本ブログの韓国語関係の記事は、大体が前々から知っていることを書いているのではなくて、実力は中級と上級の境目辺りをうろついている私ヌルボが初めて知ったこととか、いい加減な知識しかなかったことを調べ直して書いています。
今回のテーマも、たまたま一昨日のハングルサークルの授業で「命令形は(ふつう)第Ⅲ語基につく」という箇所をやっている時、以前話題となった金正日の号令のことを思い出したのがきっかけで、いくつかの関係サイトを読み、わかったことを整理してみた、というものです。
自らの肉声をほとんど流さないことで有名たった金正日が、南北首脳会談以前に唯一残した音声は、1992年4月25日の朝鮮人民軍創建60周年の軍事パレードの号令でした。
「영웅적 조선인민군 장병들에게 영광 있으라!(英雄的朝鮮人民軍将兵諸君に栄光あれ!)」というわずか5秒間のものです。
YouTubeにその動画があります。(→コチラ。) この1:12~1:17の所に入っています。
ポイントは、この「있으라(イッスラ)」。「있다(イッタ)=在る」の命令形なんですが、「あれ?」と疑問に思う人もいるでしょうね。私ヌルボもそうでした。
たとえば「넌 여기 있어라.(おまえはここにいろ。)」のように、ふつうは「있어라(イッソラ)」じゃないの、ということで・・・。
命令形に関して、授業で提示されたのが「하다」の命令形。ふつう「해라」だが、「하라」になる場合もある、ということ。
つまりは第Ⅲ語基ではなく、場合によって第Ⅱ語基につく命令形がある、ということ。その違いは後の方で書くとして、韓国サイトを見ると、韓国の人の中にも疑問に思う人がいるんですね。
「中央日報」のサイト中の[우리말 바루기(韓国語を正す)]に「해라体と 하라体」という記事があり、そこである塾の先生からの質問を取り上げていました。
その質問というのは、試験問題を作る時の問題文に頭を悩ませているとのこと。たとえば・・・・
・正しい答えを「書け」は、「쓰라」なのか、「써라」なのか?
・正答を「選べ」は、「고르라」なのか、「골라라」なのか?
・絵を「描け」は、「그리라」なのか、「그려라」なのか?
・質問に「答えよ」は、「답하라」なのか、「답하여라」なのか?
・共通するもの同士を「結べ」は、「이으라」なのか、「이어라」なのか?
続く説明には、こう書かれています。
まず、目の前にいる相手には「먹으라」とか「보라」ではなくて「먹어라」とか「봐라」と言うでしょう。このような、相手を見下して命令する形を<해라体(ヘラ体)>(つまり第Ⅲ語基)といって、日常生活では自然な形です、ということをまず確認。
続いて、では運勢の文章を見てみましょう、ということで、以下を例示しています。
"60年生まれは自信を育てよ(자신감을 키우라)。37年生まれは受けたものを放棄せずに受けよ(포기하지 말고 받으라)。61年生まれは健康に気を遣え(건강에 신경 쓰라)。26年生まれは捨てるほど幸せになる。心を空けよ(마음을 비우라)。"
そして解説。ここに出てくる各動詞は「키워라」、「받아라」、「써라」、「비워라」という言葉ほど相手を見下していない感じがしますが、このように、不特定の相手に本や新聞等の媒体を通じて命令の意を現わす時に、この<하라体>(つまり第Ⅱ語基)を使う、というわけです。
・・・ということで、上掲の質問については、試験問題は相手が不特定なので<하라体>の「쓰라」、「고르라」、「그리라」、「답하라」、「이으라」が正しいと結論づけています。
・・・とここまで書いたところで、非常にわかりやすく説明してくれている日本語サイトを見つけました。
<初級から先の朝鮮語>がそれ。
その中から、命令形に関するページを簡略化して整理してみました。
