらす為の憲法改正なら辞めた方がいいと思うんですけど、まあ公文書改竄とかしといても止めさせられないのは面の皮が厚いし国民の関心をそらせてていくら不正しても政治家として凄いと思う」
「道具か、そうだな、権力者が暴走しないように縛り上げる道具だよ。」
「憲法を道具だと思っているから自民党議員の皆さんは平気で、公職選挙法違反をしたり政治資金規正法違反をしてる訳ですよね。だからこそ、憲法を変えて違反を違反ではない様にしたいと!
その結果が《僕(自民党議員)たち毎日を幸せに安全に暮らすことさ》という事だったのですね。
とても分かりやすく、自民党らしい歌だと思いましたwww」
「道具なのは政治の方。
日本国憲法に書かれている国民主権・平和主義・基本的人権尊重。
それを民主主義的手段で具現化していくのが政治の使命。
政治家の役割。
自民党の改憲草案を読めば、今の日本国憲法と真逆の方向に進みたいことがよくわかる。
こんな軽い歌に騙されるわけにはいかない。」
「憲法は大事です。70年も変えてないから、時代遅れで、変えるべきと言う議論がありますが、そんなことは絶対ない。憲法は、constitution、構成、骨格です。憲法というものは、民衆の力によって国を打ちたてる時に、勝手に為政者によって変えられることのないように、時代の変化にも出来る限り耐えられるように、民主主義制度と人権を大まかに定めているものです。74年間も改憲が0回と言うのは、時代の変化に耐えられるよくできた憲法であることを示すものです。現在でも、国民大多数は、九条改憲に反対であり、その他の部分についても、カネの欲しい医者(安倍ら)が健康な人間にありもしない病気を探し出したとして手術を促すような状態になっていると思います。改憲の理由なんてないのですよ。馬鹿らしい限りです。」
窮地に追い込まれながらも最後の悪あがきで、安倍晋三が遮二無二前のめりになって強引に国会で憲法改正を発議して、国民投票日が決ると、連日、テレビやラジオからこんな歌が四六時中、それも若者に人気のある歌手が歌っていたら、・・・という光景を決して実現させてはならない、とオジサンは思う。