①[第Ⅲ語基+라]・・・・同年配や目下の人に「〜しろ」と命令する時に使う。 →コチラ参照。
※禁止命令(「〜するな」)は[第Ⅰ語基+지 말아라]となる。
※[第Ⅲ語基+라]は形容詞によっては「〜であれ」のように命令として使える。また、状況によって「〜だなあ」のように詠嘆を表す。詠嘆の場合は形容詞的な意味合いを持つ存在詞(맛있다 、재미있다 など)にも使われる。
例:야, 맛있어라.(いやあ、旨いなあ。)
아이고, 좋아라.(ああ、良い気持ち。)
②[第Ⅱ語基+라]・・・・丁寧語ではなく、同年配や目下の人にいかめしい文語調で「〜しろ」と命令する時に使う。スローガンやシュプレヒコールなどによく現れる。 →コチラ参照。
例:소비세를 낮추라.(消費税を下げろ。)
근무수당을 인상하라.(勤務手当を引き上げろ。)
이 사람을 보라.(この人を見よ。)
두드리라 그러면 열릴 것이다.(叩けよ、さらば開かれん。)
통일이여 어서 오라 통일이여 오라(統一よ はやく 来たれ 統一よ 来い)←『우리의 소원(われらの願い)』の歌詞。私ヌルボ、1991年北朝鮮旅行の時教わった。
③[第Ⅰ語基+거라]・・・・「가다」及び「〜가다」の形の動詞・「자다」・「있다」 の3語に代表的につく、古めかしく権威的な感じのする命令。 →コチラ参照。
例:어서 가거라.(さっさと行くがよい。)
잘 있거라.(元気でおれ。)
④[第Ⅰ語基+너라]・・・・「오다」及び「〜오다」の形の動詞に選択的につく、古めかしく権威的な感じのする命令。 →コチラ参照。
例:어서 오너라.(さっさと参れ。)
・・・ということで、<初級から先の朝鮮語>の管理者・白宣基先生、どうもありがとうございました。
あ、サークルの授業の中でN先生が「「해라」=「しろ」で、「하라」=「せよ」」とおっしゃったのは非常にわかりやすく、腑に落ちた説明だったですね。
今回のテーマも、たまたま一昨日のハングルサークルの授業で「命令形は(ふつう)第Ⅲ語基につく」という箇所をやっている時、以前話題となった金正日の号令のことを思い出したのがきっかけで、いくつかの関係サイトを読み、わかったことを整理してみた、というものです。
自らの肉声をほとんど流さないことで有名たった金正日が、南北首脳会談以前に唯一残した音声は、1992年4月25日の朝鮮人民軍創建60周年の軍事パレードの号令でした。
「영웅적 조선인민군 장병들에게 영광 있으라!(英雄的朝鮮人民軍将兵諸君に栄光あれ!)」というわずか5秒間のものです。
YouTubeにその動画があります。(→コチラ。) この1:12~1:17の所に入っています。
ポイントは、この「있으라(イッスラ)」。「있다(イッタ)=在る」の命令形なんですが、「あれ?」と疑問に思う人もいるでしょうね。私ヌルボもそうでした。
たとえば「넌 여기 있어라.(おまえはここにいろ。)」のように、ふつうは「있어라(イッソラ)」じゃないの、ということで・・・。
命令形に関して、授業で提示されたのが「하다」の命令形。ふつう「해라」だが、「하라」になる場合もある、ということ。
つまりは第Ⅲ語基ではなく、場合によって第Ⅱ語基につく命令形がある、ということ。その違いは後の方で書くとして、韓国サイトを見ると、韓国の人の中にも疑問に思う人がいるんですね。
「中央日報」のサイト中の[우리말 바루기(韓国語を正す)]に「해라体と 하라体」という記事があり、そこである塾の先生からの質問を取り上げていました。
その質問というのは、試験問題を作る時の問題文に頭を悩ませているとのこと。たとえば・・・・
・正しい答えを「書け」は、「쓰라」なのか、「써라」なのか?
・正答を「選べ」は、「고르라」なのか、「골라라」なのか?
・絵を「描け」は、「그리라」なのか、「그려라」なのか?
・質問に「答えよ」は、「답하라」なのか、「답하여라」なのか?
・共通するもの同士を「結べ」は、「이으라」なのか、「이어라」なのか?
続く説明には、こう書かれています。
まず、目の前にいる相手には「먹으라」とか「보라」ではなくて「먹어라」とか「봐라」と言うでしょう。このような、相手を見下して命令する形を<해라体(ヘラ体)>(つまり第Ⅲ語基)といって、日常生活では自然な形です、ということをまず確認。
続いて、では運勢の文章を見てみましょう、ということで、以下を例示しています。
"60年生まれは自信を育てよ(자신감을 키우라)。37年生まれは受けたものを放棄せずに受けよ(포기하지 말고 받으라)。61年生まれは健康に気を遣え(건강에 신경 쓰라)。26年生まれは捨てるほど幸せになる。心を空けよ(마음을 비우라)。"
そして解説。ここに出てくる各動詞は「키워라」、「받아라」、「써라」、「비워라」という言葉ほど相手を見下していない感じがしますが、このように、不特定の相手に本や新聞等の媒体を通じて命令の意を現わす時に、この<하라体>(つまり第Ⅱ語基)を使う、というわけです。
・・・ということで、上掲の質問については、試験問題は相手が不特定なので<하라体>の「쓰라」、「고르라」、「그리라」、「답하라」、「이으라」が正しいと結論づけています。
・・・とここまで書いたところで、非常にわかりやすく説明してくれている日本語サイトを見つけました。
<初級から先の朝鮮語>がそれ。
その中から、命令形に関するページを簡略化して整理してみました。
①[第Ⅲ語基+라]・・・・同年配や目下の人に「〜しろ」と命令する時に使う。 →コチラ参照。
※禁止命令(「〜するな」)は[第Ⅰ語基+지 말아라]となる。
※[第Ⅲ語基+라]は形容詞によっては「〜であれ」のように命令として使える。また、状況によって「〜だなあ」のように詠嘆を表す。詠嘆の場合は形容詞的な意味合いを持つ存在詞(맛있다 、재미있다 など)にも使われる。
例:야, 맛있어라.(いやあ、旨いなあ。)
아이고, 좋아라.(ああ、良い気持ち。)
②[第Ⅱ語基+라]・・・・丁寧語ではなく、同年配や目下の人にいかめしい文語調で「〜しろ」と命令する時に使う。スローガンやシュプレヒコールなどによく現れる。 →コチラ参照。
例:소비세를 낮추라.(消費税を下げろ。)
근무수당을 인상하라.(勤務手当を引き上げろ。)
이 사람을 보라.(この人を見よ。)
두드리라 그러면 열릴 것이다.(叩けよ、さらば開かれん。)
통일이여 어서 오라 통일이여 오라(統一よ はやく 来たれ 統一よ 来い)←『우리의 소원(われらの願い)』の歌詞。私ヌルボ、1991年北朝鮮旅行の時教わった。
③[第Ⅰ語基+거라]・・・・「가다」及び「〜가다」の形の動詞・「자다」・「있다」 の3語に代表的につく、古めかしく権威的な感じのする命令。 →コチラ参照。
例:어서 가거라.(さっさと行くがよい。)
잘 있거라.(元気でおれ。)
④[第Ⅰ語基+너라]・・・・「오다」及び「〜오다」の形の動詞に選択的につく、古めかしく権威的な感じのする命令。 →コチラ参照。
例:어서 오너라.(さっさと参れ。)
・・・ということで、<初級から先の朝鮮語>の管理者・白宣基先生、どうもありがとうございました。
あ、サークルの授業の中でN先生が「「해라」=「しろ」で、「하라」=「せよ」」とおっしゃったのは非常にわかりやすく、腑に落ちた説明だったですね。